別の顔をした「もう一人の私」が事件を巻き起こす!
珍しくここに書きたいことが多いのだけれども、ちょいとFate/GOの話をしよう。
決して真面目にやっているわけじゃないけれどもちまちま無課金でやっていたのですが、タマモ参戦と聞いて石40個集めてガチャを回してみた。
気分はCCCでサーヴァントの名前を呼ぶザビーズのように、「来い、キャスター!」と。――メフィストフェレス×3。
慎二、アゾット剣といういつも通りの面々に絶望しながら「俺はタマモが欲しいんだよ!」と叫んだところ、最後の最後で出てくれました! 初の星5サーヴァントだひゃっほうw
これでもう何もいらない。スカノハさんが参戦するまで石を溜め続けよう。
■感想
今回は久々に赤川さんの短編です。
すっきりと分かりやすい物語は面白いことこの上なく、私も短くて分かりやすい文章を書けるように目指してみよう。……今回省エネとかじゃないんだからね!
・消えたアイドル
人気アイドル・杉田あるのはメイクで別人となった顔で街中を歩いたところ、室田という男に彼女役を頼まれて踊りに行くことになる。そこで室田のことであるのを脅してきた女が次の日に死体となって発見されたことから、あるのはマネージャーと協力して事件を調べることにする。
この話はなかなか面白かったです。
ディスコという場は古くて私には想像でしか分からないが、必ず事件が起こる場だなw
メイクした姿ではなくあるのとして葬儀に出て、姿を使い分けて真相を探っていくのですが、この一般人たちのアイドル=楽して稼ぐという考えにあるのが顔をしかめるのも仕方がないと思う。
そんでもって、誰かを犠牲にして幸せになんかなれるわけがないのだ。赤川さんは勧善懲悪派だからなー。
・見知らぬ恋人
付き合っていた松山に別れ話を切り出したところ、車で無理心中を謀られて顔に大怪我を負った真知子。しかし、整形で美人に生まれ変わった真知子は偽名で以前に良い仲であった畠山と再会するのだが、彼は既に真知子の親友と関係を持っており、偽名を名乗った真知子のために親友を捨てようとしていた。
そんな時、死んだはずの松山が真知子の前に現れる。
この話は人間不信になりそうですね。
私は人の顔を見れない人間ですが、顔一つで人を好きになることはあるんだろうか。逆に嫌いになることもあるかも分からない。
人間大切なのは心だと言うほど聖人ではないが、すぐに手のひらを返すような奴はごめんだな。
だからだろうか。松山と再会し、死のうとしていた親友を助けてくれた松山が、やけどで酷い顔になっていたとしても彼が大切なんだと気づいた真知子の気持ちというのが信じられないんだ。
君は自分が嫌がっていることを松山にしてるんじゃないかって。うーむ、こう思ってしまうのは私が捻くれているからかな。
・影の反乱
時の人である梅川勇一郎に似ていることが原因で彼の影武者となることになった笠原は、それまでと暮らしが百八十度変わることになる。
だが、命を狙われる場面に出された事や想い人であるあかりと梅川が無理矢理関係を持ったことから笠原は怒り、影武者として動いたために知っている事実を使い、梅川を追い詰めていく。
この話はあかりが寝取られるとことかしんどいですが、梅川が落ちていく過程は楽しい。
今回のお気に入りは復讐をする笠原が梅川の付き人田淵に言った言葉から。大事な先生になんてことをしてくれたのか、と言う田淵に笠原は言う。
「分かってないのはそっちだ」
と、笠原は言った。「どんな弱い人間でも、踏みつけられて黙っていなきゃいけないってことはないんだ。どんな重要人物だって、人を傷つけていいわけじゃないんだ」
そして、どんな奴だって反撃しないわけじゃないんだ。
こういう奴らはどうして、僕らが弱者だからといって反撃なんかないと思うのか、それが私には不思議で仕方ない。
ほら、サスペンスドラマで影の上で脅して逆に突き落とされる的な。もう様式美の一種なんだろうか。
・忘れられた姉妹
もう一人、克子がいる。
そう言われた克子の身には知らないことばかりが起こっていた。不倫として遊んでいたはずの相手に結婚の話をしたり、克子だと名乗る人物からの電話を受けたり。
自分がやっていないはずのことを突きつけられた克子は自分に死んだはずの姉妹がいることを知るが、そのもう一人の自分が原因で家庭が壊れていく。
双子ネタですね。半分この双子並みに怖い双子だ。
私には双子が身近にいるせいなのか、見分けがつかないという双子には会ったことがないのだが、この知らないところで自分を名乗って追い詰めていく感は恐怖以外のなにものでもない。
しかも、だ。実の父親と関係を持つという、徹底的精神攻撃。
最後は克子がもう一人の自分・紀子を殺してしまうが、最初はもしかして入れ替わったんじゃないかと思ってしまった。これから少し変わるから、なんて言うから。
・私だけの境界線
深夜に夫ともに病院に駆け込んだ加津子だったが、そのまま夫を失ってしまう。夫の死を受け入れられずに夫がいるかのように振る舞う加津子は、夫の声が聞こえるがままに心配した団地の住民を殺し、夫の上司まで手にかけてしまう。
これは不思議な話だった。
どう転がっていくのかすごく楽しみであったけど、加津子の行動と死んでいるはずの夫が殺人を肯定して唆していく様子は復讐でもあったのかと悩むところ。
団地の住民もあの人がいつも救急車を呼んで騒がなければ夫も呼べて助かっただろうし、上司もその態度を改めていれば殺されなかっただろうしな。
けれども、夫が死んだ時に死んでいた加津子に羨望を向ける浮気相手の心境は僕には分からないな。
仮面舞踏会
赤川 次郎
光文社(2014/3/12)