おまじないを誰かに見られたら、五人の中の誰かが死ぬ――
ご無沙汰していますが生きてます。少々忙しいと言うこともありますが、今まで顔を出せていなかった一番の理由は寒いこと。だって、私の部屋寒すぎて凍る勢いなんだ! 暖を取ろうとベッドINすると寝ちゃうんだよ。
というわけで、最近はゲームもできてないです。でも本は読んでいるからえっちゃら感想書いていきます。
■あらすじ
心霊事故に遭遇し退学処分となった柳瞳佳は転校先の銀鈴学園でチェーンメール『友情リレー』に巻き込まれることになる。指定の人数に回せるほど友達のいなかった少女四人組からメールを回さずともすむおまじないを行うメンバーに組み込まれたのだ。
しかし、おまじないをするために五人以外誰もいない場所で鏡に向かって一緒に撮った写真には霊が写ってしまっていた。
おなじないをした少女の一人が消えてしまい、瞳佳は関わるまいと思っていた心霊案件を請け負う占い師である同級生・守屋真央に相談することになる。
■感想
相変わらずちまちまと怖い系に手を出しています。
しかし、やはり私の怖いという感覚は子どものころに起因するものらしく、童謡『たき火』とか聴くだけ結構キツい。
そんなこんなで、今回この本を手に取ったのは私のトラウマの一つであるチェーンメールについて書かれているようだったからという理由。
だがしかし、私はこの作者さんを知らなかったのだが、学生時代に友人がめちゃくちゃ勧めてきた『Missing』の作者さんだったとは。久々に友人を思い出してほっこりしたのは内緒です。
さて、ざっくり説明すると以前の高校を退学になった瞳佳は心霊にだけは関わるまいと決めていたのだが、お人好しの転校生ということで気弱な少女のグループからチェーンメール『友情リレー』を止めるためのおまじないをするための人数に入れられてしまう。
……これな、経験談だが私はこの手のメールを送ってきた時点で友達やめたからな。怖い系ではなくメール止めたら金払え系のメールだったんだけど、その頃はチェーンメールを知らなかったし冗談としても笑えないじゃないか。心狭いと思ったけど、笑えない冗談はダメなのである。
しかし、いきなり送られてきたメールに引きつつも瞳佳は事情を聞いて受け入れてリレーを止めるおまじないに参加することになる。
これまたざくっと友情リレーについて説明すると、メールを回した人とはずっと友達。けれども、他の四人の友達に回さなかったら友達いないからこの友情もなかったことになるよ、という感じ。ぼっち殺しか。大切な一人、二人の友人すら狩りに来るとか怖ろしいな。
だが、このメールを回さずとも友情を続けることのできるおまじないがあると言う。リレーで回さなければならない人数と一緒に他に誰もいないところで鏡に映り、人数を数えてから鏡に向かって写真を撮る。それを持っていればオッケー、というものなのだが、いざやると心霊写真が撮れて六人写っている。
誰かに見られてはいけないのに、六人目がいた。
ギャー、と帰るわけだが寮の門限があった瞳佳以外は一人が落とした携帯を探しに戻っていたらしい。そして、そのままいなくなった。
これはおかしいと学生にして開業をしている占い師である同級生・守屋真央にお金を払ってみてもらうことに。
真央の仲間には巫女さんや自称魔女の少女がいるが、今回は顔見世程度なのであまり深くは掘り下げられていない。巫女の芙美はちょっと性格的に好みですが、見た目はダントツ那琴だなー。
現場に行ってみると、とくになにもないのだがいなくなった少女が探していた携帯を鳴らすと洗面台の排水溝の中から鳴っていた。
心霊現象に遭遇する霊感少女だった瞳佳は、自分を見ても何も言わない真央が霊感がないことを看破していた。霊媒(ミーディアム)として真央の調査に関わっていくことになるのだが、ここまで読んでガチに心霊な小説だと思っていなかった私は焦った。怖いとは感じなかったが霊は苦手なのだ。怪異であってほしかったのだ。
これを書いている間、怖い話流しているせいか嫌な予感がガツガツしているよ。霊感とかなくて本当に良かったや。
真央は特別な箱を持っていてそれが在るから霊感がなくても占い師としてやっていっている。芙美や那琴がいるのもその箱のため。棺とか嫌な予感しかしないね。
調査していくと、いなくなった少女は汚水溜まりと化した池で見つかった。
次々と分かるのは彼女がいじめられていたこと。嫌がらせで友情リレーが送られ、数少ない友人を失わないためにおまじないをして死んだ。
彼女の言葉を聞くために交霊会が行われることになったのだが、箱と瞳佳の存在によって交霊会はばっちり成功する。しかし、少女の友達三人のうち二人がいじめの対象が自分たちにシフトしていることからいじめっ子を殺してくれと願ってしまったことから少女は悪霊として召喚されてしまう。
極小の地獄である箱、真央の家族を飲み込んだ箱に少女の霊といじめっ子たちは呑まれて行く。
少女は友達のために悪霊となったとあるが、これはやだなー。友情だけは信じさせてくれ。やっぱり霊に関する話は苦手だ。
ロザリアの棺、瞳佳に関する秘密は面白かったんですが、少々予感はあったよな。真央の奇妙な仲間たちに瞳佳も加わって続くという感じでした。
なかなか面白かったんですが、霊関係は苦手なので次は読まないかも。けれども、文字だけで恐怖を表現するのはなかなか難しいと興味深くもありました。怖いって本当に難しい。
では、ここらでお気に入りですが、今回は印象的だったところを。
交霊会の最中に死んだ少女の友達だった二人が死を願ったシーンを。彼女たちはいじめられていた少女の影に隠れることで自分を守っていた。少女がいなくなって自分たちがいじめの標的になることを知った時保身に走った。
あの時、自分たちの盾が最後に一度だけ還ってくると分かった時、叫んだのだ。あの三人を殺してくれと。ありったけの、恐怖と、悪意と、卑劣と、希望を込めて、哀れな優しい私たちの盾に最後の仕事をしてくれと、赤い光の中で願ったのだ。
人を呪わば、なので彼女たちも哀れなことになりますが、これは酷い。対人関係において優越感や劣等感は抑えられないものだと思うが、死者に対してそんな風にしか思えないなんて人間は嫌だな。
ま、どっちにしろそういう人付き合いもできないぼっちには関係ないんだがなー。
霊感少女は箱の中
甲田 学人 (著),ふゆの 春秋 (イラスト)
KADOKAWA (2017/1/10)