2025年01月02日

グランメゾン・パリ



 世界に、挑め――。


 謹賀新年。
 僕のお正月は家族と過す――いや、家を空ける家族の代わりにお留守番要員なのですが、ちょいと映画が観たかったので半日だけお出かけしてきた。
 正月の映画館っていいね。ちょうど初売りだったりして駅弁フェアとか家族が食べたいと言ってた鯛焼きとか買ってたらびっくりするくらい金を使ったらしい。普段ケチな俺が。
 ケチというかだな、自分の物欲は際限ないのでセーブするけど家族が喜ぶことに金を惜しむ必要はないだろ、と兄に伝えると胡散臭そうな顔をされたさ。

 でもな、この話には続きがある。
 兄の高校時代の元彼女をなんやかんやあって僕は家族認定しているので、定期的に兄の情報流してたりするんだなー。姉貴のためだ、いくらでも骨折るぜw



■あらすじ
 グランメゾン東京で早見倫子に三つ星を獲得させた尾花夏樹は、今度は自分がシェフとして倫子をスーシェフにしてフランスでグランメゾンパリをオープンさせる。
 だが、本場フランスでの三つ星は簡単なものではなく、尾花は再び二つ星を超える評価を得られないまま、料理だけでなく仕入れの問題などがあり上手くいかず、辞めると言う倫子を引き止めもせずに別れてしまう。またテナントを貸してくれているレストラン「ブランカン」のルイから立ち退きを求められ、次のミシュランの発表までという猶予をなんとか得る。
 一方、尾花と厨房で何度も衝突していたパティシエのユアンも問題を抱えており、その問題に店が巻き込まれてしまうのだった。


■感想
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 本来は公開日の仕事帰りに行くはずだったのですが、ちょっといろいろあって行けなかった。まあ、朝イチの映画館の方が好きだ。そんでもって僕は座席は結構前に取ります。満員じゃない限りは視界に他人が入るの嫌っていう人嫌いっぷりよ……。

 さてはて、実は公開をすごく楽しみにしていた映画です。
 何度か書いたけれども、母が木村拓哉さんのファンであり僕はわりと作品は観ている方だと思う。木村さんのドラマだからどうこうというよりも、キャストがベテラン多いから観ていて楽しいんだよね。

■グランメゾン東京
 だが、この映画の前、ドラマ『グランメゾン東京』はちょいとスタンスが違う。あらすじからして『二ツ星の料理人』に似ている。
 シェフとしては最高だが人間性は最悪の料理人アダムとフランスで日本人ながら二つ星を取れるほどの腕前を持つが、厨房では傲慢でありアレルギー物質混入に暴力事件まで犯した尾花夏樹。うむ、似てる。

 僕はこの『二ツ星の料理人』が大好きでな。
 僕らのシェフは自分の腕前に絶対の自信を持つけれども傲慢で独りよがり。いつまでも三つ星が取れないアダムが仲間に裏切られたかと思えば、やっぱり仲間に支えられて少しずつ心を開いていくんだ。人生の全てを料理に捧げろと強要するところもアダムと尾花は共通していると思う。

 こんな風にドラマ時代は似てるなーと思いながら観てたんだ。
 けれども、ドラマの方は店を作っていくのがメインだったから関係者に映画好きな人が居るんだろうなくらいの感覚であり、これはこれで面白かった。早回しで料理を作る過程を演出するのは観ていて気持ちいいしね。
 ま、最後の三つ星獲得はできすぎていて多少鼻白んだが。

 ここまでが連続ドラマ版『グランメゾン東京』。
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■スペシャルドラマ『グランメゾン東京』
 次は映画上映前日に放映されたスペシャルドラマ版。
 簡単に説明すると、コロナ禍で飲食業界全体が大打撃を受ける中で倫子は大手企業と資本契約を行い、冷凍食品やレシピサイト、タレント業などなどを行ってなんとか店を守っていたが、ついにグランメゾン東京は星を全て失ってしまう。そんな中で消えていた尾花がグランメゾン東京を潰すためにライバル店のスーシェフをしていて回帰を目指す。

 てな感じな話なのだが、これを観た僕の感想は勿体ないなだった。新キャラ湯浅の真意がよく分からん。最終的に尾花とグルでしたーなのだが、湯浅がシェフなのにスーシェフの尾花ばかりが評価されることに対して悔しげなところはあったが、彼がなにをしたかったのか分からんままグランメゾン東京入りへ。
 代わりに自由になった倫子さんが尾花のスーシェフとして、京野と相澤と共にパリで姉妹店を開くことに。あ、今回の一件でシェフになった祥平などのドラマの仲間たちは東京の店を守っていく。

 注目したいのは料理には本気、そして仲間を信じるからこそ突き放して発破をかける尾花というドラマからの成長があるのが良かった。尾花は年長者であり祥平の巣立ちを見守りながらも、自分の諦めきれない夢を追いかける姿は良かったと思っている。


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■グランメゾン・パリ
 さて、やっと映画の感想だ。

 正直に言って、序盤はかなり説明不足だと思う。
 尾花がまた二つ星止まりだったこと、仕入れ業者に舐められていて満足のいく食材が手に入らないこと、大切なガラディナーで失敗する、という展開が一気に進む。
 ここな、初めのワンマンシェフに逆戻りして回りの意見を一切聞かない尾花に戻っていた。何故であるか。
 そもそもガラディナーってなんや?状態だった自分は倫子さんが病み上がりという情報を大して気に留めていなかった。俳優の鈴木京香さんが休業してたことか?と繋げて流してしまっていた。ここ超重要だぞ。

 その後、倫子さんが辞め、落ちていくグランメゾン・パリにテナント契約の終了宣言。どんどん追い詰められていく尾花だが、パティシエ・ユアンがヤバいヤツらから借金をしていることを知る。それも料理の研究のためという料理バカっぷりが尾花並みの人物だったからこそお互いに衝突していたことが分かるのだが、借金取りの店襲撃後、借金取りたちはユアンを家で縛り上げて放火してしまう。間一髪助け出せた尾花だが、問題は近くのチーズ工房が被害を受けたこと。それら全てをグランメゾン・パリが買い取ることを決めたことから流れが変わっていく。

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 母が買ってこいと言ったパンフにて、料理監修の小林圭シェフが「パリで店を出すには営業権を買う」「仕入れは市場の人たちとの関係性を築き信用を得る」と発言があったが、ここが今作の一番面白いとこ。

 肉はなぜか――裏で倫子さんが頑張っていた――いいものを降ろしてもらえるようになったが、魚と野菜がダメ。けれども、ユアンの一件でチーズを全部買い取ったことが市場の人たちに知られて関係性が築けていく。
 店のメンツとの和解――一緒に飯を食おうは二つ星の料理人を思い出させるが、クロックムッシュ美味そう。ビーガンに配慮したハムなしも作るところはさすがでした。

 そこから新メニューの開発、ホールスタッフとの連携という我々客には見えない努力の様でわくわくしてくる。
 その結果が、リンダとブランカ親子を招いた食事へ。特別扱いをしない全力で向かっていく様子は是非本編で。

 パンフの話に戻ると、このコースでリンダが語った内容が食事と共に載っている。これ、もうちょっと本編で語った以外があったら最高だった。『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のパンフみたいにクロックムッシュのレシピとか載っていたら神だったね俺的に。

 結果はドラマ版と同じような印象を受けましたが、概ねいい物語でした。欲を言えばもっと東京組との絡みが欲しかった。尾花のお願いも祥平じゃなく湯浅がキャッチしてしまうとドラマで積み上げてきた関係性が勿体ない。尾花さん尾花さんだった祥平はシェフになったら協力的じゃなくなるとか悲しすぎる。
 あと倫子さんを巡る人間関係についてはパンフ参照。まぁ、倫子さんを好きだった京野云々とかは物語には必要なかったので切られたのだろう。これは大人になっても本気で夢を追いかける人たちの物語なのだから。

 最後に、絶対味覚のようだった倫子さんを襲った病はコロナだった。コロナによる味覚障害。
 これにはガツンと殴られた。幸いにも私はコロナを患う事がなかったのだが、味覚障害が長く続くとは聞いていた。飲食業界を襲ったのは外出禁止だけでなく、料理人自身に対しても深刻だったなんて気づいてもいなかった。だって俺、コロナ禍でも休み一切なかったからね!

 いやー、新年一発目からいい映画を観られました。
 今年こそ、月イチ映画館の目標を達成したいですね。

 では、ここいらで今回のお気に入り。
 耳で聞いただけの抜粋ですが、ルイより尾花にパリでの三つ星を諦めさせろと言われた倫子が説得する時の会話から。倫子は尾花に星を獲らせたい。けれども、これ以上苦しませたくもなかった。


「パリに行く前、俺に言ったよな? 終るわけねぇだろ、こんな面白ぇことって」


 スペシャルドラマ版の終わりで倫子が尾花に言った言葉ですね。上手く繋がっているので履修はきちんとしていった方がいい。






グランメゾン・パリ
公開日2024/12/30

posted by SuZuhara at 22:27| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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