2018年09月02日

ロード・エルメロイU世の事件簿8 case.冠位決議(上)



 ロード・エルメロイU世、最後の事件。


 幸運なことに当選したのでGE3体験会に行ってきました! やばい、超楽しい!!
 がっつりとした感想はアンケートに書いたので省きますが、不安そうなクレアの声とかジークのエンゲージ能力の名称格好良すぎた。新神機もだけどアラガミの捕食攻撃の厄介さとか、体験できたのは本当に良かった。捕食でバースト時間減少とか、覚えとかないと厄介すぎるからな。
 あとGEの新グッズ展示があったのだけれども、腕時計スキー、文字盤スキーとしては見逃せないのでアリサモデル買うために金を貯めねば。


■あらすじ
 エルメロイ教室一ヶ月停止の報を受けて驚く中、ロード・エルメロイU世は生徒たちから身を隠し、開かれることになった冠位決議(グランド・ロール)とハートレスを追っていた。
 能力的に騙すことのできないスヴィンとフラット、イヴェットにだけは協力を要請し、U世は妹ライネスと共に冠位決議前に民主主義派と貴族主義派から招待される会合に、ハートレスの跡を追うのはグレイたちととも向かいギリギリで切り抜けながらも、ハートレスが何をしようとしているのかまで辿り着く。


■感想
 毎回楽しみにしているけれども、下巻が出ないまま呼んだことを後悔するU世の事件後最終章。
 正直、全てを理解しているとは言いづらいのですが、時計塔や生徒たちのやりとり、そして兄いじりをするライネスが大好きなのです。

 今回はハートレス問題を抱えているところに冠位決議が開かれる一報が。エルメロイにとっては鉱石科のロードの座を奪われ、現代魔術科を与えられたのもこの冠位決議であり、この前哨戦である二大主義派との会合は胃の痛くなるわくわくでいっぱいでしたw
 いやー、ライネス本当有能。こういう政治的なやりとりを彼女視点で知れるのはいいですなー。

 手札が足りないことからトリムマウの機能を使い、ミニU世となってグレイ、スヴィンとフラットたちとともにハートレスの弟子の元に向かうのですが、ここで嬉しい橙子さんとの再会。今回は敵に回っておらず、興味を持ってくれているために知恵を貸してくれるのは安心感ハンパない。
 別れてからもスヴィンでもホームでないと関知できない使い魔を使って見ているので、下巻で暴れてくれるのを期待してしまうのは致し方ないことだ。

 ハートレスの弟子たち五人が全員時計塔の迷宮・霊墓アルビオンの生還者(サヴァイバー)であること、そして実際に会った二人を含めて死亡、もしくは謎の失踪していく。
 この問題にぶち当たりながらエルメロイの名を背負い、派閥問題まで出てくるんだからU世の胃も痛くなるはずだ。オルガマリーは出てくるだけで癒やされるが、新所長の癒やし度には負けると実感するw

 ハートレスがわざと残した資料から彼らの目的がイスカンダルの召喚であることを知ってU世が驚愕するところで今回はお終い。しかも、フェイカーたちがスラー襲撃する瞬間とかやめてーっ!
 zeroでのイスカンダルとウェイバーを読んで、もう我が王はイスカンダルだと誓い、FGOでも聖杯もフォウくんも全て捧げましたが、だからこそフェイカーの気持ちはつらいなー。
 U世を否定する気持ちも、偽りでしか王に尽くせなかった存在も。うわあーっ、早く下巻読みたいよっ!

 では、ここいらで今回のお気に入りへ。
 ハートレスが弟子たちに言っていた言葉は、ちょっと学生時代に言われたら世界が変わりそうだったので心に残っている。今回はここを。


「君の人生を、最も輝かしいものに捧げたまえ」 


 生還者にしてハートレスとの出会いや弟子になる経緯が描かれる少年にして、今回は出てこなかった最後の一人がいる。その少年の現在は一切語られないのだが、どう関わってくるか楽しみでたまらないや。






ロード・エルメロイU世の事件簿8 case.冠位決議(上)
三田 誠
TYPE-MOONBOOKS (2018/8/12)
posted by SuZuhara at 22:32| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月20日

バニラ 審判の園



 生と死と、その狭間の楽園で あなたは自分の罪を知る――


 シンプソンズの監督マッド・クレーニングの作品がNetflixで配信と聞き、またNetflixを再開する。シーズン1を全部観たけれども、あの世界観好きだ。サーフソンズの時みたいに戦闘とかしてくれてもいいのよ! あの話もっと観たいんですがが。
 シンプソンズは子どもの頃から大好きなのですが、日本でDVD発売していないのは観れていないので、コミックガイが結婚とかクラバーベルが死んでるとか、すごい気になるんで日本ファンにも救いをくれませんかねマジで。
 
 
■あらすじ
 記憶を失った青年は白い少女に連れられて、とある城へと導かれてそこで暮らす三人の少女と出会う。
 全ての罪が許されるという白き楽園の中で、彼は少女たちの罪を知り、自分の犯した罪と向き合うことになる。


■感想
 今回はフリーゲームをプレイしたことのある人ならばお馴染み、CHARONさんが夏コミで販売したゲームを買ったのでその感想を。
 私も沢山やらせていただいているのですが、今年の五月頃『偽物ワールズエンド』でフリゲは最後というのは寂しいと思っていた時に、ファンティアというクリエーターを支援するファンクラブのようなものがあることを知り、そこで作者のねこふじかおるさんを支援できることを知りました。
 処女作「PARANOIA」をやりたかったのとちょうど五周年企画をやられていたので参加しましたが、いやー、すごい方だなー、と。ゲームも本も作って、サイン色紙まで短時間で書き上げてくださる。今回のバニラの制作模様、先行体験版と楽しませていただいていたので、発売を楽しみにしていました。コミケには行けないので予約通販したんだ。

DSC_00709-thumbnail2[1].jpg
 ほろびのゆりかご本は欲しいなと思っていたのとラフレシアも好きなので購入。人生経験に打ちのめされそうになったけれども、バニラをやる前に読んで良かったと思う。
 ついでと言ってはなんですが、少しだけやっていたtwitterに上げていた私が書いてもらった色紙画像も上げておこう。いいだろうという自慢であるw 宛名は本名なので隠してあります。

DSC_01311.jpg


 さて、感想に行こう。
 先日のシャレマニのようにネタバレ厳禁ではないのですが、これはすごいから是非やって欲しいとあまり沢山のことを語りたくないです。リリスが好みからな、いやもうそんなのバニラたん一択じゃないですかっ!とプレイした直後のテンションでお送りしたいと思います。

 いやー、演出とかグラフィックが今まで以上に力が入っているのは分かっていましたが、声が入るというのはここまですごいのかと、声優さんの力には圧倒されました。
 ただただすげーと思いながらプレイして、もうキャラの誰も彼もが生きているみたいで、願わくば真実と向き合う前にもうちょっと楽園での共同生活をしたかった。
 リリスのテンプレツンデレはこいつめっちゃいいヤツだな、と安心を覚えるほど彼女が好きでした。

 記憶喪失の主人公・シロは罪と向き合うことになるわけですが、自分の罪は思い出せないまま、告白してくれた少女たちを許すか裁くかの選択を迫られる。
 一見ハッピーエンドなのがバッドエンドであるのがCHARONさんのゲームなのですが、今回もそれは変わらず。
 一人ずつ少女たちの罪を裁いていくことでゲームは進んでいきます。

 個人的に、グロ注意のマークがエロ描写のことだとは思っていなかったので度肝を抜かれましたが、シーマの過去はきつかったな……。リリスの最後も、夢のおかげで穴を埋める感情についてよく分かるので妙なテンションになってしまいましたが、ソヨだけは雪丸この野郎っ!と思っていた。みことにっきのゆきまるさんと同一人物ならば、この男は殺しておくのが正解ですよみこと先輩!

 バッドエンドを見てから物語りを進めていきましたが、今回のホラーは確実にシーマ。あの笑い声には声優さんがCHARONゲームを分かってらっしゃるとわくわくしましたな。

 ちょこちょこと読ませていただいたねこふじさんの制作秘話とかファンティア記事で言っていたのはこのことなんだなと実感して痛い思いをしながら辿り着いたバニラたんの元。私はノベルゲーはクリック派なのですが今回だけはAUTO進行していて、最後とシンクロと言うか、完全にマッチして進む展開には震えてしまった。サントラも一緒に買っておいて良かったああ!
 TRUEENDがBADじゃないなんてっ、と驚きましたが、それ以上にこれは買って良かったと心から思った。「Rain of sin」初めから好きなのに最後の畳かけがさっ! ああ、もう最高すぎる!

 私は無知なので声優さんたちや楽曲のRyo Lionさんのこともよく分かっていませんでしたが、作品を通して知ることができて本当に良かった。冬の新作も楽しみに待っています!

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回はなー、どこも抜き出せねぇよ。台無しになるもん絶対。だから好きなシーンはだけざっくりと、最後にバニラたんが伝えてくれる全てです。最後に笑ってくれたから、悲しい終わりでも良かったなと僕は思うのです。




バニラ 審判の園
CHARON (カロン)
http://nekocharon.jp


posted by SuZuhara at 01:00| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月05日

砂漠



「北村、残念ながら、俺を動かしているのは、俺の主観ですよ」


 今まで平穏無事だったくせに今年はちょこちょこいろんなことが起こっています。とりあえず、ゲームという精神安定剤をください。今月末まで私の胃はキリキリしっぱなしだぜ!
 どこでもドラゴンというソシャゲを始めたのでカッコ可愛いドラゴンたちに癒やされようと思います。


■あらすじ
 仙台市の大学に進学した北村はそこで四人の生涯の友達と出会う。
 軽薄な鳥井、限定的な超能力を持つ南、誰もが認める美人の東堂、そして極端な考えをしながらも真っ直ぐな西嶋。
 五人の大学四年間は麻雀をしながらボーリング勝負やプレジデントマンとの遭遇、空き巣に関わったことで失ったものに向き合うことになる。


■感想
 以前にも書いたかもしれないけれども、私は伊坂さんの本が好きで結構読んでいた。ですが、天の邪鬼なので映画化とか立て続けにされると読まなくなり、よく分からなくなって読まなくなっていた。
 今回は本屋で平積みになっていたから買ってみたのだけども、私、たぶんこれ読んだことあるわw

 全部覚えているわけじゃないんだけども、ボーリング勝負の結果とか南の能力、あと鳥井を励ますための西嶋の中とか、読んでいると思い出すんですよ。
 あと、鳩麦さんのこととかね。
 結末は少しも覚えていなかったけどww

 ざくっと言えば、五人の大学生活という輝かしい青春物語。
 サークルに費やす毎日も青春でしょうが、何をするわけでもなく麻雀をするために集まったりして馬鹿騒ぎをする、そんなありふれた青春だろうけれどもそれこそ恵まれているんだよ。

 この話の魅力はなんと言ってもキャラの濃さですな。
 北村は淡々と客観的に物事を見ますが、鳥井は面白さ前回のノリ男。南はおっとりしながらも物を動かすという超能力と最強の麻雀師だし、東堂はクールで他人に無関心化と思いきや意外に行動的。
 しかし、一番説明に困るのは西嶋だよなー。
 大学の飲み会でいきなり政治のことを話し出すような面倒くさい男だけど、それはただ真っ直ぐすぎるだけで頑なでありながらも友達想いの男ってところでしょうかね。
 はい、全然伝わらないですね。

 五人は新入生の飲み会で知り合うんだが、つるむようになるのは西嶋の声かけから。なんでも名前に東西南北があるメンバーで麻雀がしたかったから。鳥井は場所提供者でした。
 これがきっかけで五人はよく遊ぶようになるんだけれども、序盤の序盤で東堂が西嶋に惚れたのはびっくりでしたな。いや、この辺も覚えてはいたんだけどね。

 そんな中、鳥井がその軽薄さから遊んでいると思われ、ホストたちによる金を巻き上げるカモに選ばれてしまう。
 西嶋の活躍で何を逃れるのだが、後にこのホストが空き巣を行うことの情報を掴んだ鳥井、北村、西嶋は張り込みして空き巣を防ごうとするが、ここで悲劇が起きてしまう。
 逃げようとしたホストたちの車に鳥井が引かれ、片腕を失うことになってしまう。

 腕を失った鳥井は以前のように笑わなくなった。そんなものは当然だが、傍で見ている方はたまったモノではない。
 献身的に鳥井に尽くす南だったが死んだ心には響かず、今まで近寄らなかった西嶋が麻雀をしようと言い出す。
 ここでの向かいのマンションを使った『中』作りはいいよなー。ちゃんと覚えていたよ。

 それから東堂と西嶋の恋の行方とか三度どころか何度も何度も関わってくるホストの話と続いていきますが、長谷川さんは許してあげようぜ。何故かなんて言葉にはできないんだが、昔から長谷川という名前の人には弱いんだ。

 仲間同士がくっつきハブられたかと思われる主人公の北島ですが、こいつは初っ端に年上の彼女作っているんで気にしなくて良し。鳩麦さんの理解力最高だよな。

 では、この辺りで今回のお気に入りにいきましょうか。
 幹事の莞爾で活躍してくれた同級生は卒業式の時にこう言い残した。


 莞爾は小さく笑い、「俺さ」と口ごもった。照れ臭そうに下を向く彼はどうにも彼らしくなかったが、しばらくして顔を上げ、「本当はおまえたちみたいなのと、仲間でいたかったんだよな」と口元を歪めた。


 ああ、本当にな。
 事件なんかいないけれども、気の置ける友達ってのはさ本当に羨ましいよ。








砂漠
伊坂 幸太郎 (著)
(2017/10/4)
posted by SuZuhara at 23:25| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下



「私は分かったんです! 陛下こそが正義だと!」


 ……連休が終わってしまうとは何事か。
 私の暦通りの連休はなかなかにアグレッシブなものでB'z30周年のSCENESに行ってきたよ。休みの間にお出かけしちまったよ。
 けれども、大層込んでいたのでグッズなどは買えなかったですね。カーキの帽子欲しかったのだが。
 FGOは早々にアキレウスもケイローンも来てくれておかげで息切れ、GEREOはアネットというまたしても破属性でもう耐えられない。
 終わりのないゲームというのは存外に疲れるなぁ、と実感する次第です。


■あらすじ
 魔皇ヤルダバオトに襲われる聖王国の救出に一人赴いた魔導王・アインズだったが、主催のデミウルゴスに誰も助けるに値しないとして亜人たちの襲撃を見守っていた。
 そのため従者として仕えたネイアも死に、蘇生された時にはアインズを神のように崇拝する敬虔な信者のような考えをするようになっていた。
 聖王国に見せる悪魔との戦いと自分の訓練を両立させた後、配下にしたメイド悪魔としてシズを聖王国につけてアインズは消息不明――死んだと見なされてしまう。
 アインズの死を信じないネイアは同じく魔導王を讃える仲間を増やしていき、シズとともに亜人・藍蛆(ゼルン)の王子を救出するために動くことになる。


■感想
 ずっと楽しみにしていたオーバーロード新刊にして聖王国編の後半ですが、ちょいと評価に困る内容でした。
 高らかに謳っていた「アインズ死す」は正直どうでもよかったのですが、全体的に面白いとは私には思えませんでした。うーむ、残虐なことバンバンしてくれるのは楽しいんだがね。

 アインズが前回戦ったことで聖王国側は魔導王がいれば、と希望を持つようになるが、全部全部アインズ様がやってしまうと意味がないので亜人軍団の襲撃戦は魔力温存だと出てこない。
 レメディオスはアインズが活躍するのが心底嫌なのですが、亜人に勝てずに助けに来たアインズに全て押しつけて逃走。ここでアインズが起こるのは無理はない。俺、本当にこいつ嫌い。

 強い者こそ正義=アインズという狂気に目覚めつつあったネイアは亜人たちを迎え撃ちますが、いくら装備が強くても際限なく襲ってくる敵を前に死んでしまう。
 アインズはレメディオスを助けて失敗したことからネイアだけでも助けて恩を売ろうと蘇生アイテムを使ったのだが、ネイアのアインズ崇拝が強くなっていく。最後のキャラ紹介で「狂眼の狂信者」と変わっているようにネイアは死んでスキル構成が変わり、無意識に洗脳できるようになってしまっている。
 つまり、聖王国でアインズ教みたいなものを知らしめる伝道師になっているわけだ。怖いなー。

 アインズ様はナザリックに戻ってデミウルゴスとアルベドと話し合い。口絵カラーのシーンは面白いですが、後は繰り返し行われてきた勘違いとすれ違いの会話。この辺は予定調和で新鮮味がなかったですなー。

 続いてヤルダバオトとの八百長試合を訓練の場にしたアインズ。そこでアインズは敗北し、ヤルダバオトは傷を癒やすために引っ込み、聖王国はアインズが支配したメイド悪魔シズを手に入れる。

 ネイアとシズはアインズ様崇拝で仲良くなり、ゼルンの王子救出戦と向かう。
 ここのシーンでの悪魔はすっごいよかったなー。ケラルトとか細かく設定してあるくせに簡単に殺すんだもの憧れる。

 あとは予定調和にアインズ様が復活してヤルダバオト撃退。ネイアは聖王国に残り、アインズの素晴らしさを語り続けるのだった。デミウルゴスが計画通りならぬ計画以上の成果にご満悦でしたとさ。

 普段と比べて何が心に響かないのかと考えてみましたが、おそらく帝国も支配して敵らしい敵、脅威がないこと。
 前巻から入るンフィーレア夫妻の夜事情。次には子どもでも生まれているかもしれませんが、気持ちいいから複数回とか本当にどうでもいいや。
 カルカとケラルトの結末は良かったですが、せっかく足りないままでの蘇生魔法の成功率について前回語ったのだからやって欲しかったり。レメディオスも入れて三位一体してあれだけ嫌っていた魔導国でしか生きられないとかなればよかったのに。くそぅ、俺は本当に最低だな。

 次は来年とのことですが、アニメ2期も個人的にあまり好きではなかったのでぼちぼちと待とうかなと思います。
 いい加減、至高の御方々現実での最後が不穏すぎてどういうことか知りたいんだが。

 では、今回のお気に入りに。
 アインズが聖王国に言っている間、アインズ死すの一方に苦しむヒルマたちの話を。名前を忘れたけれどもアルベドに好意を持つ三男坊の発言はヒルマじゃなくとものたうち回りたくなる。


「それだけだったら胃はキリキリしないよ! あいつ、今アルベド様と結婚したら魔導国が手に入るんじゃないだろうか、とは言ってんだよ!」


 ひゅー、早いところ彼には結末に至ってもらわないと。
 アルベドさん、最近タガが外れかかっているから楽しみだ。








オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下
丸山 くがね(著), so-bin (イラスト)
KADOKAWA (2018/4/27)
posted by SuZuhara at 22:24| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月11日

キャロリング



「好きな人が自分のために手を汚すことが平気なの」


 FGOでアナスタシアピックアップはスルーで行こうと決めていたのに皇帝とか来たら回さざるを得ない! と、貯めていた石を全て失う爆死。
 GEのレゾナントオプスが始まったぜ! アリサのためにシナリオ進めて回すぜ! と、シナリオを進めても出るはずがなかった。
 ……うん、知ってた。GEなんかソーマさん二人来たけど、アリサは一向に来ない。しかし、ナナの誘引の優秀さとタツミさんの格好良さには救われる。
 だけれども、神機を作る楽しさがないのは残念だなー。



■あらすじ
 子ども服メーカー『エンジェルメーカー』はクリスマスの日に倒産が決まっていた。それまでの残り少ない時間、会社に併設された学堂に通う小学生・航平は母の海外赴任が決まり、両親の離婚の危機に悩んでいたことから、社員の折原柊子に父親の元に連れて行ってもらうことにする。
 母親には内緒のその行動に気づいた柊子の元恋人である大和も首を突っ込んでいくことになるが、家族同然である部下たちを守るために取り立て屋の赤木は航平を誘拐してなんとか金を得ようとする。


■感想
 あらすじがまともに書けたことなど、ない。
 今回は大分時間がかかってしまいましたが、前回読んだ『代償』と一緒に買った有川浩さんの『キャロリング』です。
 正直、あらすじも何も読まずに買ったので初っ端の誘拐騒動には驚きましたが、いつもの安定の有川さんでした。

 有川さんの作品は結構読んでいるのですが、今回の主人公・大和の過去には泣かされましたなー。
 不憫とか報われないとかだけならまだしも、守ろうとした親にすら理解されないというのは悲しすぎた。大和に英代がいてよかった。
 だからこそ余計に、柊子との食い違いも理解できて辛いんだがな。

 父親の家庭内暴力をいつの間にか自分のせいにされていた挙げ句に、離婚後に再び父親とよりを戻すという母親に呆れた大和俊介は親とそれ以上関わることなく生きていくことを決める。
 そして、子どもの頃から気にかけてくれた母の友達・英代の元で仕事をしていたのだが、ついに倒産の日を迎えることになってしまう。

 五人と小さいながらもやってきた会社が潰れてしまうことを悔やみながらも、せっかくクリスマス倒産なのだからと最後のパーティーをしようと決める。

 しかし、その日までが長い。
 会社に併設された学堂の生徒・航平の親は離婚の危機を迎えており、子どもながらに親の喧嘩を止められなかったことを悔いていた航平は父親に会いに行くことに。
 ここで大和と柊子の終わりを先に読ませておいて航平にその傷をつかせるのはズルい。親の離婚なんて珍しくはないかもしれないけれども、不幸度で航平に勝てるのは大和しかいないもんな。

 航平が父親に会いに行くと父親が接骨院で働き、そこの院長に惚れていたりと、さすが不倫で別居中になっただけはあると感心する始末があった。ここには他にも院長に惚れているおじいさん・大嶽とか居るけれども、誰も取り立て屋のことを心配していなくておかしいなと思ったら自分の気持ちしか見ていないという指摘があって納得した。
 航平と大嶽が協定を結んだことがきっかけで大和にバレてしまうのだが、こいつは本当に歪まずに育ってくれたなぁと嬉しくなる。
 柊子のことは親には言うなとか、航平父にも大嶽にもびしっと言ってくれるし、何より取り立て屋にビビらず対処してくれるのがいいな。

 ここでまさかの取り立て屋サイドになるのだが、親の引いたレールのせいで取り立て屋となり「赤木ファイナンス」を立ち上げた赤木は、上から使えない部下を押しつけられつつも仕事をこなしていた。
 赤木は優秀な男だったが、居場所がない者同士で集まれるここが気に入っていた。
 しかし、事務員として引き取っていた少女・レイが消えた父親の代わりに借金を払うために風俗に行かされることになってしまう。そのためになんとか金を集めようとしていたところに、航平から院長への気持ちを疑われた大嶽が借金を肩代わりしようとやってくる。

 金をだまし取る予定だったが、大和に邪魔されてご破算。
 大和たちの方も航平が父に会っていたことが母にバレて、書きためていた自分の気持ちを物語として書いたノートを渡して父に会うことの許可を得た航平が父親に会いに行ったところで柊子ともども誘拐されてしまう。
 これは部下の男二人の暴走で赤木にも予想外であり、引くに引けなくなった誘拐劇が始まるのだが、いやー、大和と柊子の関係はいいなー。お互い分かり合っていて大好きなくせに一度の傷で触れ合うことはできないってのが。
 赤木とレイの父と子のような関係も、ベンさんと朝倉のでこぼこ感もなんでこいつらの話をもっと読めないんだろうと思ってしまうほど好きでした。
 物語としては特に変わったところはなく、予想通りの終わりを迎えましたが、エンジェルメーカーの社員ズはキャラクターが濃くて面白かったです。

 では、今回のお気に入りに。
 大和は毎回年上を呼び捨てにしてくる航平に文句を言うのですが、最後の最後で大和だけでなく納得させられてしまった航平の言葉をあげておこう。


「いいじゃん、呼び捨てで。友達だったらさん付けなんかしないよ」
 思いがけない言い分に思わず目をしばたたいた。――まあ、それなら許容範囲か。


 大和が柊子に感心する辞書にないという表現も好きだし、英代の言葉はいちいちこっちの弱ったところに入ってくるので参りましたが、それぞれのクリスマスを過ごすために起きた物語はなかなか面白かったです。







キャロリング
有川 浩
幻冬舎 (2017/12/6)
posted by SuZuhara at 22:20| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする