2022年08月11日

オーバーロード16 半森妖精の神人 [下]



『あの情けないセリフは全てブラフ。アインズ様って本当に、失礼だけど化け物みたいに頭が切れる御方だよね……』


 先月は週1ペースで映画に行けてうはうはだったのに、今月はまだ1回も行けていない。解せぬ。
 まあ、8月で行きたいのは1作品だけでペルソナのコラボカフェ行ったし、その後でちいかわクレープとか食わされているので私にしてはアグレッシブに行動していますね。夏なのに。後は大量に買った本をわっくわくしながら読むだけだー。


■あらすじ
 アウラを先行させてダークエルフの村へと上手く入り込んだアインズはそこでアウラとマーレに友人作りを促しながら情報収集に励む。しかし、法国がエルフの国を攻めたことからダークエルフも兵を出すように召集の話が来てしまい、アインズたちはダークエルフの村を出てエルフの国へと向かうことに。
 そこでいいところ取りするはずだったのだが、エルフの王・デケムに見つかってしまい、オッドアイからアウラとマーレを自分の孫と勘違いしたデケムがアウラに触れた瞬間、仲間にとって子ども同然の二人に邪な感情を持って触れたことに激怒したアインズとの戦闘が開始される。

 
■感想
 前回に引き続き、オーバーロード新刊で下巻。
 発売日に買って結構早く読み終わっていたのだけど、私がパソコンに向かう時間を取れなかった。だって、最近ほとんどの時間を睡眠に費やしている気がする……夏の体力回復は寝るしかないんだ。

 さて、上下巻読み終わって面白かったかと訊かれると難しい。私はドワーフの国辺りまではすっごい好きなんですよ。今放送中のアニメ4期はため込みながらも観ていますが、俺の好きなシーンほとんどカットって……くそぅ。ほら、お前たちはぶくぶく茶釜の特別とか冒険者組合での会合で奥の部屋に隠れていた男がいて……な話とかさ。

 ダークエルフの村では野伏として強者のアウラを信者のように慕うコミュニティができていたり、初恋だというブルーベリーの存在があるが、ここで一悶着は特になく、アインズ様と薬師頭の調合講座がメイン。もっとたった一人の異物に閉鎖された村の勢力バランスが崩れていくとか私の好きな展開を想像していたがそんなことはなかった。アインズ様がモテモテで終わった。
 アウラとマーレの友達作りは……なんかこう、親の思惑通りに行かないというか、リアルでしたね。友達ってなろうとしてなれるもんじゃないじゃないですか。育った環境とかフィーリングとか、それ以前に対等――少なくともそれに近い存在とでなきゃなれないもんだと思うんですよ。この辺はアインズ様の目論見自体が見当違いだわなー。

 薬師頭との日々を楽しんでいたアインズはダークエルフの元にエルフから召集が来たことから、村を後にして法国に攻められているエルフの国へ。攻められているエルフの国に潜入してめぼしいアイテム奪っちまおうぜ作戦のため、武装変更したアウラとマーレに完全不可知化(パーフェクトアンノウアブル)で存在認識させずにくっついていくんだけど……この手の魔法が私は嫌いでな。いや、便利すぎてつまらないじゃないか。現にこの上下巻で乱用しすぎだと思うんだよ。だから戦闘前なのにテンションが上がらない。

 アウラが先導しているにも関わらず、侵入を察知したエルフの王・デケムがやってくる。
 私、前回の感想でこいつに触れていなかったが、所々で触れられていた女という女に孕ませて自分の強さを引き継ぐ子孫を作ろうとしていた王様ね。子どもを失った母親をすぐに孕ませようとしたりとか、この国のデストピア感ハンパねぇが、王族の証とやらのオッドアイであるアウラとマーレを見て自分の孫だと思い込む。
 威圧してもなんともない二人に気を良くして、じゃあアウラをいたそうかなんてぶっ飛んだ思考をみせてくれますが――最初ここを読んだ時状況がちょっと理解できなかったんだよね。アウラとマーレ、デケムが会話している最中にアインズ様が戦闘に向けて隠れて魔法を詠唱するんだけど、その言葉が並列して書かれるからこれはアウラが言ってんの?みたいに困惑したんだ。初めは魔法名だけしか言わんから、あとになってアインズ様かって気づいたんだ。読解力低いと言われれば否定できないが、ちょっと分かりにくかったんだよ。

 自分よりも遥かに強いベヒーモスを召喚してくるデケムとアインズ様の戦闘は、アウラとマーレが怖いというほどあと少しで勝てると思わせる力量で戦い追い詰めていくが、自慢のベヒーモスを潰したことで戦意を失ったデケムは脱兎の如く逃げ出してしまう。
 アインズとアウラはアイテム回収、マーレが追撃に出るんだけど、デケムは逃げた先で待っていた絶死に殺されてしまう。

 ここからは絶死のターンなのだが、装備変更したマーレは今回の表紙のようなドスケベ装備なのにタンクができるという強さ。デミウルゴスたちが殲滅ならマーレみたいな言い方をしていたのがよく分かる戦闘でしたね。絶死のことがよく分からないままでこの戦闘に突入してしまったのが悲しい。アインズやシャルティアが使う技を切り札として持っていたとは言え、絶対強者の傲りもあってマーレの物理攻撃で追い詰められていく姿はもうちょっと頑張って欲しかった。絶死のデケムへの恨みとか母親への感情はもうちょっとちゃんと知りたかった。
 でもなー、私もFF10でユウナの通常攻撃9999とかバカなことしたからなー。魔法職の物理最強には浪漫があるんだよなー。

 マーレの小災厄(ぷちカタストロフ)を使ってもしななった絶死はナザリックに回収して記憶を覗かれる。そしてアインズ様が法国とシャルティアが繋がってしまったため、今やっていることを全てうっちゃって法国攻めに出ることになるってところでお終い。
 アインズ様にしては珍しく即断だが、この辺は次巻でじっくり語られるのかな。

 あとがきからあと2巻で終わりとのことだけど、これ終わるのかね? 今回アインズ様がなんとなく例えでアルベドの裏切りについて言及したことからアウラとマーレにそれが有り得ると布石が刻まれた。アルベドもアインズの激高がやましい心ありで自分を対象として勘違いしたのも完全なるフラグだろう。法国戦にナザリック内部騒動は確実だが、リクやイビルアイたちとの因縁もあるしもうちっと続けていいんだよって言いたい。早く、たくさん出ると嬉しい。今回のダークエルフの村のことも繋がっていかないなんてないだろうしなー。

 というわけで今回の上下巻は、マーレと絶死戦は面白かったけど、ダークエルフの村とアインズ様戦闘は僕的にあまり。今後の布石なんだろうなー程度で、ラナーとかブレインはどうなったの? 今のナザリックについて知りたいんだが、ってモヤモヤしたな。王国を潰したのに触れられないんだもんよ。
 このあと改めて全巻読み直したけど、寄り道的な話しが好きなので今後に期待したい。でも、あと2巻かー。

 では、今回のお気に入りへと行きたいところだけど今回は特になかった。マーレと絶死戦全体かな。余裕か増していた絶死をマーレが淡々と追い詰めていく様子はさぞきょうふでしかなかっただろうなー。







オーバーロード16 半森妖精の神人 [下]
丸山 くがね (著), so-bin (イラスト)
KADOKAWA (2022/7/29)
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2019年11月06日

冴えない彼女の育てかたAfter [One Year Later]



「変わってみせる、けど……一つだけ、絶対に、変えないことがある」


 P5R始めたけど、最初はほとんど同じだしギミックもそんな変わらないし、スタイリッシュリザルト画面に目が痛みまくる。うお、もうダメかもしれん。クリアできないかも。
 仕事がやっと一段落しましたが、これからやって来るのは年末の繁忙期なので気が抜けぬ。要するに――地獄はまだまだこれからである。


■あらすじ
 原作小説から一年後、恵から一年遅れて大学に合格した倫也は歓喜に咽び泣いていた。それは止まっていたサークル活動の再開を意味しており、次の作品に取りかかろうとする倫也に恵は相変わらずフラットに流しながらも、最強のメインヒロインを求めてくる倫也に主人公として口説いてほしいとお願いする。


■感想
 先日見てきた映画冴えカノ来場者特典第一話です。あれから一年後、の話である。

 もう、正直ね、読むのつらいんだよ。映画も観るのつらいんだよ。
 加藤、めちゃくちゃ可愛くて、こんな子が倫也の彼女とかつらすぎる! エンドロール後は同棲だろ? 結婚は秒読みなんだろ!? ――もう、精神ダメージがきつかった。倫也の成功は純粋に嬉しいけど、その隣にいてくれる加藤の存在だけで勝ち組すぎるぜおめでとう!って感じだったw

 うし、映画ネタバレ終わり。
 来場者特典小説は七週連続とかズルすぎるので、感想書いておこうと思う。全部もらいに行こうかと思ったけど、あんな幸せ未来何度も見せられたら死ぬ。でも、六週目の両親に結婚せっつかれる二人は読みたいので時間が合えば行きたい。え、確実に仕事で死んでる? 希望は抱いておくんだよ!

 内容はあらすじに書いたとおりで、天○の子を出してくるところとかソシャゲに行ったう○わ○とか、そういうネタで久しぶりに作風に触れたなと思い出す。そして、映画の帰りにFD2を買ってなかったから買ってきたよ。
 地の文は淡々とした口調より一風変わっている方が好きなので読んでて楽しかった。
 倫也が同人テキストゲームだけじゃなく、時代に合わせてソシャゲにも目を向けていること、そして同人だけでなく商業にも、ってとこには素直に感心した。

 そうだよな、ソシャゲ全盛期なんだ。
 自分はテキストゲーやりたいが、少数派だからやっていけないのも事実なんだよな。演出とかすっごい凝っているのは感動するが、テンポを犠牲にしている事が多いから素直には受け入れられない。
 うん、つまり何が言いたいかというと――もう毎日ログインやデイリーとウィークリーミッションクリアするのキツいんですよ!! 自分のペースでゲームしたいんだ僕は!

 前回までの制作時とは違い、恋人となった恵にもっとメインヒロインになれと好き勝手なことを言う倫也に恵は主人公にも理想を求める。メインヒロインになって欲しければその気にさせる言葉を言え、です。
 倫也が拙い言葉でせいいっぱいの気持ちを伝えるとすぐコロッと行ってしまう恵に、ベタ惚れやんこれはあのエンドロール後に行くわ、と確信するw

 都合良く両親がいない倫也の家でもう妻同然だった恵さんですが、もう両親がいてもお邪魔しているようで公認っぽい。外で口説かれてキスしたいからすぐに帰りたがってるんだろうな、と思うとまた凹んだw
 もう、なんでこんなに加藤を神聖視してるのか俺はww

 特典は短編ですが、二週目へと続いているようなので全部集める猛者には尊敬を。
 最近、子どもの頃のトラウマ映画ITをうはうはしながら観に行ったら、ドMだと言われた僕は六週目にまた頑張るんだ。

 ま、ここだけの話。
 乱視酷いのにうっかり眼鏡を忘れて観に行った冴えカノ映画、めっちゃ見にくいのにダメージでかかったから死ぬかもしれないと冗談半分に思っている。

 では、この辺で今回のお気に入りへ。
 浪人で一年間活動休止しても一昨年の二作目を作れてなかったら恵は俺を選んでくれたか怪しい、なんて言う倫也に対する恵の返事を。


「そっかなぁ? これっぽっちも怪しくないと思うんだけどなぁ……二年前、だったらさ」



 まあ、そうですよね。一作目作っている段階で行けたと思うよ。うん、途中から加藤が倫也を落とす勢いだったもんな。
 原作も破壊力すごいのに映像と声つきになるとすごすぎるから是非観に行ってほしいものだ。



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冴えない彼女の育てかたAfter [One Year Later]
丸戸史明(著)深崎暮人(イラスト)
映画『冴えない彼女の育てかたFine』第一週目来場者特典
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2018年03月11日

ソードアート・オンライン プログレッシブ5



「二十四時間、必ずわたしの目が届く場所にいるのよ、解ったわね!」


 ここ二週間ほど久々に楽しい日々を過ごさせていただいていました。いや、暇さえあればゲームしていただけだけどw
 最近はゲームに集中できていなかったのですが、寝落ちするまでやってつい数分前にクリアできました。最高に楽しくていろいろ考えさせられました。
 え、ニーア? HAHAHA、まだ全然手をつけてないなー。やらねばだが、フリプに来たBloodborneしたいからまだ手をつけないんじゃなかろうか。


■あらすじ
 順調にアインクラッドを登るキリトたちはパズルギミックにまみれた第六層に辿り着く。
 PKを狙ってくる黒ポンチョの男と手に入れてしまったギルド武器の処遇に悩むキリトはビーターの記憶を頼りに受けた連続クエストだったが、そこにはまたもモルテの罠が仕掛けられていた。


■感想
 感想書こうと思って気がついたのだが、私は四巻の感想書いてないや。改めて読み直すのもアレなので書きませんが、水着と襲撃巻だった。肌色率が高いとというか、いわゆるサービスシーンがあるとテンションだだ下がるのでおそらく書き忘れたのでしょう。
 発売一週間後くらいには読み終わっていたのですが、如何せん、俺がゲーム始めちゃったからパソコンを触らないというね。ブログも放置してしまった申し訳ない。打鍵も指が固まっている感がすごいね。

 さて、もうどう見てもアスナさんがキリトさんに惚れている状態で第六層へ。え、パズルギミックとか、僕はRPGで損なことされたら詰むからやめて。宿に入るのもパズル鍵とか、嫌がらせすぎるよ。

 前回の襲撃から対人戦を意識し始めるキリトとアスナだが、ギルド武器の処遇も重要。私的にはディアベルがどうしてそこまで神格化されるか理解できないのですが、二分したギルドのどちらかに渡すなどできないので、二大ギルドが統合するか同じアイテムがドロップするまで待つことに。
 これに関しては一端保留となりますが、問題は襲撃者の方。けれども、パズルの連続クエストのネタバレ攻略はなんだかなーである。あとがきでも語られているけれども、こういうダイジェスト展開はちょっと切ない。この依頼主ちょっとなにがしたいのかてんで分からんだった。
 毒や麻痺の応酬となったモルテとの2対2戦は楽しかったのですが、クリティカルの手応え描写は斬新だな、と。これは正確さを上げたくなる……というか、ゲームをやりたい。早く本編のSOAを自キャラで踏破できるゲーム作ってください!

 二度目の襲撃でモルテがキリトたちがついたダークエルフの敵であるフォールン・エルフの武器を持っていたことから、みんな大好きキズメルさんに会いに行く。しかし、この黒エルフ、出番多くないか。
 もうお約束と化している風呂イベントが起こり、アスナさんと小指を絡めてのベッドインで今回は終わり。
 ああ、そうだ。終わったのだ。え、まさかの六層は続き物? え、また二年も待つの? と戦慄しましたが、連続刊行予定とのことでなんだ来月かと思いきや、予定日は五月。ぬぅ、長いなぁ。

 毎度思うことですがキリトさんとアスナさんの関係が完成に近づきつつあって、これがどうなれば別れる事になるのか知りたくなる。けれど、確実にアスナさんが攻略の鬼になったのキリトさんと別れたからなんだろうなー。

 では、今回のお気に入りに。
 今回はオレンジ化したプレイヤーへの注意点をキリトさんが口にすると訂正を求めるアスナさんの台詞。今回のアスナさんはとっても男前なのです。


「いま君が言った、俺かアスナが生きてて、って台詞は修正してほしいんだけど」
「へ……?」
「どっちかが殺されたのにもう一人が逃げるとか有り得ないでしょ? 俺とアスナが、って言い直して」


 もうSOA本編は読んでいないのですが、ああ、アスナってこういうの許せない女の子だったなと思い出した。私は彼女が苦手なのですが、こういう強さには憧れるものです。







ソードアート・オンライン プログレッシブ5
川原 礫(著),abec (イラスト)
KADOKAWA(2018/2/10)
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2017年11月11日

冴えない彼女の育てかた13



 わたしは、あなたが望む、メインヒロインに、なれたかな?


 やっべー、本当に風邪が治らない。普段、僕を蔑ろにする兄貴が心配してくるレベルである。
 雑用を片づけるために休みを頂いたのだが、一日がかりかと思っていたのに五分で終わったので映画行ってきたよ、ヘブンスフィール。丁寧に描かれる過去と作品が連なったからこその繋がりとか震える。イリヤがセイバーにアインツベルンのことを聞いたりとか。桜、そのセイバーさんめっちゃいい人だからもうちょっと優しくしてあげて。こうして三ルートのアニメを観ると藤村大河の存在のでかさを感じるね。
 丁寧な描写に感動したくせに戦闘シーンになると、日常とかいらないから戦えと思ってしまう俺は最低です。


■あらすじ
 ついに恵に告白した倫也は晴れて恋人同士となる。
 そして、ゲーム作りも佳境を迎え新旧のサークルメンバーが揃ったお祭り状態は終わりへと向かっていく。
 倫也と恵の変わった関係と倫也を想っていた英梨々と詩羽はその関係にケリを着けることになる。


■感想
 ラノベをきちんと最終巻まで読み切ったのはおそらくケモノガリ以来かと。わりとイチャイチャしているのは苦手だったりするのですが、途中で飽きちゃうからね。最後まで読み切れたことは感慨深く思っています。

 倫也の告白からの続きからで、もう正直言ってこのシーンから僕は死んでいた。ざっくり言うと、告白を受けてのキスシーンが僕の中の恵像をぶっ壊したのである。
 ここで私はどんな恵が好きだったのかを考える。なにをしてもうっすい反応のくせにいつだって傍にいてくれるところが好きだったんだな、と思う。だから、濃い恵の反応が受け入れられなかったのだろう。
 ……うん、つまりキスシーンイラストのちょっと肌蹴た服とか、最後の初夜意識とか……そんなものは僕は欲していなかったのでしょうな。

 だから、あれだけ望んでいた恵のいる風景よりもゲーム制作が終わってしまうことの嘆きばかりがあった。自分のイベントでどう見ても発情してしまっている恵を見せられるとか、だから俺はもうとっくに死んでいると言ったじゃないか!
 以前に倫也たちが作ったゲームをしたいと言いましたが、この二作目は手にしたら発狂ものだよなー。胸がキュンキュンするギャルゲーでも大いに結構だけど、それに少しでも燃えてしまった後、「尚、元ネタはサークルメンバーと代表です」なんて知った日にはやったことないけどディスクを割りかねない。うん、俺はやるぞ。

 そんなやさぐれて気分だったからでしょう、英梨々と先輩の終わりは寂しくも二人らしくて良かった。現実でハーレムルートは受け入れられないからはっきりと勝者と敗者に別れてしまったが、英梨々と恵、なにより先輩のファンとしての倫也への信頼が好きだと思う。
 私は恵の存在が好きだったけれども、きっと人として好きなのは先輩なんでしょうね。いや、下ネタは勘弁だよ!

 そして、冬コミ完売とその後の倫也。
 新作の反応はシナリオがいまいちのようだが、その他は高評価。そして、巡璃ルートだけは評価される。編集者とか朱音の会社入りとかいろいろスカウトされる倫也だが大学は全滅で、ちゃっかり一人合格した恵の後を追って浪人生に。それでレーティングが変更されるようなことが起こるらしく、三度俺は殺される。どんどん恋愛描写が苦手になっていく、もうダメかもしない。
 いや、キスシーンが生々しかった後遺症じゃないかな! そういうのがあるって心構えが足りなかったんだよ!

 そんなこんなで冴えカノ最終巻読了しました!
 私の知らない同人サークルの話、ゲーム作りの話はとても楽しくメンバーのコミカルさもあって大好きでした。
 途中から恵の曰く地雷女化したこともあり、何度ももう続きを買うのはやめようと考えたこともありましたが、きつい思いをしながらも読んで良かった。……うん、かつてない衝撃で無力化させられたがね。ちくしょう、こんなの読んだらサイコパス映画でも観に行って心の平穏を取り戻せないよ。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回は英梨々との別れから。最後に「一〇年前、好きだった〜?」なんて聞いて自分を守ってくれる英梨々に倫也が否定を選んだことに対する見解を。


 きっと、俺のこの答えは、この決断は、正しい。
 もう今となっては、正直に言うべきじゃない。
『あの頃、俺には、お前だけだった』なんて、言うべきじゃない。
 だって、今さらそんなことを言ったって、もうどうにもならなくて。
 そして、今を生きている人たちが、前を向いた人だちが、少しだけ傷ついてしまうから。
 それでも、それでも、それでもさ……

 しばらくの間、悲しいって気持ちと、溢れる涙が、止まらなかった。



 ああ、伝えることができないってつらいな。
 この二人は特に過去の擦れ違いさえなければずっと一緒だっただろうから。その先じゃ今の英梨々に至れなくても、一緒の未来だった諦めるのはキツかっただろうな。 






冴えない彼女の育てかた13
丸戸 史明(著),深崎 暮人 (イラスト)
KADOKAWA (2017/10/20)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 22:21| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月23日

冴えない彼女の育てかた Girls Side3



「じゃ、今度はみんなに聞くよ? ……わたしと倫也くん、付き合ってると思う?」


 昨日は熱中症になってぶっ倒れていたのですが、近所で夏祭りがあると叩き起こされる。せっかくなので犬を連れて行きましたが、この本屋もない町にあんなに人が住んでいるとは思わなかったなー。
 夏らしいことをしたのはおそらく中学ぶりなのですが、そんな私の偏屈に犬まで付き合わせる気はない。花火をじっと見てる犬の表情の意味はまだ分からないけれども、クラクラして吐きそうなくらいは耐えてみせるんだ。


■あらすじ
 望んでなどいなかった“転”のイベントが来てしまい、倫也と恵は再び決別する。
 倫也のサークル離脱中、周りに乗せられるようにして恵は倫也なしでゲーム制作を行うことを決意する。しかし、いつもの中心となる倫也がいないせいか、話題の中心は常に恵となり、決して口にしようとしない恵の本心へと迫っていく。
 これは倫也がフィールズクロニクルの制作へと向かってしまった間に起こった少女たちの物語。


■感想
 発売日には読み終わっていたのだが、フラレ回避にハマって感想を書きもらすというわりとよくやるミス。
 待望のガールズサイドですが、やはり決まってしまう瞬間ってのは嬉しいような悲しさがあるよなー。

 12巻で倫也がサークル離脱した時のガールズサイドですが、主に恵を倫也のいないゲーム制作に巻き込み、その本音を聞き出すという周りの話でした。
 怒ってる恵が苦手と言うか、早くいつもの恵に戻ってくれとハラハラするんですが、伊織との会話は面白かった。うん、恵は伊織と会話しないから間に入る出海が不憫でたまらない。そのまんま伝えるからヤバくなるんだ! お前がオブラートに、フィルターになるんだ!って応援してたけど、そんなの無理ですよねー。

 美知留は美知留でギャルゲだからという偏見抜きで最高の曲を作るために覚醒していた。私もわりとオススメとかでなにも知らずに聞いていいなと思った曲はエロゲ主題歌とかよくある。てか、そっちの方がよく作り込んであることが多くないか?
 人気が出たゲームの続編とか出て期待してたら、主題歌で今流行りのグループを起用。なに言ってんのかてんで分からねぇという瞬間の絶望は異常。
 だから、美知留にはものすごく頑張っていただきたい。相関図に絶望するなよ。肉親ってだけで負けても関係は切れないんだからさ……。

 倫也の決意を知った先輩の方は英梨々の説得。
 作家として、絵師として、お互い尊敬して信頼する関係になれた二人だけれども、二人とも倫也の憧れのクリエーターになってしまった。それは、倫也が女の子として見ないということだ。
 小説の次回作のネタに振られる少女の話を書くという先輩の話はまさに自分のことで、英梨々のことだった。そうすることで気づかせようとした。
 この儀式は辛いが、こう見ると二人は初めの決別でもうダメだったんだな。裏切りがトラウマになっているのを覆せなかった。
 これは分かる気がする。わりとグレーな手段や言葉っていうのはさ、「これくらいじゃ傷つかない」って確信できる相手じゃないとできないもんな。歪だけどそれも信頼なんだ。

 あとは先輩シナリオの加藤恵説得計画。
 計画的に美知留と出海が恵を追い詰めていくが、その後ろには先輩と伊織の存在がある。
 倫也がいない間に完成させると乗せられた恵は出海の家でゲーム制作合宿を行うことに。勿論、伊織はホテルです。

 最終的には先輩が恵を追い詰めていくんだけど、ここはちょっと怖い。英梨々の慟哭を聞いたばかりの先輩には恵の叫びなど同情の余地もない。
 普通で良かった恵だが、倫也のメインヒロインって座は譲らなかったのだ。

 ふーむ、なるほどなー。
 諦めるという選択をした二人の悲しみもつらいながらも譲らない恵も痛いくらいだったが、それ以上に終わりに向かっていることが僕にはつらかった。
 永遠に誰ともくっつかずに楽しいだけの時間なんて有り得ないけれども、それでも私は作品について喧嘩しながらゲームを作っていく様子が好きだったんだなー。是非、完結したあかつきにはそのゲームを実際に出していただきたい。あ、でもフィールズクロニクルの方がやりたいかな!

 次回で最終巻とのことですが、ここまで読んだのだから最後まで読むとも。楽しみだ。
 
 では、ここいらで今回のお気に入りへ。
 やっぱりここは恵が先輩に言い切った本音にしときましょうか。


「あなたにとって、倫也くんは、ものすごく特別な人だったのかもしれない。
 けれどわたしには、全然特別じゃなかった。普通だった。
 だからこそ、わたしは、彼がいいな……って思った」

「納得できないかもしれない。わたしに反感を持つかもしれない。
 でも……知らないよ、そんなの」


 ここを好きだなと思うのは、知らないという返答ですね。
 先輩や英梨々の気持ちは痛いほど分かっているはずなのに、知らないと突っぱねてヒロインを譲らないところがいいなって思う。それだけ好きでいてくれたんだな、って。
 ……その後の、最後の倫也とのシーンは結構恥ずかしくて参ったがな!






冴えない彼女の育てかた Girls Side3
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA (2017/6/20)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 09:51| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする