2014年07月05日

ケモノガリ 8



 楼樹を待ち受ける、運命の道を違えた自分(アストライア)との死闘の結末は――。


 防衛班の帰還クリアしました。うん、一週間くらい前に。
 久々にGEをやったせいなのか、隊長の後ろ姿が頼もしすぎた。シュンと二人で四匹倒すミッションで、サクッと三匹倒してシュンを助けに行くとか男前すぎるw てか、シュンはもうちょっと頑張れよww
 冗談抜きに言えば、ジーナさんがよかったな。あの人ってイマイチ分からんかったんだが、今回めっちゃ好きになった。ま、私の中ではタツミさんの最後の帰るコールが全部持っていたったんだがな!


■あらすじ
 ついにアストライアの元まで辿り着いた楼樹は、自らの全てを犠牲にして決着をつけることに。
 クラブ本部へ乗り込んでいたCIA陣は次々と仲間が倒れていく中でCIAの老兵たちの無謀な特攻もあってバレルガニア義勇軍と増援を得て教皇・ヴァレリオとともにあやなはクラブの創設者“虚無(ホロウ)”と対面する。


■感想
 ついにケモノガリ最終巻。
 思えば遠くに来たもんだ、と感慨深くなるけれど、それよりも自分が最後まで一つの作品に向き合えたことが驚きだ。最後まで読んだラノベって黒ポリとゾアハンターだけでなかったか……。
 ふむ、作者さんが好きだと読めるんだねー。語り口が好きなんだ。

 さて、あらすじだが今回は手を抜いているのではない。
 そんなところで語るのがもったいないから書かなかったのである。では、話そうか語ろうか最後の物語だ。

 イヌガミを失い、“悲哀(グリーフ)”サイクロプス・ジャックを倒した楼樹はついにアストライアの元に辿り着く。
 そこにはアストライアと一人のナースと“虚無”……。
 虚無はナースに介護され、なんとか生きているという状況だった。アストライアに彼はここから逃げられないから僕を殺してから殺せばいいと言われたこともあったが、楼樹はアストライアに連れられて決戦の舞台へ。

 一方、CIAの方は中々熱い展開。
 チトラカが走って囮となり、もうウェイターとボールパルバニーの二人が囮を狙うヘリをRPGで狙撃する。そんな作戦を見透かしたようにヘリは本命を狙う。
 ボールパルバニーは思わずRPGを打ってしまうんだけど、ウェイターは逃げようとしたのかRPGを放り投げる。
 だが、彼は逃げようとしたのではない。放り投げたのは可能性を繋げるため。

 前回で死んだと思われていた悪運の強い男・パッドはもう己は助からないと判断したナヴァロンにより思いっきり突き飛ばされて、なんとか生きていた。
 そして彼はウェイターからのRPGを受け取ってヘリを撃墜する。くそぅ、なんだよCIA陣熱すぎる!

 だが、それで終わりではない。残る三人とも満身創痍、武器もないというのにも関わらず、クラブ側はぞくぞく湧いてきて死を待つばかりの持久戦を強いられることに。

 シャーリーとシャカールは“謙虚(モスディ)”クレアを追跡していた。そこでシャーリーの「子育てしたい」発言にシャカールは娯楽提供者相手に相打ちとなる。
 どちらかが犠牲にならねばならない。けれども、これから母になろうという女を犠牲になど考慮すらしないというジェントルメンを踏み越えて、戦いはシャーリーとクレアの一騎打ちへ。

 舞台はクレアのホーム。その展示室には加害者と被害者のモノ、娯楽提供者たちの武器が飾られた部屋でクレアが圧倒的に有利だった。
 だが、シャーリーとて楼樹と駆けた一年がある。楼樹が倒したあの何かと名前が上がる娯楽提供者の武器を使い、クレアに勝利する。
 クレアは死ぬ間際にある機能を作動させていて、残り一時間以内に残る二人――アストライアと虚無を殺さなければ核保有国に無差別に生物兵器発射するよというもの。バイオハザードだよ。

 シャーリーは対空ミサイルを無効化したところで閉じ込められてしまっているのでここで一端フェードアウト。
 ここらで同時に対空ミサイルがあっても突っ込んで行ったCIA老兵ジャック・ベイカーによるミサイル狙撃があり、義勇軍の援軍、グレタが戦場に想うことなど、最後なんだなぁという展開がありますが、グレタのシーンが好きかな。

 もうこの手を血に染めることはない。これが最後だ。
 それを少しさびしいと思うのは、大好きな人を近くに感じられなくなるからか――みたいな。
 やべぇ、大統領が乙女だww

 ちょいと順序はバラバラになっているが、楼樹とアストライアの戦い。アストライアも楼樹と同じでごく普通の少年だった。ただ目の前で友達がシリアルキラーに殺されただけ。次が自分の番になったから殺し返しただけ。
 楼樹とアストライアはどうしようもなく似ていて、それ故にお互いが許せず殺し合う。どっちが強いのか、それを求めて数々のものを捨てて戦い合う。

 そんな中、あやなは教皇・ヴァレリオとともに虚無に会っていた。
 虚無の正体はヴァレリオの父で、彼は狩られた者たちの生命を輝かせるためにクラブを開設したと言う。
 だが、彼の高説も他者が自身に抱く殺せないという感情もあやなには関係がなかった。楼樹が殺すだろうけど、間に合いそうにないからと生命維持装置のスイッチを切ってしまう。邪魔な石は退けるのである。
 虚無の死は一巻のミスターに似てるよね。ま、こっちの方が絶望だろうけど。知っているか、恋する乙女を敵に回しちゃいけないんだぜ。

 楼樹とアストライアのお互いの記憶を削ってケモノとなっていく戦いは壮絶の一言。右腕を取れば喉をやられ、鼻を折れば視界を封じられる。
 どんどんケモノへと向かい、お互いの優劣を決めるためにだけ戦い合う二人の元にあやなは駆けつけて呼ぶ。楼樹の名を呼ぶ。

 楼樹にはそれがもう分からなかった。
 けれども、戦いから意識を逸らす分には気を引いた。
 そしてあやなを見た楼樹は執着していたアストライアの元を離れてあやなのもとへと向かう。

 勝者は楼樹だったんだけど、アストライアの存在はここまで読んで来た者として辛かったな。
 言ってしまえば、アストライアは楼樹なんだよ。
 ただ楼樹はケモノガリになったけれど、アストライアは自身がケモノになったということだけ。

 死の間際、アストライアは思い出す。
 友達――少女は死ぬ時に信じていた。彼は勝つ、と。彼の才能を知っていた少女は彼が正義を成すと信じていたのだ。
 なにもかも失った。でも、思いだせた。彼女のなによりも大切で――その名前は「アストライア」というのだ、と。
 彼と楼樹の違いは、才能が目覚めた時に大切な人がいるかどうかだったんじゃないかな。楼樹だってきっとあやながいなかったらケモノになる道を選んでいたと思う。
 だから、きっとほんの少し運が悪かっただけ。そんな些細なことが彼と楼樹の分けたんだと思う。

 クラブとの戦い聖父たちが死に、残るスタッフは自害するという形で決着するが、死にかけの楼樹は燃え尽きていて死者のように眠り続けるという三ヵ月が過ぎた。
 楼樹は日本に戻っていてあやなに世話をされながらなんとか生きていた。楼樹の見舞いに来た妊婦シャーリーの相手とか子どもの名前とか突っ込みたいところいっぱいですけど、早いとこエヴォリミットも移植してくれ! 気になってしゃーないじゃないですかっ! あの、どう見ても悪役ポジションの息子がどんな人間なのか知りたいんだよ!

 話はまだまだ終わらず、島でアストライアと虚無と一緒にいたナース、娯楽提供者ナイチンゲール・リッパーが楼樹を殺しにやって来たのだ。愛しいアストライア、あなたを殺した男を許さないってヤツですが、勿論アストライアとそういう関係というわけじゃないです。向こうの一方的な愛です。
 ここであやなは楼樹を助けるために動くが娯楽提供者相手には歯が立たない。そんな様子を知り、楼樹は自分の中の赤神楼樹(ケモノガリ)と対話する。
 あやなを助けるためにケモノガリが必要だ。しかし、彼女が求めているのは僕じゃないんだ。

 才能を捨ててただの楼樹となった彼はナイチンゲール・リッパーを殺すことを決断して――こんなとことですかね。さすがに最後までは書かないであるよ。
 ちょっと休日でもないのに感想を書くのは無謀だったのか、文章がガタガタな上に支離滅裂で申し訳ない。

 ケモノガリをここまで読んできて。
 いやー、面白かった。赤神楼樹というなんの才能もない人間だった彼が、殺人という才能を目覚めさせられて人を狩るケモノたちを狩るケモノガリとなる。
 一巻冒頭、才能を目覚めさせるシーンでちょっと読み返したのだが、楼樹は才能であるのちのケモノガリと会話してるんだよね。僕を起こせ、彼女がどうなってもいいのか?って。

 そんなケモノガリとの会話が最後にもあって、楼樹とケモノガリは一貫として大切なモノが一緒で、ケモノガリが最後ある決断をするんだけどこれを読んだ時、きっとクラブのことがなければケモノガリは楼樹が目覚めることなく才能を埋没をそれで幸せだったんだろうな、なんてちょっと思った。
 楼樹はケモノガリとなってたくさんの人を救い、たくさんの人を殺した。そんな中で一番印象的なのはやはり一巻の、あやな以外が返事をするのが怖かったという、あやなならば受け入れてくれるだろうという信頼と楼樹への揺るぎない信頼を持つあやな。

 この女が怖い、と確か何度か書いたが、やはり怖い女でしたな。怖いと表現するのが正しいのか、今ではちょっと悩んでいるけれども、あやなもどこかタガの外れた人間だった。比翼の鳥とシャーリーは二人を例えたけれど、なんかあやなの方は楼樹と一緒にいるために自分で翼をもいだような印象があるんだよね。なんでだろ?
 最後に楼樹を助けるために戦うところも、これまでの非日常へのなれではなく虚無を楼樹のために殺したように楼樹を狙うから対処したという感覚があるからかな? さすがに娯楽提供者相手には通じなかったけれど、この二人はそっとしておいた方がみんなのためではなかろうか。

 このまま思い返してイヌガミやら好きな娯楽提供者について語りたい気もしますが、やたらと長くなったのでここらで終わりにします。機会があれば全巻読み返してまた感想を書きたいところですが、重複するだけなのできっと書かないでしょう。
 これにてケモノガリ閉幕。

 では、最後に今回のお気に入り。
 今回はやはりあやなと虚無のシーンかな。自分を殺すことで人の心に傷をつけること、それが虚無の武器だった。こんな死を超越して神にささげたような人間を殺す、それがどれだけのトラウマになるのか。だが、例外は存在する。きっと殺せるのは楼樹やシャーリー、そしてあやなだった。


 ケモノたちに智と信仰を剥ぎ取られ、輝く者たちがいる――それらは時に善人であり、悪人であり、小悪党であり、非凡な者と凡人たちだった。
 ケモノたちに牙を向ける怪物がいる――それは赤神楼樹。ケモノを狩るためにケモノガリとなった者だ。
 ケモノたちを、ただの人間として扱う者がいる――それが貴島あやな。彼女は、過たず人間にとっての究極の闇だ。
 恋心。
 そんな、時に人々が忘れ去ってしまいそうな……そして誰もが持つ普遍の感情で、あっさりと光を駆逐した。


 最終巻の表紙はこんなにもらーぶらーぶしているのに……。
 愛に満たない恋心で行動するあやな。これで楼樹を愛しているからと行動するのであれば怖いと感じなかったんだけれども、愛かどうかは分からない。ただ好きだとは思うぐらいの感覚。
 平凡な少年と平凡な少女だった二人。クラブの敗因はとんでもない二人を起こしてしまったせいだろうな。






ケモノガリ 8
東出 祐一郎
小学館 (2014/6/18)
posted by SuZuhara at 03:10| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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