「あれは私たちでどうにかできる相手じゃない」
無事に祖父の葬儀が終了した。
いやー、疲れた。久方ぶりすぎる親戚に社交力振り絞って接した後、寝込む人嫌いさよ。みんな良い人なので、問題は全て僕にあるんですがね。
多くの人といると耐えられないのでそのまま映画に行くよ。今は難しいのより気軽に観れる系がいいよ、ということで話題の忍たま映画に行ってきました。
■あらすじ
タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった後、消息を絶ってしまった土井先生を探して山田先生や六年生たちが動いている時、不在となった一年は組の担任はタソガレドキ忍者の組頭雑渡昆奈門と尊奈門が行なうことに。
一年は組は土井先生出張との言葉を信じていつもと違う授業に耐えていたが、きり丸が偶然にも土井先生が生死不明であることを知ってしまう。
そんな中、ドクタケ忍者の軍師・天鬼に接敵した六年生たちはその顔が土井と瓜二つであること自分たちでは歯が立たない強さを知り、命からがら逃げ出すのだった。
軍師・天鬼の存在、ドクタケ忍者の暗躍を知り、タソガレドキ忍者も動き出す中、忍術学園と一年は組は土井先生を取り戻すために行動する。
■感想
上映前から面白そうには思っていたのですが、12月って僕的に相性が悪い。僕ほぼ休みないねん。
だから観に行けないかなぁって思っていたんだが、忌引きを利用していく罰当たりである。すまんじいちゃん、知ってるだろうけど自分のペースを取り戻せんと俺は生きられないんや。……でも、うちの親族みんな遊びに行ってるがね。
さて、僕の忍たま理解度。
子どものころにアニメを観ていた。以上。
そんな触りしか覚えていないレベルでも十分楽しめた。うん、行って良かった。
始まりは果たし合いという場に向かうにもいつものように普通に出掛ける土井先生と出会う乱きりしんの3人。ここでのやりとりで僕のような今までご無沙汰だった人間に忍たまのノリを思い出させると同時に終盤の伏線なのは恐れ入った。やられたと思ったね。
土井先生に果たし状を送った尊奈門を知らなかったのだが、まともな忍具を用いずにあしらうところから圧倒的に土井優勢。鳥の巣を守って崖から落ちることになるが、さすがは忍者と見事に対応してくれる。
最後、自ら川へと飛び込んで終了……のはずだった。なんかよう分からん玉みたいのが流れてくるまでは。
残されたのは、行方不明の土井と気を失っていた尊奈門。雑渡さんが状況を説明して忍術学園と共同して土井捜索に向かうというシリアスが展開される中、表の一年は組では雑渡さんと尊奈門コンビによる授業がギャグ的に展開される。
僕はもう大人なので土井捜索関係をもっと展開して欲しかったが、振り返るとこの案配は素晴らしい。土井を貶す尊奈門に一年は組が団結するところからも土井が慕われていること、画面上下二分割で六年生陣の聞き込み模様とか、無駄なシーンがないから飽きない。じっくり観れる。
この後の尊奈門先生と生徒の雑渡くんはどうしても一年は組視線に立ちがちな我々の気分をスカッとさせてくれるしね。
僕は金にがめついと言われる子どもだったのできり丸が好きだった覚えがあるのだが、ちゃんとアルバイトこなしているからきり丸は勤勉だよなぁ。そんなアルバイト中、偶然に六年生の動きを知ってしまったきり丸は先生にして家族同然の土井の行方不明――しかも生死不明を知ってしまう。
六年生陣も土井を信頼しつつも一切情報がないことから死亡も考慮して捜索を始める。この、死の可能性を口にしただけで揉めちゃうの良い。感情と現実は分けねばならぬ。
だが、ドクタケ忍者が土井らしき存在を運んでいたという情報を経て、六年生陣はドクタケ領へと潜入する。ここの武器を現地調達しつつ乗り込むとこ、めっちゃワクワクしたな! 六年生陣って記憶上では滅多に出ないけど好きだったんだよな!って。
潜入を敵の軍師・天鬼に察知されて交戦。
6対1にも関わらずあしらわれてしまう六年生陣だが、その顔を隠す布を剥ぎ取り土井であると分かった途端、気が抜けた。先生、俺たちですよ。きり丸も待ってるよ、忍術学園に帰ろう。
その言葉で天鬼は本気になる。忍術学園は敵だ。
手加減がなくなった天鬼に煙幕を爆弾(すまんこの名称覚えてない)だと偽ることで距離を取り、なんとか逃げ出す。追いかけてきていたきり丸も確保して忍術学園へと戻る。
ここからドクタケの動きについて。
ちょっと領地の名前を完全に覚えていないのだが、ドクタケが他の領地に攻め込むけから手出ししないでね的な約束をチャミダレアミタケと結び、チャミダレアミタケはタソガレドキを攻める。けど、ドクタケのそれは嘘でタソガレドキとチャミダレアミタケを争わせてどっちも奪って領地拡大を目指すという策を練っていた。え、あのドクタケがこんな賢い策を? これが軍師の力なのか!?
あ、ちなみに記憶を失っている土井先生こと天鬼は八方斎の漫画と音楽で忍術学園は敵でドクタケ正義と洗脳されている。踊り出した時はドクタケのお気楽さをらしく感じたが、ちょっとこの八方斎はなんか変だ。俺の知っている八方斎じゃない。
ここは終盤で分かったんだが、土井先生が川でぶつかった玉こと八方斎ヘッドで2人とも頭を打っている。土井は記憶を失い、八方斎も頭が切れるように――らしくない忍者的思考をするようになっている。いつもよりまつげが長くなってるとか、終盤の描写なしに気づいた人すごくない?
山田先生と天鬼を探っていた息子の利吉と卒業生2人。六年生、五年生を動員して土井奪還作戦が始まる。その極秘作戦を一人知ってしまったをきり丸は1人で向かおうとするが、一年は組連中がきり丸の異変に気づいてみんなで行くことに。
大人組が欺瞞だと切り捨てた城には組が行っちゃうのいいよね。そこで大黄奈栗野木下と会えたのめっちゃ嬉しかったね! この人が好きでな! 「お〜きなくりの〜きのしたさ〜ん」と謳うと「穴太だ〜わたし〜」と答えながら大事なこと全部話してくれるから間違いに気づくは組だけど、逃げ切るのは難しく捕まってしまう。
大人組は3つの拠点のどれに土井がいるか探っていたところ、は組がある拠点に運ばれる。木下さんはそれでバレるとか考えない人やでw 六年中心に潜入、は組救出と攪乱が行なわれ、戦闘は私がするな山田先生は格好良すぎる。あれ、山田先生今回女装してないやん! そんなこともあるんか。
一方、タソガレドキ忍者としては天鬼が邪魔なので排除へ。
土井の元へ向かう雑渡の前に立ち塞がる利吉と卒業生2人だが、雑渡さん強すぎぃ……。しかも手加減までしてるよこれ。
捕まったは組は乱きりしんの3人だけ逃げ出して土井探しだが、しんべヱの腹ぺこと嗅覚でまっすぐ八方斎の元へ行き、悪人ムーブ八方斎は天鬼に3人を斬らせることに。だって、そうしたら記憶が戻っても忍術学園には戻れないだろう? ……そういう考え、嫌いじゃないぜ。
ドクタケは六年生にいいように攪乱されていたが軍師・天鬼の一言で形勢が変わっていた。しんべヱのよだれを辿って土井の元へ来る山田先生、武器使い切りながらも辿り着く六年生。
天鬼は目の前に連れてこられた乱きりしんを斬れと言われ戸惑う。いつもの調子で抜けた会話をすると反射的にツッコんでしまう天鬼。そう映画冒頭のやりとりだ。戻れ戻れ、思い出せ。
きり丸だけは自分の境遇や土井との日々を思い出し、いつも金一番の自分を怒る土井を刺激しつつ言うんだ。先生、帰ろうって。
雑渡さんが明らか毒塗り手裏剣を投げようとして利吉が泊めようとする中、天鬼は斬った。乱きりしんを縛る縄を。
ついでにいつもの八方斎をひっくり返すのだが、頭を支える部下は全員捕まっていたために頭を打って八方斎も元に戻ってくれる。
いやぁ、良かった。
記憶が戻って大団円。天鬼として戦物資は貧民に配ることになり、あの時代の無残さも描きながら忍術学園の絆に相応しい物語でした。雑渡さんもちゃっかり領地奪ってるしね。原作だともっと領地関係とか詳しく描かれていると聞くから読んでみようかな。
90分足らない上映時間も本当に無駄がない。欲を言えば、忍術学園陣はもうちょっと観たかった。女性の先生とか学園長も出張って欲しかった。けど六年生陣の戦いが見れたのは良かった。僕は山田先生と土井の関係をほとんど覚えていないのだが、天鬼の正体を知ろうと揺さぶりをかけてくる利吉に山田先生が「知っていたらお前は平然としてない」みたいなことを行っていたり、最後に利吉は土井を「お兄ちゃん」みたいに呼んでいたから家族同然なんだろうな。困るなぁ、知りたくなってしまう。パンフ買おうかと思ったら案の定売り切れだったよ。
では、この辺で今回のお気に入りへ。
天鬼に斬られそうになっている中、きり丸は土井に注意された自分の悪癖である金に対する執着について高らかに言う。手裏剣は勿体なくて投げられませんとか。その最後に言った言葉はあまりにらしくて笑っちまうが、土井としては心配でたまらなくなっしまうのだろうな。
「地獄の沙汰も銭次第。だけど、払ってたまるか六文銭!」
祖父の葬儀でも懐に六文銭を入れてな、この重要性を知っているにも関わらず僕は「これしかないのに使いたくない」とか思っていたのでタイムリーすぎたのだったw

小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師
尼子騒兵衛 阪口和久