「教えて、原田璃々子さんはなぜ死んだのか」
涼しくなったり暑くなったりの繰り返しですが、クーラーさえあれば元気です。最近はちょこちょこゲームから離れるようになったから人並みに生活できてる、はず。
詰みっぱなしだった本を読み始めたのですが、ものすごく久々な気がする。最近集中力なかったしね。あとはいろいろやってたりするけれども、基本的には言えないことばかりだったりするのでブログ書くのも久々だ。そんな、ね、switchのフィットボクシング貰ったら筋肉痛と疲れですぐ寝る毎日とか言えるはずないじゃないですかw
今回は前に読んだ『東京二十三区女』の続編。
二冊同時に買ったのに今の今まで読まない体たらくさよ……。まぁ、正直私としては蛇足な感じがしました。あまり面白い話はなかった気がする。
■豊島区
先輩の死の真相を探るために璃々子が豊島区について調べていると、初老の男性が倒れ込んでくる。男――シナリオライターの阿久根は家を出た娘の澪を探して欲しいと言う。親の心配を察した璃々子は無事に澪を見つけ出すが、阿久津は父ではないと言い出す。
ポルターガイスト云々な話でしたが、正直興味が引かれなかった。澪の目的とか阿久根の結末とか想像通りだったし、それを池袋の女として結びつけるのはちょっと私には受け入れられなかったんだよなー。
だって、年の差を超えて愛を育む二人、財産狙い的な意味で邪魔してくる親族、年老いた夫は幸せなまま逝く。そして、弟子のように面倒を見ていた男とグルだった妻だぜ。
うん、これよくある話じゃないですか。
■墨田区
作家を目指す陽子は永井荷風の『濹東綺譚』に惹かれており、奇妙な縁を感じていた。舞台となった玉の井に訪れて傑作を書き上げようとしていたが、その途中で自分がかつて玉の井で起こったバラバラ殺人事件の被害者となり、殺される家庭を味わうことになる。
八代保はアルバイトとしてある家に赴き、妻と娘のいる家庭の夫を演じることになる。奇妙なアルバイトに疑問を抱きつつも、妻・可南子に惹かれて一夜を共にした後でアルバイトの理由を聞き出すともうアルバイトの依頼は来なくなり、二人が暮らしていた家に赴いても残されていたのは数十枚のA4用紙だけだった。
今回の中で一番これが面白かったですな。
物語は陽子の執筆と保のアルバイトを交互に進んでいくわけですが、璃々子と先輩はバラバラ殺人事件の背景について調べていく。
どう繋がっていくのかな、と思ったら、保のアルバイトは保の記憶喪失を直すためのもので、陽子は保が書いた小説だった。しかし、『濹東綺譚』はともかく、かつてのバラバラ殺人事件について知らないことから、陽子が感じていた既視感などを小説を書いた保が感じていたは……、と璃々子は疑問がっていましたが、ちょこちょこと璃々子と先輩の関係のおかしさを感じるようになってきたのですげー楽しかったです。
■葛飾区
突然の事故で母を亡くした荒井家の幼い妹・桃は地元で祀られている石・立石様に母に会いたいと願う。すると、生きていたときのように母が現われてこれまでのように暮らしていた。兄弟たちは自分が死んだと知られないように母と暮らしていくが、口喧嘩から母の死が本人に伝わってしまう。
これは、普通に感動系でびっくりした。
戻ってきた母との日常は子どもたちだけで父には見えないというものだったが、成仏しないままの母のこと、伝えてしまった時のこと、父が本当は見えていてそれでも見ちゃいけないと思って無視していたこと、母との別れは基本ボロ泣きする私としては号泣してましたが、なんだろうコレジャナイ感。怖い話を求めて観たホラー番組で感動系がくるとがっかりしてしまうのは最低だと思う。私のことだよ!
ま、璃々子と先輩にとって必要な話でしたな。璃々子も酒の勢いとはいえ先輩に死を伝えているし。先輩も璃々子の秘密に迫っているしね。
■千代田区
化粧の濃い霊媒師を名乗る女は男の行く先々に現われた。そしてある女性の死について調べているという。
千代田区に関する蘊蓄を男から聞きながら歩いた女は男に問いかける。千代田区について、将門の首塚について取材中に死んだ原田璃々子の死について。
ま、男というか僕なんだが、この人が先輩であることは一目瞭然だが、璃々子の死となると話は変わっていくる。 え、璃々子死んだん?と思いながら読み進めるとそうではないことが分かるのですが、うーむ、こいつは厄介ですなぁ。
原田璃々子は確かに死んでいた。これまで璃々子として僕ら読者と共にいたのは原田璃々子を名乗っている別の女である。
先輩が本物とは恋人だったって言ってたから、おそらく理由は恋愛絡みなのかな? 先輩は彼女の真意を探るためにつきまとっている。つまり死んでいない。
でも、ここでの聞き手が「嘘つきの霊媒師」なんだ。そんな女が死んでいないと太鼓判を押しても、先輩は死んでいる気がする。女が璃々子になりすましているのも、先輩の死も真実なんじゃないかなぁ、と。
全体的に面白かったかと聞かれると首を傾げざるを得ないですが、墨田区は面白かった。千代田区も霊媒師をどこまで信頼していいか分からんからあんまり楽しくはなかったかな。
しっかし、自称璃々子の闇深いなぁ。
では、この辺で今回のお気に入りへ。
今回特にないんだが、先輩の言葉をちょいと書いておこうかと。
「確かにこの道路は、交通事故が起きやすく、死亡事故も多い。そういう場所だから、人々は怖がって、幽霊を見たと思い込んでしまうのだ。心霊現象とは、人間の恐怖心から起こる錯覚に過ぎない」
ことあるごとに幽霊はいないと言う先輩ですが、原理としては私も同感だったりする。幽霊の正体見たり枯れ尾花ってやつだよ。
でも、私はいないと断言は出来なくて、自分に関わり合いがなければいいという派なのだった。
つまりはいつだって保身に走るビビリだよw
東京二十三区女 あの女は誰?
長江 俊和 (著)
幻冬舎 (2019/5/1)