2018年03月24日

代償



 その後は、ずっと晴れ間を見なかった気がする。


 読んでもらう当てのない手紙を書きました。
 思えば、こんな無駄なことをしたのは二度目です。一度目は幼少期に亡くなった祖母に、今回はたった一度、それも三分にも満たない時間に会ったことがあるという方でした。憧れていた方でした。あまりの突然の訃報だったのでどうすればいいか分からず、こういう時の自分の行動はガキに戻るようです。
 だから、自分はちょっと途方に暮れています。
 ここに書くことではないと思ったのですが、自分がこの日を忘れないように書いとくことにしました。


■あらすじ
 奥村圭輔は幼少期に火事で両親を失い、親戚の浅沼家に引き取られることになる。母の遠縁である道子、そしてその子ども達也には両親の生前から嫌なものを感じていた圭輔だが、引き取られてからは奴隷のような暮らしを強いられる。
 そこから救ってくれたのは圭輔の友人・諸田寿人とその親戚である牛島夫妻だった。家族のように接してくれる彼らのおかげで立ち直り、弁護士としての働いていた圭輔の元に捕まった達也から弁護の依頼が入る。


■感想
 ちょいと最近仲良くなった人から勧めてもらった本です。なんの前情報もなく読んだ本でしたが、なかなかに嫌な気持ちになる本でしたな。こんなことされたらもう死を覚悟して突貫するしかない。家族に手を出された時点で後先などないのだからな。

 さて、始まりは圭輔の環境から。
 普通よりも裕福な家庭ですくすく育った圭輔だったが、途中で引っ越してきた浅沼家の嫌な感じがひしひしと感じて序盤は辛かったなー。道子が母親に金をせびっているっぽいのが子どもの視線でも分かり、その子どもの達也は同年代ながらもエロ本とか薬でネズミを殺していたりと好きになれたら終わりだろう。

 それでも我慢して親戚付き合いしていると、一緒に行ったキャンプで父親のナイフが失くなるという出来事が起こる。これは本気で嫌な予感だった。達也に自慢した後に失くなったからだ。私も幼少期に幼馴染みの兄貴がよく物を盗る人だったので、自慢することは命取りだと学んだ人間だ。このタイミングで失くなれば確実だろうさ。
 キャンプ以降、頻繁に遊びに来るようになった達也と家から無くなるお金とおそらくコンドーム。
 やんわりと達也を出禁にしてから、一週間預かってほしいという道子からの申し出。

 ああ、ダメだ。絶対にダメだ。
 きっと誰もが思っただろうが、親戚付き合いともなると断り切れないのだろう。大晦日の日、圭輔が達也と一緒に作ったカレーを食べた両親が早々に寝入ってしまった日に火事が起きた。

 達也に起こされて助けられた圭輔だったが、両親はそのまま亡くなった。なし崩しのままに道子に引き取られることになり、金品やら金目の思い出の品は全て奪われた。
 喪失の痛みが癒えぬままに圭輔は道子に言われるがままに後見人に指名してしまい、浅沼家で奴隷のような暮らしを強いられる。新しい服を買ってもらい圭輔が両親から貰い無くなったはずの電子辞書を持つ達也とは正反対に、風呂にも入れぬ暮らしだ。
 もう電子辞書の時点で我慢の限界だろうよ。けれども、それを爆発させるだけの力がもう無かったんだよな。

 中学で唯一の趣味である読書をきっかけに出来た友人・諸田寿人と圭輔が憧れていた木島未果のおかげで徐々に立ち直りかける圭輔だったが、達也が未果に目をつけてしまう。
 だが、夏休みが明けて未果が転校した。達也たちに犯されていたんだ。寿人もその頃余所余所しく、唯一の拠り所を失った圭輔は追い詰められていく。

 というのが一部なんだけど、いやー、鬱にしかならないね。この後、寿人が壊れた圭輔を見て泣くシーンがあるのだが、居たたまれない。寿人も助けられない理由があったのだが、それを優先した結果が友達のこの姿だなんて悔やんでも悔やみきれないよ。

 二部からは弁護士・奥山圭輔の話。
 国選弁護人を解雇して指名してきた達也に初めは会うつもりなど無かった圭輔だが、度重なる手紙に匂わされる火事の出来事。火事が起きた時に達也に唆されてタバコを吸っていたので弱みを握られていたのだ。あと、当時母親が達也の情欲の対象だったということもある。本当に殺したいな、こいつは。

 達也が「圭ちゃんは短期だ」と言うように性格を利用し、道子と未果の妹である紗弓を利用して圭輔を証人に偽証を強要したと仕組んで貶めにかかる。裁判員裁判で犯行時間は義理とは言え自分の母親との情事をネット配信してましたなんて言ったらマスコミは食いつきますがな。反吐が出るがな。
 ジャーナリストのアシスタントをしていた寿人も戻り、一緒に達也の事件を追っていくと出てくる出てくる達也の所業。沙弓も達也の舌先三寸で姉が犯されたのは圭輔のせいと思い込まされているくらい達也は人の心を掴むのが上手い。
 だから、一つずつ証拠を辿り真相に辿り着いた時、全てが達也の思い通りに動いていたことにはおぞましさしか感じなかった。

 その達也の計算違いは二人の女でしたな。
 紗弓が姉の自殺の原因を知り、達也の強力なバックアップである道子をいつでも切り捨てられるつもりでいたことの証拠を握られ、達也の裏切りを知った道子には農薬を飲まされる。効力は達也がネズミで実験し、それで人も殺した急性パラコート中毒。数日間生死を彷徨った後で起きれば道子は既に自白済みと、因果応報なのでしょうが結末はちょっと呆気ないと感じてしまう。それが人間が味わうもっと苦痛なものの一つでも、と思ってしまうのは最近観た映画が『復讐者』とか『ハード・パニッシャー』だったりすることが起因するんだろうな。決して僕の趣味ではないはずだ、うん。
 これから代償を払うとしても、奪われた家族は戻らないからな……。

 なかなかインパクトのある表紙の本でしたが、ぐいぐい引き込まれて読んでいました。勧善懲悪、圭輔が主人公であると分かっていても一向に弱みを見せない達也の強かさには歯がみしたくなりましたが、寿人という手を汚してでも真実を暴こうとする友人の存在には救われましたな。
 なので今回のお気に入りはどうして彼が好きなのか分かったシーンを。
 ちょっと長いのだが、過去に道子の家から牛島家に引き取られることが決まった圭輔を迎えたときのことを思い出したところを。


 中学一年のとき、ひとりも友人がいなくなって来る日も来る日もただ本を読むしか楽しみがなかった自分に、気さくに声をかけてくれた笑顔だった。泥仕合のあと牛島家にひきとられることが決まって、ささやかな引っ越しが済んだ夜に「よかったな」と肩を叩いてくれた笑顔だ。いままでなにひとつ、ただの一度も圭輔に見返りを求めたことのない笑顔だった。家族以外に、こんな人間と出会えたことは、奇跡のひとつではないか。


 なんだ知らないのか圭輔は。そういう人をさ、家族って言うんだよ。
 血の繋がりなんかじゃなく大切な人を家族だと認識する僕ですが、圭輔に寿人がいて良かったと心から思う。だからこそ、未果を守れなかったことが悔しいのだがな。







代償
伊岡 瞬
KADOKAWA(2016/5/25)
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2018年03月14日

掲載禁止



 人が死ぬところを、見たくありませんか……。


 最近知り合った方がいろいろと本や映画を勧めてくれるのですが、それがどう見てもグロテスク一色で笑うしかない。
 こういうの話せる相手ができて嬉しいと喜んでいただけましたが、僕は別に好きなわけではないのである。僕はこの週末にグレイテストショーマンを観に行くのを楽しみにしている人間なのである。


■感想
 『放送禁止』でお馴染みの長江俊和監督の小説。『出版禁止』の方が有名でしょうが、ちょっと長編を推理する元気はないので短編を本屋で見つけてBUYしたぜ。
 前知識として私は放送禁止はほとんど見ていない。DVな大家族の話を一度兄に勧められて見て分からず、解説して貰った覚えがある程度。でも、子どもの頃だからほとんど覚えてないんだなー。


・原罪SHOW
 人の死が見られるというツアーの存在を知り興味を持ったジャーナリストが潜入取材を試みる話。都市伝説化と思われたそれが実在し、どんどんツアーを提供する者たちに迫っていくのだけれども……。

 普通に読んでいれば気づくだろうけれども、時系列がおかしい。そして、主人公が最後だけ違う。初めは女性なのに、一人称が僕とか妻とか、旧式のカメラを愛用するとか気づくのは難しくない。
 なら、章を区切るように□で囲まれた文字は何か。
 これは恥ずかしながら時系列順に並べるまでは気づかなかったのだが、Ki→起 Show→承 Ten→転 K2→結になってる。
 ぐいぐい読み進めた転と結。最後に承でネタばらしは繋がった感が爽快でした。
 女ジャーナリストと一緒に死のツアーを追っていきながらも男ジャーナリストと同じ道を辿っていると知った時の恐怖はきついな。Showが承ならば、原罪SHOWはゲンザイショウ→現在承とも取れるわけで、彼女はきっともう殺されているんだろうな。


・マンションサイコ
 別れた男が忘れられずに天井裏に隠れ住むことにした女の話。初めこそ悪質なストーカーでしたが、男が新しい女、そして結婚と進むことによって話が変わってくる。
 しかし、この話の問題はそこではなかった。

 親の遺産を食い潰しての天井裏生活。正直、ここまでできるとほど誰かを好きになれることには憧れますが、ストーキングがプロすぎる。浴槽の天井とか知らなかったよ。
 天井裏に住み、穴まで開けて元彼の生活と一体化し、新たな彼女とのベッドシーンも何もかも全て彼女は見ていた。
 けれども、途中で相手が変わっているとは気がつかなかった。

 元彼が結婚した相手が夫を殺そうとしていることを知ったところで一度話が区切れている。
 赤ちゃんの母親どのが天井裏に侵入した描写がちょっとあれとは思ったんだけど、まさか月日が経っているとは思わんさ。
 元彼が殺される一部始終を見た彼女は彼を求めて天井裏に住み続け、次の入居者の家族も見ていた。そして、赤ん坊を奪い、生きていくことを決めるというサイコだったなー。


・杜の囚人
 これは何というか映像作品で見たかったな、と。
 二人の兄妹の暮らしを妹が撮影しているのだが、この二人は兄妹などではなく、男が忘れている殺しを思い出させるために妹の振りをして記録しているというもの。
 なんだけど、実はこれは逆で殺したのは妹の方。しかも、実は男。

 実にこんがらがってしまって俺の理解は追いついていませんが、宗教組織を作った教主・越智修平は妹の振りをしていた男でもなくて、兄貴の方も殺したのは本当の仇じゃないというなんとも後味の悪い話でしたなー。


・斯くして、完全犯罪は遂行された
 これはなかなかに面白かった。洗脳洗脳のオンパレードで、何が本当の目的なのか考えるのが楽しかった。

 十五年前に親友だった男に奪われた彼女が戻ってきたのだが、彼女は洗脳から解放されたのではなく愛する夫のために死ぬための計画を遂行していた。
 元彼への料理に薬を混ぜて興奮状態にさせてDVの事実を作り殺されるように仕向けるというもの。男ももう冷静な判断ができないのか、何にも代えがたいとまでに愛していたはずの女をミンチにして公園の鯉の餌に。
 女が仕組んでいたことで犯罪は露見してしまうが、裏にいるのは女の夫。自分をバカにしたかつての友を排除し、金を手に入れるという目的なのだろうと思うが、そうするともう一人登場人物が余る。夫が見つめていた紫音という女がいる。
 金を手に入れた夫は紫音に促されるままに首を吊る。

 斯くして、完全犯罪は遂行された。


・掲載禁止
 過激な活動が噂される『品格を守る会』の代表タナカに密着取材をする女の話。初めはタナカの異常さに圧倒されるが、実はこれはやらせだということが分かる。
 ここまで読んでいれば、そう言いつつも実は本物なんでしょうということは想像できるものですが、これは分かってても怖かった。そこから二転三転としていくわけですが、まさか本物の代表が女の方だったとは。

 原罪SHOWでもそうでしたが、マスコミやジャーナリズムに対する敵意というか殺意は怖いわな。
 お気に入りってわけじゃないんだけど、やらせと仕組んでいたはず相手にこんなことを言われた日には心臓止まる。


「これはやらせなんかじゃない。……残念ながら、俺とあんたは違うんだ」


 二転三転と転がる様子は楽しくもあり、後半に行くと少々疲れもしていました。出版禁止も読みたいところですが、僕としては検索禁止の方が好きそうなので本屋で見かけたらちょっと買ってみようと思います。







掲載禁止
長江 俊和
新潮社 (2018/2/28)
posted by SuZuhara at 22:26| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月25日

ウインドアイ



「話が終わることを、なぜあんなに熱心に望んだんだ? ハッピーエンドになる可能性なんてないことがわからなかったのか?」


 基本的に私がこの時間帯、つまり日付けが変わる頃合いに起きているのは珍しい。大抵寝ている。てか、落ちてる床に。
 だからなんだと言われればそれまでなのですが、この時間帯に無理矢理起きなければ、今の私はパソコンに触ることすら難しい状況にあるのだ。
 ――なぜか、犬が、私がパソコンを触ることを嫌がる。
 うん、なんでだろうな、切ない声で鳴いてくる。試しに膝の上に乗っけてパソコンの前に座ってもらったが窮屈そうだ。ならどうすればいい? パソコンの前から退けばいいらしい。つまり、お前は床に座って本でも読んでろですね。
 そんな犬が寝ている夜型の人間になろうと思っているのだが、ガキの頃から朝型人間だから前途多難すぎるんだ。
 

■あらすじ
 妹はいたのか? いなかったのか?
 確かにいたはずの妹が自分以外の認識から消え、いつの間にか世界からいなかったことにされてしまう。表題作『ウインドアイ』を含めた25作の短編集。


■感想
 たまに手を出す海外小説。私が本屋でこれを手に取ったのは大分前で6月くらいだったんじゃないかな。あの本屋はそそられる海外ものが揃っていて楽しい。
 ゆっくり読んでいたので時間がかかりましたが、そろそろ感想を書こう。

 さて、この本はホラーと思われるかもしれないが、怖いというよりも興味深いという方が強かった。流石に全部が感想を書けないが、表題作の『ウインドアイ』は家の不思議な窓をウインドアイ(風の目)と呼び、そこに吸い込まれた妹がいなくなってしまい、世界からも消えてしまう。
 確かにいたはずの妹が、自分以外の誰もがいないと証言する。正しいのは自分なのか、自分こそ間違っているのか。その自問は生涯彼が抱えることになる苦しみとなる。
 むぅ、この嫌な感じはすごいな。いっそホラーであってくれた方が楽だが、この手の話は好きなので読んでいて楽しい。

 私が一番好ましいと思ったのは『ダップルグリム』だな。
 十二人兄弟の末っ子であった私は兄たちの権力に抑えつけられる日々が嫌になり、家を出て王の蝋燭持ちになった。それが以前よりもいいことなのかは分からない。
 一度家に帰ると両親は亡くなっており、遺産として十二頭の馬を貰う。その中の一頭がダップルグリムだった。
 初めこそ底辺から私が這い上がる話かと思ったが、段々その異様さに気づいてくることになる。全てはダップルグリムの望むままに動かされていることに気づくことになる。

 誰も救えなかった王女を愛馬と共に救うという王道は胸躍るものだが、ダップルグリムが関わると凍るだけだ。終いには結婚話を渋った王も王女も家来も殺させられて、王という立場を手に入れただけ。それは自分の意志ではなく、ダップルグリムのための駒としての人生だった。

 ああ、この話が好きだなぁ。
 言葉で説明するのは難しいのだけれども、どう足掻いてもどうにもならない絶望は心地良いものがある。

 あと『過程』と『食い違い』には純粋な恐怖を感じたな。
 ホラー物を読み漁ってみたりしていますが、本当に怖いのは人なんだよな。

 なかなか楽しい本ではありましたが、一つだけ気になったのが文中の重要なところが太字になっているところ。いかにも、ここが肝ですよ伏線ですよ、と親切なのはいいが気づく楽しみが減る。学生時代に教科書に赤線とか引いたと思うけど、たくさん引くと目障りなだけだと思うんだ。
 正直なところ、『彼ら』とか理解し切れていない話は多いのだけども、この作者さんの本はまた読んでみたいので探してみようと思う。『遁走状態』は是非読みたいね。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 せっかくなので『ウインドアイ』から。妹がいなくなった彼が、母親との関係にも亀裂が入り、治療をきょうせいされることになっても妹の実在を信じ続けたのは、それが彼しかいなかったからだ。 


 もし彼が信じるのをやめたら、妹にどんな望みが残るというのか?


 きっと彼は周りから狂ったと判断されていたに違いない。
 それでも信じるという破滅的に不毛な感情が、無駄なことだと分かっていても僕は好きなのである。







ウインドアイ
ブライアン エヴンソン(著)
新潮社 (2016/11/30)
posted by SuZuhara at 00:34| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月19日

超SOS



「あの……気のせいだと思いたいんですけど、彼の車のトランクに、」


 未だに風邪は治っておりませぬ。それでも激しく散歩に行く犬に引きずられながら、「おい、待てって。俺は病み上がりじゃないんだ。絶賛病んでるんだよ!」という発言をして白い目で見られる。いや、うん、本当ですね。
 糸井重里さんの会社・ほぼ日が行っているイベントに行ってきましたが、人の多さに驚きつつも欲しかったコーヒー飴ゲットする。そうだ、このためのティム・バートン展以来の六本木入りしたよ。まあ、そこでフラッと寄った福引所で特賞引き当てるのが私の微妙に幸運なところなのですが、帰り道で当たったものででかさに震えるチキンなのである。
 

■あらすじ
 友人たちから送られてくるSOSに対してアドバイスをしてピンチから救え!
 答える内容によって結末が変わるメッセージアプリ風ゲーム。


■感想
 私が好きでたまらない三角関係シリーズを作っている会社さんの新作です。ちょっとタイトルから恋愛物=三角関係ものではないなと分かったのですが、同会社の十三怪談のようなものだろうとそのままレッツプレイ!

 端的に言えば、ゲームシステム自体はまんま十三怪談でした。Lineが来るから的確に答えていこうである。
 けれども、十三怪談のようなホラーではないので選択ミスの恐怖も特にはない。むしろ、お前らなんでそんなピンチの時にスマホいじってんの?という疑問の方が勝手しまってあまり楽しめなかったですね。デッドエンドも予想を裏切るものはなく無難なものが多かったですからね……。

 友人はこの後追加されるかもしれないですが、今のところ十人。
 個人的に印象に残ったものだけ紹介すると、いとこの少女・節田らいかの彼氏に黙って合コンに来たら彼氏の友達が合コンにいたという話と彼氏に振られたから自殺すると言い出すバイト先の先輩・思井香奈。

 前者は変顔で乗り切ろうとかどうにかして合コンして行こうという話で面白かったです。てか、メイク変えた後の顔が可愛くて困った。くそ、いとことか家族じゃないか。攻略できないぜ。
 最終的に、彼氏も他の合コンに来ているところに鉢合わせてという展開になるんですが、グッドであるレスキューエンドよりもデッドエンドの極道のお嬢様の方が好きですね。

 後者は死ぬ死ぬと言い出す先輩に付き合う話ですが、リアルな話、こういう先輩にはよく付きまとわれるのでわりと得意。大丈夫、二度ほど心中相手に選ばれたけど僕は元気です。
 相手への感情は自分勝手レベルに重く、自分から自殺サイトなんか相手募ったくせにいざ自らの死が迫ると手のひらくるーな本当に苦手なタイプですね。この人には何度も殺されます。今回は全体の相関図というものがあるんだけど、彼女に浮気しているかも疑われているSNSの友人が殺されるのもこの女のせいではあるまいか。この子に見えるんだよなー。

 あとはご飯食べたけどお金がないことに気づき大食いにチャレンジする幼馴染とか、ロッククライミングで落ちる寸前の友人とかからSOSが来ますが、とりあえずお前らはスマホ見てないで目の前のことに集中しろと言いたい。

 デッドエンドをコンプするほどハマれませんでしたが、そこそこ面白かったです。返信までの時間をタップで短縮出来たりと、七怪談から十三怪談へと改善された部分も引き継いでいるのでストレスはないかと。タップ面倒と言ってしまうとそれまでですが……。

 さて、今回のお気に入りですが、面白い台詞等は特になかったのでとあるキャラの名前を紹介したい。
 ムキムキな親友から大事な話があると言われて戦々恐々とする男からのSOS。デッドエンドではそっちに目覚めてしまう男の名は――。


 右城まもる


 いや、いやいや原井大介とかそのまんまな名前だは分かっていたけれども、守れてねぇからw
 背景も薔薇とか本当やめて。お前の未来だけは簡単に想像ついたよww





超SOS
超SOS

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posted by SuZuhara at 21:45| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月01日

オーバーロード12 聖王国の聖騎士 上



 悪逆無道の魔皇。


 ひっさびさにがっつり風邪を引いたようで熱が出るわ声は出ないわ咳が止まらないでびっくりでした。
 しかし、風邪=休めるということでパソコンの前に座るぜひゃっはーといつもならブログとかもろもろに顔を出しているところなのですが、ベッドにいないと犬に切ない声で鳴かれるという初めての事態。風邪が移るといかんと離れていたのだが、脱走してでも私の傍にいようとするガッツ。……これが忠犬という奴か。
 まだ本調子じゃないですが、元気になったら『The Coma: Recut』やりたい。超やりたい。
 

■あらすじ
 城壁によって守られていた聖王国の平和は突如襲撃してきた亜人連合軍、魔皇・ヤルダバオトによって崩れ去る。
 争いを望まなかった聖王女・カフカを守れずに逃げることになった聖騎士団団長レメディオスはかつてヤルダバオトが現れた王国に助けを求めるが、王国にもアダマンダイト冒険者チーム・蒼の薔薇にもそんな余力はなかった。最後の望みをモモンにかけて魔導国、聖騎士が嫌うアンデッドへと助けを求める。
 しかし、魔導国でも芳しい答えが得られずに終わることになるかと思いきや、ヤルダバオトのメイドを求めてモモンではなくアインズが聖王国へと向かうことに。
 同行を許されていた従者ネイアは聖騎士ではないが鋭敏な感覚に恵まれていてこれまでの道中を助けていたが、断腸の理不尽な八つ当たりに辟易としていたところにアインズ・ウール・ゴウン魔導王と出会い、その考え方に惹かれていくようになっていく。


■感想
 体調悪いからあらすじとか無理なんだよ、と言い訳しても残念ながらいつものことである。
 楽しみにしていたオーバーロードの最新刊ですが、今回は上巻ということもあって準備段階。聖騎士団長嫌いだなー、この人は上司に似ている。殺意しか抱けない。毒にも薬にもならない副団長も同様だがな。
 このせいで大変機嫌悪く読ませていただいたので、打撃武器聖王女とかワクワクする最低加減でしたw

 初めは聖王国に攻め込むデミウルゴスから。聖王国に凄そうな人がいても関係ねぇである。聖王国は聖王女、聖騎士団長、神官団長というトップ3が女という珍しい国。……ここでの会話も聖騎士団長の脳筋加減には嫌気が差したがな。私も戦闘スタイルとして選ぶのは脳筋だけど、考えないのは違うだろうよ。
 ここで単独で攻め込んできたヤルダバオトを追いつめますが、変形して形勢逆転。これがデミウルゴスの最終形態? いや、こんな面白ないところじゃ出さないだろうから違うだろうな。

 結果、聖王女と神官団長はおそらく死亡で聖騎士団長は逃げ延びる。僅かな聖騎士団を連れて王国に助けを求めるがダメで魔導国へと向かう。犯罪者の目つきをしたネイアに対する扱いがムカムカしますが、第三者から見た魔導国は新鮮でした。ナーガこんなとことにいたんか!
 アインズ様との謁見でアルベドさんがなにに喜んでいたのかは僕には高度すぎて分かりませんでしたが、アインズ様は単独で聖騎士たちに接触して協力体勢を取ることに。
 要するにヤルダバオトのメイド強いらしいから欲しいんだよね、というわけですが、これは蒼薔薇の面々に顔が割れてるからかな?
 アインズ様が聖王国に行くということで、ネイアがその世話係を押しつけられる。平民にはドッキドキ展開ですが、ネイアはアインズの何気ない気遣いに心惹かれていて少しづつ心酔していく。これはずるいなー、弱っている時にやられると惚れてしまうね。

 デミウルゴスは実に楽し気に実験しているようですが、捕虜開放戦線はあまり面白くなかったな。アインズ様も死亡フラグ必死に立てていますが、主軸にいないからあんまり気持ちが分からないし。
 つまりなにが言いたいかというと、早く続きが読みたいな、と。アニメ二期が一月ならその辺りで発売されるといいな。

 さて、ここらで今回のお気に入りへ。
 今回は特にこれといったところはなかったので、好きなところを。特に説明はしないので想像するか、読んでいただければと思う。

「一目見た時から丁度いい武器になると思っていたのだ」

 ひゃふーっ、この女たち好きじゃなかったからさすがだぜデミウルゴス!と歓喜した僕は最低です。百も承知だよ。






オーバーロード12 聖王国の聖騎士 上
丸山 くがね(著),so-bin (イラスト)
KADOKAWA (2017/9/30)
posted by SuZuhara at 22:06| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする