「沙耶と一緒にいられるのなら、僕はもう何もいらない。何もかも、このままでいい」 ペルライ先行受付が始まったけど、チケット多すぎてなにがなんだか分からんw
曲メインのライブなら前列がいいけど、マス席はぼっちにはレベルが高い。どうせ当たらないだろうけど、チャレンジは自由だあっ!と抽選応募だけはしといたがね!
ライブCMから言ってP5Rは完全版でしょうが、ここ最近長い時間ゲームをする根気がないか不安だ。もうノベルゲー以外は控えようと思いつつ、PQ2クリア向けて頑張ります。
■あらすじ 交通事故に遭い、家族を失った匂坂郁紀は自身だけは奇跡的に一命を取り止める。しかし、その代償に目に見えるモノ全てが醜悪な肉にしか見えないという後遺症が残ってしまう。風景は臓物、人間は肉塊にしか見えなくなった郁紀の視界で唯一美しい人間に見える少女・沙耶との出会いで救われる事になるのだが、それは狂気側に踏み込むことでもあった。
郁紀の親友・戸尾耕司が気づいた時には郁紀は既に沙耶と生きることを決めていて、正常な世界で生きていた耕司は取り返しのつかない狂気を知ってしまうことになる。
■感想 憧れのエロゲー『沙耶の唄』がまさかのノベライズ。あらすじはもう本気でコピペにしたい。こんなの無理だよっ!
ゲームはしたことないけれども純愛モノの最高潮だと認識してまして、基本的にネタバレOKなのでだいたい内容は知っていた。後書きにもあるけれども、このノベライズは三つあるエンドのどれとも違うモノとなっている。私の認識では、離別以外の二つが混じっているのかな。僕は離別EDが見たいので今度、買ってこようと、思う。
人生は挑戦だ。どうせ来年は一身上の都合でエロゲをすることになるんだからやるんだって決めたんだ。
さて、本編へ。
事故の影響で視界に映る全てが醜悪な肉塊と臓物にしか見えなくなった郁紀は、かつての友人たちとの会話すら苦痛で仕方なかった。……これ、私はまだゲームをやっていないからアレですが、郁紀には声もまともに聞こえていないから私も発狂案件ですな。音が不快なのだけは本当に無理だ。
そんな苦痛の日常を超えて家に戻れば郁紀にとって唯一人間に見える少女・沙耶がいる。そこで二人はイチャイチャ暮らしているわけですが、当然そのままでなんかいられない。
郁紀は沙耶の願いで「パパ」である疾走した奥涯教授の行方を探るんだけど、そこで郁紀に想いを寄せていた津久葉瑶に呼び止められる。郁紀からすれば臭く醜い肉塊に分かったようなことを言われればキレる。キレて言った罵詈雑言を他の二人の友人・耕司と青海が聞いてしまって、怒り心頭の青海は郁紀宅へと乗り込んでしまう。
沙耶がいる、郁紀の家へ、だ。
腐った生ゴミのような異様な匂いに戸惑いながら青海は進み、そして郁紀の心が安まるように幾重の色で塗り潰された狂気の部屋を見て、そして自らを喰らう捕食者の姿も見てしまうのだった。
郁紀が戻ると沙耶が何かを食べている。食べて見たら意外にイケる。郁紀もおいしいと思う味。
これはなー、実際どうなんだろうか。ただ郁紀がおかしい状態になくても、ただの肉をして出されたら人のモノかどうかなんて分からないからあまり責められないと思うんだよなー。
郁紀と沙耶は共通のご飯を発見して、残りを冷蔵庫に入れて保管するのだった。
沙耶は郁紀の状態を知るために病院へと忍び込み、カルテを奪う。そして郁紀がどういう状態にあるか理解した後はお隣さんで実験。
郁紀の家からする異臭に苛立っていた画家・鈴見は突如押し入ってきた何かに襲われる。そうして意識が戻ると世界は肉塊塗れへと変貌していた。蚯蚓(ミミズ)の漢字を初めて知った。あと
地獄の『星月夜』は思わず調べちゃったよ。絵画なのか、なるほどなーである。ちょこちょこ表現が難しいのはさすがは虚淵と過去に読んだzeroとかphantomでも思った気がする。
世界が一変したことで家族もkillしちゃう鈴見氏は唯一可愛い女の子である沙耶を見て速攻で襲いかかる。沙耶をおかしいと感じつつも置かせるなんてすげーや、と思っていると郁紀が帰ってきて化け物退治へ。郁紀からすれば化け物が沙耶を襲っているのであり、滅多刺しである。
ここで沙耶が脳をいじって郁紀と同じ状態にさせたことが語られる。郁紀と同じになれば優しくして貰えるんじゃないかって。
沙耶が可愛いから優しいのではなくこれまで培ってきた時間があってこそなんだよ、と諭した郁紀は沙耶に愛の言葉を言おうとするが待ったがかかる。
今ならば――郁紀を元の状態に戻せる、と。
ゲーム中に二つしかないという分岐点の一つですね。ここで戻ると最高に悲しい純愛に至れるという。
だが、郁紀はそれを受け入れない。沙耶と生きることを誓い、お隣さんもその家族も食料とすることを選択する。
郁紀の異変と青海の疾走から手がかりを求めて郁紀の病院へと来た耕司と瑶は担当医の丹保涼子医師と知り合う。ここではまだ接点は薄いが連絡先の交換。
後日、奥涯教授の別荘に行くための足として郁紀は耕司を誘い、郊外の別荘へ。恋人が郁紀の家に行くと失踪していながらも親友を疑いきれない耕司は郁紀の異変を探るためにもついて行く。
その一方で郁紀のためならなんでもやるマンと化した沙耶は郁紀に家族を作るために青海の携帯で瑶を呼び出し、その肉体を作り替えていた。
耕司が電話したときに、耳が取れちゃった、とか言っていることから状況は察せられる。身体が徐々に腐っちゃう女の子の話を思い出したよ。
瑶との通話に気を取られていると背後から郁紀に襲われて耕司は井戸へと落とされてしまうのだった。
郁紀が家に戻ると沙耶が瑶というペットを用意してくれている。郁紀に人間に見える、それがイコールどういう意味かはもう分かっているので何も言うまい。
瑶は作りかえられる間に言葉をしゃべれなくなってしまうのですが、肉奴隷なので問題ないと楽しむ様子は文字じゃなかったらスキップ必須。僕は直視できないきっと。
一方、耕司の方は瑶の前に丹保にも電話していたので助けに来てくれる。ここからは先生の言葉遣いが一変していますが、こっちが地であり格好いいのである。
それから二人で井戸の隠しルートから奥涯教授の下へと行き、沙耶について知ることになる。
ざっくり言うと、沙耶は地球外生命体というか、人間の文化や知識を吸収して繁殖するはずだった生命体。精子に対する執着はこれが理由だったんだね。
本来なら繁殖能力を持った時点で繁殖活動に入るはずだったのだが、学習の過程で沙耶は物語とかで愛や恋を知る。だが、唯一接点のある人間である奥涯はパパであり、既におじいちゃんでありそういう対象ではなく恋をしなかった。世界に自分を愛してくれるモノはいないという絶望が繁殖能力を虚勢していた。そう、郁紀と出会うまでは。
一回読んだだけだからきちんと理解できていないかもしれないけど、こんな感じ。
しかもですね、沙耶は郁紀に自分のことをタンポポの綿毛に例えて説明してるんですよ。何もない砂漠に綿毛が落ちた時、一面がタンポポ畑になるまで頑張ろうと思うのは、砂漠にたった一人でも花を愛してくれる人がいると知った時だ、と言っているので非常にヤバい段階に来てしまっていることが窺える。
ここからは耕司のターン。まんま耕司主人公である。
郁紀に沙耶のことをチラつかせて精神的優位に立った耕司だったが、郁紀が去った家で狂喜の部屋と血塗れシンク、そして冷蔵庫の人肉を見てしまう。ここ、有名なグロフォーカスが効かないというタッパーのシーンですね!
親友が狂喜に呑まれるのを助けられなかっただけでなく、恋人の手と再会した耕司の心中には同情を禁じ得ない。なんでお前は、ここに至るまで欠片でも信じられたんだよ。
二つ目の分岐は、郁紀と先生のどっちに電話をするかというもの。今回は先生に。
耕司は先生も妄想が酷いと警戒しているが、二人で組んで郁紀の元に向かうことに。
郁紀の方も斧を用意し、瑶を囮に使うということをやってくれますが、もう耕司と瑶の再会がキツすぎた。
とっくに一線は越えたと思っていた耕司は、先生が何度も忠告してくれたのに瑶と出会ってしまう。沙耶の眷属となった肉塊相手に頼みの四発しかない拳銃も使い切り、鉄パイプでなんとか殺す。そうしてvs斧装備郁紀+沙耶が始まるわけですが、耕司にだってな先生がいるんだよ!
……でも、ここで誰に電話したかの表記は要らないと思う。戦闘シーンでいきなり電話の話が出て混乱したから。
閑話休題。
郁紀に斧で胸の半ばまで切られようとも、走馬灯を見る瞬間を捨てて先生は沙耶に向けてショットガンを放つ。
沙耶も郁紀も致命傷で死にかけているが、そこで沙耶は開花する。郁紀との子を出産である。世界を肉塊に変える種、ってことであってる?
先生は激怒するが、花に近づきすぎて死亡。
ここで沙耶=耕司にとっては怪物が郁紀に最後の力を振り絞って近づいていくシーンがあるんだけど、耕司は必死に鉄パイプで殴ってそれを止めさせようとする。沙耶が郁紀に触れてしまったら耕司の負けだからだ。何もかも取り返せないから。
それでも沙耶は止まらず、郁紀の頬を撫でてから動かなくなった。
あとは壊れた耕司が一人残る。
かつての友人たち、それも悲惨な姿の三人と話す夢を見たり、先生の幻を見たりで追い込まれてはいるが、隠し持った一発の銃弾に守られている。これがあれば死ねるからだ。
世界各地で起こっている異変が始まりであることを感じながら。
おおう、面白かったけれどもこれ続くんですかね本当に。できることならもっと挿絵欲しいです。包丁郁紀とか鉄パイプ耕司とかあったら完全に神だった。せめてショットガン先生はちゃんとゲームにありますよね? ね?
ですが、狂気の純愛だったかと聞かれると難しいですね。たぶんゲームから入った方がいい。小説だと沙耶との愛を貫くという選択も、正常に戻るという選択も自分で出来ないから流されてしまう。選択しないから自分から落ちれないんだ。
沙耶を守りたい気持ちもあるんだけど、理性が耕司側――現実を守ることを優先するんだ。基本的には常識人であるはずだからね。
では、ここいらで今回のお気に入りへ。
やっぱり最後の耕司のシーンかな。決して耕司が好きとかじゃないんだけど、ひたひたと郁紀に近づく怪物からなんとか取り戻そうと鉄パイプで殴り倒すシーンを。
体液が飛び散るほど殴ったのに、怪物は郁紀に辿り着く。そして頬を撫でてから動かなくなった。
最後の瞬間までその怪物は、郁紀を手放そうとしなかった。そして郁紀と繋がったまま死んだ。
「……」
耕司は、ついに自分が何も取り戻せなかったことを悟った。
この救われなさはハンパないですね。
狂った郁紀を許すことなんかできないのに、かつての笑顔とか見るとどうしようもなくなってしまうとか耕司は本当にいい奴なんでしょう。
だからこそ、最後の最後でかつての親友の姿だけでも守ろうとしたのに、怪物と固く結ばれているところなんてものを見せられたら壊れるしかないよな。
沙耶の唄
大槻 涼樹 虚淵玄(Nitroplus)
講談社 (2018/12/16)