2020年08月28日

LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘



「そしてあなたには、既に私の仕込んだ毒が回り始めている」


 幽霊とかオカルトとか、怖いってなんだろうと調べていたのだけども、ふと、これを考えるきっかけとなった仕事終わってるからもうよくね?と気づく。
 しかし、すっかり怖話スキーだと思われた兄貴が嬉々としていろんなものを持ってきてくれるから言い出せないw
 兄ちゃん頼む、もういいんだ。近所の幼稚園が心霊スポットだったとか、本当に聞きたくなかったよこんちくしょうっ!w


■あらすじ
 息子・ジーンの心臓手術のためにコドフリーマイニングより5億ドルを横領した会計士・ランディだったが、殺し屋を差し向けられて接触する前にメイドの峰不二子をジーンとともに逃すことに成功する。
 不二子とともに父を待っていたジーンの元にやって来た呪いを操る殺し屋・ビンカムにより父の死を知らされ、ジーンは復讐のために5億ドルが隠された貸金庫の暗証番号を報酬にルパンたちに復讐を依頼する。
 5億ドルの存在を嗅ぎつけてきたルパンたち同様に不二子の目当ても5億ドルだったが、子どもであるジーンには不二子のやり方が通じず、衝突しながらも不二子はジーンを守り、一人でビンカムとの対決に挑む。


■感想
 小池健監督の『LUPIN THE VRD』、大人ルパンとも呼ばれているらしいシリーズの第3弾。
『血煙の石川五ェ門』『次元大介の墓標』に続く、峰不二子のメイン回ですね。私はNetflixで前二作を視聴していますが、不二子のだけなかなかラインナップに加わらないからもう買ってきた。一番興味があるのが不二子の今作だったので。

 五ェ門も次元も、TV版ルパンに比べてグロい。五ェ門なんか目が痛くなるほどだ。でも、昨今の映画やる前の宣伝でしかないTVSP版に飽き飽きしている方なら血肉躍ってくださると思うので、是非観てほしい。でも、グロ注意。大切なことだから二回言いました。

 だが、今回は峰不二子回。グロくない。ポロリはあるけど、まったくグロくない。
 会計士の父親が息子のために横領した5億ドルを狙ってメイドになっていた不二子は、ジーンが知る貸金庫の暗証番号を聞き出して5億ドルを手に入れる寸法だったが、子どもであるジーンには得意の色仕掛けは通じない。
 それどころか、父の仇討ちを誓ってジーンがルパンたちに依頼をしてしまったりするから一時的な協同体制で殺し屋・ビンカムに挑むことになる。

 しかし、ビンカムは呪いにより人を操る催眠術のような力を持っており、ルパンはビンカムに銃口を突きつけるが仇討ちは失敗に終わる。
 不二子はジーンを連れて逃げつつも暗証番号を聞き出そうとするが、ちょっとやり方が強引というか、過ぎたこと(父の死)は忘れなさい、私がママになってあげるという見え見えの嘘に反発したジーンと仲違いしてしまう。ここ、不二子にしては下手な嘘で残念だったな。

 ジーンは不二子と離れてまんまとコドフリーの元に差し出されてしまうのだが、同時に後をつけていた不二子も捕まってしまう。
 そこでビンカムに暗証番号を言ってしまいそうになるジーンを助け、逆に殺されかけた時に不二子はビンカムに触れる。まるで殺人機械のように使われ続けたビンカムは不二子に触れられ甘い言葉をかけられて、そして不二子の身体に触った瞬間、ビンカムの中で何かが反応した。

 ルパンたちの乱入によってこの場は仕切り直しとなるが、立ち尽くすビンカムの顔は――恋に落ちていた。
 いや、男の本能を刺激されたと言うべきかな。機械だった男に不二子に対する欲望が確実に生まれていた。

 助けたことでジーンの信頼を得た不二子。二人でお風呂に入って、嘘のようだった母親になるという言葉にジーンは惹かれながら不二子に暗証番号を教えてしまう。
 そして、不二子はジーンはホテルの部屋において出て行った。

 ルパンからコドフリーが出資している殺し屋を量産している工場があることを知らされる。そこにさ、五ェ門の敵であったホークの姿があるんだよ。こんなのわっくわくしかしないよ!
 不二子はその後、コドフリーに5億ドルと私な写真を送りつけてビンカムとひとりで対峙することに。

 不二子の戦闘シーンは非常に良かった。
 五ェ門や次元と違い、不二子は戦闘技術的に非力な存在だ。格闘術はあっても彼らのような一芸がないという意味でね。不二子の武器と言えば色じかけであり、戦闘では役に立たずルパンに押しつけて一人退散ってのが定番じゃないかな?
 敵であるビンカムは殺し屋として改造された人間であり、膂力も人一倍あれば呪いも使う。銃だって爪で両断する。勝ち目なんかあると思う方がどうかしている。

 だが、それでも不二子は応戦して傷つきながらもビンカムに呪いを使わせる。
 既に不二子に魅了されているビンカムは自分の感情に戸惑いながらも戦っていたが、不二子はその瞬間を待っていた。場所の指定は不二子だっだんだ。有利な状況を作っておくのは当たり前だ。

 ビンカムの呪いは汗腺から出る毒を砂煙に混じって出し、人の心を操っていたのだという。冒頭でデビルズトランペットという花の毒の説明があったが、それを使っていたいたらしい。
 なるほど、砂煙どうやって出してんの?とか現実味は薄いが、呪いとか言われるよりは納得できる。
 この呪いの発動条件は乾燥した場所であることなので、爆弾で地中より水を噴き出させることで不二子は毒を無効化する。
 そして、ビンカムの方には不二子の毒が回っていた。不二子の肌が声が目がビンカムを狂わせる。欲望に火がついたビンカムが耐えきれずに不二子に手を出した瞬間、ブーツに仕込んでいた剣で心臓を突き刺されていた。

 わぁお、すごくいい。不二子らしい。
 というか、不二子という女性はこうであってほしい。色気だけではなく、色気こそ武器にして戦って欲しい。気味の悪い殺し屋だったビンカムが実に童貞っぽく落ちていたのには笑うのを通り越して見事だと拍手したいほどだ。
 しかし、最後に自分が使われた毒について尋ねるビンカムは少し悲しかったな。愛なんて、知るはずないもんな……。

 一方、ルパンたちはコドフリーのとこに乗り込んでいた。殺し屋工場について吐かせるつもりだったが、「あの方」の存在について口を滑らせた瞬間、狙撃されてしまう。
 次元の敵だったヤエル奥崎が腕をサイボーグ化させてそこにいた。三作は繋がっている、そして次もだ。

 最後はルパンと不二子の会話という名のネタバラし。
 ジーンの父親は死んでおらず、全てはジーンに父が死んだと思わせて金を奪おうとしていた不二子の嘘だった。不二子は父親との合流地点で違う場所に行き、ジーンに死んだと思わせただけだった。
 誤算だったのがビンカムの強さとジーンの父に対する想いで、ホテルに残されていたジーンは無事に父親と再会する。もちろん、金は不二子に奪われたがそんなことよりもジーンが大事だと実感しただろうと疲れたように笑う。

 ここなぁ、ルパンの言葉で分かるけど、ジーンたちはコドフリーが殺し屋を雇っていると知った時点で確実に殺される。だから不二子は金を奪ってトンズラするのではなく、ビンカムと対峙して、しかもコドフリーも殺そうとしていたんだ。
 不二子とは思えないアフターケアだが、作中で不二子が言っていたようにこれはジーンが男ではなく子どもだったからこその特別対応だったんだろうな。金はもらうがな。

 さて、私は昔からルパン三世が好きだが、そこまで詳しくない。原作は未読だし、昔のTVシリーズも子どもの頃に観たくらい。確か、カリオストロの城もちゃんと観てない。もしくはあんまり覚えていない。したたかなルパンの方が好きなんだ。『峰不二子という女』の方は一話しか観てないけれど、あのルパンはすげー格好いいのだった。
 そんな浅い知識だが、意外にも僕は峰不二子というキャラクターが好きではなかった。
 なんだろうな、いいところ取りがいやなのか、女の武器を使うことに嫌悪感があったのか。ドラクエ5でビアンカの良さも分からない子どもの頃の俺の考えなんか想像もつかないね。でも、当時僕が好きだったのはダントツで五ェ門だったことは覚えています。

 でも、今作の存在を知った時には『峰不二子の嘘』は絶対に観たいと思った。むしろ、これを観るために前二作も観たくらいだったもの。それまではルパンシリーズから手を切っていたんだ。
 いやー、期待裏切らず面白かった。ただのセクシー要因になりがちな不二子をここまでしっかり描いてくれて、不二子の「嘘」に対するこだわり、そしてちゃっかりしっかり大金を手に入れるしたたかさ。不二子の芯の部分が知れた感じですね。不二子の嘘はルパンが仕掛けを提示していてくれてにもかかわらず、気づけなかったからね。

 次の主役がルパンなのか、とっつぁんなのかは分かりませんが、あの方の全貌と物語のフィナーレが楽しみだ。
 願わくば、映画の上映を俺が見逃しませんように。不二子を知った時は上映終わってたからね。次は是非、映画館で観たい。

 では、ここらで今回のお気に入りへ。
 やっぱり印象的なのはルパンと不二子の会話なんですよね。何度か二人で話すけれども、全てが終わった最後に不二子が咥えていたルパンのタバコを返してルパンに寄りかかるシーンでの短いやりとりを。


「ね、少し眠ってもいい?」
「ああ、ゆっくりな」


 不二子が無防備に休めるというのがルパンへの信頼の表れですよね。そして、その後のお約束の結果も実に不二子らしい。
 でも、ポロリを期待して観るなら次元の方がいいですよ、と小さめに言っておくw





LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘 通常版 [Blu-ray]
原作:モンキー・パンチ 監督:小池健
峰不二子:沢城みゆき ビンカム:宮野真守
KADOKAWA / 角川書店 (2019/8/23)
posted by SuZuhara at 23:06| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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