2018年11月24日

幼女戦記 11



「白銀!! 白銀だ!!! 銀翼突撃章!!! ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐の第二○三遊撃航空魔導大隊だ――!!!」


 大の大人が泣きじゃくる様を、思えば初めて見ました。
 大声で人目を憚ることなく泣き叫ぶその人を見て自分は、ただただ感心していました。よくもまぁ感情をここまで表せるものだな、と。そして、その後でその感受性に嫉妬して、そんなことしか思えない自分に劣等感を覚えた。
 泣いて泣いて立てなくなったその人を担いで歩いた中でもずるいとしか考えられなかったのに、そんな自分は端から見れば『優しい人』なんだそうだ。こんな自分が優しいなんて世も末だろ。


■あらすじ
 ライン戦線へと戻ることになったターニャと第二○三遊撃航空魔導大隊は、現われることを予測して万全の対策を練っていたフランソワ共和国の精鋭をいとも簡単に打ち破る。
 それを目の当たりにしたビアント中佐はターニャたちが行った戦略をそっくりそのままやり返し、帝国に一撃を食らわせた。帝国のやり方が通じると分かったビアント中佐は帝国がレガドニアに行った後方の物流拠点攻撃を行うため、市民たちのパルチザンを利用したアレーヌ市解放作戦を行うことを宣言する。


■感想
 冒頭変なことを書いたけど元気です。いや、最近は寒さに震えてるかな。お出かけする気がなくなっていつも以上に引きこもってますよ。

 さて、前回からわりかし直ぐに出た幼女戦記11巻。
 ですが、今回も話があんまり進んでないですなー。やっぱり3話は入れて欲しい。今回収録の29話、30話の内、ページ数の多い29話はライン戦線の悲惨さと新兵の前振りなんだもの。僕たちは勘違いで追い込まれていくデグさんが見たいんだよw

 意欲に満ちた新兵たちがライン戦線へと送り込まれていく中、現場は地獄そのものだった。今まで習ってきたことが碌な知識ではないことを実戦で知り、唯一頼りの上官も目の前で呆気なく死ぬ。
 期待と誇りなんてものはとっくになくなり、ここが地獄だと理解したとき、白銀が戦場に舞い降りる。

 と、格好良く言ってみましたが、絶対的強者が味方にいるというのはなんと頼もしいことか。今、ちょいと英雄の苦悩的なゲームをやっていますが、その他大勢からしたらそんなことは知ったこっちゃねーのである。さくっと買っていただき、勝ち馬に乗りたいのである。
 ここは歩兵の視線で描かれているのですが、戦場描写がすごすぎて震える。

 ターニャたちが戦場を蹂躙していく中、現われた援軍の奇妙な飛び方をする彼を見た瞬間、ターニャと同様に笑ってしまった。ショーンズが生きてそこにいてくれるだけで僕ぁ感動だよ!

 前回現われたフランソワ共和国のビアント中佐のシャワーシーンという誰得な3ページで、ラインの悪魔殺すよ!と言ってくれますが、ターニャは逆に蹂躙してビアント中佐を悔しがらせてくれます。いや、お前は早く服を着ろ。もうその腹筋しか印象にないよw

 そうしている間に新兵・グランツもライン戦線に到着する。
 束の間の平穏とばかりにターニャとセレブリャコーフ少尉のイチャイチャしているようにしか見えない朝の風景がありますが、段々少尉がたくましくなりすぎている気がするぜ……。

 新兵器を前にターニャが魔導師砲のフラグを立てた後で補充魔導師が来たという連絡が来るが、大隊に損耗はなし。セレブリャコーフ少尉の同期情報からターニャたちに教導隊をさせたいという話であることを知るわけだが、ヴァイスは本当に頼もしくなったなー。
 戦場で新兵の弾よけをしろということかと副長であるヴァイスが激高することで部下たちの不満を抑え、セレブリャコーフ少尉が暗にターニャをディスって場を取り持つ。ターニャも狙いが分かったから少尉の新兵時代の話をしたりしてね、もう本当にこいつらだけでいいじゃん。異分子は入らないよと根暗は思うのである。

 けれどもそういうわけにはいかず、やるしかないと決意を決めて新兵の前に行くと、予想以下に幼い新兵たち。規律も理解していない有様だった。

 そんな中、ビアント中佐の報復戦は上手くいった。僕はショーンズが生きているなら何も文句はないよ。
 ターニャのやり方で帝国に一撃を食らわせたビアント中佐は、帝国が補給拠点として整備し終えたアレーヌ市に目をつける。市民たちの暴動を利用して補給路を断つつもりである。帝国がレガドニアにやったことのフランソワ版をお見せいただけるというところで今回はお終い。やー、せめてグランツが隊入りするところまでは観たかったです。

 そう言えば、大分前に幼女戦記のアニメは観ました。
 正直、セレブリャコーフ少尉が可愛くない時点で大分気分は萎えていたことは否めませんが、大分違うんだなと実感する。スー大佐の見た目も展開もかなり違ったけど、今回の新人魔導師であるグランツくんはどこかで聞いたことがあるな、と。
 そうやって記憶を辿ると、グランツに待ち受けるものやアレーヌ市の結末も知っているわけで、どう描かれるのか楽しみだったりするのですが、ほとんどアニメの内容は覚えてなかったりもする。
 ……やばいな、好みの女子がいないとこの有様だよww

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回はターニャが新兵たちに演説する中でのこと、突如入り込んできた損失報告にざわつく新兵にターニャは言う。


「――とまあ、リアルは地獄だ。
 殺したり殺されたりする日常だが、ひとまず諸君の仕事は邪魔にならない事である。
 さてさて諸君、
 短い付き合いだろうが仲良くやろう」 


 この言葉の真意を測れない者なんていないだろうが、夢と希望と誇りを胸に詰め込んだ新兵たちは何人残るのでしょうね。
 ま、期待は全くできないけどね。








幼女戦記 11
東條 チカ(漫画)カルロ・ゼン(原作) 篠月しのぶ (キャラクターデザイン)
KADOKAWA / 角川書店 (2018/11/24)
posted by SuZuhara at 23:49| Comment(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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