2017年11月11日

冴えない彼女の育てかた13



 わたしは、あなたが望む、メインヒロインに、なれたかな?


 やっべー、本当に風邪が治らない。普段、僕を蔑ろにする兄貴が心配してくるレベルである。
 雑用を片づけるために休みを頂いたのだが、一日がかりかと思っていたのに五分で終わったので映画行ってきたよ、ヘブンスフィール。丁寧に描かれる過去と作品が連なったからこその繋がりとか震える。イリヤがセイバーにアインツベルンのことを聞いたりとか。桜、そのセイバーさんめっちゃいい人だからもうちょっと優しくしてあげて。こうして三ルートのアニメを観ると藤村大河の存在のでかさを感じるね。
 丁寧な描写に感動したくせに戦闘シーンになると、日常とかいらないから戦えと思ってしまう俺は最低です。


■あらすじ
 ついに恵に告白した倫也は晴れて恋人同士となる。
 そして、ゲーム作りも佳境を迎え新旧のサークルメンバーが揃ったお祭り状態は終わりへと向かっていく。
 倫也と恵の変わった関係と倫也を想っていた英梨々と詩羽はその関係にケリを着けることになる。


■感想
 ラノベをきちんと最終巻まで読み切ったのはおそらくケモノガリ以来かと。わりとイチャイチャしているのは苦手だったりするのですが、途中で飽きちゃうからね。最後まで読み切れたことは感慨深く思っています。

 倫也の告白からの続きからで、もう正直言ってこのシーンから僕は死んでいた。ざっくり言うと、告白を受けてのキスシーンが僕の中の恵像をぶっ壊したのである。
 ここで私はどんな恵が好きだったのかを考える。なにをしてもうっすい反応のくせにいつだって傍にいてくれるところが好きだったんだな、と思う。だから、濃い恵の反応が受け入れられなかったのだろう。
 ……うん、つまりキスシーンイラストのちょっと肌蹴た服とか、最後の初夜意識とか……そんなものは僕は欲していなかったのでしょうな。

 だから、あれだけ望んでいた恵のいる風景よりもゲーム制作が終わってしまうことの嘆きばかりがあった。自分のイベントでどう見ても発情してしまっている恵を見せられるとか、だから俺はもうとっくに死んでいると言ったじゃないか!
 以前に倫也たちが作ったゲームをしたいと言いましたが、この二作目は手にしたら発狂ものだよなー。胸がキュンキュンするギャルゲーでも大いに結構だけど、それに少しでも燃えてしまった後、「尚、元ネタはサークルメンバーと代表です」なんて知った日にはやったことないけどディスクを割りかねない。うん、俺はやるぞ。

 そんなやさぐれて気分だったからでしょう、英梨々と先輩の終わりは寂しくも二人らしくて良かった。現実でハーレムルートは受け入れられないからはっきりと勝者と敗者に別れてしまったが、英梨々と恵、なにより先輩のファンとしての倫也への信頼が好きだと思う。
 私は恵の存在が好きだったけれども、きっと人として好きなのは先輩なんでしょうね。いや、下ネタは勘弁だよ!

 そして、冬コミ完売とその後の倫也。
 新作の反応はシナリオがいまいちのようだが、その他は高評価。そして、巡璃ルートだけは評価される。編集者とか朱音の会社入りとかいろいろスカウトされる倫也だが大学は全滅で、ちゃっかり一人合格した恵の後を追って浪人生に。それでレーティングが変更されるようなことが起こるらしく、三度俺は殺される。どんどん恋愛描写が苦手になっていく、もうダメかもしない。
 いや、キスシーンが生々しかった後遺症じゃないかな! そういうのがあるって心構えが足りなかったんだよ!

 そんなこんなで冴えカノ最終巻読了しました!
 私の知らない同人サークルの話、ゲーム作りの話はとても楽しくメンバーのコミカルさもあって大好きでした。
 途中から恵の曰く地雷女化したこともあり、何度ももう続きを買うのはやめようと考えたこともありましたが、きつい思いをしながらも読んで良かった。……うん、かつてない衝撃で無力化させられたがね。ちくしょう、こんなの読んだらサイコパス映画でも観に行って心の平穏を取り戻せないよ。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回は英梨々との別れから。最後に「一〇年前、好きだった〜?」なんて聞いて自分を守ってくれる英梨々に倫也が否定を選んだことに対する見解を。


 きっと、俺のこの答えは、この決断は、正しい。
 もう今となっては、正直に言うべきじゃない。
『あの頃、俺には、お前だけだった』なんて、言うべきじゃない。
 だって、今さらそんなことを言ったって、もうどうにもならなくて。
 そして、今を生きている人たちが、前を向いた人だちが、少しだけ傷ついてしまうから。
 それでも、それでも、それでもさ……

 しばらくの間、悲しいって気持ちと、溢れる涙が、止まらなかった。



 ああ、伝えることができないってつらいな。
 この二人は特に過去の擦れ違いさえなければずっと一緒だっただろうから。その先じゃ今の英梨々に至れなくても、一緒の未来だった諦めるのはキツかっただろうな。 






冴えない彼女の育てかた13
丸戸 史明(著),深崎 暮人 (イラスト)
KADOKAWA (2017/10/20)
ラベル:冴えカノ
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2017年07月23日

冴えない彼女の育てかた Girls Side3



「じゃ、今度はみんなに聞くよ? ……わたしと倫也くん、付き合ってると思う?」


 昨日は熱中症になってぶっ倒れていたのですが、近所で夏祭りがあると叩き起こされる。せっかくなので犬を連れて行きましたが、この本屋もない町にあんなに人が住んでいるとは思わなかったなー。
 夏らしいことをしたのはおそらく中学ぶりなのですが、そんな私の偏屈に犬まで付き合わせる気はない。花火をじっと見てる犬の表情の意味はまだ分からないけれども、クラクラして吐きそうなくらいは耐えてみせるんだ。


■あらすじ
 望んでなどいなかった“転”のイベントが来てしまい、倫也と恵は再び決別する。
 倫也のサークル離脱中、周りに乗せられるようにして恵は倫也なしでゲーム制作を行うことを決意する。しかし、いつもの中心となる倫也がいないせいか、話題の中心は常に恵となり、決して口にしようとしない恵の本心へと迫っていく。
 これは倫也がフィールズクロニクルの制作へと向かってしまった間に起こった少女たちの物語。


■感想
 発売日には読み終わっていたのだが、フラレ回避にハマって感想を書きもらすというわりとよくやるミス。
 待望のガールズサイドですが、やはり決まってしまう瞬間ってのは嬉しいような悲しさがあるよなー。

 12巻で倫也がサークル離脱した時のガールズサイドですが、主に恵を倫也のいないゲーム制作に巻き込み、その本音を聞き出すという周りの話でした。
 怒ってる恵が苦手と言うか、早くいつもの恵に戻ってくれとハラハラするんですが、伊織との会話は面白かった。うん、恵は伊織と会話しないから間に入る出海が不憫でたまらない。そのまんま伝えるからヤバくなるんだ! お前がオブラートに、フィルターになるんだ!って応援してたけど、そんなの無理ですよねー。

 美知留は美知留でギャルゲだからという偏見抜きで最高の曲を作るために覚醒していた。私もわりとオススメとかでなにも知らずに聞いていいなと思った曲はエロゲ主題歌とかよくある。てか、そっちの方がよく作り込んであることが多くないか?
 人気が出たゲームの続編とか出て期待してたら、主題歌で今流行りのグループを起用。なに言ってんのかてんで分からねぇという瞬間の絶望は異常。
 だから、美知留にはものすごく頑張っていただきたい。相関図に絶望するなよ。肉親ってだけで負けても関係は切れないんだからさ……。

 倫也の決意を知った先輩の方は英梨々の説得。
 作家として、絵師として、お互い尊敬して信頼する関係になれた二人だけれども、二人とも倫也の憧れのクリエーターになってしまった。それは、倫也が女の子として見ないということだ。
 小説の次回作のネタに振られる少女の話を書くという先輩の話はまさに自分のことで、英梨々のことだった。そうすることで気づかせようとした。
 この儀式は辛いが、こう見ると二人は初めの決別でもうダメだったんだな。裏切りがトラウマになっているのを覆せなかった。
 これは分かる気がする。わりとグレーな手段や言葉っていうのはさ、「これくらいじゃ傷つかない」って確信できる相手じゃないとできないもんな。歪だけどそれも信頼なんだ。

 あとは先輩シナリオの加藤恵説得計画。
 計画的に美知留と出海が恵を追い詰めていくが、その後ろには先輩と伊織の存在がある。
 倫也がいない間に完成させると乗せられた恵は出海の家でゲーム制作合宿を行うことに。勿論、伊織はホテルです。

 最終的には先輩が恵を追い詰めていくんだけど、ここはちょっと怖い。英梨々の慟哭を聞いたばかりの先輩には恵の叫びなど同情の余地もない。
 普通で良かった恵だが、倫也のメインヒロインって座は譲らなかったのだ。

 ふーむ、なるほどなー。
 諦めるという選択をした二人の悲しみもつらいながらも譲らない恵も痛いくらいだったが、それ以上に終わりに向かっていることが僕にはつらかった。
 永遠に誰ともくっつかずに楽しいだけの時間なんて有り得ないけれども、それでも私は作品について喧嘩しながらゲームを作っていく様子が好きだったんだなー。是非、完結したあかつきにはそのゲームを実際に出していただきたい。あ、でもフィールズクロニクルの方がやりたいかな!

 次回で最終巻とのことですが、ここまで読んだのだから最後まで読むとも。楽しみだ。
 
 では、ここいらで今回のお気に入りへ。
 やっぱりここは恵が先輩に言い切った本音にしときましょうか。


「あなたにとって、倫也くんは、ものすごく特別な人だったのかもしれない。
 けれどわたしには、全然特別じゃなかった。普通だった。
 だからこそ、わたしは、彼がいいな……って思った」

「納得できないかもしれない。わたしに反感を持つかもしれない。
 でも……知らないよ、そんなの」


 ここを好きだなと思うのは、知らないという返答ですね。
 先輩や英梨々の気持ちは痛いほど分かっているはずなのに、知らないと突っぱねてヒロインを譲らないところがいいなって思う。それだけ好きでいてくれたんだな、って。
 ……その後の、最後の倫也とのシーンは結構恥ずかしくて参ったがな!






冴えない彼女の育てかた Girls Side3
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA (2017/6/20)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 09:51| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月15日

アカシックリコード



 ようこそ、人類の生み出した全ての叡智が管理される場所――アカシックレコード“悪魔の書架”へ。


 ふー、また随分と久しぶりになってしまった。
 ちょこちょこ本は読んでいるけれども、それ以上に暑くて死んでいる。夏は本気で弱いんだって。
 しかしこのままぶっ倒れてもいられないから動き出さないと――ああ、クーラーの効いた部屋でな!
 もうFGOの頼光ピックアップでエミヤ(オルタ)、エミヤ(アーチャー)、エミヤ(アサシン)という爆死で石を使い切ったことからいい加減立ち直らないといかんしな。


■あらすじ
 片倉彰文は記憶が失われているような感覚に襲われていた。そんな中で友人の甲斐浩太郎が投稿している小説サイト『悪魔の書架』を管理人を名乗る悪魔から浩太郎が書き、そして現在は放置している作品が紙魚よって蝕まれ、改変され食い荒らされることによっていずれ消滅するという事態に陥っていることを知らされる。
 同じく紙魚と戦う作者(クリエーター)として鳳かりんとともに作品の中に入り、キャラクターたちの力を借りて世界を正していく。
 読者である彰文はクリエーターではなく自分のキャラクターも持たないが、なぜかライラという夢魔の少女をして同行し、その先でライラとの関係、そして失われた記憶について知ることになる。


■感想
 久々に行った本屋で手に取ってみた本。というか、このレーベルを初めて見てデザインが良かったからというのが目についた理由かな。イラスト帯を外すと真っ白のデザインとか、良いと思います。
 だから、この作品自体の背景を全く知らなかったのです。スマホゲームであることとか、作者さんの前作とか一切知識がない上に辛辣になってしまうかもしれないので注意。

 内容はざっくりあらすじで語ったけれども、私はこの世界観がいまいち理解できていない。そして好きではない。
 要するに『悪魔の書架』はなろう等の投稿サイトで、登場人物たちはそこに投稿する作者だ。そして主人公はそこの読者。この関係は僕らにとって非常に慣れ親しんだものだけど、彰文がチート読者すぎる。

 連載物で続きが投稿されずに放置されたり誤字などがあったりすると紙魚に食われて作品が永遠に失われる――失われたことすら分からないという完全消去されてしまう。
 それを阻止するために作者である浩太郎が悪魔に呼ばれた時に彰文も一緒に来てしまう。

 自キャラを召喚して戦うとか、作者なら憧れるものでしょう。そりゃあ僕だって子どものころはポケモンとかゾイドとか本当だったらって何度も考えたさ。
 ほら、レクリエーターズのアニメとかもロマンがあるよな。けれども、これはそれらとはちょっと違う。
 物語の世界に入って物語をなぞりながら紙魚を見つけ戦う。けれども、その戦いのために作者はキャラの設定は盛れる。作者以上に作品を理解している読者は作者じゃなくてもキャラクターを召喚できるとなると、それ何が楽しいんだ?疑問符しか私は湧かなかった。え、これのどこに負ける要素があるの?

 かりんが怪我したが浩太郎の作品は紙魚退治できたため、浩太郎はもう戦わないと言う。作品のために死ねぬ、と。しかし、リアルな世界でポケモンGOしながらかりんと接触するよ、かりんには許嫁がいるけどなんかあれで浩太郎とファーストキッスするよ。その間に彰文は失われていた記憶、幼馴染の穂村千尋がいる作品に入るよ。
 ……そこから始まる両想いだけど気持ちを伝えなかったことでの擦れ違い、モテモテ彰文、千尋の嫉妬とか、なんだかおいていかれて進んでいく。

 ずっと読みながら考えていたんだが、私がこんなにも興味を抱けないのは彰文が無色というかなんの感情も抱けないのがこの作品に入り込めなかった理由だと思う。共感とか一切抱けなかった。
 浩太郎が微妙に主人公しててかりんとの恋愛描写とかあるが、あくまで第三者でどんなことにも理解のある彰文。
 千尋は彰文が転校しちゃうことから絶望し、今までのモテモテだけど彰文は気づかない状況を小説に書いて彰文に見せようと思ったのに間違えて投稿しちゃってバッシングを受けて歪むという地雷っぷりもあれだが、彰文になんの愛着も持ってないから話に全然入れないまま終わってしまったよ。

 1とナンバリングされていないから続くか分からないけれども、彰文と千尋、浩太郎とかりんの恋愛よりも悪魔の書架で起きていることや世界観についての方がもっと知りたかった。
 読み終わってからスマホゲームであることを知ってその辺はゲームでってことかと納得したけど、なにかと消化不良でした。

 では、今回はお気に入りではなく印象的なシーンで。
 作者である浩太郎も思い出すことのできないキャラクターを読者である彰文は覚えていて、そして召喚できると分かった時の台詞。


「世に出した時点で、作品はもう作者だけのものじゃないんだよ」


 ここから世界観について掘り下げられると思ったら、まさかの千尋と二人の世界=物語へだった。
 悪魔のこと全然語られなかったなー、残念だ。





アカシックリコード
水野 良(著) 中原,ずじ(イラスト)
KADOKAWA (2017/6/15)
posted by SuZuhara at 11:10| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月29日

冴えない彼女の育てかた 12



「だから、だから……もう一度、あの、一年前のお祭りを、やり直そうとしちゃ、いけないんじゃないかなぁ……」


 『死印』体験版やりました。と、久々の更新のことはスルーして初めてみる。ちょっと犬の調子が悪いので心配でたまらんのです。
 都市伝説チックな話として、今までやった中で一番好みのタイプに近いゲームだった。探索中に初めて霊を見つけた時はヒヤッとしたが、分かってしまえばいかに即死を回避するかが問題ですね。
 しかし、如何せん霊とのバトルが好きじゃない。あの最終戦と終わり方に僕はどうにも納得できていないのだ。先は知りたいが、買うかはちょっと分からないなー。


■あらすじ
 恵とのデートを断って倫也が向かったのは紅坂朱音が入院する病院だった。朱音の退場により詩羽と英梨々のゲームが理想形で発売される可能性が無くなってしまったことから、倫也は朱音の代理となることを名乗り出る。
 しかし、期限が迫っているのは倫也たちの同人ゲームも同じであり、サークルを蔑ろにするような倫也の決断に恵は倫也のメインヒロインを、一緒にゲームを作ることはできないと告げられてしまう。


■感想
 発売日には買ってましたが、全然読めてなかった冴カノ12巻。この話を読んで気づいたことがありますが、それは最後にでも。

 さあ、前巻での加藤とのイチャイチャからシリアス展開だよ!分かっていたことではあるが、加藤と離れるのはつらすぎるな。
 超人朱音が倒れたことでクオリティアップよりも妥協した完成となってしまうことになったフィールズクロニクル。
 こいつはどうだろうな。ユーザーとしては最高のヤツを一刻も早くやらせてくださいだが、延期に延期を繰り返した上になんだこれってゲームも多く経験している。発売日は守ってほしいという希望は捨てられない。だって、ゲーム発売延期が発表されたばっかなんだもんよ……。

 ま、私の気持ちなんぞどうでもいいですが、詩羽節も英梨々の神イラストも中途半端になってしまうことなんか許せなかった朱音と倫也は最終手段として倫也が朱音の代理となって動くことになる。倫也たちのサークルのやり方でやれ、という言葉にエセ社会人となった倫也が交渉役となる。

 しかし、こんな決断を加藤は受け入れられない。
 倫也が返ってくると約束しても、それが正しいと分かっていても納得できるかは別問題でまた加藤と絶縁状態になってしまう。やめて、胃が痛いから加藤が怒ってるのって。

 詩羽と英梨々を説得して倫也の部屋でフィールズクロニクル作りしつつも、倫也は時間があれば加藤にメールをする。このケンカ状態を巡璃とのイベントに使うといいながら、自分の気持ちを込めたラブレターを書き続ける。
 うん、ばっちり二人に見られるけどね! 内容かなり恥ずかしいのだけどね!

 でも、ここにいてくれたらな、と思ってしまう気持ちを笑うことはできない。本当にふとした瞬間思ってしまうこの気持ちだけは恋い焦がれているとしか言えないことだけは私にも分かっている。

 だから、最後のメールを送った時の倫也の部屋の前にいた加藤はどんな気持ちだったのかな。ずっと欲しかったものは目の前にあるのに意地もあって手を伸ばせなくて、後から来た英梨々たちが手を差し伸べてくれてやっとみんなでゲームを作るという加藤が望んでいた場所に帰って来れた。表紙がこのシーンとか本当にズルい。

 正直倫也視点ではこの辺りはさらっとしかできないと思うので、次のガールズサイドが楽しみだ。僕は結構ガールズサイド好きなんですよ。竜虎とか。

 最後はついに倫也が加藤に告白しますが、フラットに返されてしまうので受け入れられたかは不明。いや、でもあの返しとこれまでを見れば明らかっちゃ明らかか。

 この、おそらく加藤ファンは望んでいただろう展開に喜んだのは私も例外ではないはずだったんだが、残念ながら例外だった。
 前回の冬コミ後くらいからちょっと私はこの話が苦手になっていた。加藤が怒ってるからかな、と思っていたが、今回の加藤の告白で分かったよ。
 僕は、みんなでゲームを作っていく様子が好きだったんだ。喧嘩しながらも作られていくゲーム制作が楽しくてたまらなかったんだ。
 だから、この結果に対してはなんの感動もなかった。フィールズクロニクルが終わったから次は同人ゲーム・冴えない彼女の育て方の大詰め。もうすぐ楽しい時間が終わってしまうのかという寂しさしかなかった。私はやはり恋よりも友情派なのでしょうな。

 では、ここいらで今回のお気に入りへ。
 正直今回は特になかったりするのですが、敢えて言うならここというところを。
 詩羽先輩たちにフィールズクロニクルに関わることを話すとその内容の切迫さからも反対されるんだが、最終的に先輩は分かってくれる。


「色々と、覚悟を決めたのね……倫也君」
 何がそういうことで、何の覚悟を決めたのか……。
 俺には、詩羽先輩が俺の何を察したのか、正確には掴みきれなかったけれど。
 それでも、彼女の口調の、そのニュアンスから、それが多きく外れていないことだけは、悟った。
「なら、わかったわ……澤村さんの説得は任せて」
「……いいの?」
「今夜中になんとかする。なんとかしてみせる」
 それは、俺に対する理解なのか、信頼なのか、呆れなのか、あるいは、その全部なのか。
「だから、明日からは、いつもの……」

「いいえ、一年ぶりの、チーム再結成よ」


 かなり長くなってしまったが、詩羽先輩のこういうところ好きだなー。てか、エロに走らなければこの人の事本当に好きなんだが。





冴えない彼女の育てかた 12
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA (2017/3/18)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 11:59| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月23日

神曲奏界ポリフォニカ レオン・ザ・レザレクター4



 どんなに想っていても、言葉にしなければならないことは、ある。


 やばい、本気で月一更新になりつつあるじゃんか俺!
 まあ、言い訳が許されるなら最近本とか全然読めていないから感想を書くに書けないのである。決して、FGOぐだぐだイベントで土方さん目指してアルテラ、エジソン、エレナと連続で来ても本懐は遂げられなかったり、ソルトアンドサンクチュアリ超楽しいけどソルトは一粒も無駄にしないチキンプレイしてて忙しいわけじゃない。BBちゃん配布とか速攻で聖杯捧げるね、種火ストックしとくね、とかのせいじゃないんだから!


■あらすじ
 精霊の身で殺人を犯したレオンは刑務所に収監されることになった。自慢の金髪はどす黒く染まり、ただ過ぎていくだけの二千三百年という日々を過ごすはずだったが、刑務所見学のバスに仕掛けられた時限爆弾の事件から、レオンは悉く命を狙われていくことになる。
 精霊文字の刻まれた首輪により力の使えないレオンは自暴自棄になりつつもヒマワリ色の少女に叱咤激励され、自分を取り戻していく。


■感想
 ああ、読んでしまった。これで私が持つ大迫さんの詠んでいない本はあと一冊だけだ。
 悲しみは未だになくならないけれども、読むとやっぱり好きだなと心底思うのだからどうしようもないね。ポリ黒とか読み直して感想書きたいくらいだ。

 さて、これは神曲奏界ポリフォニカのスピンオフブラックシリーズから生まれた黄金の獅子レオンガーラ話である。何度も言っているが、私は本家本元を知らない。スピンオフなのに、シリーズものの三巻目から手に取ってなにがなんだかわからないまま大迫節に惚れたからだ。
 前巻を読んだのは大分前だけど、キレて人間を殺してしまったレオンの話。ブラックシリーズに精霊法に関してはかなり触れられているけれども、精霊が人間を殺すことは大罪だ。精霊は人間の善き隣人でなければならないのだから。

 レオンは刑務所で腐りきっていますが、時限爆弾バスでちゃんとレオンであることを見せてくれる。看守ティガーとの関係も良かったんだがなー。
 見学者の中に僕らのよく知る少女がいた。レオンは見えていないがヒマワリ色の少女である。バイクにまたがり、そして大好きな親友の真似してメモを取るようになった少女である。

 正直なところ、ブラックとレオンではイラストが違いすぎるので表紙では誰か分からなかった。レオンもどうもイメージが違いすぎてちぐはぐな印象を受ける。難しいな。

 レオン宛の手紙から時限爆弾だったので他の刑務所に移送されるところで襲撃。やめろっ、ティガーだけはやめろって!
 ボロボロで逃げ延びたレオンを拾ったのはおでこが印象的な少女である。バイクで移動し次は電車。レオンが助けを求めるのはブラックの主人公であるマナガとマティアのもとへ。

 しっかし、二人は不在。どうすりゃいいのか、と思っている時にレオンが大事にしている少女たちの職場が爆破。
 絶望とさらなる襲撃を受けてもレオンを助ける少女。突き放して、そして傷つけたくないと気づかされたレオンは初めて少女の名前を聞く。
 ヒマワリ色の少女――サジ・シェリカの。

 うん、知ってた。
 だってシェリカがどんだけすげー奴かなんてことはとっくのとうに知っている。レオンの負けなんぞ決まっている。

 レオンを執拗に狙っていたのは前回にレオンが依頼を受けてちょっと痛い目を見たミサワさん親子。息子がギャングに置いたした結果顔が修復不可能な状態になったことへの報復だった。
 しかし、問題はそれだけでなくレオンが首輪を外しても力を使えなくなっていた。なんてことだ。

 そんな状態で飛行機爆破が目の前で迫る。
 レオンを殺すためだけに二百人を道連れにしようとする。この事件の解決法は、レオンにしかないですな。

 知らない、けれども知っている顔の女たちが集まっていた。
 何百回と、レオンが契約しては捨てていった女たちだった。みんなレオンガーラを知っていて、シェリカの叫びに応えて集まった女たちが奏でる神曲で戻れないなんてレオンじゃない。
 レオンがずっと暴走状態だったとか衝撃の事実は有りますが、そんなことよりもかつての契約者たちの何十年経っても変わらない面影が私は嬉しくてたまらなかった。

 あとのことは語るまでもないね、レオンの復活と大団円だ。シェリカがマティアの親友であることに気づくレオンは楽しいな。やっぱり特別なんだな。

 いやー、やっぱり大迫さんの話が好きだ。
 私という人間は単純だから格好いいと思ったことは永遠と貫くという厨二なことをするのだが、その一つが大迫さんのせいであることに気がついたよ。ホント、どうしようもねぇことだから書かないけれど、小さなことだって俺に根づいてくれていることが嬉しくてたまらないんだ。

 では、ここらで今回のお気に入りへ。
 さっき書かないって書いたばかりだけど、読み返してもお気に入りはここなので私の趣味を晒そう。
 無人駅で始発まで時間を潰すことになるのだがシェリカのバイクに積まれた携帯用ストーブやら、普通は積んでないものを見ての会話。


「いつもそんなもの積んでるのか?」
「まあね」
 それはつまり、いつ必要になってもいいように、ということだ。予定を立てずにふらりと遠出してしまう、そういうことが頻繁にあるのだろう。
 少なくても俺の知る限り、神曲楽士志望としては珍しいタイプだ。
「備えあれば嬉しいな、って言うじゃん?」


 この、でたらめな諺が最高に格好いいと思っているのである。
 なんだろうな、私は正しく使うことにあまり興味はないんだよな。ニュアンスが伝わるのであれば面白い方がいいじゃないか。間違ってなければいいんだよ、独りよがりだってさ気張った正しさよりもこっちの方が伝わる気がするんだ。





神曲奏界ポリフォニカ レオン・ザ・レザレクター4
大迫 純一(著),忍 青龍 (イラスト)
SBクリエイティブ (2009/4/15)
posted by SuZuhara at 17:58| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする