少女+百合+都市伝説=“クダンノフォークロア”
微妙に天気が良くなくて辛い。暗いと寝る体質だからカンカン照りの外を尻目に引きこもりたいのに。雨が降ってばかりだと犬も散歩を拒否しますからね。
久々に連日更新ですが、ちょこっと実験したいからという理由でいつもとは一風変わった感じで行きます。
■あらすじ
九段朔夜はとある一件から料理教室の講師・志摩塔子と出会う。女性らしい塔子に男勝りな自分にないものを感じて憧れるのだが、ある日、塔子が巷で噂される「クダン」というフォークロアを目にしてしまったこと知らされる。
最悪を予言するクダンの存在に怯える塔子のため、朔夜は神秘学研究会の部長・春夏冬小兎に協力を申し出るが、その一件は始まりでしかなく、朔夜たちはフォークロアに関わる事件に巻き込まれていく。
■感想
初の百合ゲーにして僕の好きな都市伝説ゲー。
ちょっとした知り合いに都市伝説ゲー出るよと教えられ、しかし百合モノはやったことがないと買うまでにかなり葛藤した。結局都市伝説への興味が勝手買ったのだけど、なかなかに悩ませられる作品でした。
まず根本的に私が思っていた都市伝説と解釈が違うんだ。物語上では都市伝説はネットロアが主流でフォークロアは別物であり、怪異=フォークロアであると語られる。
これは僕の解釈とは違って、ざっくり言うと都市伝説という嘘か本当か分からない噂話であり、口承で伝わったものをフォークロアでネット上で拡散されたモノをネットロアと解釈してたからよう分からん状態になる。これは僕もきちんと調べたわけじゃないから違うのかもしれない。資料が必要だ、晴れたら図書館に行こう。
一番困惑したのは怪異=フォークロアの部分なんですよ。私の中では都市伝説≠怪異なので小兎とは気が合わないでしょうな。
まあ、そんなことはどうでもいい。
正直なにが正しかろうと、作中でそれが正しいのだと思い込ませてくれればなんだって構わないのである。
剣道部のエースである朔夜が理想の女性像である塔子と出会い、クダンという怪異を知る。私は共学しか行ったことがないので女子校の雰囲気とか分からないのですが、幼馴染みの佳恋は同性にモテるのが分かるほどいいヤツでしたね。
さて、クダンという怪異は西洋の喪服を着た女であり、その姿を見た者の元へ七日の時を掛けて近づき、災いの予言をするという。
そんなクダンを愛しの塔子が見たとあって安心させるためにも対策を打とうとする朔夜は、餅は餅屋とオカルト研究会ならぬ神秘学研究会を尋ねることに。そこでバレー部コーチに服装のことなどでいちゃもんをつけられている小兎を助けたことから、いろいろと講釈を受けることに。
春夏冬で「あきなし」って読むのは初めて知ったなー。けど、こんな名字を持つヤツがただの人ではないとごく普通の名字である俺はすぐに看破するのだったw
塔子の一件はクダンというフォークロアを利用した人による犯行である。そして、続くフォーチュンラインも。
なかなか面白い話でフォークロアと人が起こす事件を関連付けていくのは面白かった。まあ、推理選択はとってつけたようなモノだけども。……でも、フォークロアっていうのにはすごい違和感があるぜ。都市伝説でいいじゃんか。
恋愛に関しては塔子と小兎がぐいぐい来ますね。朔夜が女同士なのにみたいにと困惑しても、二人にはそんなのないw まあ、朔夜も性欲強いんだろうなという描写が多々あってこの辺は苦手なんだけども。
三つめとして夜売百物語という簡易版百物語がある。百も語る必要はなく、用意したお札に誰かのための願いを書き、話を終えた後に選んだ札の願いが叶うというもの。
それを行った後、塔子ルートか小兎ルートかに別れる。志摩家のことが分かる話になりますが、どっちもすっきりしない。だが、最後スチルはエロい。全年齢だからと思って油断していたぜ……どう見ても事後だ。
でも、どっちも幸せにはなれず黒幕ひゃっはールートなので二人に良い顔することでおそらくトゥルーエンドへ。
個別ルートだとどちらかと志摩家へ行きますが、こっちはみんなで行く。良かった、佳恋がいる。初めは百合要員だと思っていたけど、君がいることで辛うじて平静が保たれていると言っても過言じゃない。
このルートは総決算なので朔夜がずっと見ていた悪夢や黒幕の正体が明かされますが、まぁ消去法でこの人だよなー、と。立絵があるのにあまり出番がなく、けれども初めからいる時点で怪しいわなというくらいの印象でした。あと、クダンの衣装気合い入ってんなーと。
私としてはその後の、どっちも好きだと言って塔子も小兎も手に入れる終わりはどうかと思うんだ。てか、まだ感想は書いてないけど、やったゲームが連続でハーレムエンドなんですけどぉっ!
真面目な話、今作の百合と都市伝説というのはあまり関連がなく、毛嫌いするほどではないけれども、恋愛に発展する必要性もないような気がした。恋愛要素を抜いても、トワイライトシンドロームみたいに女の子グループが挑むでも違和感はない。むしろ、急に恋愛発展するから驚いたくらい。
都市伝説を考える上では面白かったけど、結局都市伝説は利用されるだけで関係なくなっていくからな……。
あと、シナリオが読んだことのないタイプの文章だった。「凝っと見詰める」「佳い人」とか漢字の変換が独特なのと小説的な文章だったので、一部会話が地の文で終わってしまうのは勿体ない。いや、そこはボイスで聴きたいですと何度思ったことか。
他にも映画ネタがめっちゃ多いので僕は分かるとこ多くて楽しかったですが、この手のネタは分からない人には滑るだけなんだが心配になるほどだった。
しかし、絵がめちゃくちゃ綺麗だ。イラストだけでなく背景も綺麗で、特にマウンドの佳恋は格好いい。小兎との出会いのシーンも憧れの先輩を追って入った高校でこんな風に助けられたら溜まらないのだろうな、と。でも、私は朔夜と同じで見た目は塔子さん派ですね。夜売物語のCGで塔子さんの腕が三本ある怪奇現象は敢えてのモノならばさすがですね!と好意的に思っとく。
続きが出ても買わないでしょうが、こういう意欲作には是非頑張って欲しい。都市伝説ものって少ないしね。百合モノの良さ等は分かりませんでしたが楽しめました。
あと今回感想にスチル張ってみましたが、どこまで張るかの加減が分からないので次もやるかは不明。これでもなかなか頑張ったんだぜ……。
では、ここいらで今回のお気に入りへ。
今回はお気に入りというか、主人公の朔夜と分かり合えないと悟ったシーンを。部活塗れの夏休みの息抜きとして小兎をバーベキューに誘い、全ての金を出させたことに恐縮する小兎に朔夜はバイトはしなくても親戚がくれるお年玉で大丈夫だと言う。
そして、お金を使う暇がないほど部活が忙しいこともあるが――そもそもゲームと音楽くらいの趣味だと使い道がない、燃費がよいのだ。
――よろしい、戦争だ。
俺も高校時代同じ趣味だったけど、金欠でしたからね! むしろ、趣味のためにバイトしましたからね! それに映画だって趣味じゃないのかよーっ、とここで私が少し感じていた朔夜への親近感は完全になくなったのだったw
クダンノフォークロア 通常版
SukeraSparo (2019/4/26)