2016年03月19日

ソードアート・オンライン プログレッシブ 3



「強くなってよ。いつかわたしに……わたしみたいに怯えてる子に、大丈夫だって言えるくらいに」


 アーロと少年を観てきましたが、想像していたのと違った。けれども、ならどんなものを想像していたかと聞かれると思いだせないから不思議ー。
 面白いというよりも風景が綺麗すぎて感動した。水の描写ヤバイ。なのに、濁流に飲まれる前のパパの笑顔とかトラウマ必須。でも大丈夫、スポットが愛しくなるからすぐに忘れるよー!
 ……とまぁ、きちんと最後泣いたのに茶化して感想を書いてしまう自分の心理が謎ですなー。


■あらすじ
 アインクラッド第四層に辿り着いたキリトとアスナだが、そこはベータテスト時代とは違って水に満ちたステージとなっていた。
 いち早く造船クエストをこなして舟を手に入れた二人はダークエルフの城でキズメルと合流し、数日後にフォールンエルフが攻めてくることを伝える。
 共に迎え撃つことになったキリトたちだが、敵の数の多さから苦戦を強いられてしまう。


■感想
 買ったきり忘れていたSAOP3巻。
 アインクラッドが好きなのでこっちだけでも続けて買っていたのですが、不覚にも読むのを忘れてたよ。

 第四層は水の階層で町の様子とか見るとワンピースのウォーターセブンを思い出しましたが、私が基本的にお使いクエストは嫌いなので造船クエストとかうぐぐとなった。とりあえずストーリーが知れればいい、低レベルクリアでやりこむのは二週目派である私にはSAO無理ですね。きっとすぐ死ぬな。

 造船クエストからフォールンエルフの暗躍、そして中ボス戦くらいまではステージなどの説明で正直あまり面白くなかったのですが、中ボス戦が終わりクリスマスを越えてキズメルと合流したあたりから面白くなってくる。
 キリトさんはムカつくからクリスマスパーティに呼ぶのはやめようぜというハブられたことから、パーティに参加しなかったアスナと二人でダークエルフの城に向かい、キズメルと再会する。

 もうお約束の如く風呂のシーンを終えて、城主との謁見後に防衛戦となりますが、私があまり舟に詳しくないので戦闘がいまいち想像できなかった。
 しかも、今絶賛捻くれ中なのでなんでキリトさんばっかりレアアイテムドロップするんだと主人公補正に歯噛みしたくなる。くそ、アスナも隣にいてリアルラック高すぎだって!

 しかし、キリトさんたちがいてもほぼ二倍の戦力を持つ敵に苦戦して負けかけた時、キリトさんは城主に助けを求める。
 病に侵されているとされる城主からダークエルフに味方する理由を聞かれ、キズメルが好きだからと嘘偽りない気持ちを伝えると城主が立ち上がる。

 実は病というのは嘘であり、城主が戦場に出ることで味方にバフ効果だけでなく、本人も強いというチートっぷり。
 けれどもおいしいところはキリトさんが持っていく。キリトさんの剣は折れてしまうが、城主から二つ報酬を貰えると分かってうはうはしていると攻略組がとっととボス戦に行ってしまったという。
 キズメルたちからボスの情報、水に浮く方法がなければ生き残れないことを知った二人が慌ててレイドに駆けつけようとするとキズメルと城主が言う。
 今回はここをお気に入りに。


「こういう時、人族は≪水臭い≫と言うのだろう? 私も行くさ、もちろん」
「「えっ」」
 俺とアスナは、同時に驚きの声を漏らした。
 しかしその驚きは、二秒後に天地がひっくり返るほどの驚愕へと進化した。
「では、私も行きましょう」


 城主が来てくれてほとんどやってくれるというフロアボス戦はちょっとどうかと思うのですが、アインクラッドのことが分かってなかなか面白い巻でした。
 ただ、このまま代わり映えなく続いていくとなると厳しいかなとも感じた。アスナさんとも全然別れないからなー。……ま、いなければいないで寂しくなってしまうのでしょうが。





ソードアート・オンライン プログレッシブ 3
川原 礫(著),abec (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014/12/10)
posted by SuZuhara at 22:58| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

コロシアム 3



 デスゲームの結末、萩原と伊央の運命は?


 ちょいと雪国に行ってた。
 リアルなバレンタインで死にそうになったので人と会いたくなくてふらっと行ったんだけど、まさか雪かき要員としてスコップを握ることになるとは思わなかった。いやはや。
 そこで『ワールド・ウォーZ』を観たんだけど、走るゾンビとかいけない。私は菌の拡散より人間の脳を喰らうゾンビの方が好きだな。脳を喰らうことしか行動原理はなく、脳を喰われた人間も脳を求めてゾンビとなる。
 喰ったって戻るわけじゃないのにね、的な厄介さが好きだと深夜のテンションで語り明かした時間は久々に楽しかったなー。


■あらすじ
 二年一組最後の一人であるレアナンバー・羽留奈を確保した萩原たちだったが、どこにも行くことはできずに校庭の真ん中で過ごすことになる。
 武器持ちのプレイヤーを集めてセレクションでゴールを目指す渚たち、改造した武器で部室棟を守る咲季と運動部、武力を放棄しながらも流通を支配する流華。
 一時的に収まっていた学校だが、プレイヤー・伊奈川の襲撃により金剛を失った萩原たちは散り散りになりながらも対話による解決を求める萩原と戦いでボロボロになった伊央が再会する。


■感想
 本当は水曜日には読み終わっていたんですが、バレンタイン本当に面倒だとキレていたのですぐには感想が書けなかった。思い出したくないから書かないけど、これならまだ不味い料理の方がいいと思う出来事だったぜ。

 さて、続きを待ってたコロシアムもついに完結。
 表紙がものすごくいい。背中合わせで拒絶しているようでありながらも、武器として萩原は伊央を手放せないし、伊央も目を閉じて萩原に絶望しながらも離れられない感じが。全部私の勝手な解釈だがな!

 前回の続きで海に浮かぶハワイとして孤立した萩原たちは、なぜかヘチマを食べながら暮らしていた。
 ……びっくりだろ? 私もいきなりすぎて理解できなかった。なんかいろいろと前から家庭菜園のようなものが学校でされていたらしいけど、いきなりすぎて金剛さんのリボンはカンピョウとか言われてもついていけなかったのは内緒。
 そんなこんなでなんとか生きていた萩原たちだが、ラストワン――自分たちのクラスだけ生き残るを選択した生徒たちから羽留奈は常に狙われ、セレクションを選択した生徒からは羽留奈の無事を常に監視されると言う極限生活。
 だが、金剛といい感じになる萩原が許せぬ。
 金剛との雨の中でのダンスシーンで、自分を好きになると言うことがどういうことか語るところ好きです。
 だが、死亡フラグだよそれ!

 プレイヤー・伊奈川の襲撃により環奈が撃たれる。ちょっ、環奈と環奈のスイカを撃ったお前だけは許さないぞ!
 襲撃をなんとか回避するが、羽留奈と鳴美は渚に保護させることで逃がし、萩原と北村、金剛と環奈はセレクションにも武器放棄組にも受け入れられないために咲季に助けを求めて車椅子に座らされて拘束された武器――プレイヤー・前園で離脱を試みる。
 だが、伊奈川のせいで金剛が肝臓を撃たれてしまい死亡。
 環奈だけが重症のまま、金剛の墓の傍から離れず近づけば撃つ厄介なポイントになる。

 羽留奈は渚に丁重に保護されるが、鳴美は途中ではぐれて受け入れられずに流華の元へ。
 そこは武力こそ放棄したが、弾丸の数が全ての階級社会となっていた。
 弾丸の数で女を抱こうとする男とか危険は冒さず、身体で弾丸を買う女には吐き気がするな。そんなことをするなら潔く死にたい。
 鳴美も誘惑されるが、弾丸の宝庫である校庭に環奈がいることで近づけないという話を聞き、環奈の元へ自分が行って弾丸を持ってくる代わりに前金を貰うことに。

 金剛ほどではないにせよ自分のことを覚えていてくれるはずだと、環奈治療用のクレジットを持って走った鳴美は一発の銃声に倒れる。
 鳴美のおこぼれを貰おうとしていたショッピングモール組は助けることなく逃げて行った。

 一方、伊央は重症だったがなんとかワームの治療を受けて動きだしていた。
 前回までの感想を読み返すと私は緋香里をものすごい警戒していますが、萩原という同じ人を好きになったことから二人は信頼しあえる中になっていた。
 中立地帯である食堂が襲撃され、緋香里が撃たれるまでは。

 緋香里のために萩原たちを探していた伊央は流華ともう校庭には出てこないという要望を飲んで薬と弾丸を貰うが緋香里はもう間に合わず、クラスメイトたちは緋香里の死を伊央のせいだと責める。
 なのに、敵が攻め込んできたら伊央頼みで緋香里の死体も放置するクラスメイトにプッチンした伊央は他のクラスを襲撃して安全地帯を手に入れるが、そんなことをする自分はもう化け物なのだと気づいて緋香里を連れてクラスに戻ることに。

 緋香里が言っていたけれども、プレイヤーに選ばれる条件は自殺の経験があること。
 もう命を絶とう頭に銃を突きつけた時、そこで伊央は萩原と再会する。

 しかし、伊央が思っていたように萩原に会えば救われるなんてことはなく、対話のために戦ってほしいと言う萩原に伊央の心は壊れてしまう。
 萩原を拒絶しつつも萩原の武器として撃つことを決めた伊央とのこれからの関係はすごく好みですなー。
 触らないでっていいながら、萩原が先行しようとすると心配でたまらない感じが。乙女じゃないかよぅ。

 部活棟に攻め込んでいた雪村を排除するために戦線に参加した萩原たちだが、この咲季さんのプレイヤーである黒宮には本当にがっかりだ。
 同性の咲季さんを好きというのは構わない。咲季さんは彼女を利用するために身体の関係となったのも構わないさ。
 しかし、対価を得ておきながら武器のくせに戦闘で使えないとか有り得ないだろう。さっさと切り替えろ、だからどうでもいいところで死ぬんだ。

 逃げる雪村を追った先の校庭には環奈に見せかけた伊奈川の死体と、治療が遅く回復には至っていないが生きている環奈と死んだふりをして戻って来た鳴美がいた。
 雪村を排除し、咲季との交渉で羽留奈を取り戻せば対話の手段をくれるということで萩原は内通者と組んでセレクションを責めることに。
 しかし、鳴美と再会した伊央にやり直しの可能性を見てこれ以上連れて行くことはできず、環奈の調子を確認するが「わからない」。連れて行けば死ぬと一目で分かるのに、無理だと言わない環奈が愛しい。
 けれども、微妙に独占欲を感じる伊央の「最後まで萩原くんの銃」宣言で二人で攻め込むことに。

 しっかしなー、これが罠だった。
 羽留奈は既に内通者によって逃がされていて、萩原たちは羽留奈をさらった犯人として追われることに。
 ここで、萩原が銃弾で手と頭を怪我するんだけど、あんなに嫌ってます態度だった伊央が萩原に死を感じて取り乱すところ可愛い。感性が歪んでるんだよ私は。

 金剛の映像を使い、裏で掌握していた流華を捕まえた咲季は環奈のいる校庭に行く。
 北村と鳴美がいたために環奈は咲季たちを撃たず、そこで内通者と羽留奈とも合流してセレクションを完成させる。
 打った銃弾は零時に校庭に落とされる形で補給され、しかも流華たちは千発のうち四百は持っているので持久戦に持ち込むというものだった。

 咲季に裏切られた萩原は失意のまま伊央と向かい合い、傷だらけの中で心を通い合わせる。
 弾丸を二発残したがった伊央は最後には萩原と自殺するつもりだったが、一発しかないので屋上から飛び降りることに。そこには渚がいてまたドンパチになるのだが、「渚を撃ったら私と飛び降りて」という伊央の執着具合がすごいね。愛が怖いよ。

 校庭ではセレクションの中で翻弄されていた羽留奈が声をあげて対話の道を選ぶべきだったと告げるが、最大武力保持者がなにを言っても通じない。
 しかし、それに咲季も同意して萩原を裏切ったが対話する手段を与えると言う約束が発動する。

 本来であればその日は自由参加の水泳大会で、萩原の作った水着女子映像が殺伐とした学校に流れる。
 その映像の千人――学校の生徒全てが揃ったら素晴らしいという渚の言葉に、もう千人は無理でも俺たちは友達だから手を取れるはずだとたった三分だけ許されたロゴスを使用して萩原は呼びかける。
 伊央は戦うことをやめて、萩原はかつてのコロシアムで三十人の弾丸を集めることがゴール条件だったようにここでも千人の弾丸を集めようと呼びかける。

 校庭のセレクションに弾丸を渡そう。彼らはきっと撃たないと信じている。
 その言葉に応じたのは紗季でも流華でもなく、羽留奈だった。セレクションは校庭から動かずに弾丸を千発集まるまで管理する。
 ふーむ、この辺は萩原と羽留奈の関係を思うと胃が痛いね。羽留奈が萩原と別れる時に見せた感情は間違いなく恋だし、伊央は萩原に執着と依存しているところがあるし、再び手を握るのはいかんと思うと感動のシーンを台無しにするようなことを思っていた。

 その日から学校での争いは下火になる。
 殆どの生徒が引きこもっていたが、協力してくれる者もあらわれて弾丸は着実に集まっていた。
 萩原が見つけた弾丸を校庭に放ると伊央が持っていたワームが転がって千発集めたことで出口が開かれるという終わり。

 次は学校から市街地も含めたコロシアムですね、とか思ってないよ。
 毎回のことだけれども、土橋さんの作品は終わりが消化不良なところがあり、この学校がコロシアムになった理由とか、コロシアムの目的とかは語られない。
 むー、面白かったけど、そろそろいろんなゲームの黒幕が知りたい。七美ちゃんの人質ゲームでもいいのよ。

 では、ここでお気に入りへ。
 今回は最後に銃弾を渡すために萩原と伊央が校庭に来たところで、羽留奈が萩原に気づいて手を振ったところから。
 ルールで近づけないけれども手を振り返す萩原に伊央は言った。


「行こう」
 不意に手を引っ張られ、萩原はその場を離れた。
「校庭も探さないといけないから」
 伊央は萩原の手を握って校庭を歩く。


 なんの変哲もない文章なのに伊央の執着心とか独占欲が感じられて発狂しそうだった。
 ゴール迎えた後が怖いね。ま、伊央は確実に最強のプレイヤーなので返り討ちでしょうがね!




コロシアム 3
土橋真二郎 (著),白身魚 (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016/2/10)
ラベル:土橋 真二郎
posted by SuZuhara at 11:03| Comment(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月05日

冴えない彼女の育てかた 9



「俺は英梨々を裏切って、そして英梨々に告白する――」


 かなり深刻なゲーム離れが起こっている。だって今、遊撃隊やってるけれどもまだ10話だし。時間が取れないとはいえ集中力がないな。
 うたわれるものの続編が1年後の9月というニュース話は嬉しかったけれども、やはり閃の軌跡とダブっちゃうので戦々恐々。トラウマになっているのかもしれんなあれ。
 そんなことをぼちぼち思う昨今、調子が悪いぜ。


■あらすじ
 波島伊織とその妹・出海を加えてサークルは新たに始動したはずだったが、英梨々の書いたイラストをきっかけにぎくしゃくしていた。
 イラスト担当として比べられることになり自分の絵柄を見失う出海、そして英梨々と仲直りできていない加藤にどう接していいか分からないまま、倫也は霞ヶ丘先輩のアドバイスに従って英梨々をモデルとしたキャラを使ったシナリオを書くことになる。


■感想
 ああ、私が英梨々が苦手な理由が分かった。
 この奇妙な一途さが、自分を見るようで嫌なんだな。

 さて、今回は冴カノ9巻。
 発売日に買ったけど読むのに時間がかかりましたなー。最近よく寝ちゃっているんですよね私が。休みがもらえてないんで、自衛のために寝るしかないんですよ。
 ま、そんなことはどうでもいい。今は加藤の話をしよう。

 前回の続きからで英梨々のイラストを見てサークルに激震が走ったところからですね。
 一見、普通であったサークルだがその衝撃は出海と加藤には激しく、出海はスランプに加藤は仲直りのきっかけを掴めなくなってしまっていた。
 新たに加入したプロデューサー伊織と加藤の中が前回のことから最悪で、めっちゃ喧嘩していて怖いんだがw ほら、前回の伊織による「倫也の彼女は黒い」という発言から、加藤さんは一ミリも許してらっしゃらなかったww

 加藤=黒い説が現実味を帯びてきた中、出海のギャルゲープレイとかあるけど、やっぱりああいうのって自分と似たキャラを好きになるのかな?
 出海は後輩キャラを好きになって主人公の幼馴染み、親戚キャラを嫌いになるんだけど、まあ案の定の展開だよw

 加藤が渦中の人のためにまとも路線がいなくなってしまったからか、美知留が倫也の相談に乗ってくれる。
 そして倫也は加藤が英梨々と喧嘩状態をつらいと感じていること、出海が英梨々の絵に引きずられて自分を見失いつつあることを知らされる。

 そこにやってきてくれたのは、霞ヶ丘先輩だった。
 ちょい前の巻で加藤が倫也を待っていたらすぐにやってきたのに、自分が待っている時は全然来ずに雨まで降ってきても待っているという一途さに自己嫌悪しながらw
 やばい、ちょっと先輩が可愛いと思ってしまったぜww

 いつの間にか美知留と繋がっていた先輩は倫也の危機を聞きつけやってきて、そして解決法を教えてくれる。
 サークルとしては英梨々を切れれば終わるが、そんなことをすれば英梨々が潰れる。ならばどうすればいいのか。

 それは、シナリオに使うこと。
 こんな面白いネタがあるならシナリオにしろ。直接はなせないのであれば、シナリオにして伝えろ。

 ああ、やばい先輩格好いい。
 今回のお気に入りはここなので後でまた書きますが、それはちょっと本当に憧れる。

 それから倫也はこれまでの――一巻から英梨々とのことをシナリオにして書き始める。加藤のことで絡んで来た時とか、倫也との間にずっとあった喧嘩の話をそのままつかった英梨々ルートである。
 それを書く前に倫也は英梨々と電話でこれまでの喧嘩状態だったこととかのお互いの気持ちを話し合っているんだが、ここ読んでいて本当に英梨々の奇妙な一途さが自分と被ることに気づく。……八年か、俺はもう友人のことを十年以上思ってるよ。

 そんなこんなで書き上げたシナリオを加藤が読み、出海と伊織が読む。みんなの感想が倫也はどんだけ英梨々が好きなんだで笑ったw
 その萌えとは程遠いリアルな感情に伊織は出海に萌えでコーティングすることを提案する。こてこての萌えで相手を引き込めと。

 イラスト買いというのは結構あるが、絵とシナリオが合わないのはこういう目的があったんだな。ちょっとタイトルが思い出せないんだが、とあるスパイゲームもこてこての萌え絵で、なのに内容結構グロくもあり厚いシナリオに引き込まれて最終的には私の中で現在も上位にある作品がある。
 あ、ジャケ買いじゃないよ。ネット上で勧められて買ったんだと思った。あなたは絶対好きだとか言われたらやらざるを得ないw

 出海は倫也のシナリオのリアルな泥臭さを隠すために自分の絵で飾ることを決意し、加藤も倫也がシナリオで書けなかった巡離と英梨々の仲直りのシーンのためにも仲直りに行ってくる言う。そして、関節キッスに再びやってきた倫也くん呼び。
 英梨々ヒロインと見せかけて加藤が持っていった――っ!

 いやー、今回は手放しに面白いと言うにはちょっと展開が辛かったですが、面白かったです。
 次はこの話の倫也がいないところでの女性陣の話になるので、この巻の評価は次を待ってからでしょうな。楽しみだ。加藤の気持ちと美知留と先輩の繋がりが知りたいぜ。

 では、今回のお気に入りへ。
 上でちょっと書きましたが、先輩がやってきて倫也に全ての問題を解決するためにシナリオを書けと伝えたシーンから。
 面白い話は人の心を動かす。そう言った先輩を見た時の倫也の気持ち。


 その瞳には、何かが宿っている。
 それは、かつて何度か見た、クリエーターモードの彼女。
 俺がドン引きし、恐れおののき、そして憧れた……
「そうすれば、あなたは自分の物語に相応しい絵を手に入れられる……自分の力でね」
 俺が、そうありたいと、ちょっとだけ願ってしまった、人間をやめた時の瞳。


 ここから英梨々と話をしてシナリオを書き上げていくシーンはぐっときたなー。
 特に倫也がシナリオで物語る英梨々の加藤への気持ちとか泣きそうだった。加藤の普通さに癒されて憧れて、そして自分への劣等感に潰されそうになる。
 自分を偽るのはいつだってつらいけれど、そこに自然体で嫌われもせずに好かれてもしないなんてことはないなんて人がいたことを考えると……英梨々が心を開くまでの時間の長さが感慨深い。
 しかし、最終巻を迎える時はちゃんと倫也たちが作る冴えない彼女の育て方(仮)はきちんとゲーム化していただかないとな、うん。





冴えない彼女の育てかた 9
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA/富士見書房 (2015/11/20)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 22:25| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月08日

無限の住人 刃獣異聞



「そいつが、もうそれ以外には何も出来ねェからだよ、お嬢ちゃん!」


 うたわれるもののアニメがまさかのエルルゥを出してくれるとは、深夜の歓喜がやばかったですな! ゲームには出なかったから完全に続編の方にしか出さないんだと思っていたよ。
 Fate/GOの三章もうはうはとプレイしましたが、この東出シナリオのズルさ。もう絶対にアステリオスを好きになるに決まってんじゃん。エウリュアレとセットでいてほしくなっちゃうじゃん。
 ま、一番は幕間後のタマモキャットであることが判明したがなw


■あらすじ
 両親の敵である逸刀流への復讐を誓う浅野凛はひょんなことから出会った万次を用心棒として仇討ちを図るが、逸刀流の一人との戦闘中に怪物が現れる。
 逸刀流に万次と凛、そして謎の怪物の三つ巴と発展しそうになるが、怪物の現れた場所から怪物サイド・無骸流と接触することに成功する。
 仇討ちに対して自分の気持ちを考えながらも凛は逸刀流当主が、そして怪物が現れるという宿屋に向かい、万次とともに怪物・イヌガミと戦うことになる。


■感想
 映画化が決定した漫画のノベライズ本です。
 私は失礼ながら原作は未読なんですが、大迫純一さんがノベライズを担当しているということで買っていた。
 ……映画化が決まったから早く読めって言われたんだけど、やめろよぅ、読んでない大迫さんの作品が無くなっちゃうじゃないかよぅ。

 さて、感想に行こう。
 浅野道場の一人娘であった凛は目の前で両親を逸刀流に殺されたことから復讐のために逸刀流を狙っていた。
 運悪く擦れ違った男たちの話に反応してしまったことから浅野の娘であることがバレて追いかけっこになっていたところに、顔面に傷がある隻眼の男・万次に出会う。

 万次のことは八尾比丘尼の婆さんから聞いていたらしく、そしてその強さを見込んで仇討ちの用心棒に雇うことになるという流れ。
 この段階では万次は奇怪な刀を持つ武士という印象でしたが、次の黒衣鯖人戦で認識は改められる。

 凛の両親を目の前で殺した時から凛に恋していたという黒衣は、これまでの二年間ずっと凛に恋文を送っていた。
 このシーンはかなり驚いたが、ラブレターww嫌がらせすぎるwとか茶化すことはできずに、二人の歌の詠み合いを見守ってましたな。
 どんな外見か見たくて読了後にググったのだが、凛の母さん剥製にされて肩にくっつけられているのな。リンダキューブを思い出したよ。

 死を究極の愛情表現と思っている節があり、凛を殺して自分も死ぬ、心中を提案すると歓喜するという変質者ですが、どうしてか嫌いになれない。むしろ、この異常愛好きだなどうしよう。
 黒衣は万次が後ろから来ていても凛から目を離したくないという徹底っぷりを見せてくれますが、それも肩骨が背面170度までいけるらしく、万次を容易く奇襲してしまう。

 黒衣との戦闘で万次への感想は、あれそんなに強くないんだろうかと言うものだった。タフだけど圧倒的に強いというタイプではなかった。
 逸刀流を七人も殺した輩を万次だと思われるが、万次が殺したのは凛を助けた一人のみ。この前から凛はおかしいと気づきますが、黒衣との戦闘に乱入した怪物によって黒衣は殺されてしまう。

 刀の整備からもう一人の逸刀流・凶戴斗と出会い、父の形見である刀を取り戻すが、この件から万次と凶が戦闘することになる。
 ここでも万次は結構やられるのだが、彼の強さは圧倒的な力ではなく、不死身ということだった。なんでも体内にいる虫がどんな傷も塞いでしまうのだという。間桐さんの虫より優秀な虫。

 ここでも怪物が乱入し、凶しか狙わなかったが凛が攻撃したことから敵と認識され、その場はなんとか逃れるも逸刀流への復讐に第三戦力がいることが分かる。
 怪物の移動する水路から尸良に辿り着き、協力はしないが怪物と話をしたい凛は次に狙う情報をヒントとしてもらうことに成功する。

 尸良たち無骸流については今回はあまり語られていないので、機会があったら漫画の方もよんでみたいな。

 阿片を使って薬塗れのドーピング怪物・イヌガミを使って。逸刀流当主が泊まる宿屋を襲撃するが、先に勘づいた凶が成り代わっており戦闘へ。
 万次たちも間に合い、凛は自分にも問いかけているなんのために戦うのかということを怪物に問うが、イヌガミに答えるだけの感情は残っていなかった。
 ただ逸刀流を殺す、それだけしか彼の頭にはない。

 当主の出現でどうなるかと思ったが、最後に決めてくれたのは万次だった。
 当主との邂逅も答えの出ないまま行動するんじゃなくて、そこで一度離れて自分の意志をきちんと固めているところを見るし凛は良い子ですね。黒衣が好きになるはずだw

 原作を知らないままで読みましたが、面白かったです。
 個人的に小説の地の文で「どどん」とかあるのは苦手なんですが、きっとこれは大迫さんが漫画の表現を再現しようとした結果なんだと思う。
 文章も大迫節というよりは作品に合わせてある様子でしたし、それでもああ大迫さんだなと思える文章ににやりとしてしまうのはきっと私だけじゃないはず。

 大迫さんの死を知ってもう随分経ちますが、未だに受け入れきれてないんですよね。ひょっこり新刊が出ていそうな、そんな気がする。
 けど、だからって大切に本をしまっていてはいけないな。ちゃんと読んでいかないと。

 では、この辺で今回のお気に入りと行きましょうか。
 仇討ちのためなら鬼とだって組むと言った凛に黒衣から奪った十字手裏剣を見せながらこいつも鬼だと万次は言う。


「うん、判った」
「よし」
「でも、それ嫌いだから」
「判った。こっそり隠れて使うわ」


 このシーンでの言いかけるような物言いと暖かい目。そして最後に茶化すように言って和らげる男性像が、大迫さんはすごく好きなんだろうなと思った。
 あとがきで原作のものすごいファンだと語っていますが、こういう器の大きい男性像が好きで私はゾアハンターを一気読みしたもんなーと思い出したので。





無限の住人 刃獣異聞
大迫 純一(著),沙村 広明(原作)
講談社 (2013/2/21)
posted by SuZuhara at 17:03| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月12日

コロシアム 2



 部外者でいることは許されない。


 うたわれるものアニメ、ゲームで結末が分かっていても胸が躍ってしまうな。いろいろと突っ込めるところはあるけれども楽しい、クオンさんが可愛いとか詐欺かw
 やはりテンションの上がるOPは歌詞とかすごい考察したくなるが、あの歌はハクとクオンのことを歌ってるのかななんて思ったりする。
 うーむ、早くフルで聞きたいぜ。


■あらすじ
 今まで画面の中でしかなかった月島伊央が巻き込まれた殺し合いは、学行全体をコロシアムとして生徒全員が殺し合いのゲームに巻き込まれることになる。
 萩原はチェス研でいち早く状況を察することができたが、プレイヤーたちの帰還により学校全体がコロシアムになったことでクラスと合流することができなくなり、副会長の金剛真澄を頼って寄宿舎を拠点とする。
 ゲームから抜け出すために選択が迫られる中、校舎や体育館、ショッピングモールを拠点とした生徒たちの対話が始まる。


■感想
 ひゅー、待ってたよコロシアム2巻!
 発売日に発売されることを知って速攻で買いに行きましたが、なかなか想像していない展開になってきましたな。

 前回の続きからで伊央が高槻里美を殺したところからですね。前の感想では私は参加者と書いていましたが、この銃とナイフを持たされたプレイヤーたちは里美の死で協力したこの場を抜け出すことを決める。
 ここから出るには最後の一人になる必要などなく、全ての弾丸を集めること。だってここは本当のコロシアムではないのだから。

 生徒側がプレイヤーたちを見る目であるワームの視界を閉ざし、弾丸を全て集めてプレイヤーたちは帰還を選択する。ここで五十嵐渚がプレイヤーたちにその後も協力関係を求めているところは後々で重要。

 萩原たちはチェス研でコロシアムが画面越しの出来事ではなく、学校全体であることを悟って動き出すのですが、学校側の生徒にも弾丸が下られ、チェス研は一番初めに帰還した桜木環奈を捕まえることに成功する。
 しかし、それは遅すぎてチェス研の沖羽留奈は帰還したプレイヤーの伊奈川により、前のコロシアムでろくなサポートを受けずに死亡した中谷さんの敵討ちをするように二年一組を皆殺しにする。

 この二人がどういう関係なのかは知らないが、羽留奈が語るように伊奈川は真意が読めない人間だ。咲季の言葉からしてもこの後の行動的にもこいつは分からないので、ちょっと怖い。
 羽留奈だけ殺さなかったのって、やっぱりセレクションのためなんかなー。

 あ、ここでゲームの勝利条件を簡単に。
 このゲームで生き残る方法は二つ。

・最後の一クラス(ラストワン)
 自分たち以外のクラスを全滅させ、最後の一クラスになること。一人から最大三十人が生き残れる。
・三十人選抜(セレクション)
 一年から三年までの三十クラスから一人ずつ集めて三十人以外を殲滅する。同じクラスの人間は生き残ることができず、一クラスでも全滅してしまえば成立不可能。三十人が生き残る。

 これはね、自分だったらどっちを選ぶかな。
 私の高校時代で考えると、絶対に私だけは裏切るなと約束させられたクラスメイトがいるのでラストワンの方だろうけど、クラス単位で動かなきゃいけなくなるから正直窮屈だ。
 上手い手だとは思わないけれども、セレクションを選択した五十嵐にも一理あるしなー。
 どっちにしろ、協調性がない時点で私は生き残れなさそうだ。

 プレイヤーたちが帰還して、伊奈川や前園といった二人のように今まで傍観者だった生徒を殺す者が現れて学校は混乱する。
 今までサポートしてやったんだから私たちを守って戦え、と身勝手なことを言うクラスメイトもいますが、この展開を考えると初めの三十人で銃とナイフを装備したプレイヤーたちは幸運なのかもしれないな。銃は認証がついていて自分しか使えないから、絶対的武力だし。

 萩原はこの時に自分を呼びに来た鳴美とともにクラスに合流できなくなってしまうが、羽留奈を回収して後に寄宿舎で副会長の金剛と合流する。
 この学校は未来に行きすぎだが、生徒会メンバーの静脈認証とかすげーな。副会長が二人もいるわけだ。

 金剛の手のひらを使い、全校生徒に放送を流すのですが、シリアルキラーと化していた前園に襲撃されて萩原は撃たれてしまう。そのことを隠して金剛と羽留奈、鳴美と誰も見捨てないという約束を結び、咲季が用意したという金剛しか使えない武器を求めて校庭へ。

 ここで前園戦ですが、ここはちょっと胸が躍ったw
 萩原が囮となり、捕まっていたはずの桜木環奈が参戦するんだが、桜木環奈はちょっと好みだったので金剛さんを味方につけてよかったな。

 七組の方は伊央と合流し、緋香里がちょっと怪しいまま伊央を最大武力に進んでいく。

 ちょっと順序が逆だが、前園キラーの一件で生徒たちは体育館に避難することを誘導されており、そこで五十嵐はプレイヤーたちに呼びかけて協力を呼びかける。
 セレクションでゴールするということだ。チェス研の北村はクラスのプレイヤー原田に裏切らて人質になってしまうが、本当に五十嵐の戦法が一番簡単だよな。
 銃持っている強い奴らが集まれば、圧倒的に優位に決まっている。

 こうして五十嵐らの体育館、伊央たちクラスが集まる校舎、咲季らサークル系が集まる部室棟、落ちた生徒会長であるはすの椎名がいるショッピングモールに萩原たち金剛の呼びかけで集まった非戦闘派の寄宿舎。
 ポイントからの通信でお互いの意見を言い合い、牽制と高度な情報戦が行われますが、萩原たちの代表として金剛が前に出なかったことが災いし、最大武力の体育館組が寄宿舎を狙うことに。

 体育館は補給という意味で分が悪く、そしてセレクションを狙うために羽留奈とあともう一人の二年一組の重傷者がいることから確保に出たのだ。
 金剛さんはわりと難しい人だが、なんとか自分への勝手なイメージにしがみつく生徒たちからなんとか逃げ出して初めの四人で脱出を試みるが、萩原は負傷しているしで逃げきれないと思っていた頃に動いたのは伊央だった。

 モニターに萩原が一瞬映ったことから襲撃される寄宿舎に乗り込み助け出そうとしたが、その時には既に逃げ出した校庭で絶体絶命だった。
 だから、伊央がしたのは重傷者を殺して羽留奈を二年一組最後の一人にすること。

 金剛は校庭に潜ませておいた桜木環奈で羽留奈を殺すと脅しをかけさせていたために、セレクション狙いの五十嵐はなんとかして羽留奈を守らなければならなくなり、引くことになる。

 こんなところで今回はお終い。
 土橋さんの作品では必ずブレイン的な存在がいますが、今回は咲季と椎名のようですな。自らは戦わないが制すタイプ。だが、こういうタイプは総じて最後にコケるんだがな。

 最後の生きるためでもなく無抵抗の人間を殺してしまった伊央の話はつらかった。それでも萩原を助けたくて、画面越しで心は確かに触れ合っていたが、この汚れた手に触れてくれるだろうかとか、もう早く合流しろ! 合流したらしたで絶対に緋香里がなんかするだろうけど、もう早く手を握ってやってよ。
 この伊央の描写と対になるような表現が羽留奈にあることがちょっと気になりますが、萩原がこの先どういう選択をするかが気になる。

 体育館組の襲撃で北村と合流できた萩原たちは、どちらかというとセレクションの方がゴールに近いのだろう。けれども、それでは鳴美とも伊央とも生き残れず、ラストワンを選べば金剛たちと敵対することになる。
 多くの生徒が理想を掲げるようにみんなが生き残る道っていうのは、土橋さん作品じゃほとんどの場合ないからなー。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回は正直状況説明とメンバー分けといったところだったので劇的なシーンこそなかったのですが、やっぱり最後の伊央のシーンかな。
 無抵抗の人間を殺してしまい、あの中庭に倒れながら萩原を求めていた。


 この血まみれの手は届くのか。彼に触れることができるのか。あの時は、画面越しだったが、確かに触れ合った。未だにこの手で触ることはできていないが、この体以外は、それはぞくりとするほどの接触で、確実に……


 ゲームのプレイヤーたちが日常に戻ることは想像できないけれども、伊央は精神的に萩原に依存してしまっているのでどうなっていくのか。
 早く合流してあげてくれ、頼むから。





コロシアム 2
土橋真二郎(著),白身魚 (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015/10/10)
ラベル:土橋 真二郎
posted by SuZuhara at 22:50| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする