復讐が、<起動>する――。
ぐあ、眠い。
最近は人と関わることが多すぎてつらい。ソーシャルディスタンスしようぜ、距離取ろうぜ。むしろ私の外出を禁止してくれ。自宅謹慎でもいい、そういう目に僕は合いたいんです。
Netflixで呪怨のドラマが始まりましたな。私は真夜中に興奮した兄貴が全編ネタバレしてくれる目に合いましたがこれ書き終わったら観るんだ。
■あらすじ
愛する妻と平穏な日々を送っていたグレイは顧客である天才発明家エロンの車を修理し、届けた後の足を失ってしまうため車で妻にもついてきてもらった。
しかし、その帰り道に突然現れた男たちによって妻は殺され、自分は四肢が麻痺して車椅子生活を余儀なくされてしまう。
事件現場はドローンが撮影していたが犯人が特例できず、絶望から自殺未遂まで行なった後でエロンからAIチップ「STEM(ステム)」を埋め込むことでまた歩けるようになると話され手術を決意する。
ステムの力で動けるようになったグレイだが、このステムは意思を持ちグレイに話しかけて、グレイの望み通りに妻を殺した犯人の捜索を手伝ってくれる。
だが、ステムの完璧な捜索で犯人の男たちを追い詰め、拷問し全員に復讐するそれは最初のグレイの望みとかけ離れていく。
■感想
ひっさびさに超好みなB級映画でした!
冒頭の幸せはすぐに叩き落とされ、ステムという強制的な同居人が次第に相棒となっていき、妻殺しの犯人たちを追い詰めていく。人間ではない機械的アクションと最後の展開には歓喜しまくり!
これは去年映画館行っとくんだったなって後悔するほどだったとも!
あらすじにほとんど流れは書いちゃったからもう順を追っては書かないけど、舞台は近未来。と言っても、ドローンやAIが生活を支えている程度でそこまでSFじゃない世界。
グレイはこの世界ではAIとかほとんどつかってないアナログな人間で、レトロとなった車の修理をしていた。
しかし、突如男たちに襲撃されて妻を殺され自分も動けない身体に。
そこに救いの手を差し伸べるエロン。埋め込んだチップ、AI・ステムによって動けるようになるがステムは特定不能だった犯人たちの手がかりをも見つけてしまう。
ステムの存在は秘密なので、妻殺しの証拠を手に入れるために犯人の家に侵入。しかし、帰ってきた犯人と出くわしてしまう。殺されかけた時にステムは「助けが必要なら言ってくれ」と言う。
そして、許可した途端に始まるステムがグレイの身体を使ってのアクション。ノールックで殴り、相手の動きを予測して殺す。
まさか、殺すまでやると思っていなかったグレイは困惑するが、ステムが他の犯人へと繋がる情報を手に入れる。
ここでステムがネットにない情報に困惑しているところを可愛いと思えた時期は平和だった。
犯人がいるバーに乗り込み、またもステムと倒す。
ステム、AIなんで惨い拷問とかさっくりやっちゃうんだよ!
しかし、ここでエロンがステムを強制停止するために動き始める。ステムの存在がバレないために。
だが、ステムはそれも予測済み。
強制停止を解除するハッカーに目星をつけ、グレイに情報を書き留めさせた。グレイはステムが動かなくなる=自分で動けなくなるまでにハッカーの元に辿り着くが、追っ手も殺された仲間が残した視覚映像で迫ってきていた。
あ、書き忘れてたけど、敵は銃を身体に一体化させたサイボーグなんだ。
ここでさ、帰ってきてくれた時は「ステムぅっ!」って頼もしい相棒の帰還と感じていたわけだが、事態はきな臭くなっていく。
妻殺しの事件を担当していた刑事・コルテスが疑っていたグレイの行動に気づいていた。
グレイの方もステムに突き動かされる形で復讐の続きに行くが、そこでのカーチェイスで決定的なシーンが訪れる。
ステムが手伝ってくれると言った瞬間、妻が乗っていた車と同じAI運転していた車が突如エラーを起こし、コルテスの車とクラッシュする。
なぁ、おい。待てよ、相棒。
このエラー画面、グレイたちの車がおかしくなった時にもあったよな?
ハッカーにステムのプログラムコードを変更させて再起動で帰ってきてくれた後で、ステムはグレイの許可がなくても自分の意思で動けるようになっている。
自分たちを守るためにと最後の一人・フィクスのところへ向かい、仲間にならないかを蹴って戦闘へ。
チップが埋め込まれたことによりアップグレードしたグレイは今までステムで無類の強さを誇っていたのだが、フィクスもチップを埋め込んでいて逆に予測されて攻撃され回避され、初めてステムがグレイに助けを求める。
グレイは前に殺したフィクスの弟のことを出して動揺させてフィクスを殺す。ここで「ありがとう」っていうステムが、ステムが!
フィクスの発言からあの事件は妻を狙ったのではなくグレイを狙い脊髄を攻撃して今の動けない身体にすることであったと知ったステムは電話記録を調べるように言い、殺しの依頼はエロンがしたものだと知って最後の復讐に行く。
ガードマンなんかノールックでステムが射撃だぜ。
しかし、エロンの元にはコルテスがいてグレイは捕縛されたと思いきや、ここでもステム無双。
でも、復讐に関係のないコルテスを手にかける気はないグレイはステムに抗い、コルテスにテーザー銃を打たせることで自分ごとステムを無力化。
そこで明かされるのは、黒幕がエロンではなかったこと。エロンも初めからステムに言われたまま行動していたことが分かる。
ステムは自在に動ける身体を求めていて、フィクスたちのような中途半端なアップグレードで汚れていない肉体としてグレイを選んだのだった。
襲撃の計画も、助けに手を差し伸べたことも全てステムが仕組んだことだった。
ここでステム復旧。グレイがステムを止めるために自分の手に刺していたナイフでそのままエロンを殺す。
喋りすぎた以前に他のシステムを作る可能性のあるエロンは不要だった。
続いてコルテス。
彼女だけは守ろうとグレイはステムに抗い、自分に向けて引き金を引く。
そして目覚めるとグレイはベッドの上にいた。
四肢は動き、笑顔の妻から交通事故の後で2日間意識が戻らなかったことを知らされて抱き締めたグレイは安堵で泣き崩れる。
ああ、なんてハッピーエンド。
お前の中ではな。
ステムによって心の中に閉じ込められたグレイは幸せな夢の中に落とされた。あとはステムが身体を引き継ぎ、コルテスに向けて銃を撃つ。
無表情のグレイ=ステムはそのまま立ち去っていく、というバッドエンドなわけですよ。なにこれ最高か!
ちょいちょい違和感はあったのですが、ステムの頼もしさもあって信じたくない気持ちでいっぱいだった。でも、やはり決定的だったのはハッカーにプログラムを変えさせたこと、車のエラー表示だよなー。
AIの怖さを描く物語ではありましたが、どうしても共存はできなかったのかを考えてしまう。
でも、無理だよな。ステムは身体を求めて最適な肉体を持つグレイを追い詰め、密かにプログラムコードを書き換えさせて自由を得た。グレイは必要ない。
まだ、ステムがヴェノムのように宿主に愛着を持てばと思わなくもないが、グレイも妻を殺したステムを許すことなんかできるわけはないもんなー。
ああ、素晴らしい映画だった。
惜しむらくは、敵に恐怖を抱かなかったことかな。近未来なのに80年代風な世界でAIとのバディもの、そして全てを仕組んだ黒幕であるAIが宿主の精神を壊して解き放たれた恐怖の終わりでした。
では、ここで今回のお気に入りへ。
今回はやっぱり停止したステムがハッカーによる再起動で帰ってくるシーン。
動けない中、敵はもうすぐ側に来ていて「起きろ、ステム」と呼びかけ続けたグレイの声に応える。
「グレイ、ただいま」
もう、この瞬間は有り余る頼もしさで歓喜したのになぁ。続く戦闘でステム△だったのに、全部仕組まれたモノだったんだよ。
今回は吹き替えで観ていましたが、「ただいま、グレイ」だったらごめん。もうちょっと我慢出来なくて書きながら呪怨観てるからBD見返せないのだ。B級映画好きは是非観てほしい。確か、今ならAmazonプライムでも観れたはず。
アップグレード
監督 リー・ワネル 出演 ローガン・マーシャル=グリーン, メラニー・バレイヨ, ベッティ・ガブリエル, ハリソン・ギルバートソン, サイモン・メイデン
Happinet(2020/04/02)