純粋で、不器用で、とてつもなく奇妙な彼ら。
エレベーターが嫌いだったりする。あの重力に逆らう感じと音が嫌いなのだが、それ以上に他人と狭いところにいるのが嫌なんでしょう。
なにが言いたいかというと、ここで話すことがないんだよ! 最近の近況としては映画をよく観に行ってますね。しんちゃん、スノーホワイトにも行ったよ。でもやっぱり今のところの一番はキャップですね。今年は夏映画が期待できるから楽しみにしてるだ。
■感想
本屋で惹かれた短編集です。
あるきっかけで日常と以上の境界線を越えてしまった人々の話、なんて聞いたら読みたくなるに決まっているだろう!
タイトルから分かるように10編ありますが、ここのところまた長くなっているので今回は特に気に入った二つを。
・ピアーズ姉妹
浜辺の掘っ立て小屋で人目を忍んでクラスピアーズ姉妹。
ある時、いつものように漁に海へ出ると溺れている男を見つけた。イケメンだからと助けて二人は彼が目覚めるのを待った。
しかし、起きた男は姉妹――歯の抜け落ちた老婆たちの姿を見て発狂して罵詈雑言。びっくりしたのは分かるが、日本昔話を愛していた私には分かる。それ、最悪の選択ですよ。
案の定、プッチンしてしまった姉妹は男を海に落として溺死させた。
波で戻って来た溺死死体を持ち帰る。
もう、この後は分かるよな。
彼女らは海の恵みで生きている。男の身体を開いて内臓を奪うことくらい簡単で、燻製小屋でいぶして人形を作った。
家に男のいる生活は最高だ、と二人は新しい暮らしを始める。
それからはやってくる男たちを人形にしていく姉妹の誕生である。
初めは怒りから、最後には道を聞きに来ただけの男もコレクションのために殺した。
ピアーズ姉妹は男たちとともに暮らしている。
これは初めの一作なんだけど、境界線加減がぞくぞくするな。
初めの男が入れてしまったスイッチで完成した殺人姉妹。
本来であれば踏み越えることのなかった一線の後押しはいつだって他人がくれるんだな。
・蝶の修理屋
偶然レピドクターを手に入れたバクスターは標本にされた蝶を修理することを決めた。必要な道具を手に入れて博物館から蝶を盗み出したバクスターは調べながら蝶の修理を試みて、最後には全ての蝶を修理して屋根裏部屋を蝶でいっぱいにした。
バクスターが窓を開けると蝶たちは一斉に飛び立ち、自分たちを捕まえて殺した蝶蒐集家の元へと向かう。
これは映画にもなっているらしいですが、是非映像で観たいな。ピアーズ姉妹も映画化してるらしいけど、あ、お二人はいいです。ま、興味あるんだけどね。
バクスター少年が蝶を修理する話ですが、私も蝶の標本は好きではないのでバクスター少年の気持ちは痛いほど分かる。
しかし、このレピドクターってのはマジなんですかね? 標本に興味が無かったんでどうやってやっているとか知らないんだけど、バクスター少年の献身に近い修理は不可解だった。
蝶の模様とかでそう動くようにさせられたとかだったら面白いが、まさか蝶たちが最後蒐集家を殺しに行くとは。
どうにも昆虫って感情がないイメージだからこれには驚きました。
あとは「隠者求む」とかが好きかな。
しかし、イラストが好きなので今度モンタギューおじさんにも手を出してみようかなと思う方が強い。この人の絵はもっとたくさん見たいな。
奇妙な話、とあるように怖い話ではないです。
限りなくイっちゃってる感の強い人たちばかりですが、まぁこいつなら仕方ないと思わせてくれるような愛嬌があってなかなか面白かったです。
では、ここらで今回のお気に入りへ。
「もはや跡形もなく」から母親にしかられて家を飛び出した少年の話。森での暮らしで母親も自分の名すら忘れかけた少年はそこで出会った犬と過ごしていたが、ある日別れを告げて犬に言うんだ。
「待ってるのに疲れたら、どこにでも行っていいんだからね」彼が言った。
少年は母親に会いに行くが、もうそこには戻れなかった。少年は変わり果ててしまったんだ、身も心も。
戻るとそこには犬がいた。少年は犬とともに森に消えて行った。
ああ、犬がいてよかったなー。しかし、境界線というのは興味本位で超えてみたい気もしたんですが、越えるなら戻らないという覚悟が必要ですね。
10の奇妙な話
ミック・ジャクソン (著),デイヴィッド・ロバーツ (イラスト),
東京創元社 (2016/2/13)
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