2023年03月26日

終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ



 気づかないふりをしていただけなのだ。現実を見ないように、いつまでも変わらないと。


 ちょこちょこと過去の私からは信じられないことに、ほぼゲームに触れていない。まぁ、ソシャゲは別な。あれは義務みたいな物であり、FGOのホワイトデーはまだ手をつけてない。だって、アークナイツのイベント最後がクリアできてないんだもん!
 ゲームの発売情報とかも全然確認していないので自分も変わったもんだなーと。クリアできてないゲームも多いしちょっとずつやっていきたいもんだ。ずっと苦しめられていた試験が終わったからな、もうゲームやったって誰にも文句は言わせねぇのだ。


■あらすじ
 福岡薬院の裏通り、三日月から満月までの帰還だけオープンする本が読めて手紙が書ける店『文月』。家に帰る前ちょっとどこかに寄りたい、話がしたいという時に店主の文と季節のちょいごはんが寄り添うお店。


■感想
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 完全無欠の表紙買いでした。最近というか、料理モノの物語が好きなこともあり、この特別カバーじゃなかったから、本来のポプラ文庫の表紙だったらおそらく目には止まらなかったんじゃないかな。うーむ、本来のが好きじゃないのではなく良くも悪くもよくある雰囲気なのでスルーしたと思われる。
 このシリーズはもう1冊あるみたいなのだが、読み終わって続きを本屋に買いに行ったら棚からなくなってしまっていたので縁がなかったのでしょう。

 じゃあ、ざくざく行くぞ。

・月夜のグリューワイン
 独立して以降、自分のデザインが認められてやってきた店舗デザインの仕事に全力を出す澤井だったが、予算などの都合があり思い描いたとおりには行かない。それでも予算内でできるよう案を練り続けるが、クライアントの希望と上手く一致せずに案件自体が採用されずに終わってしまう。

 まず福岡弁というのが私には新鮮だった。てか、大阪弁とかと違って脳内で上手く再生できないって初めて知った。知らないからできないわな。関西や東北の方とは接点あったけど、西に行けば行くほど私には遠いらしい。ふむふむ、実は4月に福岡に行く予定があったのだが見送ってしまい、なんだか惜しいことをした気分だ。

 澤井の話は一仕事人として一生の問題じゃないかと。
 輪っかを回るハムスターのようにがむしゃらに仕事をしても上手くは行かず、にっちもさっちもいかない状況に苦しんだ澤井はちょっと前に知った文月でグリューワインを出してもらい、文から「疲れて横見たらそこに洞穴があるかも。ダメだと思ったらそこに逃げ込んで、休んで元気になったらまた輪っかに戻ればいい」という話をして、気持ち改めて次の仕事に向かうという話。
 ……え、輪っかに戻んなきゃダメですか?1w


・森のカクテル
 唯は自分が立てた完璧な計画通りに行動するため、結婚相手に相応しい人物として浩行を選んだ。婚活パーティーで出会った二人は唯の計画通りにサプライズプロポーズの場所として文月を選ぶ。サプライズといいながら全てを唯が進行しているところに周りには奇異な目で見られていたが、唯は自分の計画通りの幸せのために当日を待ちわびていた。

 正直、気持ち悪いと思ったw
 いやだって、計画なんて計画通りに行かないってのが私の考え方なもんで。無理だよー、なんだよこの人ー。結婚とか、お前の意志だけのもんじゃねぇし浩行の意志が一切ねぇじゃんかよーって震える女性だった。

 もちろんプロポーズはなし。
 だって唯は浩行のことをなんも知らないし、ちゃんと会って話をしようってところから始めることになるんだが、いやーこの人無理ーとしか思えませんな。


・本とおさかなのスープ
 福岡の小さな出版社に務める大城は昨今の出版事情、小説を読まない人が多いことを悲しく思っていた。時代の移り変わりで仕方ないと思っていたが、自分が福岡の出版社に来たときのこと、編集者になった時のことを思い出す。

 ……ちょっとあんまり長い文章を書いてなかったから、もう書くのつらくなってきた。

 私は小説を、本を読むという行為を最近難しく思えてきている。文章の合う合わないがあることは何度か書いてきたけど、それを見つけるのが難しいんだよ。
 例えば、アニメを観て原作読もうって思っても文章読めないことが最近は多い。アニメは時間の都合もあって原作が端折られているって印象があったんだけど、昨今は逆に保管されていたりするから両方見なくてもいいかってなっちゃうんだ。電車移動中とかはラジオ聴いてた方が楽だったりすることもあるから、本を読む機会ってのはやっぱり減ってますね。

 でもだからってゼロになわけじゃない。
 漫画とか電子書籍を使う機会は増えたけど、やっぱり本がいいって作品も多い。
 なので、大城さんたちのお仕事を僕はいつまでも応援しています。


・池田飲みとしろくま
 実家の和菓子屋の手伝いをしながら燻っていた祐介だが、同窓会で元カノの千晴と再会したことをきっかけに自分の将来を考え始める。店を継ぐ弟の結婚が決まり追い詰められている中で千晴と連絡を取り合っていたのだが、福岡に戻ってきた千晴に文月を紹介しようとすると生憎その日は休み、店は彼女の方から指定してきた。

 ビールジョッキに氷入りワインを池田飲みというらしい。自分は味が分からないのでお酒は飲まんのですが、こういうの知るのか見るの好きなんで本物を見てみたいもんだ。

 さて、祐介の話は耳が痛い。きっと同世代ですわ。
 結婚とか将来とか言われなくてもチクチク刺さる。同級生の子ども、しかも病気とかなっちゃうとかける言葉もない。どうせ上っ面にしかならないんじゃないかってね。
 元カノの千晴との再会、そんでもってお互いにフリーともなればあわよくばと思うのが人の心情でしょう。嫌いで別れたわけじゃないし、子どもだったからこその自然消滅なら尚更再熱しても仕方ない。

 けれども、千晴が宗教勧誘に来るとは想像できんかった!
 なにか買えは本当にだめだ。むしろ、祐介のSOSに速攻で応じた諏訪という友人を大切にすべきだ。
 都合のいい話なんか転がっていないという現実ですね。でも、祐介が新たな道を決められたのだから笑い話としていい過去だったのでしょう。


・柚子と適燗
 かつての同僚、そして定期的に会っていた友人・さかもっちの唐突な訃報は平井を動揺させた。結婚退社をし子どもを立派に育てていた彼女の死因は特になく、ストレスの可能性が高いという。力になれなかったことを後悔する平井だが、一周忌の際に彼女の夫が再婚すること、相手女性は今月にも子どもを出産すること聞いてしまう


 くっそつら。
 主人公となる平井が得られる情報は伝聞でしかないので本当のことは分かりませんが、家族ぐるみで長い付き合いにあった人が後妻に、そんで子どもも生まれるとなると勘ぐるのは仕方ないですな。

 けど、彼女が亡くなってしまう一年前、いい文の日に文月に来ていたさかもっちは文月でやっていた1年後に届く手紙を平井に宛てて書いていた。1年後に文がポスト投函、もしくは店に来た時に渡すってものなのだが、内容は他愛もなくて大まかに言えば『あなたに会えてよかった』というもの。

 だから、平井の選択は間違いじゃない。間違っているなんて言える奴は他人だけだろう。
 私だけは二人のことを絶対に許さない。むしろ君の選択は人間くさくて好きだよ。

 しっかし、文も言っていたが「いい感じで」という注文の仕方はいいな。熱燗とぬる燗の間のいい感じの適燗。こういうの知るのは本当に面白いや。


・スルメとてんとう虫
 人事部に配属された頃は新人だった鈴音も上司の下田の元で十年仕事をやってきた。後輩もできベテランになりながらも下田には支えられていたのだが、下田が早期退職するという一報が入る。突然支えがなくなってしまったことに不安を覚えならがらも、育ってきている後輩たちが提案する将来のためにも、守られるのではなく今度は自分が守る番であることに気づく。

 ざっくりですがまとめたとおりの話。
 じんましんをきっかけに化粧をしなくなったとか、きちんとした身なりでとか、そういう小言を言ってくれる人の大切さは失ってからじゃないと気づかないものでしょう。気づきたくないんだよ、失ったら悲しいからね。


・バレエシューズとうすぎりショウガハイボール
 莉絵は同じ会社に務める長谷部と親しくしていた。毎日「おはよう」などのメールを交わしながらも相手は妻子ある身なのでなにかあるわけではなく予定を合わせて文月に行く。
 だが、社内報で見た長谷部の唐突な一報に驚くことになる。

 すまん、正直この話はよく分かっていない。
 不倫略奪NTRは知っているが、私にこの選択肢はないので莉絵の感情が分からないんだ。長谷部とどうにかなりたかったのか、なんで妻子ある人と毎日メールとかする?って理解できないってシャットアウトしてしまうんだよ。

 でも、良かったんじゃないか。前に進める選択ができたんだから。もしも自分が莉絵だったなら、そんな大事なことを社内報で知らされたこと、友人とも思われてなかったのかとショックを受けるかもだが。
 

・新茶と煮物
 結婚して子どもを産む、それが女の幸せだと信じているかのような母親にうんざりする葵は実家に帰ることが少なくなっていた。仕事が楽しいこともあるが、自分が放任主義だった父と父に従うばかりだった母を見て育ったことから結婚に理想も何もなかったのだ。
 そんな中、母が事故に合ったという一報を受け、改めて母と向き合ったことで自分たち家族の在り方を知る。

 だからこういう世代的に一致するのは胸が痛いぜ。
 結婚は自分もできないと思っている人間だが、葵の母がなんとしても相手を見つけたかったのは自分が父と出会えたことがすごく嬉しいことだったから、そんな相手を見つけて欲しいと思っていたから。今は元気でいてくれればいい、亡くなったお父さんも葵は一人でやっていける子だって言っていたから。
 放任じゃなくて信じていたんだってこと、言ってくれなきゃ分からないけど分かる時には相手はいないんだよな。


・七月のみかづき
 テレビショッピングのカスタマーセンターで働いていた文は仕事をする毎日に疲れてしまっていた。生まれた頃に母を、育ててくれた父を社会人になってすぐに失った文は父の故郷である博多に行くことにした。
 そこで物件を探していたところ、現在の文月の物件を紹介してもらい、母が残してくれたレシピノートを使って三日月から満月までというささやかな間だけ開く営業期間の理由が明かされる。

 やはり同世代じゃないか、就職氷河期の正社員とか本当に逃げられないからな。東京ですり切れてしまった文の姿はつらいが、悲しいかなよくあること。逃げるか壊れるか適当に乗り切るかしかない。俺は適当です!
 自分が稼いだ分と父が残してくれた分で資産はあったから、不動産屋さん勧められるまま喫茶店としてお店を、ゆっくり息をするための充電期間としてのお休みを。そんなお店があってもいいじゃないか。


 ふー、全部書いた。
 今回はあまり料理には触れていませんが、お客さんの話は全部文月で繋がっていて添えられるように料理があるという感じでした。読みやすかったのですが、福岡弁のニュアンスが分からないことだけは勿体なかったな。

 さて、今回お気に入りへ。
 新茶と煮物の葵さんから、結婚結婚言っていた母が事実婚でも別居婚でもいいから相手を言い出したときの反応を。


 なんてわかったふうなことを言う。でも特定の相手をあてがいたいという考えは同じだ。この年になると一からの恋愛はもとより、自分のペースを乱される存在がいるなんて想像するだけでげんなりする。多少寂しいことはあっても。いまの自由に比べたらどちらがいいか歴然だった。


 まー、これに尽きるわな。
 面倒はなるべく抱え込みたくないんだよなー。




終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ
標野 凪 (著)
ポプラ社 (2019/6/5)
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2023年03月25日

キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘



「誰のためでも、同じことをするわ。私は誰も、特別扱いしない」


 やっとのことで行った今年初映画は『BLUE GIANT』でした。もうそろそろすずめの戸締まりも行かんととは思うのですが、今作は何が何でも映画で観たかった。テレビで観るのはやっぱり違うだろうと。
 私の原作歴は4巻あたりまでだったのでちょうどバックボーンは知っている感じで……そして終始アキコさん気分で観てた。音の熱さとか分かるほど耳が肥えてるわけじゃないけど、玉田のドラムが良くなっていく様子とかやっぱ音がいいんだよね。ライブ中のCGの違和感はハンパないけど、観に行った方がいいと大手振ってオススメできる作品でした。


■あらすじ
 “パパの戯言”と“ママの法則”を携えた女子高生・玖渚盾は人類最強の請負人・哀川潤に誘拐されて玖渚機関が持つ世界遺産・玖渚城に連れてこられてしまう。
 そこで待ち受けていたのは母親・玖渚友のかつての姿と同じ青髪青眼の少女・遠と近、初めて会う祖父母からかつて母が打ち上げた人工衛星の修理を依頼されるという無理難題だった。
 家族を家族とは思っていないかのような玖渚一族に直面することになった盾だが、この場から逃げる前に自分が泊まるはずだった部屋で殺人事件が起こってしまう。


■感想
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 ちゃんと買ってました戯言シリーズ最新作にして正当続編、いーちゃんと友の娘・盾ちゃんの話。
 ――いや、盾ちゃん可愛すぎんか!? これはヤバい可愛い!なノリで表紙買いでしたね。発売日には買っていたから読み終わって少し時間が経ってしまっているんだが、えっちゃら感想行きますか。

 始まりは交通事故。
 実家に帰ろうとする盾ちゃん、いーちゃんたちに会えるんかという期待を裏切り、盾ちゃんが哀川潤が乗る車に轢かれて重傷を負うところからである。
 哀川潤のインパクトは変わらんな。私は戯言シリーズ自体は全部読んだんだが、最強シリーズは読んでない。戯言シリーズも大分昔だし、クビシメロマンチストが好きだった気がするけど細部というか大雑把にも覚えていないのであしからず。

 自分を轢いた相手だろうと盾ちゃんは哀川潤のことを両親から恩人であることを知ってたし、自分の名前の由来になった人だから悪印象はない。ここでの二人の会話は小気味よくて好きですね。哀川潤を通して盾ちゃんがどんな人物か分かるのだけど、物凄く化物語っぽさを感じたかな。
 化物語も途中までしか読んでいないけど、何と言えばいいのか、語り部の脱線というかフェチシズム的な部分が長いと飽きてしまうとこがあって序盤は「ああ、いーちゃんの子だな。妙なこだわりあるんだよな。こういうところは阿良々木さんもだよなー」くらいで正直思い出補正が強いのは否めなかった。

 盾ちゃんはメイド見習いの千賀雪洞、従姉妹で玖渚友のような青髪青眼の姉妹・遠と近、伯父の直、祖父母と出会うことになるのだが、請負人は世界遺産を壊さないためにと一緒には居ない。勝てる気がしない。
 しかも、玖渚友が打ち上げた人工衛星を直せとか言ってくる始末、あの玖渚友の子どもなのだからと持ち上げられることから逃げてかつて母が入っていた座敷牢に引きこもったわけだが、ここが曰く付きだった。

 かつてここにいたのは玖渚友ではなく弟の焉。焉の亡骸から作られたクローン人間が遠と近。二人でなんとか人工衛星は保たれてきたけど、もう保たない。
 遠ちゃんはかなりズバズバ言うので盾ちゃんとの会話が好きですね。ひいさま、なんて言いつつバカにしているのかと思えば尊重してるし、近のこともぞんざいなのかと思えば……である。
 そう、殺されたのは近の方。彼女に関してはどんな子なのか分からないまま首を切られていた。

 盾ちゃんは名探偵じゃないからいっぱい間違えるし、遠と近が入れ替わっているという推理も外してくれるけど、捜査中も盾ちゃん遠ちゃんの会話が愛しいのだった。これが百合の良さというものかw

 解決パートで明らかになるのはママの絶対法則『機械に触るな』の意味。
 戯言遣いではない盾ちゃんには動機を語らせることが出来ないのだけども、人工衛星のリモコンに触っただけで壊した。

 そう、だから機械に触るな。
 玖渚盾は機械とっての天敵であり、人工衛星は盾を狙うかのように玖渚城に落ちてくるのだった。

 結果は通りがかった請負人が助けてくれたのだが、祖父母からは絶縁、直が盾ちゃんの使い道に思考している間に遠ちゃんに逃がして貰って脱出した盾ちゃんは請負人の車で帰路につく。
 犯人――てか、ぼかしても出てきてない人物でバレバレなのだが、動機とか両親の言葉を思考したりして終わりになるのだが、遠ちゃんとの別れの言葉尊すぎない? 機械使えない盾ちゃんのために手紙書いてくれてさ、手鞠唄で遊ぼうの約束だぜ?
 うむ、この二人のために次も買おうと思ったのだったw

 冗談はさておき、面白かったですキドナプキディング。
 戯言シリーズ履修は必須ではないけどしていた方が望ましいのでハードルは高いけど、肩肘張らずに楽しめる作品だったかと。

 さて、今回お気に入りへ。
 最後の大一番、犯人に対して自首を望む盾ちゃんの心境を。


 舌先三寸口八丁。
 立てば嘘つき座れば詐欺師、歩く姿は詭道主義。
 玖渚友の娘であり――戯言遣いの娘。


 もうこういう表現好きすぎてわっくわくだった。
 詭弁を弄せ、舌先三寸で立ち向かうのが最高に格好いいとおもっている人間だから、フェチ感強い展開があっても西尾維新作品は読みたくなるんだよなー。





キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘
西尾維新 (著), 竹 (イラスト)
? 講談社 (2023/2/8)



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2022年08月11日

オーバーロード16 半森妖精の神人 [下]



『あの情けないセリフは全てブラフ。アインズ様って本当に、失礼だけど化け物みたいに頭が切れる御方だよね……』


 先月は週1ペースで映画に行けてうはうはだったのに、今月はまだ1回も行けていない。解せぬ。
 まあ、8月で行きたいのは1作品だけでペルソナのコラボカフェ行ったし、その後でちいかわクレープとか食わされているので私にしてはアグレッシブに行動していますね。夏なのに。後は大量に買った本をわっくわくしながら読むだけだー。


■あらすじ
 アウラを先行させてダークエルフの村へと上手く入り込んだアインズはそこでアウラとマーレに友人作りを促しながら情報収集に励む。しかし、法国がエルフの国を攻めたことからダークエルフも兵を出すように召集の話が来てしまい、アインズたちはダークエルフの村を出てエルフの国へと向かうことに。
 そこでいいところ取りするはずだったのだが、エルフの王・デケムに見つかってしまい、オッドアイからアウラとマーレを自分の孫と勘違いしたデケムがアウラに触れた瞬間、仲間にとって子ども同然の二人に邪な感情を持って触れたことに激怒したアインズとの戦闘が開始される。

 
■感想
 前回に引き続き、オーバーロード新刊で下巻。
 発売日に買って結構早く読み終わっていたのだけど、私がパソコンに向かう時間を取れなかった。だって、最近ほとんどの時間を睡眠に費やしている気がする……夏の体力回復は寝るしかないんだ。

 さて、上下巻読み終わって面白かったかと訊かれると難しい。私はドワーフの国辺りまではすっごい好きなんですよ。今放送中のアニメ4期はため込みながらも観ていますが、俺の好きなシーンほとんどカットって……くそぅ。ほら、お前たちはぶくぶく茶釜の特別とか冒険者組合での会合で奥の部屋に隠れていた男がいて……な話とかさ。

 ダークエルフの村では野伏として強者のアウラを信者のように慕うコミュニティができていたり、初恋だというブルーベリーの存在があるが、ここで一悶着は特になく、アインズ様と薬師頭の調合講座がメイン。もっとたった一人の異物に閉鎖された村の勢力バランスが崩れていくとか私の好きな展開を想像していたがそんなことはなかった。アインズ様がモテモテで終わった。
 アウラとマーレの友達作りは……なんかこう、親の思惑通りに行かないというか、リアルでしたね。友達ってなろうとしてなれるもんじゃないじゃないですか。育った環境とかフィーリングとか、それ以前に対等――少なくともそれに近い存在とでなきゃなれないもんだと思うんですよ。この辺はアインズ様の目論見自体が見当違いだわなー。

 薬師頭との日々を楽しんでいたアインズはダークエルフの元にエルフから召集が来たことから、村を後にして法国に攻められているエルフの国へ。攻められているエルフの国に潜入してめぼしいアイテム奪っちまおうぜ作戦のため、武装変更したアウラとマーレに完全不可知化(パーフェクトアンノウアブル)で存在認識させずにくっついていくんだけど……この手の魔法が私は嫌いでな。いや、便利すぎてつまらないじゃないか。現にこの上下巻で乱用しすぎだと思うんだよ。だから戦闘前なのにテンションが上がらない。

 アウラが先導しているにも関わらず、侵入を察知したエルフの王・デケムがやってくる。
 私、前回の感想でこいつに触れていなかったが、所々で触れられていた女という女に孕ませて自分の強さを引き継ぐ子孫を作ろうとしていた王様ね。子どもを失った母親をすぐに孕ませようとしたりとか、この国のデストピア感ハンパねぇが、王族の証とやらのオッドアイであるアウラとマーレを見て自分の孫だと思い込む。
 威圧してもなんともない二人に気を良くして、じゃあアウラをいたそうかなんてぶっ飛んだ思考をみせてくれますが――最初ここを読んだ時状況がちょっと理解できなかったんだよね。アウラとマーレ、デケムが会話している最中にアインズ様が戦闘に向けて隠れて魔法を詠唱するんだけど、その言葉が並列して書かれるからこれはアウラが言ってんの?みたいに困惑したんだ。初めは魔法名だけしか言わんから、あとになってアインズ様かって気づいたんだ。読解力低いと言われれば否定できないが、ちょっと分かりにくかったんだよ。

 自分よりも遥かに強いベヒーモスを召喚してくるデケムとアインズ様の戦闘は、アウラとマーレが怖いというほどあと少しで勝てると思わせる力量で戦い追い詰めていくが、自慢のベヒーモスを潰したことで戦意を失ったデケムは脱兎の如く逃げ出してしまう。
 アインズとアウラはアイテム回収、マーレが追撃に出るんだけど、デケムは逃げた先で待っていた絶死に殺されてしまう。

 ここからは絶死のターンなのだが、装備変更したマーレは今回の表紙のようなドスケベ装備なのにタンクができるという強さ。デミウルゴスたちが殲滅ならマーレみたいな言い方をしていたのがよく分かる戦闘でしたね。絶死のことがよく分からないままでこの戦闘に突入してしまったのが悲しい。アインズやシャルティアが使う技を切り札として持っていたとは言え、絶対強者の傲りもあってマーレの物理攻撃で追い詰められていく姿はもうちょっと頑張って欲しかった。絶死のデケムへの恨みとか母親への感情はもうちょっとちゃんと知りたかった。
 でもなー、私もFF10でユウナの通常攻撃9999とかバカなことしたからなー。魔法職の物理最強には浪漫があるんだよなー。

 マーレの小災厄(ぷちカタストロフ)を使ってもしななった絶死はナザリックに回収して記憶を覗かれる。そしてアインズ様が法国とシャルティアが繋がってしまったため、今やっていることを全てうっちゃって法国攻めに出ることになるってところでお終い。
 アインズ様にしては珍しく即断だが、この辺は次巻でじっくり語られるのかな。

 あとがきからあと2巻で終わりとのことだけど、これ終わるのかね? 今回アインズ様がなんとなく例えでアルベドの裏切りについて言及したことからアウラとマーレにそれが有り得ると布石が刻まれた。アルベドもアインズの激高がやましい心ありで自分を対象として勘違いしたのも完全なるフラグだろう。法国戦にナザリック内部騒動は確実だが、リクやイビルアイたちとの因縁もあるしもうちっと続けていいんだよって言いたい。早く、たくさん出ると嬉しい。今回のダークエルフの村のことも繋がっていかないなんてないだろうしなー。

 というわけで今回の上下巻は、マーレと絶死戦は面白かったけど、ダークエルフの村とアインズ様戦闘は僕的にあまり。今後の布石なんだろうなー程度で、ラナーとかブレインはどうなったの? 今のナザリックについて知りたいんだが、ってモヤモヤしたな。王国を潰したのに触れられないんだもんよ。
 このあと改めて全巻読み直したけど、寄り道的な話しが好きなので今後に期待したい。でも、あと2巻かー。

 では、今回のお気に入りへと行きたいところだけど今回は特になかった。マーレと絶死戦全体かな。余裕か増していた絶死をマーレが淡々と追い詰めていく様子はさぞきょうふでしかなかっただろうなー。







オーバーロード16 半森妖精の神人 [下]
丸山 くがね (著), so-bin (イラスト)
KADOKAWA (2022/7/29)
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2019年11月06日

冴えない彼女の育てかたAfter [One Year Later]



「変わってみせる、けど……一つだけ、絶対に、変えないことがある」


 P5R始めたけど、最初はほとんど同じだしギミックもそんな変わらないし、スタイリッシュリザルト画面に目が痛みまくる。うお、もうダメかもしれん。クリアできないかも。
 仕事がやっと一段落しましたが、これからやって来るのは年末の繁忙期なので気が抜けぬ。要するに――地獄はまだまだこれからである。


■あらすじ
 原作小説から一年後、恵から一年遅れて大学に合格した倫也は歓喜に咽び泣いていた。それは止まっていたサークル活動の再開を意味しており、次の作品に取りかかろうとする倫也に恵は相変わらずフラットに流しながらも、最強のメインヒロインを求めてくる倫也に主人公として口説いてほしいとお願いする。


■感想
 先日見てきた映画冴えカノ来場者特典第一話です。あれから一年後、の話である。

 もう、正直ね、読むのつらいんだよ。映画も観るのつらいんだよ。
 加藤、めちゃくちゃ可愛くて、こんな子が倫也の彼女とかつらすぎる! エンドロール後は同棲だろ? 結婚は秒読みなんだろ!? ――もう、精神ダメージがきつかった。倫也の成功は純粋に嬉しいけど、その隣にいてくれる加藤の存在だけで勝ち組すぎるぜおめでとう!って感じだったw

 うし、映画ネタバレ終わり。
 来場者特典小説は七週連続とかズルすぎるので、感想書いておこうと思う。全部もらいに行こうかと思ったけど、あんな幸せ未来何度も見せられたら死ぬ。でも、六週目の両親に結婚せっつかれる二人は読みたいので時間が合えば行きたい。え、確実に仕事で死んでる? 希望は抱いておくんだよ!

 内容はあらすじに書いたとおりで、天○の子を出してくるところとかソシャゲに行ったう○わ○とか、そういうネタで久しぶりに作風に触れたなと思い出す。そして、映画の帰りにFD2を買ってなかったから買ってきたよ。
 地の文は淡々とした口調より一風変わっている方が好きなので読んでて楽しかった。
 倫也が同人テキストゲームだけじゃなく、時代に合わせてソシャゲにも目を向けていること、そして同人だけでなく商業にも、ってとこには素直に感心した。

 そうだよな、ソシャゲ全盛期なんだ。
 自分はテキストゲーやりたいが、少数派だからやっていけないのも事実なんだよな。演出とかすっごい凝っているのは感動するが、テンポを犠牲にしている事が多いから素直には受け入れられない。
 うん、つまり何が言いたいかというと――もう毎日ログインやデイリーとウィークリーミッションクリアするのキツいんですよ!! 自分のペースでゲームしたいんだ僕は!

 前回までの制作時とは違い、恋人となった恵にもっとメインヒロインになれと好き勝手なことを言う倫也に恵は主人公にも理想を求める。メインヒロインになって欲しければその気にさせる言葉を言え、です。
 倫也が拙い言葉でせいいっぱいの気持ちを伝えるとすぐコロッと行ってしまう恵に、ベタ惚れやんこれはあのエンドロール後に行くわ、と確信するw

 都合良く両親がいない倫也の家でもう妻同然だった恵さんですが、もう両親がいてもお邪魔しているようで公認っぽい。外で口説かれてキスしたいからすぐに帰りたがってるんだろうな、と思うとまた凹んだw
 もう、なんでこんなに加藤を神聖視してるのか俺はww

 特典は短編ですが、二週目へと続いているようなので全部集める猛者には尊敬を。
 最近、子どもの頃のトラウマ映画ITをうはうはしながら観に行ったら、ドMだと言われた僕は六週目にまた頑張るんだ。

 ま、ここだけの話。
 乱視酷いのにうっかり眼鏡を忘れて観に行った冴えカノ映画、めっちゃ見にくいのにダメージでかかったから死ぬかもしれないと冗談半分に思っている。

 では、この辺で今回のお気に入りへ。
 浪人で一年間活動休止しても一昨年の二作目を作れてなかったら恵は俺を選んでくれたか怪しい、なんて言う倫也に対する恵の返事を。


「そっかなぁ? これっぽっちも怪しくないと思うんだけどなぁ……二年前、だったらさ」



 まあ、そうですよね。一作目作っている段階で行けたと思うよ。うん、途中から加藤が倫也を落とす勢いだったもんな。
 原作も破壊力すごいのに映像と声つきになるとすごすぎるから是非観に行ってほしいものだ。



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冴えない彼女の育てかたAfter [One Year Later]
丸戸史明(著)深崎暮人(イラスト)
映画『冴えない彼女の育てかたFine』第一週目来場者特典
posted by SuZuhara at 22:53| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

ソードアート・オンライン プログレッシブ5



「二十四時間、必ずわたしの目が届く場所にいるのよ、解ったわね!」


 ここ二週間ほど久々に楽しい日々を過ごさせていただいていました。いや、暇さえあればゲームしていただけだけどw
 最近はゲームに集中できていなかったのですが、寝落ちするまでやってつい数分前にクリアできました。最高に楽しくていろいろ考えさせられました。
 え、ニーア? HAHAHA、まだ全然手をつけてないなー。やらねばだが、フリプに来たBloodborneしたいからまだ手をつけないんじゃなかろうか。


■あらすじ
 順調にアインクラッドを登るキリトたちはパズルギミックにまみれた第六層に辿り着く。
 PKを狙ってくる黒ポンチョの男と手に入れてしまったギルド武器の処遇に悩むキリトはビーターの記憶を頼りに受けた連続クエストだったが、そこにはまたもモルテの罠が仕掛けられていた。


■感想
 感想書こうと思って気がついたのだが、私は四巻の感想書いてないや。改めて読み直すのもアレなので書きませんが、水着と襲撃巻だった。肌色率が高いとというか、いわゆるサービスシーンがあるとテンションだだ下がるのでおそらく書き忘れたのでしょう。
 発売一週間後くらいには読み終わっていたのですが、如何せん、俺がゲーム始めちゃったからパソコンを触らないというね。ブログも放置してしまった申し訳ない。打鍵も指が固まっている感がすごいね。

 さて、もうどう見てもアスナさんがキリトさんに惚れている状態で第六層へ。え、パズルギミックとか、僕はRPGで損なことされたら詰むからやめて。宿に入るのもパズル鍵とか、嫌がらせすぎるよ。

 前回の襲撃から対人戦を意識し始めるキリトとアスナだが、ギルド武器の処遇も重要。私的にはディアベルがどうしてそこまで神格化されるか理解できないのですが、二分したギルドのどちらかに渡すなどできないので、二大ギルドが統合するか同じアイテムがドロップするまで待つことに。
 これに関しては一端保留となりますが、問題は襲撃者の方。けれども、パズルの連続クエストのネタバレ攻略はなんだかなーである。あとがきでも語られているけれども、こういうダイジェスト展開はちょっと切ない。この依頼主ちょっとなにがしたいのかてんで分からんだった。
 毒や麻痺の応酬となったモルテとの2対2戦は楽しかったのですが、クリティカルの手応え描写は斬新だな、と。これは正確さを上げたくなる……というか、ゲームをやりたい。早く本編のSOAを自キャラで踏破できるゲーム作ってください!

 二度目の襲撃でモルテがキリトたちがついたダークエルフの敵であるフォールン・エルフの武器を持っていたことから、みんな大好きキズメルさんに会いに行く。しかし、この黒エルフ、出番多くないか。
 もうお約束と化している風呂イベントが起こり、アスナさんと小指を絡めてのベッドインで今回は終わり。
 ああ、そうだ。終わったのだ。え、まさかの六層は続き物? え、また二年も待つの? と戦慄しましたが、連続刊行予定とのことでなんだ来月かと思いきや、予定日は五月。ぬぅ、長いなぁ。

 毎度思うことですがキリトさんとアスナさんの関係が完成に近づきつつあって、これがどうなれば別れる事になるのか知りたくなる。けれど、確実にアスナさんが攻略の鬼になったのキリトさんと別れたからなんだろうなー。

 では、今回のお気に入りに。
 今回はオレンジ化したプレイヤーへの注意点をキリトさんが口にすると訂正を求めるアスナさんの台詞。今回のアスナさんはとっても男前なのです。


「いま君が言った、俺かアスナが生きてて、って台詞は修正してほしいんだけど」
「へ……?」
「どっちかが殺されたのにもう一人が逃げるとか有り得ないでしょ? 俺とアスナが、って言い直して」


 もうSOA本編は読んでいないのですが、ああ、アスナってこういうの許せない女の子だったなと思い出した。私は彼女が苦手なのですが、こういう強さには憧れるものです。







ソードアート・オンライン プログレッシブ5
川原 礫(著),abec (イラスト)
KADOKAWA(2018/2/10)
posted by SuZuhara at 01:50| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする