「北村、残念ながら、俺を動かしているのは、俺の主観ですよ」
今まで平穏無事だったくせに今年はちょこちょこいろんなことが起こっています。とりあえず、ゲームという精神安定剤をください。今月末まで私の胃はキリキリしっぱなしだぜ!
どこでもドラゴンというソシャゲを始めたのでカッコ可愛いドラゴンたちに癒やされようと思います。
■あらすじ
仙台市の大学に進学した北村はそこで四人の生涯の友達と出会う。
軽薄な鳥井、限定的な超能力を持つ南、誰もが認める美人の東堂、そして極端な考えをしながらも真っ直ぐな西嶋。
五人の大学四年間は麻雀をしながらボーリング勝負やプレジデントマンとの遭遇、空き巣に関わったことで失ったものに向き合うことになる。
■感想
以前にも書いたかもしれないけれども、私は伊坂さんの本が好きで結構読んでいた。ですが、天の邪鬼なので映画化とか立て続けにされると読まなくなり、よく分からなくなって読まなくなっていた。
今回は本屋で平積みになっていたから買ってみたのだけども、私、たぶんこれ読んだことあるわw
全部覚えているわけじゃないんだけども、ボーリング勝負の結果とか南の能力、あと鳥井を励ますための西嶋の中とか、読んでいると思い出すんですよ。
あと、鳩麦さんのこととかね。
結末は少しも覚えていなかったけどww
ざくっと言えば、五人の大学生活という輝かしい青春物語。
サークルに費やす毎日も青春でしょうが、何をするわけでもなく麻雀をするために集まったりして馬鹿騒ぎをする、そんなありふれた青春だろうけれどもそれこそ恵まれているんだよ。
この話の魅力はなんと言ってもキャラの濃さですな。
北村は淡々と客観的に物事を見ますが、鳥井は面白さ前回のノリ男。南はおっとりしながらも物を動かすという超能力と最強の麻雀師だし、東堂はクールで他人に無関心化と思いきや意外に行動的。
しかし、一番説明に困るのは西嶋だよなー。
大学の飲み会でいきなり政治のことを話し出すような面倒くさい男だけど、それはただ真っ直ぐすぎるだけで頑なでありながらも友達想いの男ってところでしょうかね。
はい、全然伝わらないですね。
五人は新入生の飲み会で知り合うんだが、つるむようになるのは西嶋の声かけから。なんでも名前に東西南北があるメンバーで麻雀がしたかったから。鳥井は場所提供者でした。
これがきっかけで五人はよく遊ぶようになるんだけれども、序盤の序盤で東堂が西嶋に惚れたのはびっくりでしたな。いや、この辺も覚えてはいたんだけどね。
そんな中、鳥井がその軽薄さから遊んでいると思われ、ホストたちによる金を巻き上げるカモに選ばれてしまう。
西嶋の活躍で何を逃れるのだが、後にこのホストが空き巣を行うことの情報を掴んだ鳥井、北村、西嶋は張り込みして空き巣を防ごうとするが、ここで悲劇が起きてしまう。
逃げようとしたホストたちの車に鳥井が引かれ、片腕を失うことになってしまう。
腕を失った鳥井は以前のように笑わなくなった。そんなものは当然だが、傍で見ている方はたまったモノではない。
献身的に鳥井に尽くす南だったが死んだ心には響かず、今まで近寄らなかった西嶋が麻雀をしようと言い出す。
ここでの向かいのマンションを使った『中』作りはいいよなー。ちゃんと覚えていたよ。
それから東堂と西嶋の恋の行方とか三度どころか何度も何度も関わってくるホストの話と続いていきますが、長谷川さんは許してあげようぜ。何故かなんて言葉にはできないんだが、昔から長谷川という名前の人には弱いんだ。
仲間同士がくっつきハブられたかと思われる主人公の北島ですが、こいつは初っ端に年上の彼女作っているんで気にしなくて良し。鳩麦さんの理解力最高だよな。
では、この辺りで今回のお気に入りにいきましょうか。
幹事の莞爾で活躍してくれた同級生は卒業式の時にこう言い残した。
莞爾は小さく笑い、「俺さ」と口ごもった。照れ臭そうに下を向く彼はどうにも彼らしくなかったが、しばらくして顔を上げ、「本当はおまえたちみたいなのと、仲間でいたかったんだよな」と口元を歪めた。
ああ、本当にな。
事件なんかいないけれども、気の置ける友達ってのはさ本当に羨ましいよ。
砂漠
伊坂 幸太郎 (著)
(2017/10/4)