2018年09月27日

やがて君になる1〜6



「私は君じゃなきゃやだけど、君はそうじゃないから」


 生まれて初めて歯医者に行ってきた。うん、縁がなかったんだなー。奥歯に違和感があって行ったんだけど、やはり虫歯だったようです。しっかし、歯がスカスカで変な感じだ。
 そんな中、久々に手に取ったファミ通でうたわれるもの斬が短縮偽りの仮面だと知る。むー、内容が分かっているゲームは何度も出来ないので今回は見送りに。
 だってまだシュタゲエリートもβ世界でクリスとあったところだし。


■あらすじ
 特別という気持ちが分からない小糸侑は高校の先輩・七海燈子が自分と同じではないかと共感を覚えて悩みを相談する。すると、誰も好きにならない侑を燈子は興味を持って「好きになりそうだ」と告げる。
 その冗談のような告白から行動にまで移されて振り回される侑だったが、燈子が「自分のことを好きにならない侑」を求めていること、ドキドキなどせずに変わらない、そうでなければならない自分の気持ちに板挟みになっていく。


■感想
 はい、タイトル買いしてみたらまさかの百合ものだったでござる。いやー、びっくりしたけれども面白かった。僕にも安心なレベルでした。
 疎いので全く知らなかったんだけど、タイトルに惹かれてとりあえず全巻買ってみた。奇しくも最新刊の発売日が今日だったので6巻までの感想です。

 恋愛のドキドキなんて分からない小糸はクールというかドライな女子で、中学卒業時に告白された返事を未だ悩んでいた。そんな中、告白を断る七海の姿を見て誰にも出来なかった告白のことを相談する。
 そのおかげで電話で断りを入れることになるのだが、その後でまさかの七海が告白紛い。
 小糸も冗談だと思うのだが、踏切でキスなんてされてしまっては現実を見ざるを得ない。

 これで恋愛に走ったら私は好きではなかったでしょうが、小糸が一筋縄ではいかない。
 七海に生徒会長選挙の推薦者になってほしいと押し切られて手伝うのだが、ここで集合写真中に隠れて手を握ったりして先輩の反応を見る。
 照れる七海の顔を見て小糸は「ずるい」と思った。

 特別が分からない者同士だったはずなのに、特別を知った七海に嫉妬するんだ。気持ちを受け入れるわけでもなく、ね。
 おもしろいなぁ、と一気に小糸が好きになりましたね。完璧な先輩である七海の弱さに気づいてフォローしたりして、七海が甘えたくなるのも分かる。
 生徒会男子の槙にキスするところを見られてしまったときも、七海のことだけを心配したからね。バレたら怖い思いをさせてしまうって。
 この辺は槙と一緒におもしろいなぁと感心しっぱなしでした。

 七海が完璧に拘るわけが死んだ姉にあることを小糸は知ることになるのだが、ここでの好きにならないという約束は残酷だな。七海はキスをしたりとかどんどん甘えてくるけれども、好きになってはいけない。
 七海の強がりを知っていて好きだと思っている副会長の佐伯先輩との三角関係もあって、一方通行がこじれていると楽しんでいましたが、生徒会の劇――七海姉がやり残したことをやると決まってからは風向きが変わってくる。

 小糸の友達がまるで全てを知っているかのように書いた劇は、七海そのもののことのようだった。記憶喪失の女性がいろんな人が語る、全く違う印象の過去の自分。本当の自分とは……、とざっくりいうとこんな話なんだが、姉の同級生に「似てない」と言われて揺らいだ七海と、誰かになるのではなく今の自分を大切にしてほしいという小糸の気持ちから文化祭当日を迎える。

 劇は大成功で喝采を得る七海。
 正直、ここのMVPは七海父だと思う。母親が納得してなさそうなのは怖いがね。

 劇が終わったら自分たちはどうなるのかと心配していた小糸だが、その勘は当たっていたようで、初めはべったりだった七海が何も言わずにスカウトされた劇団に入っていた。
 そして、これからも変わらないことを求める七海に小糸は察しがいいから全部分かってしまうんだけど、それでも初めて自分からキスをして気持ちを伝えた。
 七海の答えは「ごめん」。好きであれば嫌いがやってくるという怖さから動くことが出来なかったのだ。
 そんなところで6巻はお終い。

 私は小糸の淡泊なドライさが好きですが、最後の告白をするとは思わなかったので驚いた。でも、同時に落胆もした。ああ、君もそっちに行ってしまうのか、と。
 僕という人間も人を好きになれない人間なので、槙のポジションのような読者の位置は楽しかった。七海のように慕ってくれる人なら同性でも好きになるのかもしれない。同性だからどうというより、この人が好きなんでしょうな。
 いやー、なんだよそれ。そこまで想える人がいるなんて羨ましいや。

 では、この辺でお気に入りへ。
 キスとかのことで七海の気持ちをが重くなり始めたとき、断られる前に七海は「好きでいさせてほしい」と言う。それを断らなかった小糸に七海は笑顔でありがとうと言った。
 その時の小糸の独白を。


 ……また 眩しい思いをするだけなのに
 なんで構わないなんて言っちゃったんだろう
 ……この人は やっぱりずるい


 ああ、全く本当にずるいや。
 人であれモノであれ、何かを一番に想えることはきっとたぶん僕には一生ないだろな。 









やがて君になる1〜6
仲谷 鳰
KADOKAWA
posted by SuZuhara at 22:09| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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