「あれは国王(シャーオ)だ。アンドラゴラス陛下のおなりだぞ……!」
ちょいと一年前の約束を果たしに遠くに行ってきました。
しかし、向こうは私が覚えているどころか約束をしたという感覚ではなかったようで、信じられない様な顔をした後に「じゃ、また来年」と約束させられていました。
参ったなー。約束なんて知らぬと破ってしまえばいいのでしょうが、それは嫌だ。縁をブチブチ切って来た僕としては繋ぐ努力だけは怠ってはいけないと骨身に染みている。
■あらすじ
王都・エクバターナ奪還を目指していたアルスラーン一行だったが、北方の強国・トゥラーン軍強襲の一報を受けて引き返すことになる。
だが、その間に自ら捕虜の身を脱したアンドラゴラスがタハミーネとともにペシャワールに現れてアルスラーンは兵権を奪われ、単身で放り出されてしまう。
アルスラーンを追ってきたダリューンら腹心だけを連れて港町・ギランを拠点に活動を始める。
■感想
うし、アルスラーン5、6巻です。
今回は結構動いたのですが、正直登場キャラが多いのでちんぷんかんぷんにもなりつつあります。次を読む前にもうちょっと何度か読み返そう。
さて、ふらふらしていたクバートもついに合流してアルスラーン軍は強化されていきますが、トゥラーン軍強襲で引き返したのは痛かった。アンドラゴラスが戻ってきてしまったのだ。
アンドラゴラスはその王威でキシュワードたち、生粋の騎士たちを従えてアルスラーンを事実上の追放をした。
兵は集めるだけ集めているのに、兵を五万集めるまでは帰ってくるなというのだから。しかも、ダリューンとナルサスまで取り上げて、だ。
ファランギースやギーヴ、ジャスワントは個人でアルスラーンを追いますが、ダリューンたちはそうは行かない。むしろ、追わせて斬り捨てようとしていたのだった。
ま、それでも二人は行っちゃうんだけどね。アルスラーンの元に集まる最初の仲間たちは頼もしいことこの上ないですが、アニメのジャスワントを格好良すぎじゃありませぬか。あのビジュアルとか、すぐ仲間になるの分かっちゃうよ!
ここに来るまでに、ヒルメス伝説の剣を手に入れるの巻がありますが、これは裏で起こっている蛇王復活云々に関わるシーンなのですが、どうしようヒルメスの小物感が半端なくなっている。
結局剣は扱えなかったんですが、ギーヴが言うようにアルスラーンが手にする展開になっていくのかな。
ギランに向かってからのアルスラーンたちはRPGっぽくて面白い。アルフリードのゾット族との合流にギランの商人たちを助けて味方に引き入れ、シャガートとの決別。
アルスラーンらがギランを王太子府として拠点としていく中、ギスカールがついに無能な兄を閉じ込め、そしてエステルはルシタニアに疑問を抱き始める。
アンドラゴラスの方も奪還戦が近づいていましたが、アルスラーンに忠誠を誓っていたザラーヴァントは捕らえていたトゥラーン人・ジムザと共に逃げ出してアルスラーンを追う。
アンドラゴラスとルシタニアが戦いを始める中、アルスラーンとヒルメスもそこに向かっていて、と次が完璧にクライマックスな感じですな。
面白いんだが、人が多いと段々自分の名前を覚える力の無さに泣けてきてしまうね。次はまだ買っていないんで、読むときは最初から読み直してから読もうと思う。
では、今回のお気に入りへ。
今回はシャガートの一戦後、力を借りたゾット族は一緒に行動こそしませんでしたが、お礼に旗を作ってもらってこう言った。
「われらは王宮の番犬になるのはごめんこうむるが、アルスラーン殿下のおんためであれば、いつでも忠実な友として馳せ参じます。われらはけっして盟約をに背きませぬぞ」
やばい、こういう奴ら大好きだ!
旗を作ってもらったことが一番嬉しいとか、こう子どもの頃に好きだったものが忘れられない感じがいい。
アルフリードには悪いけど、ゾット族にはこのままでいてほしいのでナルサスとは結婚してほしくないなー。
征馬孤影・風塵乱舞 ―アルスラーン戦記(5)(6)
田中 芳樹
光文社 (2003/8/21)
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