2011年03月28日

ゴールした花嫁



 えっ! 私が、フルマラソン!?


 約三日ほどパソコンに触れず、携帯メールにも返信を出来ずにいたら「ゲーム買っただろ」というメールが入っていた。
 おいおい、ちょっとアクションを行わなかったぐらいでなんだよそれは。何度も言っているが、私は3月はゲームを買わな……はい、買いました。だってセールだったんだぜ。買わないなんて選択肢はないだろうよ!
 しかし、この代償は来月に回ることになるようです。何されるんだろ、私は。


・花嫁の卒業論文
 先輩の卒業論文の研究のため、心中して亡くなったという作家の住んでいた温泉地の旅館に訪れた亜由美と聡子、そしてドン・ファン。
 その町は作家のことを隠したがり、旅館では作家の娘・紀子が働いていたのが女将は亜由美たちに会わせまいと無理矢理休暇を出してしまう。だが、そこは亜由美とドン・ファンが彼女を捕まえて、亜由美たちと作家の娘、そして先輩の彼氏の恋人、彼氏を先輩に取られる前に殺そうと思いついてきた女性を加えて作家と娘が住んでいた家へと向かうのだが、そこで白骨した遺体が見つかる。

 謀らずもまたも花嫁な花嫁シリーズの十弾。
 今回登場人物多くてあらすじが難しいな。

 簡単に説明すると、三勢力による物語がこの問題には関わってくる。
 ・卒論研究のために温泉地に訪れた亜由美たち一向。
 ・作家の娘を雇っている旅館とお得意様の白髪紳士。
 ・お嬢様の先輩の財力目当てに彼女を捨てた彼氏と奪われまいと殺人を計る女。

 ひょんなことから女たちはそろって作家と娘が元住んでいた家に行くのだが、そこで白骨発見。
 亜由美はその場に残り、殺す云々を抜きに仲良くなった先輩と女・江利は旅館に戻るが、そこには彼氏・沢木から依頼され女を殺そうと狙う男・山辺がいた。
 とまあ、登場人物の名前が区別できないほど人がいるのである。彼や彼女で誤魔化せないなんて……。

 遺体の発見を嗅ぎつけたマスコミが旅館に訪れる前に、女将が殺されてさらにマスコミがヒートアップ。
 そんな中、何者かに攫われる江利。これまたひょんなことから知り合ってしまった山辺も取り乱す中、その事件の裏にいたのは彼氏・沢木。だが、さらに女の子が消えるという旅館の背景にも関係する黒幕がいる。
 うむ、あと出てきてない人がそれ。

 今回は中々面白く、やっぱり亜由美が前面で活躍するのはいいなw
 探偵の必須条件である事件に巻き込まれる能力を持った彼女は自分がすることとするべきでないことを分かってるから。
 あと、先輩のキャラが意外に良かった。
 ただのお嬢様かと思いきや、江利のことも沢木のことも分かっていて事情を遠くから見て理解するタイプと言うか、上役にいてほしい人材。

 作家の死と紀子が悩まされている頭痛の真相は悲惨すぎて泣きたくなった。
 そして、そんなの関係ねぇ!とばかりにカップルになったとある二人に憎悪をw

 おいおい、好きだった男の最後をそういえばで片づけやがりまして、ハネムーンとはどういうことだおい。
 紀子は良い子なのに……どうしてここまで幸せ度に差がついたのか。


・ゴールした花嫁
 三十歳を迎えたマラソン選手・多田信子は新人・市原ミキにここのところ成績で負けて続けていることを気にしていると、恋人の中里コーチとミキがキスしているところを目撃してしまう。だが、ミキはその奔放な性格と良い成績のためか、シューズメーカーとの覚書を無視して好き勝手に振る舞い、それが許される立場に会った。
 長い付き合いのシューズメーカーの担当・英子の応援を得て、ミキも参加するフルマラソンに臨む信子だが、そのレースにはひょんなことから亜由美も参加することになっていて、人数合わせの飛び入り参加の素人・範子とともに走り出す。
 だが、レースの裏では英子が殺され事件が発生し、レースの先頭ではトップを走っていたミキが突然倒れる。そんな中で亜由美は範子にひっぱられフルマラソン感想を目指す。

 今回、亜由美は事件には一切関わらない。
 いや、さすがの彼女も走りながらでは事件に関われない。

 だけど、この事件は辛いな。
 正直、自業自得が招いた事件だけど、亜由美の何気ない一言で救われたところを見てしまうと特に。
 そして、亜由美が主人公であることを再確認した話でもあった。
 亜由美はただ一生懸命走っていただけなのにな、良いこと言うので今回のお気に入りはここで。

 おそらく花嫁シリーズの中では一番好きな作品ですした。
 でも、また最後にカップルが出来上がるという、何このリア充どもw
 犯人にも私にも失礼すぎるぞ、リア充めっ!
 
 では、今回のお気に入りに。へろへろに何ながらもゴールに向かい走る亜由美の隣を中里コーチが励ましながら走るシーンで、いつの間にか純粋に走ることができなくなっていたことを漏らすコーチに亜由美は今、損得走っているじゃないかと指摘するシーン。
 

「――ああ」
 と、中里が肯く。「選手たちにやかましいことは言うけど、自分でやってみることはほとんどない。それが楽しい、趣味としての走りなんて……何年ぶりかな」
「でも忘れてないですから」
「うん……」
「頑張って! 忘れないように」


 今回も塚川家で行こうと思っていましたが、中里のちょっと私と同類っぽい小心者的心境を考えてるとここにはやられた。亜由美をいい女だと思ってしまったぜ。
 ですが、この話では亜由美の応援として塚川家が活躍しているので、塚川家好きは必見ですよー。
 

ゴールした花嫁 (角川文庫) [文庫] / 赤川 次郎 (著); 角川書店 (刊)
ゴールした花嫁
赤川 次郎 (著)
posted by SuZuhara at 23:25| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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