「誰のためでも、同じことをするわ。私は誰も、特別扱いしない」
やっとのことで行った今年初映画は『BLUE GIANT』でした。もうそろそろすずめの戸締まりも行かんととは思うのですが、今作は何が何でも映画で観たかった。テレビで観るのはやっぱり違うだろうと。
私の原作歴は4巻あたりまでだったのでちょうどバックボーンは知っている感じで……そして終始アキコさん気分で観てた。音の熱さとか分かるほど耳が肥えてるわけじゃないけど、玉田のドラムが良くなっていく様子とかやっぱ音がいいんだよね。ライブ中のCGの違和感はハンパないけど、観に行った方がいいと大手振ってオススメできる作品でした。
■あらすじ
“パパの戯言”と“ママの法則”を携えた女子高生・玖渚盾は人類最強の請負人・哀川潤に誘拐されて玖渚機関が持つ世界遺産・玖渚城に連れてこられてしまう。
そこで待ち受けていたのは母親・玖渚友のかつての姿と同じ青髪青眼の少女・遠と近、初めて会う祖父母からかつて母が打ち上げた人工衛星の修理を依頼されるという無理難題だった。
家族を家族とは思っていないかのような玖渚一族に直面することになった盾だが、この場から逃げる前に自分が泊まるはずだった部屋で殺人事件が起こってしまう。
■感想
ちゃんと買ってました戯言シリーズ最新作にして正当続編、いーちゃんと友の娘・盾ちゃんの話。
――いや、盾ちゃん可愛すぎんか!? これはヤバい可愛い!なノリで表紙買いでしたね。発売日には買っていたから読み終わって少し時間が経ってしまっているんだが、えっちゃら感想行きますか。
始まりは交通事故。
実家に帰ろうとする盾ちゃん、いーちゃんたちに会えるんかという期待を裏切り、盾ちゃんが哀川潤が乗る車に轢かれて重傷を負うところからである。
哀川潤のインパクトは変わらんな。私は戯言シリーズ自体は全部読んだんだが、最強シリーズは読んでない。戯言シリーズも大分昔だし、クビシメロマンチストが好きだった気がするけど細部というか大雑把にも覚えていないのであしからず。
自分を轢いた相手だろうと盾ちゃんは哀川潤のことを両親から恩人であることを知ってたし、自分の名前の由来になった人だから悪印象はない。ここでの二人の会話は小気味よくて好きですね。哀川潤を通して盾ちゃんがどんな人物か分かるのだけど、物凄く化物語っぽさを感じたかな。
化物語も途中までしか読んでいないけど、何と言えばいいのか、語り部の脱線というかフェチシズム的な部分が長いと飽きてしまうとこがあって序盤は「ああ、いーちゃんの子だな。妙なこだわりあるんだよな。こういうところは阿良々木さんもだよなー」くらいで正直思い出補正が強いのは否めなかった。
盾ちゃんはメイド見習いの千賀雪洞、従姉妹で玖渚友のような青髪青眼の姉妹・遠と近、伯父の直、祖父母と出会うことになるのだが、請負人は世界遺産を壊さないためにと一緒には居ない。勝てる気がしない。
しかも、玖渚友が打ち上げた人工衛星を直せとか言ってくる始末、あの玖渚友の子どもなのだからと持ち上げられることから逃げてかつて母が入っていた座敷牢に引きこもったわけだが、ここが曰く付きだった。
かつてここにいたのは玖渚友ではなく弟の焉。焉の亡骸から作られたクローン人間が遠と近。二人でなんとか人工衛星は保たれてきたけど、もう保たない。
遠ちゃんはかなりズバズバ言うので盾ちゃんとの会話が好きですね。ひいさま、なんて言いつつバカにしているのかと思えば尊重してるし、近のこともぞんざいなのかと思えば……である。
そう、殺されたのは近の方。彼女に関してはどんな子なのか分からないまま首を切られていた。
盾ちゃんは名探偵じゃないからいっぱい間違えるし、遠と近が入れ替わっているという推理も外してくれるけど、捜査中も盾ちゃん遠ちゃんの会話が愛しいのだった。これが百合の良さというものかw
解決パートで明らかになるのはママの絶対法則『機械に触るな』の意味。
戯言遣いではない盾ちゃんには動機を語らせることが出来ないのだけども、人工衛星のリモコンに触っただけで壊した。
そう、だから機械に触るな。
玖渚盾は機械とっての天敵であり、人工衛星は盾を狙うかのように玖渚城に落ちてくるのだった。
結果は通りがかった請負人が助けてくれたのだが、祖父母からは絶縁、直が盾ちゃんの使い道に思考している間に遠ちゃんに逃がして貰って脱出した盾ちゃんは請負人の車で帰路につく。
犯人――てか、ぼかしても出てきてない人物でバレバレなのだが、動機とか両親の言葉を思考したりして終わりになるのだが、遠ちゃんとの別れの言葉尊すぎない? 機械使えない盾ちゃんのために手紙書いてくれてさ、手鞠唄で遊ぼうの約束だぜ?
うむ、この二人のために次も買おうと思ったのだったw
冗談はさておき、面白かったですキドナプキディング。
戯言シリーズ履修は必須ではないけどしていた方が望ましいのでハードルは高いけど、肩肘張らずに楽しめる作品だったかと。
さて、今回お気に入りへ。
最後の大一番、犯人に対して自首を望む盾ちゃんの心境を。
舌先三寸口八丁。
立てば嘘つき座れば詐欺師、歩く姿は詭道主義。
玖渚友の娘であり――戯言遣いの娘。
もうこういう表現好きすぎてわっくわくだった。
詭弁を弄せ、舌先三寸で立ち向かうのが最高に格好いいとおもっている人間だから、フェチ感強い展開があっても西尾維新作品は読みたくなるんだよなー。
キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘
西尾維新 (著), 竹 (イラスト)
? 講談社 (2023/2/8)