2010年09月17日

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。



 ――夏の日の雪景色を覚えている。


 あらすじ
 片田舎のちょっと変わった町・十五夜町(いふごちょう)。
 そこに住む日輪(たちもりりん)は毎年夏に訪れる水難『水の抱擁』に悩まされていた。それは家の中でも変わらなかったが、外に出るよりはマシと今年の夏休みはひきこもって過ごすことを決めていた。だが、その夏休みが始まってすぐに幼馴染であり主従関係の主である穂積之宮いちこにお見合いを申し込まれる。
 十五夜町に伝わる伝統行事『お見合い』とは見えないものを探す行事であり、それに二人で臨むことになった『主犬従犬』のいちこと輪はお見合いの途中、『アネモイ』と名乗る少女と出会った。


 感想
 題名に惹かれて購入。
 いや、長いなあ、と。まあ、興味なんてそんなものでいいと思っている。

 輪の幼馴染であるいちこは穂積之宮神社の巫女であるが故に学校でもパジャマすら巫女服という猛者。だが、巫女と呼ばれることもよりも「神巫(いちこ)」と呼ばれることを望み、そのドSな性格から主な被害者でありたった一人の被害者である輪を悩ませる。
 まあ、あれだ。お察しの通り、というヤツ。

 『水の抱擁』についていちこにも言っていなかった輪は突如することになったお見合いで町中をまわることになるんだけど、そこで出会ったのがアネモイ。彼女の言葉は遠回しとか社交辞令が通じないストレートな言葉なため、上手く話しが噛みあわない。
 言葉責めが得意のいちこが真っ向から普通にやりこめられるシーンは良かった。だけど、これは最後まで読むと彼女が何一つ嘘をついていなかったことが解るのだが、ははっ、電波な女なんて思ってないよ!

 いちこの一途な想いとアネモイの不器用というか、真っ直ぐな行動はちょっと胸にくるものがありました。特にアネモイ。いや、正直いちこが霞んだね。子どもの言うことに真剣に頷いて聞くアネモイを想像し、「アネモイ」の名に拘っていた意味が解った時は、ちょっと泣いてしまった。
 うん、ヒロインであるはずのいちこがどうでも良くなるくらい。

 あと、十五夜町の雰囲気が好きです。
 輪の一人称で語られるからこその誘導と言葉遊びはやっぱり見抜けませんでしたが、読了後はすっきりとした気分を味合わせて頂きました。
 ……でも、途中に出てきたゴスロリ少女はちょっと無理。噛ませ犬すぎるだろ、いちこ強すぎるだろ。

 さて、今回はいちこと輪の関係が解るシーンを。
 輪の家に泊まったいちことアネモイ。ペットに餌を与えるのは飼い主の勤めといちこが朝食を作ってくれるのを待つ輪とアネモイの会話。


「まったく足を崩さないな」
「ん? 何が?」
「なるほど、よほどしっかり躾けられていると見える」
 何を納得しているんだろう。俺はいちこが「待て」と言うから、ただ正座して微塵も動かずに 待っているだけなのに。



 ここで、ちょっとだけ輪に親近感を覚えた自分が辛い。
 ほっ、本当にちょっとだけなんだからな!
 


ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫)

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫)

  • 作者: 朱門 優
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2008/05/20
  • メディア: 文庫



posted by SuZuhara at 15:20| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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