2016年08月10日

ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー



「いいえ、僕は結構です。この部に僕のやりたい『ゲーム』は、ないみたいですから」


 夢の話をすると心配されることが分かったのでもうしないけど、私は元気です。ええ、熱中症で倒れてガクガクになってもゲームはできるからね!
 そんなこんなで今はFGO水着イベント待機中。石を集める、石を集めるのだ! イスカンダルをLV.100にしてる場合じゃねぇっ! 俺はタマモだけは――いや、きよひーもなんとしてでもゲットしてみせる。勿論、無課金の範囲で!
 水着とか正直興味とかないんだけど、水着マシュのぐだ特攻っぷりには「マシュ眼鏡超似合ってるね!」である。フィギュア締切最終日にポチってしまったことは後悔していないんだぜ。


■あらすじ
 ぼっちゲーマーである雨野景太は学内のアイドル的存在・天道花憐が発足させたゲーム部に勧誘される。ゲームの腕を切磋琢磨で競い合い、ゲームの会話ができる仲間ができることは景太が望んでいたことではあるが、そこでは景太が好きなゲームはできないと思い入部を諦める。
 フラれたことから景太のことが気になってしまう花憐と景太のクラスメイトで高校デビューに成功した上原とその彼女・亜玖璃、景太と一部を除いてドッペルゲンガー並に気が合うぼっちゲーマー・千秋と部活とは関係なくゲーム好きが集まり、恋と趣味がすれ違っていく。


■感想
 最近ラノベを読んでないなと思ったら勧められた本です。
 『生徒会の一存』の葵せきなさんの本なのでギャグセンスは最高です。しかもゲーマーの話だからね、納得してしまうところもたくさんあって面白かったです。

 ざっくり言いますと、高校でぼっちゲーマーをしていた景太の話。てか、休み時間にソシャゲできるとかそれだけで時代の勝ち組じゃないか? 私の高校時代は徹夜でゲームして授業もきっちり受けて、休み時間に気絶するというものだったぞ。この授業中に寝れないところが生真面目たる所以なんだよ!
 ゲームショップで偶然出会った学内アイドルの花憐に誘われて行ったゲーム部というのは、本気で腕を磨く人たちの集まり。

 格ゲーでは自キャラを極める。相手のプレイを見て自分に取り入れる。つまり、頂点を目指す人たちの集まりなのである。
 これを景太は嫌がって入部を断る。
 ……この気持ちは分かるなー。私も頂点を目指すような人間じゃないから。ほら、下手の横好きでいいんだよ。
 だって、楽しみたいだけだから。私はゲームをしてもトロフィーコンプは全く目指していない。ストーリーを制覇してコンプならしているけど、特定技を100回こなすとか、そういうやりこみ系をやる気は起きないんだよ。
 けれども、それを絶対とする人もいる。みんな違ってみんないいという言葉は嫌いだから使わないけれど、手前の価値観を押しつけられるのは違うと思う。

 つまりなにが言いたいかというと、私は花憐の「ソシャゲはくだらないゲーム」発言に怒っているんだ。
 私だってそんなにソシャゲはしないよ。FGOしか続いていないし、正直課金しないけど強くありたいとか向いていないとも。
 それでも、お前にとってくだらないものだからって押しつけてくんなと思ってしまう。クソゲーをクソゲーだと言ってディスれるもの愛せるのも、買ってプレイしたものだけの特権だろうが。

 要するに、私の中で学園のアイドルだろうと天道花憐の印象は最悪だったと言える。この人、ヒロインでも好きくない。
 この後で中学時代は眼鏡のゲーム好きだったけど高校デビューしてイケメンになった上原と出会うんだが、この時の景太の気持ちは分かるなー。ゲームで遊びたいだけだから、一緒に遊んでくれる友達ができるのって最高だよな。

 上原と友達になる過程で天道が景太に恋しちゃったり、上原ただなんとなく告白されたから付き合っていた亜玖璃が中学時代から自分を好きでいてくれて、自分のためにキャラチェンジしちゃうほど好きでいてくれたことが分かったりしてぞっこんになってしまったりとするけど、私の本命は千秋なのでそっちに行こう。

 いつか天道と話せるように、と女子と話そうと同じぼっちゲーマー・千秋に話しかけることになった景太。
 ゲームの趣味が酷似しすぎててあっという間に仲良くなるが、一つだけ異なるのは萌えに対するスタンス。

 うー、これはなぁ。
 千秋のいい分も分かるんだ。ゲームは音楽とかフィールドマップ最高だと心躍りまくるんだが、景太の言うキャラに対する萌えも分かるんだよ。
 弱いし使えないのにキャラへの愛だけで最後までメンバーに入れてしまうとかあるだろう? キャラ育成とか初期メンバーに愛着湧きすぎて新加入キャラ愛せないもん俺。見た目がドストライでない限り。

 景太と千秋の喧嘩は本当に面白い。
 千秋は実は景太が信者であるフリゲ製作者だったり、景太がソシャゲで頼りにしている人だったりして運命レベルなのだが、お互い嫌い合っているので上原が面白がって「ゲーム同好会」というゲームを語る場を提供することに。
 そこに天道も投入して傍から見て楽しもうとしていたのだが、もうみんないろいろと言葉足らずなので関係がハチャメチャになってしまう。

 景太と亜玖璃は付き合ってるとか景太と千秋は一緒にいるためにゲーム部ではなく同好会を作ったとか、同好会は上原ハーレム(景太もBL的に含む)とかw

 いやー、力を抜いて読める面白い作品でした。ゲームスキーさんはより一層楽しめるかと。ちまちまと続きも買ってみようと思います。

 では、今回のお気に入りへ。
 上で千秋派だと書いているけども、キャラクターとして好きな亜玖璃のシーンを。景太は天道を、亜玖璃は上原を想う気持ちからぐだぐだと駄弁っているシーンから。
 どんなことがあっても上原が好きだという亜玖璃になぜかと問うた時の返答を。


「恋って、するもんじゃなく、落ちるもんじゃん」

「……」
「そんなのもう、どうしようもないよね。事故みたいなもんだもん。辛くても、身の丈に合ってなくてもさ……ま、落ちちゃったんなら、しゃーないしゃーない」 


 いろいろとハイテンションなキャラクターが多い中で、彼女は軽いようで聡いんだ。
 だから、自分の気持ちをしっかり持っていて「しゃーない」と受け入れるところは格好いいじゃないか。
 でもなー、景太とお互いの恋の応援連合は嫌な予感しかしないよ。地の文の不吉な感じだけでなく、景太の言葉足らず感がかなり。
 





ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー
葵 せきな (著), 仙人掌 (イラスト)
KADOKAWA / 富士見書房 (2015/3/25)
posted by SuZuhara at 08:58| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月07日

冴えない彼女の育てかた 10



「……私は、このシナリオを、この結末を、許さない」


 夢を見た。
 私は誰かに会いに行って、そしてその誰かに押し倒された。いや色っぽいものではなく、くっつかれたせいでそれが誰か見えない。
 その誰かは死に体で生きているのが不思議なくらいとうに手遅れで、つらいなら頑張らなくていいと口にしていた。もうこれ以上私を待たなくていいよ、と。
 そしてその誰かは重くなった。その意味に泣いて、いったいこの人は誰だったんだろうとぼんやりと考えていた夢。
 ……ちょっと待て、本気でまずいんじゃないの俺。おすすめの鬱ゲーリストとかもらったせいだよねこれ。まだリストの一番上をプレイ中なんだけど、序盤の幼馴染みとのラブラブデートシーンでもう既に違う意味で鬱ゲーだよってなってるのになにこれこんちくしょうっ!


■あらすじ
 加藤と英梨々が仲直りして、倫也たち新生blessing softwareは制作のための合宿として温泉地に来ていた。それに詩羽と英梨々も合流して騒がしくなるかと思われたが、押しかけてきた紅坂朱音が二人を捕まえてフィールズクロニクルの打ち合わせを始めてしまう。
 そこに居合わせることになった倫也が見たものは、紅坂朱音に打ちのめされて泣く英梨々ではなく、全否定される詩羽の姿だった。


■感想
 冴えカノ最新刊です。
 加藤の正妻っぷりは不動だけど、ちょっと怖くなってるからだんだん胃が痛くなってきてるよ!

 今回はうはうは水着回と思いきや、詩羽先輩シリアス回でした。個人的に先輩は好きではないのですが、先輩回は好きです。
 初めこそ楽しい合宿までのごたごた、目的地つくまでのギャルゲ的選択肢とか、楽しかったですよ。加藤さん、倫也にキスのこと吐かせるとか怖いっす。

 まあ、序盤だけなんですけどね。
 紅坂さん出現で二人は打ち合わせに行くことになり、自分のこだわりなどを主張して渡り合っている英梨々だったが、先輩の方は全否定されて打ちのめされていた。
 どこが悪いとかそういった指摘はなく、「つまんねー」。打ちのめされた憧れの人を見て、倫也は作業が心ここにあらずに。

 そんな倫也に気づいていた加藤が先輩シナリオを書くことを勧めてくる。もうなにこの正妻。裏切りだと分かってて許してくれるとか、頭上がらないねこれ!
 倫也の想う天才で邪悪でヤンデレな黒髪ロングヒロイン。
 先輩との出会いから全てを書いて、萌え萌えのヒロインに仕立て上げたシナリオを読んだ先輩は震えた。

 嬉しくて? いいや、怒りで。
 倫也の書いた先輩シナリオはご都合主義。主人公と高校生小説家のヒロインが一緒に小説を作っていくものだったのだが、先輩はそれは許せない。
 だって、自分の作品は自分だけのものだから。作品の根っこの部分を誰かに頼るなど許せない、と。

 けれども、これは倫也のゲームだ。
 先輩の天才クリエーターっぷりは、ゲームのヒロインとしてはいらないのだ。
 倫也渾身のシナリオで二人は袂を分かつが、先輩の復活につながる。

 のちに紅坂さんが倫也に接触して来て、先輩がぶっ飛んだシナリオを書いたことを教えてくれる。その、狂気のキメラボスがいるゲームどれだけ待てばできますか? 五年、十年?
 この後語られる紅坂さんのやり方的な話は面白かった。やっぱこの人を嫌いになれない。かなり好きな分類だ。

 うーむ、展開としては英梨々の時と同じ展開だけど、先輩の話は面白い。しかもゲーム制作の話だからね、楽しかったです。
 引き続き次も買う予定ですが、しかし空気な加藤が恋しくもなって来ているから近々読み直そうかな。

 では、今回のお気に入りへ。
 先輩(仮)シナリオを書いている際、倫也は先輩とのことを細かく覚えていた。それだけ倫也に影響を与えた人だったのだ。


 忘れようったって忘れられるものじゃない。
 きっと、墓場まで持っていくんだろうって確信できるくらい、俺の中で存在感が大きいんだろうな。


 倫也の勝手な妄想、ゲームヒロインの設定としてだが、先輩のことをきちんと理解している。
 ここが好きな理由が確かあったはずなのだけども、ちょっと寝不足の頭が回らないのでらしいことを言って逃げよう。

 似て非なるものと分かりきっているほど理解できる人がいるというのは、それはすごく憧れるなー。
 









冴えない彼女の育てかた 10
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA/富士見書房 (2016/7/20)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 23:30| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月05日

冴えない彼女の育てかた Girls Side2



「これも一つの、家族の形だろう?」


 さて、そろそろGEアニメの感想でも書くかな。
 最後まで観たけど、結局あの絵には慣れなかった。合間に挟むこだわりを語られるスタッフトークも、そういうのは全部終わってから観るタイプなので途中観てもテンションがなかなか保てない。
 レンカがどうよりも、レンカの新神機がとんでもすぎてどうすればいいのか。もっとRで追加された捕食とか使った戦闘が見たかったのに、チート神機なだけだったからなー。
 友人がもうGEはとっくに見限ったと言っていたが、それが正しい選択なのか。ちょっと私には時間をくださいだよ。


■あらすじ
 英梨々の描いたキービジュアルにより、倫也たちのサークルは衝撃を受けていた。
 その衝撃に幼馴染ヒロインシナリオを描き上げることで乗り越えた倫也だったが、他のメンバーたちはその時自ら乗り越えるために行動していた。


■感想
 冴カノ最新刊は、倫也のいないところでの女子たちの話であるガールズサイド。
 読み終わったのが大分前なのでちょっと淡白になってしまうかもしれない。

 ざっくり分けて、今回の話は4つ。
・美知留と先輩の邂逅。
・紅坂朱音と町田園子の大人トーク。
・出海、同人即売会での出会い。
・加藤と英梨々の二人旅行。

 初めこそ、英梨々のキービジュに衝撃を受ける女性陣、加藤と出海、美知留の話から始まりますが、久々に見た加藤が美しすぎてやばい。

 美知留と先輩の話はなかなか面白くて、秋葉原と神保町が歩いていける距離だということを初めて知った。どっちも行ったことはないんだけどな的な話をしたら、週末につれて行ってもらいましたが、あそこはアキバズトリップそのままだったから感動したな。
 せっかくなんで、兄貴にダンボーのガチャをお土産に買ったのだが、秋葉原に行ってこれだけ?的な顔をされたのは解せぬ。

 閑話休題。
 正直、美知留も先輩もあまり好きではないのですが……先輩はエロに行かなければ好きなんだけど、美知留は完全にそっちろせんだから。
 前回で倫也のもとに先輩が行った理由ですね。先輩が美知留の行動のエロ的な問題点を指摘するのは失敗しましたが、クレバーにも先輩の連絡先をゲットして利用すると言った時はちょっと好きになりそうだった。
 結局、美知留の行動原理は倫也なんだよなー。いなくなってしまうヒロインより、傍にいてくれるヒロインがいいな……。

 大人トークは、結構込み入った事情でわくわくした。
 特に紅坂朱音の子どものころにハマったゲームのシリーズが衰退していくのはつらい。そんなのは分かりきっている。
 それを立て直すために無理な条件で仕事を受けていて、それを成功させるために先輩や英梨々を使い潰す。
 しかも、先輩はこれっきりだけれども、英梨々のことを話す気はないらしく、絵描きとしての才能を伸ばすためならばなんでもするというほど。それは町田氏にとっての先輩も同じなんだけれども……。
 私は、朱音さん嫌いじゃないんだよ。
 彼女の言う家族の形は有りだと思うし、何よりたった一つの物を満足する形で完成させられるなら使い潰されても構わない。そう思えてしまうのは飢えているからですかねー。

 出海の話は自分の絵に迷っていたところに伊織に強制参加させられたイベントで、隣のブースの人との出会い。
 お互い、兄に振り回されているという共通点から盛り上がり、そこで自分の迷った絵のコピー誌を見せて答えが分かるというもの。
 柏木エリに影響された絵ではないかと心配していたが、お隣さんは言う。
 影響されている。けれどもそれはその作品にであって、キャラクターを象徴する台詞に絶妙な表情で描けている。それはすごいことなんだ、と。
 その言葉で出海がスランプから脱出する話でした。
 明言はされていませんが、お隣さんは先輩の新シリーズのイラストをやっている方ですね。兄がその人のふりをしているとか、ややこしいことは次回以降のようです。

 加藤と英梨々の二人旅は正直胃が痛くなるほどの気まずさ画ありましたが、ちょっとずついつものペースに戻り、自分がヒロインの、倫也からのラブレターシナリオを読んだ時は関係は少しだけ戻っていた。
 完全に元通りなんてことはないけれど、二人の中は回復していった。
 ここで英梨々が食いつくように、倫也に対する加藤の気持ちは知りたくてたまらないが、加藤がはぐらかすので分かるのはいつになるのか……。

 最後に美知留たちのバンドの単独ライブで、はっきりと出会わなくとも新旧メンバーたちが揃う。
 倫也たちは新たなゲームを、そして先輩たちも至高のゲームを作るために動き出しているという感じの話でした。
 物語は進まないが細部が分かって良かった。けれども、今回文体が読みにくかったなー。個人的に()を多用される分が苦手なんですよね。
 私特有の巻数が増すと読めなくなる病気が出だしたのかもしれない。次を買うかはちょっと分からないです。

 では、今回はここらでお気に入りに。
 今回は加藤との仲直りを諦められず力技に出る英梨繰り返しのシーンを。仲直りするための旅行のはずだったが、英梨々の遠さを思い知って加藤が歩み寄れないと思ってしまった時、それを全力で英梨々は拒絶する。


 目に涙を溜めて、それどころか、ぼろぼろ零して。
 何度失敗しても、何度撥ね返されても、懲りずにぶつかってくる。
「ヤだ、ヤだ、やだぁぁぁぁ〜!」
「英梨々……」
 その諦めのなさこそが、恵が羨望して、そして絶望する強さだと未だ知らずに。


 羨望と絶望は分かる気がする。
 私も感情を出すことのできない人間だから、泥臭い行動をできるところ、そして感情のままに動けるところは憧れる。
 そして、それが自分の元に向かってきたのなら、絶望しかないよなー。





冴えない彼女の育てかた Girls Side2
丸戸 史明(著),深崎 暮人 (イラスト)
KADOKAWA/富士見書房 (2016/3/19)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 21:23| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月19日

ソードアート・オンライン プログレッシブ 3



「強くなってよ。いつかわたしに……わたしみたいに怯えてる子に、大丈夫だって言えるくらいに」


 アーロと少年を観てきましたが、想像していたのと違った。けれども、ならどんなものを想像していたかと聞かれると思いだせないから不思議ー。
 面白いというよりも風景が綺麗すぎて感動した。水の描写ヤバイ。なのに、濁流に飲まれる前のパパの笑顔とかトラウマ必須。でも大丈夫、スポットが愛しくなるからすぐに忘れるよー!
 ……とまぁ、きちんと最後泣いたのに茶化して感想を書いてしまう自分の心理が謎ですなー。


■あらすじ
 アインクラッド第四層に辿り着いたキリトとアスナだが、そこはベータテスト時代とは違って水に満ちたステージとなっていた。
 いち早く造船クエストをこなして舟を手に入れた二人はダークエルフの城でキズメルと合流し、数日後にフォールンエルフが攻めてくることを伝える。
 共に迎え撃つことになったキリトたちだが、敵の数の多さから苦戦を強いられてしまう。


■感想
 買ったきり忘れていたSAOP3巻。
 アインクラッドが好きなのでこっちだけでも続けて買っていたのですが、不覚にも読むのを忘れてたよ。

 第四層は水の階層で町の様子とか見るとワンピースのウォーターセブンを思い出しましたが、私が基本的にお使いクエストは嫌いなので造船クエストとかうぐぐとなった。とりあえずストーリーが知れればいい、低レベルクリアでやりこむのは二週目派である私にはSAO無理ですね。きっとすぐ死ぬな。

 造船クエストからフォールンエルフの暗躍、そして中ボス戦くらいまではステージなどの説明で正直あまり面白くなかったのですが、中ボス戦が終わりクリスマスを越えてキズメルと合流したあたりから面白くなってくる。
 キリトさんはムカつくからクリスマスパーティに呼ぶのはやめようぜというハブられたことから、パーティに参加しなかったアスナと二人でダークエルフの城に向かい、キズメルと再会する。

 もうお約束の如く風呂のシーンを終えて、城主との謁見後に防衛戦となりますが、私があまり舟に詳しくないので戦闘がいまいち想像できなかった。
 しかも、今絶賛捻くれ中なのでなんでキリトさんばっかりレアアイテムドロップするんだと主人公補正に歯噛みしたくなる。くそ、アスナも隣にいてリアルラック高すぎだって!

 しかし、キリトさんたちがいてもほぼ二倍の戦力を持つ敵に苦戦して負けかけた時、キリトさんは城主に助けを求める。
 病に侵されているとされる城主からダークエルフに味方する理由を聞かれ、キズメルが好きだからと嘘偽りない気持ちを伝えると城主が立ち上がる。

 実は病というのは嘘であり、城主が戦場に出ることで味方にバフ効果だけでなく、本人も強いというチートっぷり。
 けれどもおいしいところはキリトさんが持っていく。キリトさんの剣は折れてしまうが、城主から二つ報酬を貰えると分かってうはうはしていると攻略組がとっととボス戦に行ってしまったという。
 キズメルたちからボスの情報、水に浮く方法がなければ生き残れないことを知った二人が慌ててレイドに駆けつけようとするとキズメルと城主が言う。
 今回はここをお気に入りに。


「こういう時、人族は≪水臭い≫と言うのだろう? 私も行くさ、もちろん」
「「えっ」」
 俺とアスナは、同時に驚きの声を漏らした。
 しかしその驚きは、二秒後に天地がひっくり返るほどの驚愕へと進化した。
「では、私も行きましょう」


 城主が来てくれてほとんどやってくれるというフロアボス戦はちょっとどうかと思うのですが、アインクラッドのことが分かってなかなか面白い巻でした。
 ただ、このまま代わり映えなく続いていくとなると厳しいかなとも感じた。アスナさんとも全然別れないからなー。……ま、いなければいないで寂しくなってしまうのでしょうが。





ソードアート・オンライン プログレッシブ 3
川原 礫(著),abec (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014/12/10)
posted by SuZuhara at 22:58| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

コロシアム 3



 デスゲームの結末、萩原と伊央の運命は?


 ちょいと雪国に行ってた。
 リアルなバレンタインで死にそうになったので人と会いたくなくてふらっと行ったんだけど、まさか雪かき要員としてスコップを握ることになるとは思わなかった。いやはや。
 そこで『ワールド・ウォーZ』を観たんだけど、走るゾンビとかいけない。私は菌の拡散より人間の脳を喰らうゾンビの方が好きだな。脳を喰らうことしか行動原理はなく、脳を喰われた人間も脳を求めてゾンビとなる。
 喰ったって戻るわけじゃないのにね、的な厄介さが好きだと深夜のテンションで語り明かした時間は久々に楽しかったなー。


■あらすじ
 二年一組最後の一人であるレアナンバー・羽留奈を確保した萩原たちだったが、どこにも行くことはできずに校庭の真ん中で過ごすことになる。
 武器持ちのプレイヤーを集めてセレクションでゴールを目指す渚たち、改造した武器で部室棟を守る咲季と運動部、武力を放棄しながらも流通を支配する流華。
 一時的に収まっていた学校だが、プレイヤー・伊奈川の襲撃により金剛を失った萩原たちは散り散りになりながらも対話による解決を求める萩原と戦いでボロボロになった伊央が再会する。


■感想
 本当は水曜日には読み終わっていたんですが、バレンタイン本当に面倒だとキレていたのですぐには感想が書けなかった。思い出したくないから書かないけど、これならまだ不味い料理の方がいいと思う出来事だったぜ。

 さて、続きを待ってたコロシアムもついに完結。
 表紙がものすごくいい。背中合わせで拒絶しているようでありながらも、武器として萩原は伊央を手放せないし、伊央も目を閉じて萩原に絶望しながらも離れられない感じが。全部私の勝手な解釈だがな!

 前回の続きで海に浮かぶハワイとして孤立した萩原たちは、なぜかヘチマを食べながら暮らしていた。
 ……びっくりだろ? 私もいきなりすぎて理解できなかった。なんかいろいろと前から家庭菜園のようなものが学校でされていたらしいけど、いきなりすぎて金剛さんのリボンはカンピョウとか言われてもついていけなかったのは内緒。
 そんなこんなでなんとか生きていた萩原たちだが、ラストワン――自分たちのクラスだけ生き残るを選択した生徒たちから羽留奈は常に狙われ、セレクションを選択した生徒からは羽留奈の無事を常に監視されると言う極限生活。
 だが、金剛といい感じになる萩原が許せぬ。
 金剛との雨の中でのダンスシーンで、自分を好きになると言うことがどういうことか語るところ好きです。
 だが、死亡フラグだよそれ!

 プレイヤー・伊奈川の襲撃により環奈が撃たれる。ちょっ、環奈と環奈のスイカを撃ったお前だけは許さないぞ!
 襲撃をなんとか回避するが、羽留奈と鳴美は渚に保護させることで逃がし、萩原と北村、金剛と環奈はセレクションにも武器放棄組にも受け入れられないために咲季に助けを求めて車椅子に座らされて拘束された武器――プレイヤー・前園で離脱を試みる。
 だが、伊奈川のせいで金剛が肝臓を撃たれてしまい死亡。
 環奈だけが重症のまま、金剛の墓の傍から離れず近づけば撃つ厄介なポイントになる。

 羽留奈は渚に丁重に保護されるが、鳴美は途中ではぐれて受け入れられずに流華の元へ。
 そこは武力こそ放棄したが、弾丸の数が全ての階級社会となっていた。
 弾丸の数で女を抱こうとする男とか危険は冒さず、身体で弾丸を買う女には吐き気がするな。そんなことをするなら潔く死にたい。
 鳴美も誘惑されるが、弾丸の宝庫である校庭に環奈がいることで近づけないという話を聞き、環奈の元へ自分が行って弾丸を持ってくる代わりに前金を貰うことに。

 金剛ほどではないにせよ自分のことを覚えていてくれるはずだと、環奈治療用のクレジットを持って走った鳴美は一発の銃声に倒れる。
 鳴美のおこぼれを貰おうとしていたショッピングモール組は助けることなく逃げて行った。

 一方、伊央は重症だったがなんとかワームの治療を受けて動きだしていた。
 前回までの感想を読み返すと私は緋香里をものすごい警戒していますが、萩原という同じ人を好きになったことから二人は信頼しあえる中になっていた。
 中立地帯である食堂が襲撃され、緋香里が撃たれるまでは。

 緋香里のために萩原たちを探していた伊央は流華ともう校庭には出てこないという要望を飲んで薬と弾丸を貰うが緋香里はもう間に合わず、クラスメイトたちは緋香里の死を伊央のせいだと責める。
 なのに、敵が攻め込んできたら伊央頼みで緋香里の死体も放置するクラスメイトにプッチンした伊央は他のクラスを襲撃して安全地帯を手に入れるが、そんなことをする自分はもう化け物なのだと気づいて緋香里を連れてクラスに戻ることに。

 緋香里が言っていたけれども、プレイヤーに選ばれる条件は自殺の経験があること。
 もう命を絶とう頭に銃を突きつけた時、そこで伊央は萩原と再会する。

 しかし、伊央が思っていたように萩原に会えば救われるなんてことはなく、対話のために戦ってほしいと言う萩原に伊央の心は壊れてしまう。
 萩原を拒絶しつつも萩原の武器として撃つことを決めた伊央とのこれからの関係はすごく好みですなー。
 触らないでっていいながら、萩原が先行しようとすると心配でたまらない感じが。乙女じゃないかよぅ。

 部活棟に攻め込んでいた雪村を排除するために戦線に参加した萩原たちだが、この咲季さんのプレイヤーである黒宮には本当にがっかりだ。
 同性の咲季さんを好きというのは構わない。咲季さんは彼女を利用するために身体の関係となったのも構わないさ。
 しかし、対価を得ておきながら武器のくせに戦闘で使えないとか有り得ないだろう。さっさと切り替えろ、だからどうでもいいところで死ぬんだ。

 逃げる雪村を追った先の校庭には環奈に見せかけた伊奈川の死体と、治療が遅く回復には至っていないが生きている環奈と死んだふりをして戻って来た鳴美がいた。
 雪村を排除し、咲季との交渉で羽留奈を取り戻せば対話の手段をくれるということで萩原は内通者と組んでセレクションを責めることに。
 しかし、鳴美と再会した伊央にやり直しの可能性を見てこれ以上連れて行くことはできず、環奈の調子を確認するが「わからない」。連れて行けば死ぬと一目で分かるのに、無理だと言わない環奈が愛しい。
 けれども、微妙に独占欲を感じる伊央の「最後まで萩原くんの銃」宣言で二人で攻め込むことに。

 しっかしなー、これが罠だった。
 羽留奈は既に内通者によって逃がされていて、萩原たちは羽留奈をさらった犯人として追われることに。
 ここで、萩原が銃弾で手と頭を怪我するんだけど、あんなに嫌ってます態度だった伊央が萩原に死を感じて取り乱すところ可愛い。感性が歪んでるんだよ私は。

 金剛の映像を使い、裏で掌握していた流華を捕まえた咲季は環奈のいる校庭に行く。
 北村と鳴美がいたために環奈は咲季たちを撃たず、そこで内通者と羽留奈とも合流してセレクションを完成させる。
 打った銃弾は零時に校庭に落とされる形で補給され、しかも流華たちは千発のうち四百は持っているので持久戦に持ち込むというものだった。

 咲季に裏切られた萩原は失意のまま伊央と向かい合い、傷だらけの中で心を通い合わせる。
 弾丸を二発残したがった伊央は最後には萩原と自殺するつもりだったが、一発しかないので屋上から飛び降りることに。そこには渚がいてまたドンパチになるのだが、「渚を撃ったら私と飛び降りて」という伊央の執着具合がすごいね。愛が怖いよ。

 校庭ではセレクションの中で翻弄されていた羽留奈が声をあげて対話の道を選ぶべきだったと告げるが、最大武力保持者がなにを言っても通じない。
 しかし、それに咲季も同意して萩原を裏切ったが対話する手段を与えると言う約束が発動する。

 本来であればその日は自由参加の水泳大会で、萩原の作った水着女子映像が殺伐とした学校に流れる。
 その映像の千人――学校の生徒全てが揃ったら素晴らしいという渚の言葉に、もう千人は無理でも俺たちは友達だから手を取れるはずだとたった三分だけ許されたロゴスを使用して萩原は呼びかける。
 伊央は戦うことをやめて、萩原はかつてのコロシアムで三十人の弾丸を集めることがゴール条件だったようにここでも千人の弾丸を集めようと呼びかける。

 校庭のセレクションに弾丸を渡そう。彼らはきっと撃たないと信じている。
 その言葉に応じたのは紗季でも流華でもなく、羽留奈だった。セレクションは校庭から動かずに弾丸を千発集まるまで管理する。
 ふーむ、この辺は萩原と羽留奈の関係を思うと胃が痛いね。羽留奈が萩原と別れる時に見せた感情は間違いなく恋だし、伊央は萩原に執着と依存しているところがあるし、再び手を握るのはいかんと思うと感動のシーンを台無しにするようなことを思っていた。

 その日から学校での争いは下火になる。
 殆どの生徒が引きこもっていたが、協力してくれる者もあらわれて弾丸は着実に集まっていた。
 萩原が見つけた弾丸を校庭に放ると伊央が持っていたワームが転がって千発集めたことで出口が開かれるという終わり。

 次は学校から市街地も含めたコロシアムですね、とか思ってないよ。
 毎回のことだけれども、土橋さんの作品は終わりが消化不良なところがあり、この学校がコロシアムになった理由とか、コロシアムの目的とかは語られない。
 むー、面白かったけど、そろそろいろんなゲームの黒幕が知りたい。七美ちゃんの人質ゲームでもいいのよ。

 では、ここでお気に入りへ。
 今回は最後に銃弾を渡すために萩原と伊央が校庭に来たところで、羽留奈が萩原に気づいて手を振ったところから。
 ルールで近づけないけれども手を振り返す萩原に伊央は言った。


「行こう」
 不意に手を引っ張られ、萩原はその場を離れた。
「校庭も探さないといけないから」
 伊央は萩原の手を握って校庭を歩く。


 なんの変哲もない文章なのに伊央の執着心とか独占欲が感じられて発狂しそうだった。
 ゴール迎えた後が怖いね。ま、伊央は確実に最強のプレイヤーなので返り討ちでしょうがね!




コロシアム 3
土橋真二郎 (著),白身魚 (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016/2/10)
ラベル:土橋 真二郎
posted by SuZuhara at 11:03| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする