「だからおまえは、こんな目に遭ってるんだ。後先考えて、ちゃんと計算できる奴は、<あのバス>に乗ることにはならない」
GEアニメ3話を見た。ウロボロスさんがせーのでダイブしてるところには笑ったw
機上での戦闘はうはうはしましたが、アリサがどんどん黒歴史を重ねていくので逆に恥ずかしくなる。くそっ、三角締めとかご褒美じゃないか! あと、待つんだアリサ。オオグルマはそこに置いていけ。新型神機の変形の仕方とかが分かって嬉しかったですが、捕食形態がまさかのホーミング機能付きでもう笑うしかないw ちょっと待て、その機能俺知らないぞ!
こんな言い方しているから分かりにくいかもしれないが、いろんな意味で楽しかったです3話。ただ、俺としては今期はオーバーロードの方が好きです。「お金あげます、お金」なシーンはちょっと異様な感動があったんだ。
■あらすじ
星野一彦は<あのバス>に連れて行かれる前に付き合っていた恋人五人に別れを告げることを希望すると、二百キロを超える金髪女性・繭美に監視されながら一人一人と別れを迎えることになる。
■感想
買うって言ってた伊坂さん本。
この本を選んだ理由は特になく、言ってしまえばタイトル買いでした。バイバイ、ブラックバード。僕はちょいとカラスと縁があるので惹かれたんじゃないかな。いや、基本的に喧嘩を売られるってだけなんだけど。
正直、あらすじも読まずに買ったから読み始めた時の物語の異様さには驚いた。
だってさまず五股だぜ? 番長以外は許せないが、星野のいい分もちょっと分かる。
どの子といるのも楽しかった。ずっと続けばいいと思っていた。私という人間は星野とは正反対でして、大切なのはたった一人でいいという感じなのですが、逆に多くの人を好きになれないんだよな。だから僕は未だに中学時代の友人を引きずっているんでしょうが。
だが、そんなことははっきり言って普通だ。
リア充には有り得る日々だ。問題はやらかしてしまった星野ちゃんの監視役、金髪ハーフの二百キロボディ繭美。
もうこいつがすごい人物でな、私の辞書に不可能はないとばかりに辞書の単語、常識とかデリカシーとかそういう類の言葉をわざわざ塗り潰した女である。
そんな彼女と結婚すると嘘をついて星野は彼女たちに別れを告げに行く。
その理由は母親が帰って来なかった寂しさがトラウマになっているからなんだけど、刹那的な愛情を求めるのもその辺が原因なんかな。
ざっと箇条書きにすると、
・いちご狩りであったあかりとはジャンボラーメンに挑戦。
・シングルマザーりさ子とは当て逃げ犯を追跡カーチェイス。
・キャッツアイユミとは泥棒現場に乗り込んで。
・計算好きな那美子とは病院で替え玉作戦。
・芸能人睦子とはエキストラで参戦。
ざっくり言うとこんな感じで繭美と二人で星野は恋人関係を清算していく。
一番好きだったのは芸能人彼女かな。
パンになりたい、その一言があったから今の自分はいる。だけど、その一言をくれた人がこんな近くにいたなんて。
マネージャーが泣いた気持ちが胸に痛いよ。自分をこの人に合わせてくれたのが、ずっと嫌っていた男の少年時代だって知った時、どれだけ感謝すると思うか。
きっと、なにもかよ許して笑っちゃいたくなるよな。
荒唐無稽な珍道中でしたが、終わりはやってくる。
やりたい放題だった繭美だが、この数週間で場でも湧いたのか星野に味方するようなことを言い出すんだ。
だって、お前は計算ができない。きっとわたしが攫われても助けようとする。
その言葉の通り、繭美が何者かに攫われた時、星野は追いかけた。逃げれば自由になれるかもしれないにも関わらず。
そして、自力で逃げ出してきた繭美は言うんだ。
元彼女たちを使って自分に価値があることをアピールしろ、と。
繭美の上司たちは星野の希望を「面白そうだから」の一言で受け入れた。ならば、個性的な彼女たちを使って自分の有用性をアピールしろ、と。
だが、星野は首を横に振った。
代わりにバスに乗る前に君が助けてくれよと言う。辞書に人助けとか助けるという言葉があったらでいいから。
あのバスに乗って行ってしまった星野を見送り、繭美がやった行動は辞書を開くことだった。だが、辞書はほとんど塗りつぶされていて、次に大学生から辞書を奪って捲るがドイツ語だった。
ああ、もうここがすごくいいよな。辞書を誰かから奪ってでも救いたいと思ってるんじゃないかお前。
最後まであのバスがなんなのかは明かされず、繭美が星野を追ったのかも分かりませんが、この引きは実に伊坂さんらしいなと。
最後のインタビューを読めばバスが意味するところとか分かるけれども、そんな全部分んなくていいんだよ。なんとなくでさ。そういう曖昧さが僕は好きだ。
いやー、思った以上に面白かったですブラックバード。ブラックバードがなんなのかはよく分かっていませんが、それは次に読むときにでも考えます。ジャズで曲があるみたいだけど、その辺は門外漢なのでここでは割愛。
この本は郵便小説だったらしいんだけど、その形態では読んだことないので縁があったらリアスタイムで読んでみたいもんだ。
では、ここらで今回のお気に入りへ。
最後の別れを前にして繭美が攫われた時の話。
一人戦って助かった繭美は必死に追いかけてきた星野に言うんだ。
「でもよ」繭美はむすりとして、言った。「やっぱり、助けに来たじゃねぇか、星野ちゃんは」
「ああ」返事に困る。「確かに」と小声で呟いた。
二人は決して仲がいいわけではない。パワフルすぎる繭美に星野が終始振り回されていたが、本当に振り回されているのは繭美なんだよな。
あんなに強固な自分の世界を持っている人間にここまで影響できるなんて、すごい奴だぜ星野ちゃんは。
バイバイ、ブラックバード
伊坂 幸太郎
双葉社 (2013/3/14)
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