「殺さない。殺せるはずがない。怖がらないで」
黒いてるてる坊主に出会って心を掴まれる。
何故だろう、この真っ黒で目だけ書かれた赤いリボンを持つそれは私を酷く揺さぶった。家族に呪いのアイテム買ってきたと言われたが、うんこの見た目なら否定はできないや。
心を掴まれた理由は本棚の前に立って分かったんだが、ポリ黒のマティアに対する描写にあったんだ「黒いてるてる坊主のようだ」って。ああ、この目の印象はすごくマティアっぽい。
マティアの方が断然可愛いのだけれど、あの時大迫さんの本に出会えてなかったら今の自分はいなかったことが思いだせたことが嬉しいんだ。
■あらすじ
クラスメイトの代わりにミステリーツアーに参加すると、次々と人が死んでいく。一人、なんとか逃げ出したおれだが犯人に捕まってしまい、だが無事に生きて帰ることができた。そんなおれと周りの人間が次々と死んでいく誠は一見接点の無いようであったが、二人は既に出会っていた。
■感想
今回は本屋で買ってみたさくっと本です。
ミステリーを期待して買ったが、表題作よりも短編の方がミステリだったかな。しかし、こういうタイトル買うだけで顔を二度見とかされると小心者は生きていけないのですが。
一人称モノであるが、誠がなんとも特殊な語り口なのでちょっと読みにくい。
友人の代わりでミステリーツアーに参加すると、そこはある一族の人間たちの集まりで猟奇殺人の舞台への直行便だった。おれは完全にとばっちり。
なんとか逃げ出すが途中で拾ってくれた運転手に薬を盛られてしまう。起きると荷物を持って人里にいたが、免許証の名前に赤丸がされていた。
要するに、違うから生かされたのである。
誠は突拍子もない彼女・レイに振り回されながら葬儀に出る毎日だった。
親族とともに巻き込まれた事件で生き残った人々も追い詰められていた。いや、一人ひとり人畜無害の顔をした誠が殺していたのだ。
レイに話して聞かせていたお化け屋敷での怪談は誠の身に起こったことだった。だが、細部はことなり、幼少期に離婚して別れて暮らす母親と遊園地で会った時にそこには彼氏がいて、そして茂みで襲われる。
その後、入ったお化け屋敷で「邪魔だ」と母親に首を締められる。そして、咄嗟に誠は母を殺してしまう。
その罪を庇って自殺した父が残した殺害リストを実行するためだけに誠は生きていた。猟奇趣味の友人の力を殺していったが、リストの最後に残るのはレイの名だった。
レイを愛してしまった誠に彼女は殺せなかったが、友人がそれを許さない。
過去におれが自分以外の人、妹を守るために行動したことを知っていた誠はおれの今の眠る妹のために金を残し、レイともう一人のリストに載っていなかった親族ことを頼み、友人とのドックファイトを挑む。殺人犯同士の戦闘は泥沼です。けど、埋めて殺すとか琴線触れすぎるからやめて!
ここまではよかったんだけど、おれに誠のことを聞きに来た男は殺された友人の幽霊ってことでいいのかな? おれが幽霊見える設定が最後に出るのでこの辺は困惑した。
あと、レイが記憶喪失になったのはなんでだろう? 誠がいない世界を認識しないための自己防衛かな。おれの過去が明かされないのは残念だ。
他にも短編として『Aさん』と『春の遺書』がありますが、Aさんが読んでて楽しかったかな。
語り口がまた誠みたいで読みにくいんだけど、異常な行動をする隣人・Aさんの家を毎日トントンとノックするモノがいた。殺した夫が帰ってきているというものだったが、そんなAさんの行動を最後は主人公がしているというのがいいなぁ。
では、ここらで今回のお気に入りへ。
全てを終えた誠の最後を。雪の降り積もる湖へ入水自殺をする誠の心は穏やかだった。
雪が全てを消してくれます。あとは、約束を守ってくれるよう願いながら、絶えるだけなのです。きっと、彼なら守ってくれる。無条件で信じられる。会えてよかった。そんな存在がいることが、これほど有難いとは思いませんでした。
道理が合わない。それだけの信頼を勝ち得たおれの行動が知りたいのにっ!
いや、妹を守ったってことなんだと思うんだけど、このささやかな新聞記事でここまで信頼できるだろうか。
うーむ、ここがどうしても気になるなー。
僕は君を殺せない
長谷川 夕 (著),loundraw (イラスト)
集英社 (2015/12/17)
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