「愛してる」それだけが伝えたい。
年末なのに一気に二人もやめる我が社はブラックなのか。
年末なのに、仕方ないからお前が三人分働けばいいんじゃね、という結論に至る我が社はブラックです。
そんな私の目下の悩みはFFXをPS3で買うかPSVで買うかと悩んでいること。vitaで手軽に出来るのもいいが、あの感動を再びと大画面でやりたい気がする。でもなー、TTT2が一度期間が空いたら止まっている上にまだ大神さんもクリアできてないので自殺行為かなー?
■あらすじ
30歳の編集者・真也。彼は手に触れた物から記憶を見ることができ、ある日同僚のカオルのハリウッド返ってくるという父に会うことに。父と会ったとき、真也には違う光景が見えた。
そんな着想から作られる有川浩が書く物語と演劇集団キャラメルボックスの舞台から着想を得た二編の物語。
■感想
有川さんの本に外れはないと絶対の信頼があるので手にとってみた本。今回はうーん、どうなんでしょうね。
ここのあらすじではざっとまとめましたが、本来ならば七行あるあらすじから有川さんと演劇の方が作った話なのかな? それを有川さんがノベライズというか着想を得て書いた物らしい。
この辺の事情はこの辺の事情はよう分からん。てか、私が物語にしか興味がないのでそういう事情的なものにはあまり興味がもてんのです。
さて、ざっくり本編に行きますか。
まず一作目は編集者・真也がハリウッドで人気作の脚本を書いてるHALが実は日本人で、その娘が同僚のカオルであるということからインタビュー記事を担当することになった。
だが、母と娘を捨てて単身アメリカに渡った父をカオルはよく思っておらず会っても素直に喜べない。編集部に戻ると、顔だしNGの父にアメリカで発売された初回特典の映像に映っているHALではないと疑いがかかる。
この話は鮮烈でしたな。
ここでのカオルの父が鮮烈な人であるってのもあるんだけど、真也は物語の進行役であり、主役はカオルたち家族。真也が編集者だからも物語に寄り添うだけ、と言うが本当に彼はその通りにいきてるんだなー、と。
父がHALではない疑惑はアメリカではよくあることらしい。ほら、英語拙いからそれっぽい代役を立てる的な。
だが、真也はそうではないと知っている。彼はHALであってHALではないと。そして二人っきりになった真也はカオルたち家族の話を知る。
カオルの父・白石晴男は天才的な才能のある脚本家で榊は彼を理解できる唯一の友人だった。その後、彼を理解する人は妻となるカオルの母の二人になり、晴男は脚本家として生きていく。
才能の塊のような人だったから家族を顧みることはなく、榊が記念日など全て行っていた。しかし、カオルに父と呼ばれてしまった榊は家族から離れることにする。
そして榊がアメリカに行っていると、晴男は日本でいろいろあってアメリカに来るという。妻がついていけないと離婚を切り出すが成功したら迎えに来るとアメリカに来てしまう。
それでも、と榊は記念日には晴男としてプレゼントを贈り続けた。
そして、仕事の区切りがついた時に晴男が初めて家族を顧みた。日本に帰ろうとした時に事故に会って亡くなった。
それから榊は彼が叶えようとしていた夢、映画を成功させて娘に一番の成功を持ちかえることを叶えるために晴男としてHALとして生きてきたのだった。
うーむ、実に有川さんらしい作品だなと思った。この展開は思いつかない。恋愛面仄かな感じだったのもよかったなー、と。真也の編集者だから前面にはでないって感じで。
さて、もう一方はこれまた毛色が違う。
カオルと付き合っていた真也はプロポーズすると実は死んだと言っていた父が生きていることを知らされる。そして会うことになった父・晴男はとんでもない見栄っ張りのホラ吹きだった。
寒々しい嘘を繰り返す晴男だが、真也は彼の想いを知ってしまっている。彼の事情を知っている。なんとかカオルと晴男に話をさせようとするのだが、もう……この辺めんどい。もう私が最低な人間だろうが、こういう細かい事情はダメなのだ。きっと自分で納得できなくても受け入れてしまうんだ。だって、面倒だから。この性格でどれだけの損をしたか分からないけど、駄目なんだよなー。
晴男は日本で認められないからとアメリカンドリームに手を出すが、人生は甘くなかった。上手くいかず、アメリカでの事故で失明する可能性が出来てしまった。
この目が光を失う前にと娘に会いにきたが、正直に行ってカオルに幻滅されるのが怖くて言えなかった。事実を大袈裟にして言ってしまう子供のような人だった。
親子ということに関してはこちらの方が強いですが、如何せん白石家の事情がめんどくさくて辛かった。ほら、前を読んで流れは知ってるから。
でも、会社の人間関係は素敵でしたなー。あんな上司が欲しい。
では、今回はこの辺でお気に入りへ。
二作目の上司がカオルを諭すシーンも好きですが、一作目の真也のカオルに対する想いが好きなのです。一生懸命に仕事にぶつかり、そして七転八倒で評価されていくカオルを真也は評価していた。なのに彼女はそれを「どうせ」などと言う。
どうせって言うなよ。
俺はお前の一所懸命なところをこんなに眩しいと思ってるのに、その枕詞にどうせってつけるなよ。
全くだ。こっちのカオルは要領よくなくったって好かれるタイプで、真也が憧れるように仕事での評価されるより個人的に好かれる方が尊いよ絶対。
その辺、真也はずっと気づいてほしかったんじゃないかなー。
ヒア・カムズ・ザ・サン
有川 浩
新潮社 (2013/9/28)
ラベル:有川浩
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