2025年03月01日

本なら売るほど



 きっとあなたも、本が好きな気持ちを思い出す。


 実はだいぶ前から打診があり、僕の生活はもうすぐ一変するはずだった。けど、なくなったんだってよー! なんでや。それは恒久的にか? 2、3ヵ月後にやっぱなしをなしでとか言い出すんだようちの会社はよ。身辺整理して身軽に過していたのだが、ライブとかのイベントも入れてなかったんだぞこんちくしょうっ!
 ま、過ぎたことはどうにもならんのでぼちぼち好きなことをしていきますが、僕も調子が戻ってきているところなのでちょうど良かったのかもしれぬ。


■あらすじ
 「十月堂」の店主は脱サラして古本屋を始めたのだが、古本屋が本好きとの商売だと思っていたのに本に興味が持てない人が本を捨てる場所であるという現実に直面していた。売れない本を処分する日々に思うところを抱きながらも、彼の元には様々な読書家が訪れる。


■感想
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 このニューギアに気づいてくれたら嬉しい。ブックスタンドを仕入れました! あとネスばかりだと芸がないのでバキを食らうゲレゲレにもご登場いただいている。

 さて、今回の漫画は確かなにかのテレビで紹介されていたんだけど、その時の芸能人のオススメポイントがすっかりくっきり俺には分らんくてな。切り抜きだと分からんから全部読んでみようとなった次第であります。

 表紙の紙が好きだなーとか色々あるんですが、まあ順番に行こう。
 全部読んでみてすごい面白かった。この空気感好き。
 1話完結で物語は6つ。初めの2つは亡くなった人の本を買い取る話。

 不動産屋より遠方に住むという妹からの依頼で亡くなった兄の本を買い取って欲しいと家に向かうと、書斎がいくつもある本だらけの部屋だった。
 もうね、これは憧れる。僕の一番の憧れはディズニーの『美女と野獣』で野獣がベルにプレゼントする書斎なんだが、部屋いっぱいに好きな本に囲まれるなんてどれだけの幸せなんだろうか。

 でも、悲しいかな。
 コレクションは死後まで持っていけないんだ。

 予算的にも時間的にも全部は買い取れないから吟味していくんだけど、1冊1冊大切にされている本に、蔵書印まで作るほど本好きだった誰かに思いを馳せてしまうのは致し方ないことだろう。

 子どもの頃に手に取った『最終兵器彼女』の最終巻、なぜか特別版のカレンダーつきが残っていてそれを買った。カレンダーはもう意味を成さないものだったけど、そこに作者の高橋しんさんの言葉で確か『読まなくなったらこの本を誰かに譲って欲しい』みたいなこと。それを子どもの僕は、持ってるだけの自分よりも読んでくれる誰かの手に渡った方がいいよな、って解釈したことだけはずっと心に残ってる。
 だから、大切な本や作品ほど手放す。後処理の手間は申し訳ないが、自分の大切が誰かの大切になってくれていたならそいつは嬉しいなと思うのだった。
 うん、古本屋っていいですねw

 2話は買い取りした本に入っていたお金を返しに行く話。
 ご主人が亡くなってその蔵書を売ったが婦人だったのだが、お茶に誘われてそこで店主は気づいてしまう。
 ご主人が好きだった、イチゴのコーヒーカップにコーヒー、花を飾り、奥さんに傍にいてもらう。それで店主はご主人の秘密に気づく。

 これはズルい。
 バラされたご主人は堪らないだろうが、残された奥さんからすると最高の送りもの。

 こんな感じで本と読書家の話。
 さすがに全部書くのは野暮ですが、好きなのは5話の着物ガールの話。着物を着て本を買った帰り道、知り合いに出会って着物の着方が正しくないと直されてしまう。彼女はあえて崩して着ているのに正しさを押しつけられて嫌な気分になる。そりゃそうだ、けれども現代で着物はなかなかレベルが高すぎる。

 ある日、病院ではさすがに着物を着ていなかったのだが、そこでひょんなことから着物を着た老婦人の八掛に骸骨があるのを見えてしまう。そこで自分も休日は着物を着ていることを話して写真を見せるが、以前に着方を注意されたこと思い出してしまう。やっべ。

 でも、婦人はクールだって褒めてくれて着物が自由であることを語る。好きは好きでいい。着物を来てマフラーにサングラスをしたってそんなの自由だ。僕らは着物に革ジャンが合うってことを知っていますが、あれだって式じゃなかったら似合わなかったかもしれない。これを着るんだってスタイルを自分のものにできることが大切なんだろう。……あれ、読書の話じゃなくなってらw

 ここら今回のお気に入り&僕がブックスタンドを買ったわけ。
 上の婦人の去り際の言葉です。そして、このスタンドは開いた状態をキープできる優れものなのであった。

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「たぶん アナタはアナタが思うより自由よ」


 格好よすぎんだろですが、本当にその通りなんですよ。
 そりゃあ病院にキンキラな着物を着てくるのはさすがに場違いですが、見えない裏地である八掛にドクロを仕込むくらいは全然問題ない。見えてないもん。
 僕は学生時代に「読書するヤツがはっきり物を言うな」と教師に言われましたが、うるせぇ知るかお前がなに言ってんのか分からねぇわである。体育教師にも「図書館行くようなヤツが試合で活躍すんな」って言われたな。趣味読書ゲーム映画に人権はないのか。

 ……あれぇ、こうして振り返ると僕が人嫌いなのは必然じゃないかw






本なら売るほど 1 (HARTA COMIX) - 児島 青
本なら売るほど 1 (HARTA COMIX)
児島 青

2025/1/15
posted by SuZuhara at 22:23| Comment(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする