2015年06月07日

王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記



「……正統の国王(シャーオ)に忠誠を」


 うー、死んでいました。
 ひっさびさに熱出して、普段の私であれば風邪を引いてもインフルさんでもパソコンをいじる元気はあるのですが、あまりの頭の痛さにずっと寝込んでいました。今日は気分がいいので明日からまた社畜として働けってことですかねこんちくしょうっ!
 大分感想が溜まってしまっていますが、体調を見ながらえっちゃら更新再開していきます。


■あらすじ
 不敗の国王・アンドラゴラス王のパルス王国は宗教国家ルシタニアの侵攻に際に、万騎長(マズルバーン)カーラーンの裏切りにより敗北する。
 初陣だった王太子・アルスラーンは万騎長・ダリューンに助けられてなんとか脱出した後、ダリューンの友人・ナルサスらを仲間として王都エクバターナの奪還を目指す。
 一方。カーラーンとともにルシタニアにつくパルス人である銀仮面の男はアンドラゴラスの兄にして前王・オスロエス5世の子、ヒルメスであり、ルシタニアに蹂躙されたパルスを救うことで真の王として名乗りをあげようとしていた。


■感想
 アニメ絶賛放映中のアルスラーンです。
 私が唯一今期で追っているアニメですが、進むのがどうにも遅いんで手っ取り早く原作を読んでしまおうと手を出した本。
 うん、失敗した。この本は二冊分の内容が収録されているのだが、一向に王国奪還しねぇやw
 ちょっと長期戦かもしれん。そこまで読めるかは分かりませんが、ちまちま読んでいきます。

 始まりは初陣から、ダリューンが怒られて万騎長を外されて、叔父のヴァフリーズから「アルスラーン個人に忠誠を誓え」と約束されるところから。
 アニメ見ていたからこのシーンは想像しやすかったですが、アルスラーンがここで王に不快感を抱いていたとか、アニメと違ってこっちのアルスラーンは大人な雰囲気があるな。

 カーラーンがルシタニアと通じていたことから戦力は一気に不利となり、撤退命令も届かず崩壊していくパルス軍。
 初陣のアルスラーンはなんとか生き残っていたところをダリューンに助けられて逃げ出して、隠居しているナルサスの元へと向かう。
 ナルサスは以前に三国の軍を口先一つで追い返した男だったが、王に嫌われて追い出された身、現在は芸術を愛する男として生きていたのだが、アルスラーンに宮廷画家の地位を約束されて仲間になる。
 ……なんかこう書くと、自分の中でドラクエの仲間になる音楽が流れるのはもうどうしようもないんだろうなw

 こうしてナルサスと待童(レータク)のエラム、対カーラーン戦で女神官(カーヒーナ)ファランギース、自称旅の楽士・ギーヴが仲間になっていくのだが、全部書くと長いので割愛。

 なんでもこの物語は簡単に言えばアルスラーン陣営、ヒルメス陣営、ルシタニア陣営の三つに分けられる。
 王都奪還を目指すアルスラーンに復讐と正統な王としての威厳に燃えるヒルメス、タハミーネと結婚したい王、異教徒抹殺したい神官、上記二つを排除したい王弟殿下・ギスカールと気持ちバラバラなルシタニア軍。
 ヒルメスとギスカールが繋がっていて、なかなか面白いのですが、ルシタニアのやり方ではどんな富も一瞬で枯れる。
 いろいろあって王たちと神官は仲たがいするんですが、その時に水関係に攻撃して畑を全損させるとか人でなしすぎるだろ!

 アルスラーン一行はその後、政治の道具として使われそうになったり、三組別れた際にナルサスが嫁を連れていたりといろいろあるが、なんとかペシャワールに、双刀将軍(ターヒール)キシュワードの元に辿り着く。
 ここで告死天使(アズライール)が駆けつけてくれるシーンは格好いいですな。ダリューンも敵を仕留めてアズライールの手柄にするというのは男気を感じるぜ。

 他にもカーラーンの息子がヒルメスについてダリューンと戦ったりといろいろあるけれども、それよりも気になるのはアルスラーンの出生ですな。

 現在、キシュワードはアルスラーン側についていてくれますが、最年長万騎長のバフマンはヒルメスとの邂逅にアルスラーンたちの前で「正統な血」とか口走ってしまう。
 捕まった国の守護をしていた万騎長サームもヒルメスのことを知り、彼に忠誠を誓ってしまったし、パルス人の間でも誰に着くか一悶着がありそうだ。
 それでアンドラゴラスは生きているし、タハミーネが結婚の条件として「アンドラゴラスの首」を要求しているというのもなにかがありそうだ。

 うーむ、結局なにか分かるどころか謎が深まったな。
 隣国も攻めてきているし、思ったよりも壮大すぎてアニメはちゃんと終わるんですかね。他にも蛇王とか出てきますけど、もうどうなるんだろうと想像するのも難しいや。
 次はもう買ってあるんで近いうちに読みます。

 では、今回のお気に入りへ。
 ナルサスが何度目かのヒルメスとの出会いで部下になれと誘われるシーンですが、ナルサスはヒルメスの命令口調が気に入らないとヒルメスが仮面で顔を隠している本当の理由について触れる。
 それに怒ったヒルメスが正統な国王と血筋を掲げてくるのですが、それについて確信は持っておらずともうすうす気づいていたナルサスは堂々と反論する。


「正統だの異端だの、どうでもよろしい」
 ナルサスはやりかえした。半分は、売りことばに買いことばというべきであろう。アルフリードがおどろくほど、語気が強くなった。
「たとえパルス王家の血をひかぬ者であっても、善政をおこなって民の指示をうければ、りっぱな国王だ。それ以外にも何の資格が必要とおっしゃるのか」


 アルフリードとはゾッド族の娘でひょんなことからナルサスの妻を自称する女の子のことだが、こんな啖呵切られたら惚れてしまうんじゃないですかね。
 僕はまぁ、ここまで言うんだからナルサスがアルスラーンが何者であっても善き王としてくれることへの期待を込めてここを選んだのですが。






王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記
田中 芳樹(著),丹野 忍 (イラスト)
光文社 (2003/2/21)
posted by SuZuhara at 12:58| 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする