2013年10月21日

ダンガンロンパ霧切 1



 ついに語られる霧切響子の過去――。


 TTTの体験版をやりました。最初のハミルの悲鳴に買うのをやめようかと本気で悩みましたが、そこはさすがのTTTだった! 覚醒ハミルは格好いいし、神曲のオンパレードでテンション上がりまくって発売が待ち遠しいな!
 しかし、1章男祭りすぎるのに解禁された体験版戦闘での女子率の高さは異常w ハミルもアロウン様のように妻が増えていくんだろうか。


■あらすじ
 謎の依頼状を受け取り五月雨結は指定されたシリウス天文台へ向かう。そこには結の他に四人の探偵がおり、全員が同じ依頼人によって集められていた。周りは自分よりも年上で格上の探偵の中、結は探偵になったばかりで後輩にあたる少女・霧切響子と出会う。
 一向に現れない依頼人を怪しみつつも外が吹雪のためシリウス天文台で一夜を過ごすことになった探偵たち。天文台を調査中に火事が起こり、結が目を覚ますと自らは手錠で拘束され、凶器と思われる大バサミの傍で倒れていた霧切。そして、他の探偵三人は殺されバラバラに切断されていた。



■感想
 大好きなダンガンロンパ小説をお気に入りの城シリーズの北山さんが書くという、俺得すぎる小説。しかもロリ切w 最高だなww

 さて、物語は初っ端っからクライマックスで結がシリウス天文台に来てバラバラ死体を発見したところから。状況証拠から犯人は霧切さんしかありえないのだが、さすがはロリ切、冷静に反論して拘束されて動けないのだが安楽椅子探偵よろしく結に調査させて推理をするというもの。

 正直なところ、推理よりも黒幕たちが私は好きでしたな。
 ある事件の被害者の男の許にやってきたのは謎の紳士。あなたをこんな目にあわせた本当の犯人を教えると近寄って来た紳士は「犯罪被害者救済委員会」と名乗った。
 彼らは男に復讐すべき犯人を教え、そして犯行に至る手口から凶器まで全てを提供するという。その代わりに求められるのは復讐のドラマ性。男の復讐劇をエンターテイメントとして提供しろというもの。そのため、犯行の準備金に見合った探偵が敵役として送り込まれるという。

 私の説明が分かりにくいのでもうちょっと突っ込んで言うと、犯罪被害者救済委員会は絶対に足のつかない金属バッドとかを300万で提供されるのだが、その準備金も委員会が準備する。
 復讐者は委員会から凶器やトリック、舞台を買い、総額に似合った探偵が一人派遣される。トリックなどが稚拙ならランクの低い探偵、金をかければかけるほどランクの高い探偵が来る。探偵から168時間犯人と指摘されなければ勝ち。
 だが、負けた場合、犯行に使ったお金を請求される。法外な値段なため、ほぼ死ねと言っているようなもの。こんなところか。

 この探偵相手の『黒の挑戦(デュエル・ノワール)』を行うことを男は承諾し、挑戦状を受け取ったのが五月雨結だった。

 霧切さんは挑戦状を見て一目でこの殺人がゲームであることを悟る。そして、結に拘束させながらも推理していく。
 事件自体は北山さんらしい事件でしたね。図解必須。おい、犯人そこ代われ! むしろ俺はロリ切に座られたいw

 ざくっと言うと、バラバラ殺人を起こした犯人を霧切さんが指摘する。
 そして犯人は探偵として一緒に来た男の一人。その男は先に殺した探偵と入れ替わっており、自分の家族と身体を奪った犯人に復讐した。この男が被害者となった事件の犯人は探偵だったんだよね。自分の名を上げるために事件を起こして自分で解決していたという。
 なんともやりきれないけれど、委員会のことを口にした男は警官に扮した何者かに連れていかれて、事故死した。

 事件が終わり、結たちは探偵図書館に向かいランクアップしていた。
 これも説明が難しいんだが、探偵図書館の分類には三桁の数字がある。初めの数字が得意分野、次が第一分類からさらに細かい得意分野、最後が探偵ランク。
 初めの霧切さんは「919」、殺人犯・不可能犯・ランク9。
 結は「888」、自由犯・誘拐・ランク8。
 数字の0は総合を意味し、ダブルゼロとかトリプルになるほどすごい探偵となる。

 この設定好きだなー。ロンパっぽい、楽しいわw
 シリウス天文台事件で結と霧切さんはランク7に上がり、急激にランクの上がっている人ほど黒の挑戦を知っているのではないかと思い至る。
 結と霧切さんが信頼を深め合い、ダブルゼロの探偵が受けた黒の挑戦に向かうところで今回は終わり。

 いやー、次が楽しみ。ちょっと久々に満足できる作品でした。
 だが、この後はどうなるのかね。結が探偵になった理由が妹を誘拐犯に殺されたというものだったが、これは委員会に狙われるんじゃないか。霧切さんとの信頼関係から対決になったら燃える。むしろ、結が霧切さん指名とかならないかな。もう私の中では結は委員会の手に落ちると思っているw

 だってねー、「絶景のシリウス天文台」が「絶望のシリウス天文台」になっていたことからも分かるように絶望が関わっているんですよ。委員会は絶対に絶望側なんだ。
 頼りなくも同じ探偵として信頼していたお姉さまが犯人になったら、最高の絶望じゃないか!
 ……やばい、これじゃ完全に江ノ島信者じゃないか俺。

 では、そこそこ今回のお気に入りへ。
 殺人に怯えつつも探偵として立ち上がる結のシーンが好きなのだが、今回は委員会の事が分かる犯人の最後の言葉を。


「結局……俺は負けたが、復讐を果たすことはできた。そういう意味じゃ、委員会に感謝するぜ。少なくともこの数日間、俺は救われていたのかもしれない。復讐という生きる意味ができたからな。すがすがしい最後だった。だが――それももう終わりだ」


 委員会の言う「救済」はとても甘美なものだ。
 犯人を教えてくれて何から何まで準備してくれる。探偵から逃れることが出来れば新しい自分として生きる道、そして金もくれるという。
 さて、これからどうなるかな。結が傍にいるなら霧切さんは人間味が増すと思うが高校生で探偵として完成しているからな、乗り越えられているような気がするんだよなー。
 何もかも、バッドエンド好きな私の妄想でありますように。



ダンガンロンパ霧切 1
北山 猛邦
講談社(2013/9/13)

posted by SuZuhara at 22:12| ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月08日

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を



 バリスタ・切間美星の趣味は謎解き。


 シュタゲ映画の主題歌CDを買ってしまったぜ。得意のエンドレスリピートで聴こうかなと思ったところで、シュタゲ映画の特典が小説とか……いじめか。同じ映画を何度も観るのは趣味ではないので行かないが、この手の特典つき映画はいつ食いつくべきかタイミングが大切だななどと思っていると、カードばっかり持っている自分に気づく。
 あれ、カード好きだったっけ俺。


■あらすじ
 京都のとある場所にひっそりとある喫茶店「タレーラン」で長年追い求めていた珈琲に出会うが、彼女とのいざこざで食い逃げのように店をさることになった男が置いていったメールアドレスから彼が学生でアオヤマという名であると推理したバリスタ・切間美星。
 それから暇を見つけては飲みに来るアオヤマと美星は推理と珈琲を通して仲良くなっていくが、アオヤマとの関係に美星の過去にトラウマとなっている出来事が襲いかかることになる。


■感想
 薦められた本ですが、最近この手の本をよく借りるのでその人の人柄が分かって面白い。きっとバリスタのような女性が好きなのだろうな。
 あ、無性に珈琲が飲みたくなるので注意。本筋よりも珈琲話の方が面白く思えたことは内緒だw

 正直に言っておくと初め読むのがちょいと苦痛だったりした。
 宝島社の本って初めてだと思うんだが、解説でキャラについて絶賛されているけど、私はそれが駄目だった。アオヤマも彼女もだめならバリスタにも特に何も感じない。あとどう見ても遠回りのような、賢くない会話にイライラしたのだが、ま、これはいろいろと最後のための伏線だった。
 アオヤマが名前ではないことは気づいていたが、本名を彼が口にしていたことには気づけなかった。後はほとんど分かっていたのに、それが分からなかったのはかなり悔しかったなー。

 さて、タレーラン伯爵の言うような珈琲を求めていた男は喧嘩した彼女を追い掛けていた時に雨宿りをした喫茶店で理想の珈琲に出会う。だが、彼女からのコールでメールアドレスを書いたカードだけ残して店を去らなければならなくなる。
 そして後日来てみれば、メールアドレスから自分のことを推理したバリスタと知りあうことになる。

 ここで起こる推理は日常的なもの。ま、僕には縁のない系だが。
 持ってかれた傘が返ってくる理由や牛乳をねだる少年の謎とか……いや、こう書くと非日常にしか思えんなw
 会話が思うように進まなかったり、違和感を感じるのは大抵アオヤマのせい。古風な女性のふりした寒いギャクを連発するバリスタのせいだったりするww

 しっかし、僕はバリスタが好きになれんわ。
 なんと言うか、この人はきっと頭がいいんだろう。アオヤマが注釈をつけなければ理解できないような高度なギャグも言うし。つまんないけどなw
 でも、それは私の好きな賢さじゃないんだ。うんちくなどいらない、誰にでも分かる言葉で機転を利かせるのが賢い人だと思うから。全くもって申し訳ないがこの辺が好きになれず、結局のめりこむことはできなかったのが残念だ。

 だが、好きになれんと言えばアオヤマもである。
 この男は嘘つきである。いや、自分からは何も言っていないんだけどね。
 バリスタが昔懇意にしていた客にストーキングされた事件の犯人の再来で、距離が近くなっていたはずの二人は別れることになるのだが、この際にアオヤマについて明かされることになる。
 彼はアオヤマという名ではなく、人気珈琲店のバリスタであったことが。

 バリスタの味を守る、しかし味が変わったから守らないとそんなことを言って別れたアオヤマだが、それはバリスタを守るためだった。元カノとの復縁とかややこしいことがあってキャラが好きになれないとホントに入り込めない。おいてけぼりをくらう。
 私は結局最後までよく分からなかった。元カノがてんで分からん。アオヤマの思考も分からん。だから読み終わった今はちょっと放心状態だ。やっぱり人気の本と私は相性が悪いんだろうか、とちょっと悩んでしまうな。

 では、この辺で今回のお気に入りへ。
 好きなシーンというより心に残った一文を。


 思惑というのは、実に浅はかで滑稽だ。うまくいったためしがない。


 これがどのシーンで使われるかを言ってしまうとラストのバレになってしまうので裂けますが、彼だからこその発言だなと思った。彼は一生懸命悩んでアオヤマでいることにしたのだろうけど、騙せていたわけではなかった。
 しかし、これがどうも空回り気味に思えてしまうのはアオヤマだからか。もうちょっと決めてくれればバリスタとの関係がもうちょい進んだんじゃないかなー。



珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を
岡崎 琢磨
宝島社 (2012/8/4)
posted by SuZuhara at 21:20| ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月23日

夢であいましょう



 あの夜、泥酔しなければ……。


 クリスマス前ですね。え、予定なんかねーよw
 だから、ちまちまと大神を進めてます。現在はヒミコに会えたところ。なぜかは知らんのですが、大神をやっていると酔う。アマ公と調子に乗ってくるくる回っているのがまずいのか、しかしおっきな剣を背負うアマ公は可愛すぎるのでつい調子に乗ってしまう。――結果、酔うw
 おかげで全然進まないのです。

■あらすじ
 浜田佑香が泥酔して目覚めると、小学六年生の今野あやめになっていた。
 仕方なく佑香はあやめとして小学校に通い出すのだが、学校は異様な雰囲気で家族に至っても問題だらけ。佑香はあやめとして問題解決に動くのだが、その先で自分に出会い、そして世界の真実を知る。


■感想
 難解な本を読むと恋しくなる赤川次郎。
 赤川さんのすっきりとまとまっている物語はすごいと心底思っている。だからなのか、最近はちょっと赤川さんを漁ってます。

 すんなり面白いと進められて読んだ今回の本。
 初めこそ主人公である佑香の癖が強く、私の方が可愛いとか自己主張が強い子だったのでうんざりとしたことはありましたが、思った以上に面白かった。

 泥酔して起きると小学生になっていた佑香。
 大した混乱もなく仕方ないレベルで今野あやめとして生活を始めるのだが、このあやめを取り巻く状況が厄介。
 学校ではちょいとはぶられ、親友は汚名で完全にはぶられ、お姉ちゃんは金目当ての厄介な男と駆け落ちを企んでいたりなどなど。これらの案件に見た目は子ども、中身は三十近いあやめちゃんが奔走しますw

 そして、明かされるこの世界の秘密。
 遠足の日に親の都合で休まざるを得なかった親友が誰もいない学校で見たモノの正体、それは教室にカメラを仕掛けて子ども向き商品の市場調査しようとしていた会社のものだった。
 その担当は浜田佑香。この世界は佑香の泥酔から二年後の未来で、会社の経営悪化から落ちてしまった自分がそこにいた。

 あやめは佑香と接触してなんとかカメラを取り外させることに成功し、そのせいで二人は殺されかけてしまう。カメラはただの市場調査でなく、監視の目的でもあり勝手に外されちゃ困るといったもの。
 怖いよなー、監視とか盗聴とか。私がされたは発狂するね。いや、だって俺切羽詰まると独り言多いし。最近大神をやっていて思ったんだが、私の素のノリってイッスンに似てるんだよな……ちょっとショックだったよ。

 一見落着すると佑香は佑香に戻る。
 起きると泥酔した次の日、会社の経営悪化が知らされる。そして、立て直すために訪れたのはあやめの父。そこで佑香の中で繋がった。
 あやめの父は金のためにわざと会社を倒産させようとしていた。そして、それを偶然知ってしまったあやめとの仲が悪くなっていくという未来を経験していた佑香は会社の外で父を待っていたあやめとともに父を止め、あのカメラ事件に向かうのを回避する。
 かいしゃとしてはまだまだ厳しいけれども、なぜか懐いたあやめと仲良くなり、これから彼女に起こるであろうことを忠告するのであった。お姉ちゃんダメ男好きだぞ、見たいなねw

 いやー、なかなか面白かったです。
 初めは自己主張が激しいので佑香が子どもっぽく感じていましたが、あやめとしててんてこまいになりつつも佑香としてきっちり締めてくれる彼女は大人でした。実を言うと読み終わってから表紙を見たのですが、断然あやめの方が可愛いね。佑香はあやめに土下座するべきだ。あやめのビジュアル最高じゃないか!
 

 では、ロリを前におかしくなる前に今回のお気に入りへ。
 あやめとして佑香と行動していると、あやめの担任の安田先生と佑香が結婚することを知った時のあやめの反応。
 おい、お前自分に失礼すぎるぞw


 え?「私」と安田先生が結婚?
 あやめにとって大ショックだった。
 私だったらやめとくけどね、とあやめは思った……。
 そんなあやめの声が聞こえたわけじゃないだろうが、
「安田さん……私たちの結婚の話、なかったことにして」
 と、佑香が言ったのである。
 そうそう! それが正解!


 まあ、嫌な気持ちは分かるのだがね、例え一時の勢いであってもその決断をしたこと自体を否定しちゃいけないと思うんだ。
 買うと決めた。そう、だから私は年越し用にゲームを注文したと言うのに本当の意味でのkonozamaでキャンセルってどういうことだよ! しかも楽しみにしていた本は配達中のままこねぇし。
 来年はこのAmazon依存な生活をどうにかしようかな。



夢であいましょう
赤川次郎
朝日新聞出版 (2012/11/7)
posted by SuZuhara at 21:24| ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月28日

台風の目の少女たち



嵐の一夜は、少女たちに<特別な>世界を覗かせる……。


 70冊の本を持ってえっちゃらほっちゃら歩いていたら両肩がブレイクしたw やべぇ、どうしよう。もう若くないとかそんなこと言っていられるレベルじゃねぇww
 どうしてこうなったのか? こんな肩じゃゲーム出来ないじゃん!
いや、ちょっと待て。手は動くのだ肩を上げなければいい。いいじゃないか、いける、いけるぞ!!
 ……とまぁ、自分に言い聞かせながら現実から目を逸らしています。


■あらすじ
 ある田舎町に大型台風が接近する。駆け落ち予定や不倫など、秘密を抱えた人々が避難してきた体育館で殺人事件が起こる。


■感想
 ……ちょっ、あらすじ手抜きじゃないって! 思い出しながら書いた結果、これが一番だと思ったんだ! ちょっと前に読んだからって細部を忘れているわけじゃな――はい、ごめんなさい。

 さて、内容ですが、今回はキャラクターを取り上げない方向で。んー、主人公って人はいないと思うんだ。自分では遠距離恋愛中だと思っていたが、都会で彼氏を奪われていた安奈が主人公なのでしょうが、都会娘である雅美の方が主人公っぽいよな。いや、この子はどっちかって言うとイケメン。でも、イケメン魂はザビ子にしか使わない。

 駆け落ちしようとしていた安奈の母親や不倫相手とともに体育館に避難してイチャイチャする父親――それで安奈は捨てられるとか、生きろ。あとは妻の尻に敷かれる女たらしや少女キラーとか脅す女とか人殺しを決意した警官とか。
 もう、おまえらみんな台風に集中しろよw だって、この台風半端ないんだぞ。最後には避難しなきゃ死ぬレベルなのに。

 様々な思惑が飛び交う体育館ですが、酒屋親子は可哀そうだったな。あとは同情に値しない。娘のことで怒る父親も裏では少女食っているとか、どう同情しろと? 脅す女もそう。脅すという行為を行う時、なぜ窮鼠は噛みついてくることを肝に銘じないのか。

 台風のせいで体育館が危ういと知って皆で非難しますが、警官の決断は正しいと思う。こいつだけはダメだ。
 結果的に沢山の人が死ぬことになりましたが、これはどう言えばいいのだろうか。雨降って地固まるというが、この固まり方に希望はないだろうよ。せめて、雅美だけは幸せそうで良かった。え、安奈? 家族には希望が見えませんがあいつは強く生きていくよw

 では、この辺でお気に入りシーンへ。
 お気に入りシーンはないのですが、少女キラーである安奈の友人の父親が「娘の初体験の相手を知っている」と言って脅す女・古田のシーンで、彼女の去り際の言葉を上げておこう。


「そうそう、娘さんのお相手を知っていると言ったのは嘘です。――娘さんを責める資格はありまして?」


 うわ、これは殺そうと思うわw
 この女はいろいろとやらかしているので報いを受けますが、そんなの待てねぇ、私でも殺そうと思うもの。ま、父親の方も酷いんだがな。悪いこととは知りつつ少女の処女を買っていたんだから。
 田舎怖いなー。でも都会はもっと怖い。あれ、どこで生きてこう? やっぱり引きこもるしかないのか。




台風の目の少女たち
赤川 次郎
角川春樹事務所 (2012/3/15)
posted by SuZuhara at 07:00| ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月25日

チェーン・ポイズン




「その自殺、一年待ってもらえませんか?」


 寒い、毎日寒すぎる。ストーブが壊れていたことを知り慌てて買いに行きましたが、いろんなものが入用で泣きそうです。
 まあ、幸いなことに本だけは買いだめがあるので大丈夫なんですけどね。感想待ちも大分溜まってるんですけどね。
 ……今年が終わるまでに追いつこう、うん。


■あらすじ
 一年待ってくれれば眠るような安らかな死を提供する、と言われて仕事をやめて一年間生きることにした女性。ひょんなことから親のいない子どもたちの世話をする家のボランティアをするおばちゃんとして過ごすことに。だが、そこの園長の死から家の存続ができなくなり……おばちゃんは自分にかけた生命保険金で子どもたちを救おうとするが、そこで初めて未来を惜しいと死にたくないと気づく。
 一方、人気絶頂で難聴になったのバイオリニスト、妻と娘を殺された被害者家族の男、三十代のOLの自殺の関連性に気づいた雑誌記者・原田はその裏に死のセールスマンの存在を感じ、事件を追っていく。


■感想
 帯に惹かれて手に取った作品。この作者さんは長編を読むのは初めてです。
 まず初めにこれはおばちゃんと原田の話を交互に読むことになるが、なんともまどろっこしいことに時間軸が同じじゃない。このせいでセールスマンたるXがまさかあの人とは最後まで気づかなかった。こいつ辺とは思ってたんだけどね。ああ、負け惜しみですよくそぅ。

 おばちゃんの話はあらすじで書いた通りなのだが、おばちゃんが子どもたちと仲良くなり守りたいと思うようになった時、丁度約束の一年が経ちおばちゃんは魔法の薬を手に入れる。

 原田は三人の死からセールスマンの存在に気づき、三十代のOL・高野章子の一件から事件を追っていた。今思うとこれは高野氏とおばちゃんをイコールで考えたりするべきだったのかな? 最後に名前の件が出て来てなんで今更このネタ、って思ったんだ。ここはこうやって考えるべきだったのかな?

 まあ、それは置いておいて、原田は高野章子の人物像を追い、彼女に近づいていくがセールスマンの正体がつかめない。それもそのはず、正体は高野章子自身だった。

 植物に詳しい教授が死の間際に託してくれた植物を育てる、その一年で死ねると思った高野は同じく死を求めているだろうバイオリニストと被害者家族にも一年待つことを伝える。だが、すげなく追い返されてしまう。
 どうしてだろうという想いを抱えながら最後に声をかけたのはおばちゃん、と言っても同じく三十代なのだが。おばちゃんはそれを受け入れ、高野はこれ以上仲間を増やそうとしなかった。

 そして一年後、高野は自殺した。他の二人も以前のように生きることへの意義を見つけられず薬を飲んだ。
 飲まなかったのは、おばちゃんだけだった。

 おばちゃんは飲んで死ぬ気だったのだが、家を守るためのいざこざがあり、何よりもおばちゃんを大切に思ってくれている家族がそこにいた。おばちゃんはまたきちんとした仕事について、園長亡き後の家をもう一人の働き手とそして子どもたちとともに生きていくことを決めた。ああ、いい話ですね。

 原田の方は高野が詳しいことを書いていなかったためにおばちゃんには辿り着かない。でも、そうとは知らないままに出会ってちょっとした世間話を最後にする。
 彼のもしあのとき一言いっていれば、という考えは好きでした。変わらないけど、変わったかもしれないという考え方が。まあ、私には家族以外を気にできるほどの甲斐性はないけれども。

 正直、死のセールスマンの存在に惹かれ、保険を入ることを薦めてその後自殺しろという原理に興味を持っていたのですが、そこに大した意味はなくて残念。
 だが、おばちゃんの話は先が気になりましたな。善意だけでは回ってない世間。頼れる園長も結局は見えていなかったと知り、立ち上がるおばちゃんは素敵です。工藤もいい奴で、サトシの有能さは素晴らしい。だからか、ドイちゃんは好きになれない。彼女の行動は全く持って合理的だが、情がないというか……切実なところを利用するなといいたい。下心のあるボランティアとか嫌すぎる。
 まあ、かくいう私も落ちてる小銭を拾っていたらゴミ拾いのボランティアと間違えられて表彰されたことがあるのだがな! ……最低だよな。でも、見つけたら拾うだろうよ……。

 では、この辺でお気に入りシーンへ。
 家がなくなるという事実が目の前に突きつけられた園長の死の後、己の無力さを噛みしめて泣いてしまうおばちゃんに子どもたちが「泣かないで」という。泣かないと約束すると「なら、わたしも泣かない」と彼女は言い、年上の少女が彼女の頭を撫でる。
 そんな、何でもないけど支え合った光景。それを見ておばちゃんは思った。


 ああ、とその姿に私は思った。
 私はやっぱりこの世界の未来が愛しかった。


 初めは一年後に死ぬためだけに生きていたおばちゃん。子どもたちのことも、その時までの暇つぶしでしかなかった。
 なのに、この言葉を聞けた時は嬉しかった。結構どん底でもちょっと視点を変えれば希望は見つけら得るものだと思う。例えあのゲームが延期しても、他のゲームが発売するなら俺はまだまだ生きていけるからな!




チェーン・ポイズン
本多 孝好
講談社 (2012/1/17)
posted by SuZuhara at 08:00| ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする