2015年05月31日

いたいのいたいの、とんでゆけ



「あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」


 ここ最近はある人の代わりとして土日が忙しかったりするのだが、やはり引きこもりはどう頑張っても引きこもりであって日中動き回るとか性に合わないな。
 この一年はこのままでしょうから去年までできていたことなどてんでできなくなってしまっていますが、今年の私は部屋からして去年とは違いすぎるからなー。
 ちなみに、まだタンスは壊れたままである。もういっそ解体して作り直せばよかろうとか考えていたりするw


■あらすじ
 湯上瑞穂は自ら経ってしまった文通相手・日隅霧子に会いたいと願って出した手紙の待ち合わせ場所に彼女は来なかった。
 親友の自殺などいろいろあって自暴自棄になっていた瑞穂は飲酒運転の末に一人の少女を轢いてしまう。
 しかし、“先送り”する力を持った少女は自分の死を先送りすることによって十日間の猶予を得たことから自分の人生を台無しにした連中へ復讐することにして、瑞穂は贖罪にそれを手伝うことにするが復讐をする少女に恋をしている自分に気づく。


■感想
 本屋に行く機会がないため、行った時には何かしら買うのですが、帯買いした作品です。ネット小説で活躍されていた作者さんのようですが、私は読んでいません。
 うん、このブログでたくさん文章書いといてなんだけど、画面上で文章読むのって苦手だったりするんだ。どれだけの量かいまいち測れない。だからめっちゃ書いてしまうんだろうけれど。

 初めに言ってしまうと、正直に言って私はこの本を受け入れられていない。
 初めは特殊な設定だなと思い読み進めていたが、徐々に言葉は悪いけれど嫌悪感が高まってしまった。ていうかだな、去年の自分を思い出して悔しさで泣いてしまった。俺になんてことを思い出させやがるって怒りが買ってしまったんだ。
 変なことは書かないけれども、感想が端的になってしまったら申し訳ない。

 十二歳、小学校卒業目前に転校することになった瑞穂は天候の日に今まで特に仲良くもなかった日隅霧子と文通をすることになった。
 文通相手として選ばれただけだろうと特に思い入れもなく始まった文通だったが、二人の価値観が似ていることもあり瑞穂にとって唯一無二のものとなっていく。 
 しかし、あまりに冴えない瑞穂の日常をそのまま伝えることはできずに嘘を書き続けて送っていたことから「会いたい」という霧子の要望に応えられずに文通をやめてしまう。

 大学生になって親友の自殺をきっかけに霧子に再び会うことにした瑞穂だが、突然の呼び出しにやってくるはずもなくヤケ酒を飲んで運転して少女を轢いてしまう。
 だが、少女は先送りの力で死んだことを先送りにしていた。

 先送り。少女は嫌なことを先送りにすることのできる力を持つ。
 それはあくまで先送りであって、なかったことにするわけではない。だから十日後には死が訪れる。
 この特殊な設定について私はいまいち把握していない。初めは分かっていたんだが、読んでいるうちに分からなくなって思考蜂起した。なんでも少女の精神状態とか追い詰められ度が関わってくるんだが、先送りによって死が確定している少女がこの先何を――殺人を犯したとしても、先送りが終わればなかったことになるからオッケー。おそらくこの考えが私には合わないんだろうな。

 贖罪のために殺人までの脚になる瑞穂はその過程で少女のことを知ることになる。義父とその娘である義姉が最低で学校ではいじめられていて身体には無数の傷、そして子どもの頃のいじめにとって最悪の恥を塗りつけられたこと。
 瑞穂の方も昔は優秀なピッチャーだったけど期待から逃げたり、写真好きな同級生と二人っきりの撮影会でその後彼氏がいることを知ったりと過去の傷をどんどん明かしてくれるが、それが私は嫌悪感しか抱けなかったんだ。残念ながら。

 僕にはそれは不幸自慢としか受け取れなかった。
 君はどん底なのかもしれない。どん底なんて人それぞれだから分かれないよ。けどな、少なくとも私が思うにそのどん底は口にできる程度なんだな、と。
 だめだった。どうしてもだめだった。少女は先送りという力でやってこられたのかもしれない。瑞穂にいたっては親友と隣人の存在で恵まれているとすら思う。

 なんでこんなにも私は怒っているのだろうとずっと考えていたのが辛かったなー。おかげで去年の今頃を思い出しちまったじゃねぇか。
 答えはまだ出て来ないけれども、どうやっても好きにはなれそうにない。

 初めに義父を殺したらしい少女は義姉や同級生たちを殺していきますが、これはグロ注意。私は少しでもグロシーンがあればこう書きますが、がっつりあるから本当に注意。
 しっかし、自分を殺しに来た女を逆に犯そうとする男には恐れ入ったな。エロスとタナトスは表裏一体ですか、そうですか。

 血まみれ姿をハロウィンの仮装と偽って街を闊歩したり、怪我の影響から瑞穂が寝込んでしまったあたりから瑞穂と少女の距離が近づきますが、瑞穂が好きなのは復讐をする彼女なので復讐をやめようとする彼女に発破をかけて予定より多くの復讐をする。

 そして、少女が霧子であることを知る。
 霧子の方も瑞穂が書き溜めていた霧子への手紙で気づいていたわけだが、霧子も瑞穂への手紙に幸せな嘘を書いて送っていた。
 だが、養父が手紙に気づいたことから文通を続けるのが難しくなり、「会いたい」と告げれば返事が来なくなった。

 気が狂いそうだったというのは印象的だった。
 しかし、自転車で轢かれたことから瑞穂に再会した霧子はその後、瑞穂は霧子のために養父を殺してしまう。
 現実から逃げるように遊園地に行った二人はジェットコースターに乗り、事故に合った。

 瑞穂くんを殺人犯にした事、瑞穂くんだったものになってしまったことを先送りした霧子は年が取れなくなり、高校生のままで、今に至るというわけだ。

 これは優しくない世界の不器用な恋の話だったのでしょう。
 私は苦手だったが、とても丁寧な物語だったと思う。縁があれば他の本も読んでみたいと思います。

 では、今回のお気に入りへ。
 ちょいと選ぶのが難しい。どこを選んでもなにか違う気がするので、今回は先送りする前の瑞穂が霧子に約束した言葉を。


「本当に何もかもが嫌になったら、そのときはいってくれ。僕が、君を殺してあげよう」


 この話を読んでもう私には悲恋的な話は読めないかもしれないと思った。
 もう一つ、このブログには感想は書かないつもりでいますが、追い詰められた人間の物語を読んでいますが、そっちは平気なのにどうしたんだろうか。






いたいのいたいの、とんでゆけ
三秋縋
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014/11/21)
posted by SuZuhara at 22:05| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする