「じゃ、今度はみんなに聞くよ? ……わたしと倫也くん、付き合ってると思う?」
昨日は熱中症になってぶっ倒れていたのですが、近所で夏祭りがあると叩き起こされる。せっかくなので犬を連れて行きましたが、この本屋もない町にあんなに人が住んでいるとは思わなかったなー。
夏らしいことをしたのはおそらく中学ぶりなのですが、そんな私の偏屈に犬まで付き合わせる気はない。花火をじっと見てる犬の表情の意味はまだ分からないけれども、クラクラして吐きそうなくらいは耐えてみせるんだ。
■あらすじ
望んでなどいなかった“転”のイベントが来てしまい、倫也と恵は再び決別する。
倫也のサークル離脱中、周りに乗せられるようにして恵は倫也なしでゲーム制作を行うことを決意する。しかし、いつもの中心となる倫也がいないせいか、話題の中心は常に恵となり、決して口にしようとしない恵の本心へと迫っていく。
これは倫也がフィールズクロニクルの制作へと向かってしまった間に起こった少女たちの物語。
■感想
発売日には読み終わっていたのだが、フラレ回避にハマって感想を書きもらすというわりとよくやるミス。
待望のガールズサイドですが、やはり決まってしまう瞬間ってのは嬉しいような悲しさがあるよなー。
12巻で倫也がサークル離脱した時のガールズサイドですが、主に恵を倫也のいないゲーム制作に巻き込み、その本音を聞き出すという周りの話でした。
怒ってる恵が苦手と言うか、早くいつもの恵に戻ってくれとハラハラするんですが、伊織との会話は面白かった。うん、恵は伊織と会話しないから間に入る出海が不憫でたまらない。そのまんま伝えるからヤバくなるんだ! お前がオブラートに、フィルターになるんだ!って応援してたけど、そんなの無理ですよねー。
美知留は美知留でギャルゲだからという偏見抜きで最高の曲を作るために覚醒していた。私もわりとオススメとかでなにも知らずに聞いていいなと思った曲はエロゲ主題歌とかよくある。てか、そっちの方がよく作り込んであることが多くないか?
人気が出たゲームの続編とか出て期待してたら、主題歌で今流行りのグループを起用。なに言ってんのかてんで分からねぇという瞬間の絶望は異常。
だから、美知留にはものすごく頑張っていただきたい。相関図に絶望するなよ。肉親ってだけで負けても関係は切れないんだからさ……。
倫也の決意を知った先輩の方は英梨々の説得。
作家として、絵師として、お互い尊敬して信頼する関係になれた二人だけれども、二人とも倫也の憧れのクリエーターになってしまった。それは、倫也が女の子として見ないということだ。
小説の次回作のネタに振られる少女の話を書くという先輩の話はまさに自分のことで、英梨々のことだった。そうすることで気づかせようとした。
この儀式は辛いが、こう見ると二人は初めの決別でもうダメだったんだな。裏切りがトラウマになっているのを覆せなかった。
これは分かる気がする。わりとグレーな手段や言葉っていうのはさ、「これくらいじゃ傷つかない」って確信できる相手じゃないとできないもんな。歪だけどそれも信頼なんだ。
あとは先輩シナリオの加藤恵説得計画。
計画的に美知留と出海が恵を追い詰めていくが、その後ろには先輩と伊織の存在がある。
倫也がいない間に完成させると乗せられた恵は出海の家でゲーム制作合宿を行うことに。勿論、伊織はホテルです。
最終的には先輩が恵を追い詰めていくんだけど、ここはちょっと怖い。英梨々の慟哭を聞いたばかりの先輩には恵の叫びなど同情の余地もない。
普通で良かった恵だが、倫也のメインヒロインって座は譲らなかったのだ。
ふーむ、なるほどなー。
諦めるという選択をした二人の悲しみもつらいながらも譲らない恵も痛いくらいだったが、それ以上に終わりに向かっていることが僕にはつらかった。
永遠に誰ともくっつかずに楽しいだけの時間なんて有り得ないけれども、それでも私は作品について喧嘩しながらゲームを作っていく様子が好きだったんだなー。是非、完結したあかつきにはそのゲームを実際に出していただきたい。あ、でもフィールズクロニクルの方がやりたいかな!
次回で最終巻とのことですが、ここまで読んだのだから最後まで読むとも。楽しみだ。
では、ここいらで今回のお気に入りへ。
やっぱりここは恵が先輩に言い切った本音にしときましょうか。
「あなたにとって、倫也くんは、ものすごく特別な人だったのかもしれない。
けれどわたしには、全然特別じゃなかった。普通だった。
だからこそ、わたしは、彼がいいな……って思った」
「納得できないかもしれない。わたしに反感を持つかもしれない。
でも……知らないよ、そんなの」
ここを好きだなと思うのは、知らないという返答ですね。
先輩や英梨々の気持ちは痛いほど分かっているはずなのに、知らないと突っぱねてヒロインを譲らないところがいいなって思う。それだけ好きでいてくれたんだな、って。
……その後の、最後の倫也とのシーンは結構恥ずかしくて参ったがな!
冴えない彼女の育てかた Girls Side3
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA (2017/6/20)
ラベル:冴えカノ