2021年06月06日

砕け散るところを見せてあげる



 俺はただ、玻璃を守りたいだけだった。玻璃しか大事じゃなかった。


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 うぇーい、なんとかふじのんの召喚に成功しました!単体宝具アーチャーってあんまり持っていなかったので速攻で育てましたが、あれだな、FGOを辞めるのがまた遠ざかったな。辞めたくないけど、結局時間ばかり取られてしまうのは……ぐぬぬ。
 もうすぐ六章も公開ですが、月姫発売の方が嬉しい。けど、遠野家の話は入らない、だと……私は月姫自体はやったことがないのですが、どう考えても秋葉派だと思うんだよなぁ。
 てわけで、PS4版を予約済みです。もしかしたらFGOコラボもするかもしれないのでえっちゃら続けてます。


■あらすじ
 大学受験を控えた高校三年生の濱田清澄は全校集会でいじめられている一年生の女子生徒――蔵本玻璃の存在に気づく。たまらず助けに入った清澄だが、それまで反応らしい反応をしなかった玻璃に絶叫という拒絶をされてどうすればいいかわからなくなる。友人から関わるなと言われても気になってしまう清澄は勝手に玻璃の隠された靴などを回収したりしていたのだが、ある日、玻璃がトイレの掃除用具入れにずぶ濡れの状態で閉じ込められていたところを助けてから玻璃は少しずつ清澄に心を開いてくれるようになる。
 ヒーローを自称した清澄との会話から玻璃はいじめを行うクラスメイトに立ち向かったことでいじめは一端終息していくのだが、清澄は「全部UFOのせい」と言う玻璃の言葉の本当の意味に、玻璃に関する本当の問題について知ることになる。


■感想
 映画館の番宣で気になっていたのですが、どうにも時間が取れずに観に行けなかったので原作を読むことにした。竹宮ゆゆこさんって『とらドラ!』の方だよな。電撃文庫のイメージが強かったのですが、今はこっちで書いているんだな。最近は全然ライトノベルどころか本自体を読めていなかったのでこの辺りの動きが全然分かってませんな。

 さて、どこから始めようか。
 UFOがどうたら、という話から始まるのでちょこちょこ混乱しますが、わりと早い段階で高校生の清澄が過去の時代であることは分かった。
 辻褄が合わないからだ。初めに高校受験間際で父親と同じ大学に行くんだと意気込む青年の言葉と清澄の言動はちょっと食い違っていた。いる、ように私には感じた。

 清澄にとって父親はヒーローではない。
 清澄の過去、いじめのような経験についての話で携帯が出てこないこと。

 後者が一番の違和感だった。だって、僕の高校時代だって携帯は重要アイテムだった。今はLINEのグループが高校入る前からあるとかなんとか……人嫌いには怖すぎる時代だわな。
 待ち合わせで待ちぼうけなんて経験は携帯さえ持っていればあり得ない。だから、これは過去の話なんだなって思った。清澄本人はヒーローに固執しているわけでもないし、冒頭の人物とは違うなって。

 だが、ここではそんなことは気にしない。
 まずは濱田清澄と蔵本玻璃の話だ。清澄はいじめの現場を見てしまったことから見捨てるなんてことはできなくて、玻璃のクラスを訪れるようになる。
 初めは玻璃のことが全然分からなくて、清澄を拒絶する様子から「くらもとニードル」なんて呼んでいたりと清澄と同級生たちの会話は面白い。
 単語を並べるように短く話すくせにしっかりと見てる尾崎や「くら・もとはり?」とかふざけて言ってくる清澄の味方である田丸の存在は本当に愛しいよな。友達ってたくさんいらないんだよ。一緒にいて楽しいな、ずっと続けばいいなって思える少しの人でいい。

 女子トイレの掃除用具入れに閉じ込められた玻璃を助けたことから清澄と玻璃の距離は近づいていく。
 玻璃は清澄をいつも睨んでいたけれども、それは清澄がそう思っていただけで本当のところ玻璃は清澄に感謝していたしずっと拒絶したことを謝りたかった。
 それを伝えるというか、冬にびしょ濡れ状態の玻璃が堰を切ったように話し出すシーンは清澄でなくても「よく喋るな」と言いたくなるw
 濡れたままでは帰れないという玻璃のために清澄は知り合いのクリーニング屋のおばちゃんに頼んで乾かしてもらうのだが、……本当になぁもう、玻璃が可愛かった。清澄に完全同意。でも、俺は尾崎姉妹派です。

 これ以降、清澄は玻璃の登校前に待ち伏せするようになるのだが、玻璃が掃除用具入れに閉じ込められたかもと助けに行ってくれた同級生がいた。尾崎妹である。後輩たちからの清澄の渾名であるヒマセン呼びしながらも、玻璃を助けたこと褒めてたり、自分も玻璃の眼鏡拾って届けてくれたりする。
 この辺りでなんか上手く行きそうな感じだったが、玻璃の教室で一波乱ある。詳しく言うと、いつも黙っていた玻璃だったが庇ってくれた尾崎妹が攻撃されたことで立ち上がり、清澄が顔面で投げられたおはぎを受け止めたところで教師が介入し、明るみに出たことでいじめは一端終息する。

 しかし、本当の問題はここではなかった。
 玻璃の口から語られる家族の話、玻璃がいじめられるきっかけとなった夏でも肌を晒さない変な格好でクラスがそういう雰囲気になったという。しかし、手は一切あげていないという。なのに、玻璃の身体には暴力の後がある。
 清澄も気づいたから玻璃の父親と接触するわけだが、ここでの清澄の母の機転は本当に頭が下がる。自分だったら絶対にここまでできないが、すぐさま察して数分の会話で必要な情報を引き出した。
 清澄も確信する。玻璃は父親から暴力を受けている。

 この一件から清澄は玻璃に拒絶されるようになる。
 尾崎妹が好意を向けてくれるが、それを喜ぶ暇もなく玻璃の状況は悪くなっていく。
 だから、「逃げろ」と伝えにきた玻璃がボロボロの状態で現われても驚きはしなかった。
 玻璃の父親によって清澄と母親は命を狙われることになる。清澄は逃げるのではなく、玻璃の父親が沼に沈めたスーツケース――静かになった祖母入りを探し出して警察に突き出すことを計画するが、まぁ、ここは案の定。出て行ったはずの母親が入ったスーツケースが発見されるわけですなぁ。

 ここから父親に見つかり――なシーンは堤真一さんが父親役と知っていたので観てぇと思いながら読んでた。
 UFOを撃ち落とす。ヒーローは自分のためには戦わない。だから、玻璃は清澄を助けるために行動した。

 そこからは少女Aとなった玻璃と自分にもUFOが見えるようになった清澄の話。
 清澄は名前が変わった彼女と出会い、結婚するがいつも不安がつきまとう。彼女が消えてしまいそうに思っていた。
 そして、沈むワゴン車の現場に出会ってしまう。真冬の川に飛び込み、子どもが生まれる前に自分が死ぬことになっても助けた。そうして、清澄はもう一つのUFOを撃ち落とした。

 このUFOという比喩にはいろんなモノが込められている。
 私のUFOに関する考察なんて誰も聞きたくなりだろうから省くが、ここから先の話、清澄との子ども――真っ赤な嵐が生まれてからの話。
 父がヒーローであると聞いて育った真っ赤な嵐は、自分の職業をヒーローとして警察官になろうと決める。けれども、清澄と母――玻璃の過去がその将来の邪魔になる。だから、息子に過去を告げるという流れ。

 さすがに最後の最後まで書いてしまうのはナンセンスなんで書かないが、清澄母は本当にいい人だなぁ。田丸や尾崎ももっと出てきて欲しかった。

 なんというか、読み終わった後は久々に充実した読了感があったな。読書が楽しかった。どうすれば良かったなんて言えないほど物語は始まった時から詰んでいて、それでも足掻いた結果紡がれた愛の話だったんでしょう。……まぁ、愛の件は僕には難しすぎるのですがね。
 うん、映画の方もDVD化したら観ような。このトリックのような書き方をどう表現するのか興味がある。

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 そういや、私が買った本には映画のカバーがしてありました。
 愛用しているブックカバーもさすがに十年以上使っているので大分ガタが来ているのですが、同じモノが手に入らないか必死に探していたりする。

 
 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回は清澄が学校を休んでいる玻璃を探しに家に行った時に清澄が思っていたことを。


 玻璃が信じてくれるなら、俺は変身でもできると思った。玻璃が信じるものに俺はなれると思った。ていうか、なりたかった。なりたいんだ。今もなりたい。ただそれだけだ。


 玻璃を鼓舞するために言ったヒーローという存在に清澄はなりたかった。玻璃のためだけになりたかった。
 ヒーローなんて大人になったらそんな言えない言葉をこんなにも誠実に求められるほど、人を好きになれるなんて。そんな相手は絶対に忘れられないし、本気で助けたいって思うよな。なにを犠牲にしたってさ。





砕け散るところを見せてあげる
竹宮 ゆゆこ
新潮社 (2016/5/28)
posted by SuZuhara at 13:11| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月02日

ロード・エルメロイU世の冒険 1巻「神を喰らった男」



「審神者として、エルメロイU世が神の名を審らかにする」


 年末からまとまった休みなんてもらってなかったこともあり、ちょこっと休みをもらったので積み本を読むよ。撮りだめしたシンプソンズのシーズン31も観るよ。もうこれだけで僕は幸せなのだった。
 いやー、実際に小さめの音で音楽をかけて、犬の寝息を聞きながらの読書は良かった。携帯の呼び出しもログインもミッションも気にしないでいいのは素晴らしい。
 年始にはFGOで村正課金してしまったからな。簡単には辞められないのだ。


■あらすじ
 講義のためにシンガポールへ訪れたエルメロイU世はそこで内弟子のグレイに「教師をやめるつもりだ」という心内を告げる。その内容にグレイが驚く暇もなく、エルメロイ教室の生徒が海賊に捕らえられたというメッセージを受け取って救出へと向かう。
 しかし、乗り込んだ海賊のアジトで出会ったのは六本の幻手を持つエルゴという青年と海賊のコンサルトをやっているというエルメロイ教室の生徒・遠坂凛だった。
 凛が拾ったという記憶喪失の青年・エルゴに自分と近しいものを感じるグレイとエルゴに助言をしたことから「旅が終わるまで」という期間限定の教師と生徒となったことからエルゴに関わるとある三人の魔術師の実験に巻き込まれていく。


■感想
 発売日には買っていたけれども、やっぱり今まで読めてませんでした。いやー、凛が出るのは知っていたけど士郎もいるんですね。この時代のロンドン読みてぇ。ライネスもいて、凛と士郎は恋人じゃないまま来てるからルヴィアとの取り合い激化とか最高じゃないですか。エルメロイ教室の聴講生になりてぇ。

 あとがきに書かれたことを最初にあげておくと、この世界線――ルートはセイバー、凛、桜のどれでもないという。いずれ解体戦争に至る独自ルートなんだと。
 おおう、いいないいな。どれか明言すると未来が決定されてしまうけど、解体戦争は是非とも読みたいけどあるかもしれないぐらいのレベルがいい。結末を受け入れられるとは限らないから、それくらいの余白があるといい。

 さて、本編へ。
 始まりは海賊アジトへの強襲から。
 U世がいる時点でヤルグなる坊主がグレイであることは言わずもがな。遡ることちょいと前でU世とグレイがシンガポール料理を楽しんでいると、生徒が海賊に捕らわれているという手紙を受け取ってきたというわけ。

 まぁ、読み進めているとひしひしと感じるものがある。用意周到な結界、グレイの知らない体術、そして「――Anfang」の詠唱。
 ああ、これ凛だわ。誘拐とかない。これ、自分から首突っ込んでるわ。と僕らは一瞬で理解するでしょうな。彼女はそういう人だ。
 しかし、グレイは凛と面識がないからU世の制止の声にも止まらずに攻撃しかけるが、そこで本作のキーマンであるエルゴ青年の見えざる手・幻手によって絡め取られてしまうのだった。

 再開して話を聞けば案の定、凛は目当てのものをサルベージするために海賊たちに協力してギブアンドテイクでコンサルタントなることをしていた。後々になって分かるけど、この海賊には孤児が多く、そのこともあって凛は生きるためにサルベージ技術や果物の栽培などなどを教え込んだ。
 ここを指摘されての凛の返答は、ああこれは凛だわ、って嬉しくなるくらい凛だった。

 話が反れましたが、U世の前でエルゴと凛の模擬試合のようなものをやってU世が教師として敏腕っぷりを見せてくれる。観月法っていう瞑想は初めて知った。読んでからやってみたけど、僕には合わない。月を徐々に大きくするんじゃなく周りを小さくする想像しかできなかったんだ。月の大きさは常に最大。だから周りを最小化させようみたいな。……むぅ、俺の人間性が出ますね。

 ここで重要なのは、凛とグレイの会話でグレイとアーサー王が似ていること、凛とU世が聖杯戦争の参加者、グレイの成長が止まっていること、エルゴが教師を辞めようとしていたU世の期間限定の生徒になったこと。
 ゆっくり話を聞きたいところだが、アトラス院からエルゴを渡せと骨の巨人が現われる。
 ここでvs骨軍団が始まるわけだが、初戦はよう分からんままに終わる。
 グレイの抜錨前に敵の魔術師・ラティオがU世の首に剣を突きつけて交渉。グレイの宝具を懸念してだったが、最終的に乱入した鷹によってエルゴの頭がぴゅー。うん、ぴゅー。
 結果としてエルゴが頭半壊だったはずなのに、島が手の形に潰されたとか云々と言われたら、魔術ってすごいなぁと理解を放棄する。

 むしろですね、僕はアトラス院が苦手なんですよ。彼らが出てきた時点で半分ほど理解を放棄する。魔術協会とかは受け入れられるのに、不思議だね。
 ってわけで、細かく理解はできていませんのでざっくりと。

 曰く、エルゴとは神を喰らった男なのだという。
 アトラス院と彷徨海バルトアンデルス、そして――な三人の魔術師が太古の実験で作りあげた存在。
 エルゴが常にお腹が空いているのは、神を喰らったせいでそれ以外のものでは満たされない。ある意味神に近しい存在を内に秘めているグレイを見ると食べたくなってしまっていた。

 仕切り直しの第二戦はおもろいっすな!
 凛が率いる海賊たちとも協力して敵地へ向かえば、そこには凛が探していた沈没船。
 ラティオと骨の巨人・タンゲレとの戦闘はロンドミニアドすら囮りで、フラットのハッキング、凛のアベレージ・ワンとしての万能性を前面に出しての勝利。ああ、エルメロイ教室総動員な戦闘見たいな! 士郎が戦うのも是非見たい!!
 そして、ラティオからエルゴの記憶飽和――内にいる神の存在が大きくなればなる程自身を失う状態をどうにかするには「神を還すしかない」と助言をもらうが、ここで鷹さん乱入。なんと仙人だという。項羽も虞とも知り合いとか――今回は中国系で来るんですかね。U世が孔明だしでFGO的に見ると面白い。

 ほんとざっくりなんだけど、かつてエルゴで実験していた三人の魔術師はエルゴに対しての干渉する順番を決めていて、一番はラティオのクルドリスだったんだけど、助言が協定違反となり二番の仙人・ムシキに移ったと。
 ムシキは真っ白の炎ような人になってエルゴにグレイを喰わせようとするが、エルゴはそれに耐えてみせ、ラティオと組んで即席連合軍へ。
 アトラスの高速演算による未来視のような指示に従い、グレイはムシキに立ち向かうが相手が強すぎる。ゲームならこれ負け戦闘?って思う展開だが、これは耐久戦である。

 U世がエルゴに個人授業をする形で、エルゴの中にいる神を問う。
 エルゴの中にいたのは、斉天大聖孫行者。

 この辺りの詳しいことは一読じゃ分かり切れていない。エルゴはキーマンだから明かされきれていないし。凛が目立ちすぎるからエルゴ自身の印象があまりないのですが、次の舞台は東京だとか。
 しかも、最後に橙子さんから両義幹也宛の手紙が届くとことかめっちゃ気になる展開で終わる。
 定期的に出てくれるという信頼はあるのでワクテカ待機してます。そうなんだよ、DDDの続きとか魔法使いの夜も続き待ってるんですよ。やっと月姫がプレイできるのは朗報だけどもね。

 読み始めるとスラスラ読めちゃうので今回も楽しませていただきましたが、如何せん、魔術師たちの実験云々は明かされないこともあってむつかしいですね。物語が進めば舞台が難しくなっていくけども、前回までのハートレス並に匙を投げたくなる事情っぽくて困る。
 けど、エルメロイ教室に凛たちも加わってるし、今回は出番があまりなかったライネスとルヴィアたちがじゃんじゃん出てくれる時を楽しみに待っています。

 では、ここらで今回のお気に入りへ。
 今回は不覚にもムシキさんの格好いいと思ってしまったシーンを。
 ラティオの分割思考と高速思考による演算で散々苦しめられた後、ムシキはそれを全て簡単に受け止めた。


「つまりさ、計算に頼ってる段階で、致命的に遅いんだ。いちいち演算して行動に移してなんて手間を踏むくらいなら、最初から骨に考えさせておけよ。……で、時計塔の君主も見たよな。手を出したのはこいつら。なら、順番はご破算だ」


 俺らがボスだと思っていたのは中ボスで、しかもその後共闘してのボス戦みたいな感じでわっくわくして読んでましたが、今回は本当に「事件簿」ではなく「冒険」なんだな、と。
 相変わらずU世の解体は楽しいが、ミステリ的な要素が薄くなったとも感じた。どうなったとしても、これからどうなっていくのか楽しみにしてます。




ロード・エルメロイU世の冒険 1巻「神を喰らった男」
三田誠 イラスト・坂本みねぢ
TYPE-MOONBOOKS (2020/12/25 )
ラベル:TYPE-MOON
posted by SuZuhara at 21:56| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月26日

教場



「おまえが何をやらかしたのかは知らない。だけど、風間教官から睨まれたら終わりだ。決して逃げられやしない。かならず見抜かれる」


 謹賀新年というにはだいぶ遅すぎますが、今年もえっちゃら初めて行きます。
 と言いたいけど、去年の振り返りできてないじゃん。怠惰にもほどがある。
 言い訳をすれば年末は死ぬほど忙しかった。コロナ? 緊急事態宣言? そんなの我が社には関係ない。絶対に休ませないから給料はもらえるよ。心は死ぬがな。
 まぁ、この辺は毎度のことなので別に構わないんだけど、問題はちょこちょこ僕の認識がまた変わってきたことですね。それはまたの機会に書くとして新年一発目だし、リハビリ的に行きましょうぜ。


■あらすじ
 警察学校初任科第九十八期短期課程に入校した生徒たちは、突如入院した担任に代わりに白髪の教官・風間公親やってくる。
 過酷な訓練と授業、厳格な規律に縛られた警察学校での日々に生徒たちの神経はすり減っていくが、僅かなミスや心の緩みすら風間はすぐに見抜いてしまう。
 だが、警察学校に集まった生徒たちも一癖も二癖もある生徒ばかりだった。


■感想
 今回はお正月ドラマでやってた『教場』。私は去年……というか、まず我が家は生粋の木村拓哉さんファンの家庭だ。僕? 僕に他人の区別ができるわけないじゃないですかぁ。これは冗談だけど、私は役者さん自体というよりもストーリーを重視するタイプなので誰のファンとかいうのはない。結果的にこの人が出てる作品好きだなぁってなるとファンになるって感じ。もたいまさこさんがそう。

 とまぁ、こんな感じで家族が大ファンだから一緒に教場を観た。去年のはもう時間が経ってるので細部怪しいけど、だいぶインパクト強く作られてるんだなと思った。すぐ退校届突きつける、とか。原作読むとそんなに突きつけてなかった。
 去年の段階で職場の人に原作を勧められてたんだけど、コロナもあって去年はほとんど本を読まなかったからな。去年の1月後半から俺の地獄は始まっていたよ。まぁ、自分で仕事抱え込んでいたのもあるけど。

 そして今年、再び教場ドラマは兄貴と観た。兄貴、木村さん大好きだからな。一緒に観ながら説明を求められるんだけど、僕も原作読んでませんよ俺も初見だってば、と話している間に疑問点が出てきて、なら原作買ってくるかと全巻買ったというだけの話だよ。前フリ終わり。

 うーん、ちょっと文体が取り戻せないな。
 口調というか書き方が今やってることに引っ張られているけど、どうか許していただきたい。

 では、ここからが感想へ。


第一話 職質
 警察官で助けられた経験を持つ宮坂定は小学校教諭の職を辞めて、警察官になるために警察学校へ来た。そこで恩人・平田巡査の息子と出会い、ミスをする彼を助けるために自分もできないフリをすることで庇っていた。
 しかし、担任が替わって風間になるとそれは見破られてしまい、それだけでなく「細かなことでも報告をしろ」とスパイの真似事のようなことをさせられることになる。

 どうしてもドラマから観たから比べてしまうが、宮坂のキャラはだいぶ違いますね。
 宮坂は風間のスパイをしつつも完全なる協力者ではないのだが、宮坂にその気はなくとも平田にとっては庇われるとか憐れまれることこそが最大の屈辱であり、宮坂を拘束して事件を起こすのだが、事が大きくなる前に風間が止める。
 しかし、事がどう収まったかは次の話になって、しかも過去形で語られることになるのがなんだかなーだったが。


第二話 牢問
 楠本は「おまえが犯した罪を知っている」と書かれた脅迫状を受け取って怯える沙織を慰め支えていた。しかし、脅迫状を書いていたのは楠本本人であり、それを風間にも見破られるが、楠本にも目的があってどうしても退くことはできなかった。
 しかし、教場当番で車のワックスがけをしようとした時に押されてリフトから落ちてしまう。
 挟まったままで痛みに耐えつつも、本心を話すまで助けくれない風間になにもかも白状させられることになる。

 たぶんこの話が一番好きかなと思うんだけど、これもドラマと比べるとなぜ風間は助けなかったかというところがここで明かされないのがなぁ。
 楠本としては犯人を追いつめて個人的な復讐をするはずだったんだけど、沙織はそれとは無関係の冤罪で、親友に裏切られたということでいろいろくるっていってしまった話。


第三話 蟻穴
 白バイ警官になることを目指す鳥羽には音で速度を測ることができるという特技がある。ある日、副教官により疑惑をかけられた稲辺を助けるための証言をすることができなかった。風間に毎日書いている日記に耳の調子が悪いことを悟られないよう誇張して書いたこと、そこで聞けるはずがない音を聞いたと書いてしまったがために稲辺を見たという証言ができなかったことを看破されてしまう。
 辞めてもらう、と宣告された後で稲辺に呼び出された鳥羽は中に蟻を入れたイヤープロテクターを瞬間接着剤で装着されてしまう。

 これは、痛い。ドラマだと2の話ですね。
 鳥羽の状態は無理もないと思うんだ。一度ついた嘘を貫き通すためにもがく姿は好感すら抱くよ。私は嘘をつく人間よりも嘘を貫かない人間の方が嫌いなんでね。バレなきゃいいし、騙すなら最後まで騙してくれ。途中で気づかされるなんて最悪だからさ。
 しっかし、私も友人が蟻の解剖をするような人間だったのでわりと身近すぎて痛かったなぁ……。


第四話 調達
 プロボクサーから警察官を目指す日下部は成績に悩んでいた。周りは自分よりも若く、社会人で妻子持ちの自分にはチャンスは少ないからだ。
 そこで樫村より成績――授業の内容を先輩から予め知っておくことで授業に対応できるように調達することを持ちかけられてそれを受け入れてしまう。だが、授業で完璧に火をおこす方法を答えたことによって小火騒ぎの犯人という汚名を着せられてしまうことになった。
 しかし、アリバイがあったのでお咎めはなかったのだが、樫村との模擬交番勤務にやってきた風間によって樫村に嵌められたことが明らかになる。

 こういうのはなぁ、信じちゃいけないんだよ。
 だって、そんな美味しい話があるんならお前が独り占めしないのはおかしいだろ、って……私の人嫌いがハンパなく分かる対応だなこりゃ。
 でもその程度かな、日下部は社会人ってこともあって失敗できないという追い詰まれ方も分かるからつらい。牛蒡って、一番言われたくなかっただろうに自分で思っちゃうなんてな。


第五話 異物
 由良は訓練でパトカーを運転する時に、車内に蜂が入り込んだことから動転して同期の安村――を庇った風間を引いてしまう。
 蜂が入れられていたことを安村のせいだと思っていた由良だが、風間から「惜しい人材」としてスズメバチの巣を駆除することで恐怖心を克服すること。交通技術コンクールで勝ち抜くための徹底した指導を受けることになる。

 これは、ドラマだと自殺未遂に発展したヤツかな?
 こっちの方がだいぶ後味もいいし、最後の安村との関係もいい感じです。
 一度蜂に刺されてアナフィラキシーを気にする由良は蜂から狙われないように坊主でいるよう務めているようなヤツだったが、あることが原因で由良が乗るパトカーに蜂が入り込むんだけど、ここは納得したな。
 そんでもって風間がマンツーマン指導というのは驚いた。ほら、すぐ退校届を出すイメージがあるけど、原作だとそんな頻繁に出してないから教官らしい風間と由良のアブラ虫退治はちょっとほっこりするという謎の現象が起こったくらいだ。


第六話 背水 
 卒業間近、都築は成績優秀だったが挫折を知らないが故に警察官にはなり得ないと風間から退校届を突きつけられる。警察学校で変わっていった宮坂たちの卒業文集を読んだ都築は自分の分も書いて提出するが、そこに書かれた内容について風間はある指摘をする。

 これは背水が効いている。
 ネタバレすると、都築は文集を提出する際に終わっていなかった職質コンテストや拳銃検定でトップを取ったと嘘を書いた。いや、嘘を本当にするための背水の陣で臨んだというわけ。
 そうやって自分を追い詰め、見事総代の座を勝ち取ったといういい話だなー。

 あとエピローグがあるが、これは次の生徒を迎えるってだけなので割愛。
 だいぶドラマとは違いましたね。どっちが好きかと言われると困るが、両方触れた方が保管ができるのにキャラが違っているところが多々あるから違和感がある。
 どっちかだけでも、両方でもお好みでって感じですね。

 さて、今回リハビリなのに結構書いたからお気に入りはなしで。
 実際、付箋を使わなかったんだよ。読書も久しぶりだったからこっちもリハビリですな。







教場
長岡 弘樹
小学館 (2013/6/19)
posted by SuZuhara at 17:33| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月18日

Fate/Requiem 2巻『懐想都市新宿』



「思い出は要らない――真っ白な未来が欲しい」


 ちょいと前に知らない人からメールが来たのですが、当然そんなものはスルーである。けれども私の習性上、三回アプローチされると応えてしまう。興味が勝っちゃうんだよ。二度あることは三度なのか、三度目の正直なのかってね。
 そんなこんなで知り合った方の手伝いをしたんだけど、やー、大変だった。平日の三日間にできる量じゃなくて有給取ったくらいだ。ま、楽しかったからいいんだがね。
 


■あらすじ
 念願だった自分のサーヴァント・ボイジャーとともに聖杯戦争を終わらせるためにフユキへと向かうことを決めたエリセは、夜警の先輩であるマッキと出会い自分の過去に隠された何かがあることを知る。
 ボイジャーとの間に些細な擦れ違い、そしてぶつかり合いながらも絆を深めたところで再びンザンビが現われる。
 そして、新宿に現われた魔獣・アメミットをボイジャーとともに討伐することに成功するエリセだったが、マッキからの最後の通信で自身の出生について知ることになる。


■感想
 やー、なんとか読み終わったけれども、断然この2巻の方が面白かったですね。
 ちょっと時間が押しているので淡白な感想になっちゃうかもだけど、エリセの出生について分かったのとこの世界観に対する謎が深まった巻だった。

 物語はエリセの過去、とある革職人とそのサーヴァント・ルイと過ごした日々の話から。
 これはあれだ、PSYCHO-PASSを思い出す事件だな。その事件の被害者として捕まっていたカリンとエリセはここで出会ったのだ。
 FGOのrequiemコラボをやった身からすると、これはイベント前に読んだ方がよかったな。ルイとのことてんで分かってないからこの辺「?」だったんだ。

 エリセの方はカレンを失ったこともあり、フユキへと向かうための準備を始める。トーナメントで活躍していた牛若丸とそのマスターに秋葉原の夜警を引き継ぎ、以前エリセが住んでいた場所へと向かう。
 分かってはいるんだけど、FGOでマスターやっていると牛若丸がぐだ以外をマスターとして慕うのはすごく変な感じだった。嫌だった? いや、ぐだが特別じゃなかったんだなって少し悲しくなったんだろう。
 サーヴァントにとっては呼んでくれた相手こそマスターなんだろうけど、zeroならウェイバーとイスカンダル、アポクリファなら獅子吼とモードレッドの関係が好きだったから、他でも良好な関係を作られているところを見るとどうにも変な感じだった。

 エリセの反応から分かっていることだけど、エリセの過去には秘密がある。
 それを夜警の先輩であるマッキと出会ったことで楽しくなっていく。チトセの孫ではなく、宇津見とナミの娘と入ったことでめっちゃ重要人物、そして両親も重要であることが分かる。
 わくわくしだした辺りでコハルのお見舞いイベント。前回の感想でちょこっと書いちゃったけど、ギャラハッドがオルタであることやコハルがンザンビから受けた傷で令呪を回復することができなくなっていることが告げられる。そして、この前段階から分かっていたことだが、トーナメントでサーヴァントを失ったマスターたちが新たなサーヴァントを召喚できなくなっている。ボイジャーが最後に召喚されたサーヴァントなのだと。
 私が読み飛ばした可能性大なのだが、ボイジャーがなんの英霊なのかはっきり本編で語られたかな? FGOでは召喚できてないし、本編読んでいれば想像はできるけど、この辺ちょっと腑に落ちてない。

 ビーチに来ていたチトセにコハルをセーフハウスに匿ってくれたことについてエリセが礼を言うシーンがあるんだけど、ここでの擦れ違いがちょっと悲しかったなー。
 エリセがコハルを友達として助けてくれてありがとうと礼を言うんだけど、チトセはコハルのホムンクルスとして有用なら使えみたいに言うわけだ。
 ああ、ルキウスとチトセ好きなんだけど、マッキの言葉もあるし、いまいち信用できないんだよな。

 そんなこんなでエリセ、カリン、コハルでフユキに向かうことになるが、再びのンザンビ襲撃と魔獣討伐では2巻序盤からぎこちなかったボイジャーとの関係が深まっていく様子を見ていた者として拍手したくなるほどの絆を見てくれる。FGOコラボはひでーよ、こんなエリチからボイジャーを奪うとか。うちのエリチはスキルマ済みよ!

 終盤をさらっと入ったのは、それ以上の衝撃があるから。頼もしかったマッキですが、一人分断されて敵の手中に入ってしまう。それでもなんとかエリセとは連絡が取れて最後にエリセが人間とサーヴァントの間にできた子どもであること、詳しいことをチトセとルキウスに聞けば二人が敵に回ることを教えてくれた辺りでエリセの声は届かなくなってしまう。
 マッキの声だけ聞こえてくる中で、彼女が今まで発しなかった弱音とサーヴァントが彼女を呼ぶ名が「由紀香殿」でマッキがサーヴァントを「津田さん」と呼ぶんだぜ……。

 ああ、嘘だろ。金髪だけど生え際は茶のプリンとかもう完璧に違わないじゃないか。
 最後のマッキが幼いエリセを抱いてるイラストとかね、もう本当にダメだ。

 物語の進みは遅いですが、先の気になる謎が深まった巻でした。
 次が発売するまで時間かかるのだけが難点なんですがね。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 本当はマッキのとこにしたいんだけど、エリセと擦れ違っていたボイジャーの言葉を。


「ただしくなくたっていいさ。だれのためでなくても、いいんだ」


 ボイジャーは見た目は子どもだけど、エリセだって大人なわけじゃなくて自分の感情を処理し切れていないエリセにかけた言葉がすげーいいなと思ったのです。







Fate/Requiem 2巻『懐想都市新宿』
星空めてお イラスト・NOCO
TYPE-MOONBOOKS(2020/6/12)
posted by SuZuhara at 12:05| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月21日

Fate/Requiem 1巻『星巡る少年』



「私は死神――サーヴァントを殺す仕事をしている」


 一ヵ月は自由だああっ!と羽を伸ばしていましたが、そろそろタイムリミットが近くてつらい。
 でも、昨日今日はちょっと趣味の日として映画三昧して本を読んでた。サブスクは便利だけど、映画の冒頭切りができちゃうのがつらいな。『ザ・サークル』という映画は公開時に見に行きたい候補だったのだけど結局行けなくてNetflixにあったから観ようと思うが、二十分くらい動きがないと飽きてしまった。なにかで昨今は内容を理解するまでの時間を惜しむとかなんとかという記事を読んだが、そんな感じなのかねぇ。
 まあ、僕の方は相性が悪すぎて私の言葉を全く認証してくれないアレクサがかけてくれたおすすめのブリトニー・スピアーズを聴きながらえっちゃら感想を書いてます。


■あらすじ
 誰もが聖杯を持ちサーヴァントを使役する世界で、宇津見エリセだけはそれを持っていなかった。
 聖杯を持たず悪霊をその身に宿すエリセは死神として反社会的なサーヴァントを殺す仕事を請け負っていたのだが、仕事でヘマして川へと沈んでいく中で金髪の少年サーヴァントと出会う。
 自分のサーヴァントなのではと思いもするがエリセには令呪がなく、少年の反応もたどたどしい。一時的に保護することになった彼をプラムと名付け、友人のカリンと街を歩きながらプラムにいろいろなものを見せて行く。
 祖母・チトセに一方的に仕事を控えるように言われても単身情報屋の元を訪れ、令呪狩りのことを知ったエリセは学校で知り合ったコハルが参加する聖杯トーナメントの会場で暴走するサーヴァントたちを目の当たりにすることになる。


■感想
 やー、FGOのコラボイベが面白かったので本買ってみたよ。
 もう紅葉さんがめっちゃ好みなんだよね、恐竜だし! もう一臨から変えるつもりはないねw エリセもコラボイベで屈折しているがめちゃくちゃ可愛かったのでボイジャーもゲットしようぜと回すが爆死。おかげでせっかくのラムダ復刻も石がないという自体に陥ったのだ……。
 早いところ友人にデータを引き継いでもらいたいのですが、双六やカジノイベントの厄介さを伝えたら断わられるっていうね。いやいや、これくらいはまだかわいいものですよ……。

 では、内容へ。
 と言っても、あらすじの通り。あまり上手く行ってないけどな!
 誰もが聖杯を持ち、そしてサーヴァントを使役する世界。そこでエリセだけは聖杯も令呪も持たず、サーヴァントを呼べない。代わりに座に刻まれもしないような無名の悪霊たちに好かれて身体を蝕まれており、人の身でサーヴァントを喰らうことができる死神。
 聖杯を持たないというコンプレックスが強く、仕事に対する勤勉さは承認欲求の現れなんだろうな。サーヴァントを殺したくないけれど、これしかできないからってやつだ。

 読んでいて一番感じたのは、読みにくいってこと。
 よく小説を読む人には文章の合う合わないってのが結構重要なことは分かってもらえると思うけど、これとはちょっと違って情報がよく分からなくなるって感じ。
 プロローグのエリセの仕事真っ最中で始まるけど、誰もが聖杯を持つ云々だけでなく不死者や船長、前髪礼装にクンドリーの投影と初っ端から情報過多。Fateの世界観補正があってもちょいと難しい。でも僕はすぐに理解しようとしない性質なのでそのまま読み進める。

 金髪少年、まだ名前は分からないけれどもボイジャーと出会い、エリセはカリン&紅葉に救われる。紅葉さんさすがや、とか思っている間に、エリセは風呂を知らない少年と入浴タイムへ。
 うん、何言ってるか分からないと思うがってやつだ。
 その後、エリセの先生――カレン・フジムラ。おう、フジムラ。そしてカレン。え、AI? カレンがいっぱいいるとかある意味天国で悪夢ですね。少女聴講生のコハルや祖母チトセと出会っていく。

 上手く説明ができないんだけど、少し読んでは「あれ、今の彼って誰だ?」みたいに数行戻るってことを繰り返したんだ。これが僕には読みにくい。すんなりと入ってこない。
 エリセ一人称だから完全な説明なんてないんだけど、結構言葉が省略されている。にも関わらず、今続けて読んでいる2巻の途中で分かるコハルのギャラハッドがオルタであることは1巻のカラーページで既に書かれていたりする。
 ん、腑に落ちぬ。ちぐはぐというのが正直な印象。その世界で生きる君たちは分かるかもしれないが、俺はちょっとよく分かってないぞ! 一人称は狂言回しの可能性もあるから気を抜けないけど、エリセはコンプレックスと厨二の塊なのでちょっと安心するがね。しかし、エリセは英霊いっぱい知ってるかも知れないがな、こちとら世界史なんて丸暗記乗り切りだから覚えてねぇんだぞw
 でも、エリセのすぐにカリンから離れようとするところはいただけないな。友達は大事にしてくれ。カリンと紅葉の存在は双六空間でも君を支えたじゃないか。

 聖杯トーナメントなど興味深い催しはあるが、やっぱり情報過多で処理できないまま進むとトーナメントがすぐさま壊れるから悲しくなる。始めギャラハッドが女騎士のように書かれていたと思ったら、次はマスターをも煽る皮肉屋な男として、次はコハルとギャラハッドが英霊憑依(ポゼッション)してマシュのような女騎士として――。うん、エリチは英霊憑依を知ってたけど始めそんな説明なかったやーん! 断片で英霊憑依とか女騎士でギャラハッドは男とか考えることはできるけど、なんかしっくり来ないんだよぅ。

 死を経験したことのあるものを操ることができるンザンビとの戦闘はコハルを煽ってボコボコにするのが楽しいという嗜虐心をくすぐられるw
 ゾンビの起源となる神霊だが、なにをすることでゾンビとして操れるとかはよく説明されてなかったのが残念だ。

 最後はボイジャーと契約することができるが、カレン・フジムラは死んじゃうし敵も出てくるけどそれはなにも語られずに終わる。うぬ、序章ということですな。

 ファイヤーガールの時もそうだったけど、章が終わるごとにイラストがあるのはとてもいい。紅葉さん可愛いw

 むぅ、さすがにコラボイベの方がエリセのキャラが立っているかな。
 よく分からない世界をよく分からないまま覗いているというのが今作の僕の印象でした。2巻を読んでこの印象が変わるか楽しみにしていますが、紅葉さんが出ていればそれでいいような気もしている。

 では、今回のお気に入りへ。
 ボイジャーがエリセに連れられて学校を訪れ、そして初めてカレンに出会ったシーン。
 少年は先生、エリセ、そして自分自身のズボンを念入りに見比べてから言う。


「あのひと、はいてないよ」
「静かに」
 先生は最高なんだ。


 この三行めっちゃ笑ったw
 エリセとカレン、チトセやルキウスの関係は断片しか語られないんだけど、そのままカレンが死んじゃうのはエリセのように悲しめなくて悲しかったなぁ。




Fate/Requiem 1巻『星巡る少年』
星空めてお イラスト・NOCO
TYPE-MOONBOOKS (2018/12/29)
posted by SuZuhara at 18:04| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする