デスゲームの結末、萩原と伊央の運命は? ちょいと雪国に行ってた。
リアルなバレンタインで死にそうになったので人と会いたくなくてふらっと行ったんだけど、まさか雪かき要員としてスコップを握ることになるとは思わなかった。いやはや。
そこで『ワールド・ウォーZ』を観たんだけど、走るゾンビとかいけない。私は菌の拡散より人間の脳を喰らうゾンビの方が好きだな。脳を喰らうことしか行動原理はなく、脳を喰われた人間も脳を求めてゾンビとなる。
喰ったって戻るわけじゃないのにね、的な厄介さが好きだと深夜のテンションで語り明かした時間は久々に楽しかったなー。
■あらすじ 二年一組最後の一人であるレアナンバー・羽留奈を確保した萩原たちだったが、どこにも行くことはできずに校庭の真ん中で過ごすことになる。
武器持ちのプレイヤーを集めてセレクションでゴールを目指す渚たち、改造した武器で部室棟を守る咲季と運動部、武力を放棄しながらも流通を支配する流華。
一時的に収まっていた学校だが、プレイヤー・伊奈川の襲撃により金剛を失った萩原たちは散り散りになりながらも対話による解決を求める萩原と戦いでボロボロになった伊央が再会する。
■感想 本当は水曜日には読み終わっていたんですが、バレンタイン本当に面倒だとキレていたのですぐには感想が書けなかった。思い出したくないから書かないけど、これならまだ不味い料理の方がいいと思う出来事だったぜ。
さて、続きを待ってたコロシアムもついに完結。
表紙がものすごくいい。背中合わせで拒絶しているようでありながらも、武器として萩原は伊央を手放せないし、伊央も目を閉じて萩原に絶望しながらも離れられない感じが。全部私の勝手な解釈だがな!
前回の続きで海に浮かぶハワイとして孤立した萩原たちは、なぜかヘチマを食べながら暮らしていた。
……びっくりだろ? 私もいきなりすぎて理解できなかった。なんかいろいろと前から家庭菜園のようなものが学校でされていたらしいけど、いきなりすぎて金剛さんのリボンはカンピョウとか言われてもついていけなかったのは内緒。
そんなこんなでなんとか生きていた萩原たちだが、ラストワン――自分たちのクラスだけ生き残るを選択した生徒たちから羽留奈は常に狙われ、セレクションを選択した生徒からは羽留奈の無事を常に監視されると言う極限生活。
だが、金剛といい感じになる萩原が許せぬ。
金剛との雨の中でのダンスシーンで、自分を好きになると言うことがどういうことか語るところ好きです。
だが、死亡フラグだよそれ!
プレイヤー・伊奈川の襲撃により環奈が撃たれる。ちょっ、環奈と環奈のスイカを撃ったお前だけは許さないぞ!
襲撃をなんとか回避するが、羽留奈と鳴美は渚に保護させることで逃がし、萩原と北村、金剛と環奈はセレクションにも武器放棄組にも受け入れられないために咲季に助けを求めて車椅子に座らされて拘束された武器――プレイヤー・前園で離脱を試みる。
だが、伊奈川のせいで金剛が肝臓を撃たれてしまい死亡。
環奈だけが重症のまま、金剛の墓の傍から離れず近づけば撃つ厄介なポイントになる。
羽留奈は渚に丁重に保護されるが、鳴美は途中ではぐれて受け入れられずに流華の元へ。
そこは武力こそ放棄したが、弾丸の数が全ての階級社会となっていた。
弾丸の数で女を抱こうとする男とか危険は冒さず、身体で弾丸を買う女には吐き気がするな。そんなことをするなら潔く死にたい。
鳴美も誘惑されるが、弾丸の宝庫である校庭に環奈がいることで近づけないという話を聞き、環奈の元へ自分が行って弾丸を持ってくる代わりに前金を貰うことに。
金剛ほどではないにせよ自分のことを覚えていてくれるはずだと、環奈治療用のクレジットを持って走った鳴美は一発の銃声に倒れる。
鳴美のおこぼれを貰おうとしていたショッピングモール組は助けることなく逃げて行った。
一方、伊央は重症だったがなんとかワームの治療を受けて動きだしていた。
前回までの感想を読み返すと私は緋香里をものすごい警戒していますが、萩原という同じ人を好きになったことから二人は信頼しあえる中になっていた。
中立地帯である食堂が襲撃され、緋香里が撃たれるまでは。
緋香里のために萩原たちを探していた伊央は流華ともう校庭には出てこないという要望を飲んで薬と弾丸を貰うが緋香里はもう間に合わず、クラスメイトたちは緋香里の死を伊央のせいだと責める。
なのに、敵が攻め込んできたら伊央頼みで緋香里の死体も放置するクラスメイトにプッチンした伊央は他のクラスを襲撃して安全地帯を手に入れるが、そんなことをする自分はもう化け物なのだと気づいて緋香里を連れてクラスに戻ることに。
緋香里が言っていたけれども、プレイヤーに選ばれる条件は自殺の経験があること。
もう命を絶とう頭に銃を突きつけた時、そこで伊央は萩原と再会する。
しかし、伊央が思っていたように萩原に会えば救われるなんてことはなく、対話のために戦ってほしいと言う萩原に伊央の心は壊れてしまう。
萩原を拒絶しつつも萩原の武器として撃つことを決めた伊央とのこれからの関係はすごく好みですなー。
触らないでっていいながら、萩原が先行しようとすると心配でたまらない感じが。乙女じゃないかよぅ。
部活棟に攻め込んでいた雪村を排除するために戦線に参加した萩原たちだが、この咲季さんのプレイヤーである黒宮には本当にがっかりだ。
同性の咲季さんを好きというのは構わない。咲季さんは彼女を利用するために身体の関係となったのも構わないさ。
しかし、対価を得ておきながら武器のくせに戦闘で使えないとか有り得ないだろう。さっさと切り替えろ、だからどうでもいいところで死ぬんだ。
逃げる雪村を追った先の校庭には環奈に見せかけた伊奈川の死体と、治療が遅く回復には至っていないが生きている環奈と死んだふりをして戻って来た鳴美がいた。
雪村を排除し、咲季との交渉で羽留奈を取り戻せば対話の手段をくれるということで萩原は内通者と組んでセレクションを責めることに。
しかし、鳴美と再会した伊央にやり直しの可能性を見てこれ以上連れて行くことはできず、環奈の調子を確認するが「わからない」。連れて行けば死ぬと一目で分かるのに、無理だと言わない環奈が愛しい。
けれども、微妙に独占欲を感じる伊央の「最後まで萩原くんの銃」宣言で二人で攻め込むことに。
しっかしなー、これが罠だった。
羽留奈は既に内通者によって逃がされていて、萩原たちは羽留奈をさらった犯人として追われることに。
ここで、萩原が銃弾で手と頭を怪我するんだけど、あんなに嫌ってます態度だった伊央が萩原に死を感じて取り乱すところ可愛い。感性が歪んでるんだよ私は。
金剛の映像を使い、裏で掌握していた流華を捕まえた咲季は環奈のいる校庭に行く。
北村と鳴美がいたために環奈は咲季たちを撃たず、そこで内通者と羽留奈とも合流してセレクションを完成させる。
打った銃弾は零時に校庭に落とされる形で補給され、しかも流華たちは千発のうち四百は持っているので持久戦に持ち込むというものだった。
咲季に裏切られた萩原は失意のまま伊央と向かい合い、傷だらけの中で心を通い合わせる。
弾丸を二発残したがった伊央は最後には萩原と自殺するつもりだったが、一発しかないので屋上から飛び降りることに。そこには渚がいてまたドンパチになるのだが、「渚を撃ったら私と飛び降りて」という伊央の執着具合がすごいね。愛が怖いよ。
校庭ではセレクションの中で翻弄されていた羽留奈が声をあげて対話の道を選ぶべきだったと告げるが、最大武力保持者がなにを言っても通じない。
しかし、それに咲季も同意して萩原を裏切ったが対話する手段を与えると言う約束が発動する。
本来であればその日は自由参加の水泳大会で、萩原の作った水着女子映像が殺伐とした学校に流れる。
その映像の千人――学校の生徒全てが揃ったら素晴らしいという渚の言葉に、もう千人は無理でも俺たちは友達だから手を取れるはずだとたった三分だけ許されたロゴスを使用して萩原は呼びかける。
伊央は戦うことをやめて、萩原はかつてのコロシアムで三十人の弾丸を集めることがゴール条件だったようにここでも千人の弾丸を集めようと呼びかける。
校庭のセレクションに弾丸を渡そう。彼らはきっと撃たないと信じている。
その言葉に応じたのは紗季でも流華でもなく、羽留奈だった。セレクションは校庭から動かずに弾丸を千発集まるまで管理する。
ふーむ、この辺は萩原と羽留奈の関係を思うと胃が痛いね。羽留奈が萩原と別れる時に見せた感情は間違いなく恋だし、伊央は萩原に執着と依存しているところがあるし、再び手を握るのはいかんと思うと感動のシーンを台無しにするようなことを思っていた。
その日から学校での争いは下火になる。
殆どの生徒が引きこもっていたが、協力してくれる者もあらわれて弾丸は着実に集まっていた。
萩原が見つけた弾丸を校庭に放ると伊央が持っていたワームが転がって千発集めたことで出口が開かれるという終わり。
次は学校から市街地も含めたコロシアムですね、とか思ってないよ。
毎回のことだけれども、土橋さんの作品は終わりが消化不良なところがあり、この学校がコロシアムになった理由とか、コロシアムの目的とかは語られない。
むー、面白かったけど、そろそろいろんなゲームの黒幕が知りたい。七美ちゃんの人質ゲームでもいいのよ。
では、ここでお気に入りへ。
今回は最後に銃弾を渡すために萩原と伊央が校庭に来たところで、羽留奈が萩原に気づいて手を振ったところから。
ルールで近づけないけれども手を振り返す萩原に伊央は言った。
「行こう」
不意に手を引っ張られ、萩原はその場を離れた。
「校庭も探さないといけないから」
伊央は萩原の手を握って校庭を歩く。
なんの変哲もない文章なのに伊央の執着心とか独占欲が感じられて発狂しそうだった。
ゴール迎えた後が怖いね。ま、伊央は確実に最強のプレイヤーなので返り討ちでしょうがね!

コロシアム 3
土橋真二郎 (著),白身魚 (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016/2/10)