「いいえ、僕は結構です。この部に僕のやりたい『ゲーム』は、ないみたいですから」
夢の話をすると心配されることが分かったのでもうしないけど、私は元気です。ええ、熱中症で倒れてガクガクになってもゲームはできるからね!
そんなこんなで今はFGO水着イベント待機中。石を集める、石を集めるのだ! イスカンダルをLV.100にしてる場合じゃねぇっ! 俺はタマモだけは――いや、きよひーもなんとしてでもゲットしてみせる。勿論、無課金の範囲で!
水着とか正直興味とかないんだけど、水着マシュのぐだ特攻っぷりには「マシュ眼鏡超似合ってるね!」である。フィギュア締切最終日にポチってしまったことは後悔していないんだぜ。
■あらすじ
ぼっちゲーマーである雨野景太は学内のアイドル的存在・天道花憐が発足させたゲーム部に勧誘される。ゲームの腕を切磋琢磨で競い合い、ゲームの会話ができる仲間ができることは景太が望んでいたことではあるが、そこでは景太が好きなゲームはできないと思い入部を諦める。
フラれたことから景太のことが気になってしまう花憐と景太のクラスメイトで高校デビューに成功した上原とその彼女・亜玖璃、景太と一部を除いてドッペルゲンガー並に気が合うぼっちゲーマー・千秋と部活とは関係なくゲーム好きが集まり、恋と趣味がすれ違っていく。
■感想
最近ラノベを読んでないなと思ったら勧められた本です。
『生徒会の一存』の葵せきなさんの本なのでギャグセンスは最高です。しかもゲーマーの話だからね、納得してしまうところもたくさんあって面白かったです。
ざっくり言いますと、高校でぼっちゲーマーをしていた景太の話。てか、休み時間にソシャゲできるとかそれだけで時代の勝ち組じゃないか? 私の高校時代は徹夜でゲームして授業もきっちり受けて、休み時間に気絶するというものだったぞ。この授業中に寝れないところが生真面目たる所以なんだよ!
ゲームショップで偶然出会った学内アイドルの花憐に誘われて行ったゲーム部というのは、本気で腕を磨く人たちの集まり。
格ゲーでは自キャラを極める。相手のプレイを見て自分に取り入れる。つまり、頂点を目指す人たちの集まりなのである。
これを景太は嫌がって入部を断る。
……この気持ちは分かるなー。私も頂点を目指すような人間じゃないから。ほら、下手の横好きでいいんだよ。
だって、楽しみたいだけだから。私はゲームをしてもトロフィーコンプは全く目指していない。ストーリーを制覇してコンプならしているけど、特定技を100回こなすとか、そういうやりこみ系をやる気は起きないんだよ。
けれども、それを絶対とする人もいる。みんな違ってみんないいという言葉は嫌いだから使わないけれど、手前の価値観を押しつけられるのは違うと思う。
つまりなにが言いたいかというと、私は花憐の「ソシャゲはくだらないゲーム」発言に怒っているんだ。
私だってそんなにソシャゲはしないよ。FGOしか続いていないし、正直課金しないけど強くありたいとか向いていないとも。
それでも、お前にとってくだらないものだからって押しつけてくんなと思ってしまう。クソゲーをクソゲーだと言ってディスれるもの愛せるのも、買ってプレイしたものだけの特権だろうが。
要するに、私の中で学園のアイドルだろうと天道花憐の印象は最悪だったと言える。この人、ヒロインでも好きくない。
この後で中学時代は眼鏡のゲーム好きだったけど高校デビューしてイケメンになった上原と出会うんだが、この時の景太の気持ちは分かるなー。ゲームで遊びたいだけだから、一緒に遊んでくれる友達ができるのって最高だよな。
上原と友達になる過程で天道が景太に恋しちゃったり、上原ただなんとなく告白されたから付き合っていた亜玖璃が中学時代から自分を好きでいてくれて、自分のためにキャラチェンジしちゃうほど好きでいてくれたことが分かったりしてぞっこんになってしまったりとするけど、私の本命は千秋なのでそっちに行こう。
いつか天道と話せるように、と女子と話そうと同じぼっちゲーマー・千秋に話しかけることになった景太。
ゲームの趣味が酷似しすぎててあっという間に仲良くなるが、一つだけ異なるのは萌えに対するスタンス。
うー、これはなぁ。
千秋のいい分も分かるんだ。ゲームは音楽とかフィールドマップ最高だと心躍りまくるんだが、景太の言うキャラに対する萌えも分かるんだよ。
弱いし使えないのにキャラへの愛だけで最後までメンバーに入れてしまうとかあるだろう? キャラ育成とか初期メンバーに愛着湧きすぎて新加入キャラ愛せないもん俺。見た目がドストライでない限り。
景太と千秋の喧嘩は本当に面白い。
千秋は実は景太が信者であるフリゲ製作者だったり、景太がソシャゲで頼りにしている人だったりして運命レベルなのだが、お互い嫌い合っているので上原が面白がって「ゲーム同好会」というゲームを語る場を提供することに。
そこに天道も投入して傍から見て楽しもうとしていたのだが、もうみんないろいろと言葉足らずなので関係がハチャメチャになってしまう。
景太と亜玖璃は付き合ってるとか景太と千秋は一緒にいるためにゲーム部ではなく同好会を作ったとか、同好会は上原ハーレム(景太もBL的に含む)とかw
いやー、力を抜いて読める面白い作品でした。ゲームスキーさんはより一層楽しめるかと。ちまちまと続きも買ってみようと思います。
では、今回のお気に入りへ。
上で千秋派だと書いているけども、キャラクターとして好きな亜玖璃のシーンを。景太は天道を、亜玖璃は上原を想う気持ちからぐだぐだと駄弁っているシーンから。
どんなことがあっても上原が好きだという亜玖璃になぜかと問うた時の返答を。
「恋って、するもんじゃなく、落ちるもんじゃん」
「……」
「そんなのもう、どうしようもないよね。事故みたいなもんだもん。辛くても、身の丈に合ってなくてもさ……ま、落ちちゃったんなら、しゃーないしゃーない」
いろいろとハイテンションなキャラクターが多い中で、彼女は軽いようで聡いんだ。
だから、自分の気持ちをしっかり持っていて「しゃーない」と受け入れるところは格好いいじゃないか。
でもなー、景太とお互いの恋の応援連合は嫌な予感しかしないよ。地の文の不吉な感じだけでなく、景太の言葉足らず感がかなり。
ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー
葵 せきな (著), 仙人掌 (イラスト)
KADOKAWA / 富士見書房 (2015/3/25)