「思い出は要らない――真っ白な未来が欲しい」
ちょいと前に知らない人からメールが来たのですが、当然そんなものはスルーである。けれども私の習性上、三回アプローチされると応えてしまう。興味が勝っちゃうんだよ。二度あることは三度なのか、三度目の正直なのかってね。
そんなこんなで知り合った方の手伝いをしたんだけど、やー、大変だった。平日の三日間にできる量じゃなくて有給取ったくらいだ。ま、楽しかったからいいんだがね。
■あらすじ
念願だった自分のサーヴァント・ボイジャーとともに聖杯戦争を終わらせるためにフユキへと向かうことを決めたエリセは、夜警の先輩であるマッキと出会い自分の過去に隠された何かがあることを知る。
ボイジャーとの間に些細な擦れ違い、そしてぶつかり合いながらも絆を深めたところで再びンザンビが現われる。
そして、新宿に現われた魔獣・アメミットをボイジャーとともに討伐することに成功するエリセだったが、マッキからの最後の通信で自身の出生について知ることになる。
■感想
やー、なんとか読み終わったけれども、断然この2巻の方が面白かったですね。
ちょっと時間が押しているので淡白な感想になっちゃうかもだけど、エリセの出生について分かったのとこの世界観に対する謎が深まった巻だった。
物語はエリセの過去、とある革職人とそのサーヴァント・ルイと過ごした日々の話から。
これはあれだ、PSYCHO-PASSを思い出す事件だな。その事件の被害者として捕まっていたカリンとエリセはここで出会ったのだ。
FGOのrequiemコラボをやった身からすると、これはイベント前に読んだ方がよかったな。ルイとのことてんで分かってないからこの辺「?」だったんだ。
エリセの方はカレンを失ったこともあり、フユキへと向かうための準備を始める。トーナメントで活躍していた牛若丸とそのマスターに秋葉原の夜警を引き継ぎ、以前エリセが住んでいた場所へと向かう。
分かってはいるんだけど、FGOでマスターやっていると牛若丸がぐだ以外をマスターとして慕うのはすごく変な感じだった。嫌だった? いや、ぐだが特別じゃなかったんだなって少し悲しくなったんだろう。
サーヴァントにとっては呼んでくれた相手こそマスターなんだろうけど、zeroならウェイバーとイスカンダル、アポクリファなら獅子吼とモードレッドの関係が好きだったから、他でも良好な関係を作られているところを見るとどうにも変な感じだった。
エリセの反応から分かっていることだけど、エリセの過去には秘密がある。
それを夜警の先輩であるマッキと出会ったことで楽しくなっていく。チトセの孫ではなく、宇津見とナミの娘と入ったことでめっちゃ重要人物、そして両親も重要であることが分かる。
わくわくしだした辺りでコハルのお見舞いイベント。前回の感想でちょこっと書いちゃったけど、ギャラハッドがオルタであることやコハルがンザンビから受けた傷で令呪を回復することができなくなっていることが告げられる。そして、この前段階から分かっていたことだが、トーナメントでサーヴァントを失ったマスターたちが新たなサーヴァントを召喚できなくなっている。ボイジャーが最後に召喚されたサーヴァントなのだと。
私が読み飛ばした可能性大なのだが、ボイジャーがなんの英霊なのかはっきり本編で語られたかな? FGOでは召喚できてないし、本編読んでいれば想像はできるけど、この辺ちょっと腑に落ちてない。
ビーチに来ていたチトセにコハルをセーフハウスに匿ってくれたことについてエリセが礼を言うシーンがあるんだけど、ここでの擦れ違いがちょっと悲しかったなー。
エリセがコハルを友達として助けてくれてありがとうと礼を言うんだけど、チトセはコハルのホムンクルスとして有用なら使えみたいに言うわけだ。
ああ、ルキウスとチトセ好きなんだけど、マッキの言葉もあるし、いまいち信用できないんだよな。
そんなこんなでエリセ、カリン、コハルでフユキに向かうことになるが、再びのンザンビ襲撃と魔獣討伐では2巻序盤からぎこちなかったボイジャーとの関係が深まっていく様子を見ていた者として拍手したくなるほどの絆を見てくれる。FGOコラボはひでーよ、こんなエリチからボイジャーを奪うとか。うちのエリチはスキルマ済みよ!
終盤をさらっと入ったのは、それ以上の衝撃があるから。頼もしかったマッキですが、一人分断されて敵の手中に入ってしまう。それでもなんとかエリセとは連絡が取れて最後にエリセが人間とサーヴァントの間にできた子どもであること、詳しいことをチトセとルキウスに聞けば二人が敵に回ることを教えてくれた辺りでエリセの声は届かなくなってしまう。
マッキの声だけ聞こえてくる中で、彼女が今まで発しなかった弱音とサーヴァントが彼女を呼ぶ名が「由紀香殿」でマッキがサーヴァントを「津田さん」と呼ぶんだぜ……。
ああ、嘘だろ。金髪だけど生え際は茶のプリンとかもう完璧に違わないじゃないか。
最後のマッキが幼いエリセを抱いてるイラストとかね、もう本当にダメだ。
物語の進みは遅いですが、先の気になる謎が深まった巻でした。
次が発売するまで時間かかるのだけが難点なんですがね。
では、ここで今回のお気に入りへ。
本当はマッキのとこにしたいんだけど、エリセと擦れ違っていたボイジャーの言葉を。
「ただしくなくたっていいさ。だれのためでなくても、いいんだ」
ボイジャーは見た目は子どもだけど、エリセだって大人なわけじゃなくて自分の感情を処理し切れていないエリセにかけた言葉がすげーいいなと思ったのです。
Fate/Requiem 2巻『懐想都市新宿』
星空めてお イラスト・NOCO
TYPE-MOONBOOKS(2020/6/12)
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