『あの情けないセリフは全てブラフ。アインズ様って本当に、失礼だけど化け物みたいに頭が切れる御方だよね……』
先月は週1ペースで映画に行けてうはうはだったのに、今月はまだ1回も行けていない。解せぬ。
まあ、8月で行きたいのは1作品だけでペルソナのコラボカフェ行ったし、その後でちいかわクレープとか食わされているので私にしてはアグレッシブに行動していますね。夏なのに。後は大量に買った本をわっくわくしながら読むだけだー。
■あらすじ
アウラを先行させてダークエルフの村へと上手く入り込んだアインズはそこでアウラとマーレに友人作りを促しながら情報収集に励む。しかし、法国がエルフの国を攻めたことからダークエルフも兵を出すように召集の話が来てしまい、アインズたちはダークエルフの村を出てエルフの国へと向かうことに。
そこでいいところ取りするはずだったのだが、エルフの王・デケムに見つかってしまい、オッドアイからアウラとマーレを自分の孫と勘違いしたデケムがアウラに触れた瞬間、仲間にとって子ども同然の二人に邪な感情を持って触れたことに激怒したアインズとの戦闘が開始される。
■感想
前回に引き続き、オーバーロード新刊で下巻。
発売日に買って結構早く読み終わっていたのだけど、私がパソコンに向かう時間を取れなかった。だって、最近ほとんどの時間を睡眠に費やしている気がする……夏の体力回復は寝るしかないんだ。
さて、上下巻読み終わって面白かったかと訊かれると難しい。私はドワーフの国辺りまではすっごい好きなんですよ。今放送中のアニメ4期はため込みながらも観ていますが、俺の好きなシーンほとんどカットって……くそぅ。ほら、お前たちはぶくぶく茶釜の特別とか冒険者組合での会合で奥の部屋に隠れていた男がいて……な話とかさ。
ダークエルフの村では野伏として強者のアウラを信者のように慕うコミュニティができていたり、初恋だというブルーベリーの存在があるが、ここで一悶着は特になく、アインズ様と薬師頭の調合講座がメイン。もっとたった一人の異物に閉鎖された村の勢力バランスが崩れていくとか私の好きな展開を想像していたがそんなことはなかった。アインズ様がモテモテで終わった。
アウラとマーレの友達作りは……なんかこう、親の思惑通りに行かないというか、リアルでしたね。友達ってなろうとしてなれるもんじゃないじゃないですか。育った環境とかフィーリングとか、それ以前に対等――少なくともそれに近い存在とでなきゃなれないもんだと思うんですよ。この辺はアインズ様の目論見自体が見当違いだわなー。
薬師頭との日々を楽しんでいたアインズはダークエルフの元にエルフから召集が来たことから、村を後にして法国に攻められているエルフの国へ。攻められているエルフの国に潜入してめぼしいアイテム奪っちまおうぜ作戦のため、武装変更したアウラとマーレに完全不可知化(パーフェクトアンノウアブル)で存在認識させずにくっついていくんだけど……この手の魔法が私は嫌いでな。いや、便利すぎてつまらないじゃないか。現にこの上下巻で乱用しすぎだと思うんだよ。だから戦闘前なのにテンションが上がらない。
アウラが先導しているにも関わらず、侵入を察知したエルフの王・デケムがやってくる。
私、前回の感想でこいつに触れていなかったが、所々で触れられていた女という女に孕ませて自分の強さを引き継ぐ子孫を作ろうとしていた王様ね。子どもを失った母親をすぐに孕ませようとしたりとか、この国のデストピア感ハンパねぇが、王族の証とやらのオッドアイであるアウラとマーレを見て自分の孫だと思い込む。
威圧してもなんともない二人に気を良くして、じゃあアウラをいたそうかなんてぶっ飛んだ思考をみせてくれますが――最初ここを読んだ時状況がちょっと理解できなかったんだよね。アウラとマーレ、デケムが会話している最中にアインズ様が戦闘に向けて隠れて魔法を詠唱するんだけど、その言葉が並列して書かれるからこれはアウラが言ってんの?みたいに困惑したんだ。初めは魔法名だけしか言わんから、あとになってアインズ様かって気づいたんだ。読解力低いと言われれば否定できないが、ちょっと分かりにくかったんだよ。
自分よりも遥かに強いベヒーモスを召喚してくるデケムとアインズ様の戦闘は、アウラとマーレが怖いというほどあと少しで勝てると思わせる力量で戦い追い詰めていくが、自慢のベヒーモスを潰したことで戦意を失ったデケムは脱兎の如く逃げ出してしまう。
アインズとアウラはアイテム回収、マーレが追撃に出るんだけど、デケムは逃げた先で待っていた絶死に殺されてしまう。
ここからは絶死のターンなのだが、装備変更したマーレは今回の表紙のようなドスケベ装備なのにタンクができるという強さ。デミウルゴスたちが殲滅ならマーレみたいな言い方をしていたのがよく分かる戦闘でしたね。絶死のことがよく分からないままでこの戦闘に突入してしまったのが悲しい。アインズやシャルティアが使う技を切り札として持っていたとは言え、絶対強者の傲りもあってマーレの物理攻撃で追い詰められていく姿はもうちょっと頑張って欲しかった。絶死のデケムへの恨みとか母親への感情はもうちょっとちゃんと知りたかった。
でもなー、私もFF10でユウナの通常攻撃9999とかバカなことしたからなー。魔法職の物理最強には浪漫があるんだよなー。
マーレの小災厄(ぷちカタストロフ)を使ってもしななった絶死はナザリックに回収して記憶を覗かれる。そしてアインズ様が法国とシャルティアが繋がってしまったため、今やっていることを全てうっちゃって法国攻めに出ることになるってところでお終い。
アインズ様にしては珍しく即断だが、この辺は次巻でじっくり語られるのかな。
あとがきからあと2巻で終わりとのことだけど、これ終わるのかね? 今回アインズ様がなんとなく例えでアルベドの裏切りについて言及したことからアウラとマーレにそれが有り得ると布石が刻まれた。アルベドもアインズの激高がやましい心ありで自分を対象として勘違いしたのも完全なるフラグだろう。法国戦にナザリック内部騒動は確実だが、リクやイビルアイたちとの因縁もあるしもうちっと続けていいんだよって言いたい。早く、たくさん出ると嬉しい。今回のダークエルフの村のことも繋がっていかないなんてないだろうしなー。
というわけで今回の上下巻は、マーレと絶死戦は面白かったけど、ダークエルフの村とアインズ様戦闘は僕的にあまり。今後の布石なんだろうなー程度で、ラナーとかブレインはどうなったの? 今のナザリックについて知りたいんだが、ってモヤモヤしたな。王国を潰したのに触れられないんだもんよ。
このあと改めて全巻読み直したけど、寄り道的な話しが好きなので今後に期待したい。でも、あと2巻かー。
では、今回のお気に入りへと行きたいところだけど今回は特になかった。マーレと絶死戦全体かな。余裕か増していた絶死をマーレが淡々と追い詰めていく様子はさぞきょうふでしかなかっただろうなー。
オーバーロード16 半森妖精の神人 [下]
丸山 くがね (著), so-bin (イラスト)
KADOKAWA (2022/7/29)