「始末できたかよ、オレのダチは」
やらなきゃならないことはあるが、なんともまあやりたくない。ぶっちゃけ興味ないんだもんそれ。
そんなことやるくらいならもっとやりたいことあるんだいと思うけど、アレやらなきゃ次に進めんことも分かってるので、この記事書き終わったらやります。ええ、たぶんきっと、やるんじゃないかなぁ。
今回は『あせとせっけん』の作者・山田金鉄さんの短編集。全軍奮闘っていいな、まさにそんな感じ。
このブログでっていうか、あせとせっけんについて私が語ったことはないと思うのだが、ちょっとエロいが大丈夫なら全ての人にお勧めしたいグッドなラブコメです。最終回の結婚式からコミック描き下ろしの後日談とか、麻子さん本当に良かったなーって見守ってきた身としては感慨深くなる。名取さん、そこ代わって。でも、名取さんほどいい男にはなれねぇ…っ!っつう素晴らしい二人の話。
まあ、私としてはもっと石けん作りに関してとかもピックアップして欲しかったり、今ならば液体だけでなく泡石けんとか名取さんがどう思っているのかとは知りたかったりするのだが、そこはどうでもいい話。
2月に実写ドラマがやっていましたが、自分はドラマの方はダメでした…。匂いを煙で表現していましたが、どうにも受け入れられなくて。ま、これもどうでもいい話。
閑話休題。
短編集はそんなあせとせっけんの描き下ろしを含めた6編。自分が読んだことあったのは『ウルフ&ラビット』と『テレワァク与太話』。
このウルフ&ラビットが好きだったんですよね。治安の悪い町でビビリ主人公・一兎とマフィアのボスの娘・狼子の話。私はなんというか主人公が強いとかチートよりも、弱かろうとも自分の手札で戦う奴が好きなのでビビリでも好きな子のために戦う一兎とゆるふわ系なのに身体能力高すぎるハラペコ狼子の関係が好きなんだよなー。
テレワァク与太話の方は、ちょっと笑い事じゃないくらい社畜度が似てるのと、テレワークできるってのが羨ましい。嫁見つけやがって羨ましいけどおめでとうこんちくしょうっ!である。
順序があべこべになっていますが、これからは収録順に『鉄腕ワビスケ』。
読んで思ったのは世界観がJUNK HEADっぽいな、と。いや、私がこの映画を1年くらい前に観てるってだけで上と下で世界が違ってってとこが……いや、こう書くとそんな乙女ゲーを昔やったな。タイトル思い出せないけど、スチームパンク的な部下が狂うと楽しかった作品…。
なにが言いたいかというと、物語的にめっちゃ好き。主人公陣より周りのメンツ、ハグさんとか濃いキャラ素晴らしい。解説にある裏設定とか読むの大好きなんでもっと読みたいです。
次は『テンカの花嫁』。
ド貧乏ヤンキー・天下の家のタンスより花嫁修業に現われたスペース花嫁・リンリン王女。まあ、手違いで天下のとこに来たって奴なんですが、親もいなかった天下に家族の温かさを与えてくれるが、間違いだったから秘密知られたコイツ殺さなきゃ展開になる。なるほど、素晴らしい。
この話が一番好きですね。天下がストレートな主人公なのと、天下の取り巻きだと思われているダチたちもめっちゃ格好いい。リンリンはかわいい。めっちゃかわいい。
でもね、リンリンが言ってた「私はまだ有事のための戦闘技術はないんですが…」ってとこ……え、パーフェクト花嫁気になる。
次にウルフ&ラビットが続き、『もののけ番長ムラマサ』。
内容はタイトルで分かるが、めし屋での妖怪勢揃いな様子を見るとわっくわくする妖怪超好き。解説を読むと感慨深くなるけど、シンプルな展開だけど魅せ場もあって纏まっている、短編として完成したお話でした。
一時、物語についてかじったことがあるんだけど、続くとかまだまだ終わらんよ、な話は物語としてはいかんというもの。詰めるだけ詰めても風呂敷どんだけ広げようとも、まず一作として完成していなければ価値はないとまで言う人がいた。
そんな悲しいことは認めたくないと当時の自分は思ったけど、今の自分は最後まで付き合えるか分からないからまずお前を教えてくれって思ってる。昨今は1巻無料が多くてたくさん読んだけど、1巻で無理だったり1話で無理だったり、1巻おもろいから最新刊の37巻まで買っちったやべーってなったり。
だから、ムラマサは掲載時に読んでいたら続きというよりもきっと作者さんの名前を覚えるってことをした作品なんじゃないかなって。またこの人の漫画読みたいなって。
最後は『Meets SEKKEN』。
あせとせっけんの物語開始前日譚、就活生麻子さんと名取さんのニアミス。名取さんのせっけんがきっかけで出会った二人だったが、麻子さんが会社・リリアドロップに入るきっかけも名取さんだったとか……全ての行動は未来の嫁に繋がっているとかバカなことを思った運命感じる話でした。
ただ他作品に比べても短いから、あせとせっけん目的で買うと少しがっかりするかもしれないので注意。
いやー、面白かった。
今の自分は物を持たない方がいいのだが、これは実物の本で欲しくて本屋まで買いに行った甲斐があった。これからもひっそりですが応援していきます。
では、今回のお気に入りへ。
テンカの花嫁より、天下の姿を真似たリンリンの家の執事が秘密を知った天下の仲間たちを始末しに行ったところ、すぐに違うと気づいた仲間たちは言う。
「天下はオレらのボスじゃねぇよ」
「オレらが勝手にくっ付いてってるだけだからな」
瀬戸さんかっけー!
いや、天下の仲間のヤンキーたちは瀬戸さんだけ毛色が違ってかっけーのですよ。最後の一枚絵も楽しげで、これは珍しくリンリンの隣よりも天下たちとファミレスに行きたいと思う。ポテト食べたい。
山田金鉄短編集 全軍奮闘!
山田金鉄
講談社 (2022/1/21)