幽霊だけが知っている1億円の行方
雪ですね。もうびっくりするくらいの雪なのでいろいろ予定が狂ってしまった。映画行きたかったんだけどなー。こういう寒い日は大人しく家にいようと思います。
なので、ここに特に書くことがない。試験も終わったから切羽詰まってないけれども、試験ラッシュだったせいでどうも調子が狂ってしまって今まで休日ってどう過ごしていたか分からなくて途方に暮れていたりする。
うーむ、なげっぱなしのゲームでもするかな。
・花嫁は名剣士
バイト先で時限爆弾に遭遇した塚川亜由美はなんとか怪我人一人出すことなく、その場にいた会社役員たちを救出する。しかし、その助けたはずの人々から爆弾を持って来た人をある特定の人物であったと証言してほしいと言われて雲行きが怪しくなってくる。その人は内部告発をした人物らしく、この一件から亜由美はある会社のごたごたに巻き込まれることになる。
自分で書いておいてなんだが、バイト先に時限爆弾とかさすが亜由美さん次元が違うw
物語としての始まりは、ある内部告発をした人が襲われるところから。お前に恨みはねぇが、と雇われ感たっぷりの男たちに囲まれるのだが、そこに現れるのは剣士。そう、剣士。
まさか現代に剣士とは。赤川さんの作品とは言え、この存在には驚いたな。だが、ここで剣士は一度退場で亜由美へ。
あらすじで書いたように、爆弾事件から亜由美はM重工という会社と関わることになる。あまりに変な様子だったため、亜由美は内部告発をした笹田氏と会い、あらましを伝えるのだが、この会社は根っこから腐っていた。
まず、笹田氏も襲われることになる。ここでも剣士の出現で難を逃れるが、この策が失敗したことで男たちを手配した河辺氏は死に追い込まれる。
笹田氏は笹田氏で、妻が浮気していることをバラされないために河辺氏の後をやらされている。そもそもその浮気も仕組まれたモノだったりするから性質が悪い。
あとなー、内部告発の原因がこの会社が武器を作っていたということだったりする。亜由美が遭遇した爆弾はパフォーマンス用に仕組んだものだったけど、もっと殺傷能力を高めたものを作ってたりするんだ。もうここにいちゃまずいよ。ブラックどころじゃないもん、ここ。
社長の次なる標的はなにかと目障りは亜由美へ。
最低なところには最低が集まるのか、笹田氏の妻の浮気相手、この男も酷い。こやつ、笹田氏の妻と学生時代の先輩後輩ということで手ごめにすればポストを与えるといった感じで食いついていた奴。現在の会社に居場所はなく、社長に次は亜由美を犯すか殺せと言われて戸惑うが、、日頃の行いから妻も息子も出ていってしまった家を見て亜由美を殺すことを決意してしまう。
勿論、亜由美にはドン・ファンがいるので簡単にはいかない。そして今回は強力な助っ人がいる。
それは、浜本ゆかり。M重工社長秘書の彼女は細見のステッキを持っていて、そこに仕込まれた剣で撃退するのだった。
うん、突っ込みどころだが最後まで行こう。最後までいったら突っ込もう。
最後はみんなで社長室に乗り込む。
ゆかりが仕組んでいた録音で社長が亜由美を殺せと言っていた証拠を掴んでいた。ゆかりは汚職の罪を被って死んだ婚約者がおり、その復讐のために乗り込み、剣を持っていたという。うん、まだだ。もうちょい行こう。河辺氏も死んでいなくてその証言から社長は御用に。
それを終えて、ゆかりは殿永警部にステッキを差し出し、人を傷つけた罪を償うと言う。そんな彼女に殿永警部の答えは――
「これで切ったというより、相手の方が勝手にこのステッキにぶつかって来たとも考えられます」
それは無理! その解釈は絶対に無理!!
吹いたわw 百歩譲ってそうであったとしても、確か銃刀法違反って簡単に取り出せる状態で保持しているってのがいかんのだったではなからうか。引き抜ける時点でアウトだ。いくら勧善懲悪でもおとがめなしという展開には笑うしかない。会社関連が面白かっただけに、ちょっと残念でした。
・花嫁は墓地に住む
亜由美が親友の聡子と温泉に訪れると、そこには聡子の親戚である朱美がいた。彼女は不倫相手の男とそこで落ち合う予定だったのだが、男の妻と朱美の母が一緒に宿に現れてしまう。他にも生徒と関係を持ち自殺に追い込んだとされる教師や飛び込みでやって来た男が以前に仲居頭を犯した相手だったり、そして亜由美たちの方も父と母、殿永まで一つの宿に集まってしまう。
そんな中で朱美が以前に深夜の墓場でデートした時に現れたという花嫁の幽霊の話をし始める。
これはスゴイハナシダッタナー。
ひとつひとつは面白く、どう繋がっていくのか楽しみだったのですが、どうして大団円になってしまうのか。バッドエンドスキー症候群が発動しているのかもしれん。
だいたいはあらすじに書いた通り。
一つの宿に集まった人々は朱美の墓場デートの話である行動に出る。それは話を聞いた殿永がそれは幽霊ではなく、墓場に近寄せたくなかった誰かがやったのではないかと言い出したことから。
宿に泊まっていた教師・正倉は急にやってきた生徒に薬を飲まされ、その後服を脱がされた後に生徒が自殺したという過去を持つ。だが、言い分は信じてもらえず教師をやめることになり、その退職金でここに来ていたのだが、宿で出会った以前の教え子の母に正倉が学校のお金、1億円を父母会の準備金を使いこんでいたと言われていることを知らされる。つまりあれだ、ハメられたのである。
その話があれよこれよと宿中に伝わり、殿永が幽霊が一億円を墓地に隠していると言ったせいでみんなが墓地に向かってしまうのだった。
だが、亜由美も感じたようにこれはおかしい。剣士ではああだったが殿永がこんな初歩的なミスを犯すはずがない。
墓地には一億円などなかった。あったのは使い込んだ帳簿。バーを経営していた朱美の母がここに隠すことを進言して学校のお偉方を揺すろうとしたらしいが、肝心の店が亡くなってしまったために警察に協力。そして、朱美が見た花嫁とは母の事だったらしい。
不倫に関しては奥さんの方が寛容で、若いんだからあんな男といちゃいけないと許してくれる。
最後、仲居頭・唯と因縁の男・林田に関しては、再会してお互いに気づいた時に林田が忘れられなかったと言っていたのだが、ここで一億円を手に入れて二人――お腹の子を含めて三人で暮らしたかったらしい。殿永が証拠不十分で捕まえられなかったがいずれ捕まえると言っても、林田はこの温泉宿に落ち着くと言う。何日かでも夫婦の真似ごとをしたいのだと……。
という終わりでした。
みんながまとまってしまって、おう何の波乱もないとがっかりする私は異常なんだろうな。
むぅ、今回は二つとも綺麗にまとまってましたね。あんまりドン・ファンの出番がなくて物足りない感じでしたが。
では、今回のお気に入りに。
もう今回は上の殿永さんの言葉でいいかと思ったが、あの言葉がお気に入りというのもどうかと思うので、「花嫁は名剣士」から爆弾が送られて来た場所から男をおぶって逃げると進言した時の亜由美の言葉を。
「君……。無理だよ。男は重い」
「火事場の馬鹿力って言うでしょ!」
と、亜由美は言い返した。「少なくとも、『馬鹿』だけは自信があります」
あの場面でもユーモアを発揮できるのが亜由美なんですよね。それに亜由美のユーモアはあの両親譲りだから。
しかし、今回は亜由美も両親もあまり見せ場がなかったのが残念だったな。亜由美のお母さん好きなんですよ。ちゃんとする時はちゃんとするが、ほとんど緩んでいるあの人が。
花嫁は墓地に住む
赤川 次郎
実業之日本社 (2013/12/12)
ラベル:花嫁シリーズ