2018年04月12日

死神と道連れ 怪異名所巡り 9



 大事故の現場には、必ずその男がいる!?


 十年近く愛用していたブックバンドがついに使えなくなる。ゴムが伸びきってしまったんだなー。鞄の中で本がバラつかないということで重宝したのですが、なければないで困るというほどのものでもない。
 しかし、愛着というのはなかなか捨てられないもので、まだ戦えると思う自分といつまでも過去に縋りやがってと罵る自分もいたりして、僕はブックバンド一つにいったいなにを考えているのだろうと不思議に思う次第である。


■あらすじ
 すずめバスのバスガイド・町田藍は霊を感じやすく行く先々で霊がらみの事件に巻き込まれてきた。藍と行く幽霊がらみのツアーなどで常連客がついていたが、霊と話せるなどと有名になってしまった藍はどんどん霊がらみの事件に巻き込まれていく。


■感想
 赤川次郎さんの怪異名所巡りシリーズもついに9巻か。さらっとしていて読みやすいので好きなのですが、今回はいつにも増して藍が物わかりのいい霊のスペシャリストになっていて笑った。

 短編集なので特に面白かった二つを紹介。
 まずは「救命ボートの隙間」。
 戦時中に日本軍の少尉に殺されかけた母子は、少尉の部下が少尉を殺したことによって生き延びた。それから時が経ち孫娘の結婚相手がかつての少尉の孫であることを知り、霊がらみでは有名なバスガイド・藍に助けを求める。

 どう展開するのか予想できずに読んでいて面白かった。
 仰天するような事態はないけれど、こういう洗脳というか思い込みというか、こういう奴はいそうだと思うので戦々恐々ですが、かつて助けてくれた伍長の孫まで参戦というのは王道すぎるが嫌いになれないから困りものだ。

 次は表題にもなっている「死神と道連れ」。
 たった一人でバスを手配した男・納谷はかつて事故で最愛の人を失っていた。しかし、それだけではなく、納谷は関わった事件の全てで一人だけ無傷で生還していた。
 それに悪意を抱く遺族たちは事故に見せかけて納谷を殺そうとしていた。

 特別なことはなく愛する人を追って死のうとする男と生かそうとするかつての女と今愛している女、といったところか。納谷が達観しすぎていて死にたがっているのがよく分かってしまう。
 結婚しているか、という納谷の質問の真意に気づく藍はさすがだと思う。

 ほぼ全編を通して常連客・真由美とのやりとりは楽しい。真由美が金持ちだから不可能を軽く簡単にしてしまう。真由美が冗談で運命だとか言いますが、軽くそれに近いと思うしね。

 では、ここらで今回のお気に入りといきたいところですが、特に印象的なところはなかったので割愛。
 強いて言えば、真由美が父親の家族カードを使う関連のシーンだけど、さすがお約束だけあって何度繰り返されても面白いのだ。

 









死神と道連れ 怪異名所巡り 9
赤川 次郎
集英社 (2017/9/5)
ラベル:赤川次郎
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2018年02月21日

花嫁をガードせよ!



 狙われた政治家をかばった女子警官の運命は…?


 携帯の調子が悪いので買い換えました。
 思えばFGOのために買い換えた携帯でしたが、FGOばかりで電池が消耗したような気がする。バレンタインイベントは死にそうでした……。
 しかし、そろそろちゃんとせねばならない。漫画とかたくさん読んでいたのでそれらの感想をちまちま書いていこうっと。


■花嫁をガードせよ!
 女性警官西脇仁美は殺されかかった政治家・蔵本を庇って撃たれてしまうのだが、それをきっかけに婚約の解消や蔵本との不倫疑惑と身に覚えのない展開へと発展していく。
 そして、蔵本を殺害しようとした犯人も取調室で自殺したとされ――案の定、巻き込まれた亜由美と愛犬ドン・ファンは殿永警部と捜索を開始する。


 久々に赤川次郎さん作品。花嫁シリーズは手軽に読めるのがとてもいいですが、今回は特に結末が呆気ない気がしましたな。二作とも黒幕的存在が分からないのは完結型短編ではきついぜ。

 さて、政治家を庇って撃たれた女性警官が婚約も解消され、不倫のスキャンダルまででっち上げられる話。殺害しようとした犯人も自殺したことになるのだが、実は生きていて、潜伏先の旅館で偶然再会した恋人とイチャイチャしたあとに上からの命令で殺そうとする。
 ふむ。上とはよっぽどの人物なんだろうなと思っていれば結局明かされず、黒幕の目的のためにいろいろな人が人生狂わされていくと誠実に生きた方がいい気がするなぁ。


■感想
 溺れている少女を助けた亜由美だったが、少女は記憶喪失になっていた。塚川家で匿いながら少女について探っていると、少女の家が放火でなくなり、親友は線路に落とされて殺されかかってしまう。
 一連の事件はオリンピック開催が関わっていて、それぞれがオリンピックに自分の望みを叶えるために、と他人を蹴落として起こった事件だった。


 この話は正直、オリンピックに関わる一連のごたごたをディスっているんだろうな、と感じだ。こういうこと平気で起こってそうだよな。特に政治家と女子アナの関係とか。

 金をむしり取ろうとして殺されかけたり、聖火ランナーになりたいが為にライバルに暴行したりと実際にあり得そうで嫌だった。
 けれども、僕はオリンピックとか興味ないので無縁なんだろうな。オリンピック中の街から人が消える瞬間は好きだがな!

 悲しいことに、今回は塚川家の出番はほとんどありませんでした。ドン・ファンの可愛さは健在でしたが、次は黒幕的存在の判明と塚川家の出番を期待しようっと。

 では、ここで今回のお気に入りに。
 特に好きなシーンはなかったのですが、殿永警部のぼそりと言った言葉が格好良くて好きです。
 行方不明になった女性の母親に話を聞いてから捜索しようとするが、母親もついてくると言われてしまう。その時に言った一言。


「先に旅館で降りていただこうと思っていたんですがね」
 と、殿永はため息をついて、「まあ、私がクビになればすむことです」


 こんなことさらりと言えるかよずるい。
 今回は特に権力者が押さえつけられているので警察も信用できないですが、見ろよこの安心感。かっけーですな。









花嫁をガードせよ!
赤川 次郎
実業之日本社 (2017/12/15)
ラベル:赤川次郎
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2018年02月03日

ロード・エルメロイU世の事件簿7 case.アトラスの契約(下)



「あなたは――あなた自身は、本当にアーサーを復活させたいんですか」


 ……くうぅ、ゲームしていないと俺の精神が安定しない。ゲームしたいよ! ちょっともうFGOのノルマばかりこなす毎日は嫌なんだ。やっぱりゲームは好きな時に好きなだけするのがいいのであって時間に追われたくないんだよっ!
 つまり何が言いたいのかというと、セミ様出ませんでしたということさ。


■あらすじ
 故郷に、それも過去のグレイが死んだとされている二週目にロード・エルメロイU世とグレイは村の地下に広がる大空洞で骨兵と遭遇することになる。戦闘中に沈黙したアッドから現われた貌のない白銀の騎士――サー・ケイに助けられ、現在の時間ではフラットとスヴィンがアトラス院のズェピアと対峙し、過去の真実が、ブラックモアの墓地の秘密が明かされる。


■感想
 今年初っ端に読むなんて言って結局読み終わったのは先週でした。面白いのは分かりきったことですが、エクステラから考えてきた人の三要素について考えさせられる話でした。

 さて、前回の続きだからサー・ケイが現われたところからですな。
 割としんどい事実というかグレイの置かれていた状況のしんどさを思い知らされてへこみましたな。
 グレイと瓜二つ――もう一人のアーサー王顔の少女は行こう骸王と呼ばれますが、彼女もグレイも人の三要素に基づいたアーサー王を再現するための要素に過ぎなかった。
 人の三要素――エクステラでザビーズが分けられた、肉体と精神と魂。グレイが肉体で骸王は精神。魂が聖杯戦争で召喚された時の器を作るのがこの村の目的だった、と。

 私がエクステラをプレイしたどうしようもなくイラついたのは戦闘のシステムではなく、この三つに分かれたことの納得ができなかったからだったりする。ゲームの感想を書いていた時は大分落ち着いていたかそのことについて書いてなかったけれど、ここは嫌いだったんだ。
 肉体は分かる。魂も分かる。では、精神とはなんだ? そもそもなんでこんな状態になっているのか、という説明がなかったから当時は受け入れずに拒絶したわけだが、だからと言って今回も深い説明はないので納得にまでは至っていない。
 奈須さんがブログで書いていた肉体(本能)、精神(感情)、魂(本質)ということでそういうものかと理解しているけど、納得ができないのは俺が意固地だからでしょう。シール・サーティーンも後付け感が強くて好きじゃないのである。

 ま、僕の好みはどうでもいい。
 要するにグレイは過去にして未来の王であるアーサー王の復活のための生贄であり、骸王もそうだ。
 グレイと骸王を手に入れるために、村と聖堂教会とU世たちという三つ巴になりますが、シスター・イルミナが想像以上に好みでやばかった。ボクシングスタイルとかやめてよ惚れちゃうよ!
 ま、それ以上にサー・ケイのキャラが良かったので恋には落ちませんでしたがね。最強のキャラが召喚されたなら無双できていいでしょうが、天才には敵わずとも同じ目線を知っている奴が手を貸してくれる方が嬉しいのです。

 サー・ケイは本人ではなくアッドのモデルとなった疑似人格なのですが、グレイのことを知っている感。そして、咄嗟の連携ができるところは震えましたね。

 あの日死んでいたグレイの正体には驚きましたが、それ以上に安堵もした。グレイが母親を苦手としていることと母親の熱心な信者っぷりを知っていたので、理由が明らかになった時は母の愛を感じましたね。強いなぁ、本当に。

 謎を解き明かしたことでフラットとスヴィンと合流し、ズェピアが再演などをした理由が明かされる。アトラス院の兵器の起動により敵として再演され、ベルザックもイルミナも敵に回っての総力戦へ。
 そして、サー・ケイは本当にズルい。今まで貌がない、見えないものとして描かれていたのに、ギャラハッドの真似事と言いながら宝具を疑似展開した時に見えた顔は挿絵つきで格好良すぎるのである。

 サー・ケイが消えてアッドが戻り、フラットとスヴィンのコンビによって事件は収束しますが、最終章を前にアッドが壊れるフラグとかちょいと怖いですな。
 僕の好きなライネスが友達が買ってきたチョコを食べるシーンは至高だと思います!

 今回も面白かったですが、もう次は最終章かと思うと寂しくもある。しかし、それ以上にエルメロイ教室の面々がわいわいやっているのをみたい気持ちの方が強いので夏を心待ちにしていようっと!

 では、ここで今回のお気に入りに。
 骸王に会うと決めたグレイにU世があるお願いをした時の話。それを聞いたグレイは了承して思う。


「……分かりました」
 と、うなずいた。
 いずれにせよ、師匠の願いを拒絶する道理など自分にあるはずがない。意図や危険度が分からなくても、構うところではない。自分にとって許せないのは、この身が師匠の役に立てないことくらいだ。そう言うと、師匠は困った顔をするかもしれないけれど。


 相変わらずの師匠好きっぷりで大変嬉しい。
 U世がハートレスの残したウェビングを見ている時も自分にどうにもできないところで対峙しているみたいだと怯えていたし、さっすがグレイたんである。
 スヴィンを初めて知った時はなんて残念な奴だと思ったが、今ではすっかり同じような気持ちでいるよw









ロード・エルメロイU世の事件簿7 case.アトラスの契約(下)
三田 誠
TYPE-MOONBOOKS (2017/12/31)
posted by SuZuhara at 23:32| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月17日

屍人荘の殺人



 たった一時間半で世界は一変した。


 冬アニメが始まっていろいろ見ましたが、やはりクルシュは嫌いだと知るw やっぱりオーバーロードは好きだが、今回BDに小説つかないのか……。
 私の近状としては時間のない日々を送ってますが、そろそろゲームがしたいと発狂し出す頃合いかと。ニーアは全然進んでいない。今はノベルゲーがしたい気分なのである。


■あらすじ
 神紅大学ミステリ愛好会の葉村謙は会長、神紅のホームズこと明智恭介は事件を求めて映研のサークル合宿にどうにか参加しようと画策していた。すげなく断られていたが、探偵少女・剣崎比留子との取引により参加できることになる。
 心霊映像を撮るというのは名ばかりでペンションを提供するOBが主導権を握る合宿は人間関係から複雑さを見せるが、それ以上に想像もできなかった事態に襲われペンションに立てこもる。
 そんな中で起こった殺人事件に、葉村たちは外と内からの恐怖に晒されることになる。


■感想
 ふらりと寄った本屋で手に取ったのですが、あまり受賞作品とか興味ないので読み始めの受賞の言葉で知る。今回はどちらかというとあらすじよりも表紙に惹かれたわけですが、こういう展開だったとはなー。
 いつものようにネタバレありで行きます。

 さて、一言で言えばこれはクローズドサークル×ゾンビ。
びっくりな組み合わせですが、なかなか面白かったです。
 始まりは大学の一風景。ミステリを求め解決する神紅のホームズ・明智とその助手でワトソン役の葉村の学食推理は笑った。
 事件を求めていた明智は心霊映像を撮る映研の夏合宿に目をつける。ここでの心霊番組に対する意見は同意。心から同意。どれだけ縋っても参加は認められないのだけども、探偵少女・剣崎の登場で事態は一変する。

 サークル合宿に参加させる代わりに理由は問わないという取引を持ちかけられて受けることになるのだ。ここで夏合宿がOBに女子を提供する場であること、「次の生け贄は誰だ?」という脅迫状が届いたことなどかなりきな臭いのだが、それでも探偵は舞台に登るのである。

 少ない参加者の中で映研合宿が始まり、バーベキュー後の肝試し中で一緒になった剣崎が葉村に「私の助手になってほしい」と言う。
 正直、剣崎が葉村を贔屓していることは分かったが、彼女の思考は読めなかった。読了後も私は剣崎に対してどうも像が結べないというか、キャラが掴めないでいたのだけどもこれはたぶん彼女だけ現実味がなかったんだと思う。
 美少女と言われればそれなりの人物は思い浮かべられる。けれども、剣崎に対してだけ小出しに実は胸がでかいとかそういう情報が与えられるので分かりにくかったのだと思う。強いのか弱いのか、ラブなのかよく分からんみたいな彼女だったので出てくると嬉しい反面、想像が難しかった。

 閑話休題。

 どっきどきな肝試し中、葉村たちが遭遇したのはゾンビの集団だった。近隣で行われたロックフェスでのバイオテロでゾンビ化した人たちが流れてきたのである。
 肝試しメンバーは戻ってペンションに逃げ込むが、ここで逃げ切れなかった明智が噛まれて脱落。
 ペンションの一階が包囲され、二階三階とバリケードをつくり籠城することになるが、一夜経って一人が殺されることになる。

 映研部長だったのだが、外はゾンビというクローズドサークル内で起きた殺人に葉村と剣崎は捜査していく。しかし、ゾンビの存在もあり上手くいかない。また一夜でもう一人死ぬ。OBの先輩だった。
 ここからも書いてもいいんだけど、ちょっと上手くいかなかったので割愛。

 私は本格ミステリはほとんど読まないので葉村ほどの知識はないが、殺人事件としてはわりと穴がある。けれども、状況がそれをカバーする。
 葉村が真実を隠していることは分かる一文があるのですが、葉村が犯したミスには気づかなかった。俺も腕時計はアナログ派なんだ。主人公は震災経験者とか攻める内容だなと思いましたが、私も譲れない部分に関しては頑ななので彼のことはあまり悪く思えないぜ……。

 結末の推理披露とゾンビの襲撃。
 俺のホームズ、私のワトソンにはぐっとくるものがありましたが、私も作中のゾンビマスターほどではないですがゾンビに触れてきた者として言いたいのが、ゾンビのスペックはもう少し高くあって欲しかった。
 繁殖のために生者を襲うけど、音に反応したりするわけではないのでその辺はノータッチ。ただ前へ前へ。だから殺しが成功した、復讐が成立したわけだが、ゾンビさんにはもうちょっと頑張っていただきたい。

 いろいろ書きましたが、それだけよく考えるほど面白かったわけで久々に読書した気分でした。ハードカバーは持ち運びにくいけれども、読み応えあるぜ。

 では、ここらで今回のお気に入りに。
 わりと付箋を使っていたのですが、そんなに心惹かれるところはなかったかな。なので最後の一番いいところから取らせてもらおう。
 迫り来るゾンビに屋上まで追い詰められたメンバー。ゾンビになった明智の姿に固まる葉村を助けたのは――剣崎だった。


「あげない」
 強い口調。
「彼は、私のワトソンだ」


 自己投影かも知れないけれども、葉村の気持ちはすごいよく分かるんだ。明智を慕ったのは初めて奢ってくれた――自分を必要としてくれた人だったから。
 そういう人を裏切るのは難しい。ゾンビだろうとなんだろうと手にかけることなんかできるかよ。
 助けてくれた君には心から感謝するが、大切な人を殺した君を受け入れるのは難しい。ラストの葉村と剣崎の関係が微妙な距離感があるのはそうであってくれたらいいな。









屍人荘の殺人
今村 昌弘
東京創元社 (2017/10/12)
posted by SuZuhara at 22:22| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月01日

ロード・エルメロイU世の事件簿6 case.アトラスの契約(上)



 舞台は始まりの地、ウェールズへ!!


 少し前まではホラー映画とか全然観れなかったくせに今では内容を吟味できるほど耐性がついた。
 大半が勢いで笑わせる系と肩透かしだが、最近観た中では『劇場版トリハダ』の赤いストーカー女は結構良かった。てか、2→1と逆行して観たんだけど、ちょっと待てあの使用禁止コインランドリーってお前なのかよ!と楽しめました。お化けより人間の方がこえーんだよ、ですな。
 つまり、なにが言いたいかと言うと、久々の更新でペースがつかめていないんだよ。
 

■あらすじ
 半年前、ロード・エルメロイU世は第五次聖杯戦争の対策として、とある辺境の地にあるブラックモアの墓地に訪れていた。そこで墓守の助力を得ようとしてグレイと出会い、ある事件をきっかけにグレイを内弟子とすることになった。
 しかし、グレイの故郷で出会ったズェピア・エルトナム・アトラシアとの会話にハートレスの手掛かりを見出して再び彼の地へと向かうことになる。


■感想
 もう、時計塔の講義風景最高に楽しい!
 いやー、今回冒頭がエルメロイ教室なんだけど、ただのレポート返却シーンなんだけど楽しすぎる。早く凛とルヴィアが加わったところも読みたい。てか、戦争ばっかしないでこっちやろうぜと言いたい。FGO水着二部は惨敗だったよ……。
 発売日には速攻読んでいましたが、感想書くのは今なので少々時間が開いていることをご了承ください。

 エルメロイ教室での日常を過ごした後、グレイは逃げるようにライネスの元へと行き、自分と向き合うためにも過去の、U世とライネスがグレイの故郷に来た時の話を求める。
 ……てか、ライネスのキャラいいよなー! あのいじめっ子思考はかなりいい。今回ライネスの発言で最高にクるものがあるんだけど、本当に好きなものは口にしない性質なのでここではあげません。

 ライネスが語るのはU世が次の聖杯戦争のためにグレイの故郷に向かった時のこと。U世はブラックモアの墓守の力を借りに来たのだが、そこで出会うのはグレイたんである! ……スヴィンに大分毒されているな私も。出会いのシーンでグレイの顔についての一幕は分かっていても実際に読むとクるものがある。グレイが可愛い。寝るときにトリムに手を繋いでもらうライネスも可愛い。

 ま、ここで出会うのはグレイだけではない。アトラス院の院長・ズェピア・エルトナム・アトラシア。この人とブラックモアに関しては言わずもがな月姫ですが、月姫はやっていないのでざっくりと。早くリメイクしてほしいけれども、R18なら結局できないというね。どうしようもないチキンだからね。

 ライネスは途中帰宅することになるので、その後に帰って来たU世は内弟子としてグレイを連れかえって来たとのこと。
 ここでU世も合流してくれますが、過去の顛末は死者、グレイの死体だと思われているものが出たことからブラックモアの墓守・ベルサックにグレイを押しつけられて「二度と戻るな」と言われたからというもの。内弟子という立場を与えることでグレイを守っていたというもの。
 フェイカーとの戦いで自分に足りないものを知ったグレイが故郷に帰ろうとしたように、U世もハートレスのことでグレイの故郷に戻ろうとしていた。しかも、フラットとスヴィンも一緒に連れて、だ。最高だな。
 この二人が一緒に行動しているだけで楽しくなってしまうのはなぜだろうか。スヴィンはグレイと行動したがったけれども、効率的な意味でU世とグレイ、フラットとスヴィンと別れることになるんだけど、U世とグレイがイチャイチャしているようにしか見えなくてスヴィンが哀れになる。いいぞもっとやれ!

 まあ、本当は二人にズェピアと合わせないためにわかれたのですが、その効果はあまりなくアトラスの兵器の発動によってU世とグレイは事件が起こった時の過去へ。さすが性能が再演だけあるが、再演なので当時いなかったフラットとスヴィンは入れなかったのである。
 過去にいってすぐにU世の元――自分のことを知らないかもと考えて会いに行けないグレイたん可愛い。実はU世も同じこと思っていたとか、なんだこれカップルか。

 まだ死者が出る前なので二人でこの事件を解決するために動き出しますが、どうにもアッドの様子がおかしい。元々、調子が悪そうだったのですが、教会の地下へと向かい、グレイに関するなにかが分かりそうなところで現れる骨兵。グレイが戦闘に入るが、途中からアッドが変形しないだけでなく話せなくなってしまうわ周囲に魔力が少なすぎて強化もできないわで絶体絶命となってしまう。

 アッドから光が放たれた後、白銀の騎士が現れる。
 口の悪い騎士だった。アッドと同じようにグレイのことを「愚図レイ」と呼ぶ男だった。
 曰く、一緒に眠っていたから混じっているだけでイコールではないようだが、その男は「ケイ」と名乗った。

 ……ここで続くとかずるくないか。
 続きは年末とかつらすぎる。村にもいろいろ裏がありそうなんで今は深くは考えずに下巻を待ってからいろいろと考えていこうと思います。早く読みたいな続きー。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回は二手に分かれて探索する際にU世がフラッドたちと別れた理由をグレイが指摘したシーンから。


「わりと過保護ですよね、師匠。というか諦めが悪いんじゃないですか、ここまで連れてきてるのに
「自覚はあるからやめてくれ」
 苦み走った声音に、つい苦笑してしまう。
「許してあげます。……ちゃんと、拙を連れてきてくれましたから」
「君がいないと死ぬ」
「はい。分かってくだされば結構です」


 ああ、グレイもこんな軽口がたたけるようになったんだなぁ、と喜ぶ反面、U世が相手だからという信頼感に悶えそうになる。
 ここがあってからの、過去で再会した時にU世が一人でズェピアに会いに行ったことを知って自分が隣にいない時に危険なことをしたことに対して怒るシーンとか最高としか言えない。ぽかぽかとか、身長差を考えると本当に素晴らしい。
 なのに、それなのに、私はあのライネスたった一言が忘れられないのだけどもな。






ロード・エルメロイU世の事件簿6 case.アトラスの契約(上)
著・三田誠 絵・坂本みねぢ
TYPE-MOONBOOKS (2017/8/13)
posted by SuZuhara at 09:20| Comment(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする