2015年05月31日

いたいのいたいの、とんでゆけ



「あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」


 ここ最近はある人の代わりとして土日が忙しかったりするのだが、やはり引きこもりはどう頑張っても引きこもりであって日中動き回るとか性に合わないな。
 この一年はこのままでしょうから去年までできていたことなどてんでできなくなってしまっていますが、今年の私は部屋からして去年とは違いすぎるからなー。
 ちなみに、まだタンスは壊れたままである。もういっそ解体して作り直せばよかろうとか考えていたりするw


■あらすじ
 湯上瑞穂は自ら経ってしまった文通相手・日隅霧子に会いたいと願って出した手紙の待ち合わせ場所に彼女は来なかった。
 親友の自殺などいろいろあって自暴自棄になっていた瑞穂は飲酒運転の末に一人の少女を轢いてしまう。
 しかし、“先送り”する力を持った少女は自分の死を先送りすることによって十日間の猶予を得たことから自分の人生を台無しにした連中へ復讐することにして、瑞穂は贖罪にそれを手伝うことにするが復讐をする少女に恋をしている自分に気づく。


■感想
 本屋に行く機会がないため、行った時には何かしら買うのですが、帯買いした作品です。ネット小説で活躍されていた作者さんのようですが、私は読んでいません。
 うん、このブログでたくさん文章書いといてなんだけど、画面上で文章読むのって苦手だったりするんだ。どれだけの量かいまいち測れない。だからめっちゃ書いてしまうんだろうけれど。

 初めに言ってしまうと、正直に言って私はこの本を受け入れられていない。
 初めは特殊な設定だなと思い読み進めていたが、徐々に言葉は悪いけれど嫌悪感が高まってしまった。ていうかだな、去年の自分を思い出して悔しさで泣いてしまった。俺になんてことを思い出させやがるって怒りが買ってしまったんだ。
 変なことは書かないけれども、感想が端的になってしまったら申し訳ない。

 十二歳、小学校卒業目前に転校することになった瑞穂は天候の日に今まで特に仲良くもなかった日隅霧子と文通をすることになった。
 文通相手として選ばれただけだろうと特に思い入れもなく始まった文通だったが、二人の価値観が似ていることもあり瑞穂にとって唯一無二のものとなっていく。 
 しかし、あまりに冴えない瑞穂の日常をそのまま伝えることはできずに嘘を書き続けて送っていたことから「会いたい」という霧子の要望に応えられずに文通をやめてしまう。

 大学生になって親友の自殺をきっかけに霧子に再び会うことにした瑞穂だが、突然の呼び出しにやってくるはずもなくヤケ酒を飲んで運転して少女を轢いてしまう。
 だが、少女は先送りの力で死んだことを先送りにしていた。

 先送り。少女は嫌なことを先送りにすることのできる力を持つ。
 それはあくまで先送りであって、なかったことにするわけではない。だから十日後には死が訪れる。
 この特殊な設定について私はいまいち把握していない。初めは分かっていたんだが、読んでいるうちに分からなくなって思考蜂起した。なんでも少女の精神状態とか追い詰められ度が関わってくるんだが、先送りによって死が確定している少女がこの先何を――殺人を犯したとしても、先送りが終わればなかったことになるからオッケー。おそらくこの考えが私には合わないんだろうな。

 贖罪のために殺人までの脚になる瑞穂はその過程で少女のことを知ることになる。義父とその娘である義姉が最低で学校ではいじめられていて身体には無数の傷、そして子どもの頃のいじめにとって最悪の恥を塗りつけられたこと。
 瑞穂の方も昔は優秀なピッチャーだったけど期待から逃げたり、写真好きな同級生と二人っきりの撮影会でその後彼氏がいることを知ったりと過去の傷をどんどん明かしてくれるが、それが私は嫌悪感しか抱けなかったんだ。残念ながら。

 僕にはそれは不幸自慢としか受け取れなかった。
 君はどん底なのかもしれない。どん底なんて人それぞれだから分かれないよ。けどな、少なくとも私が思うにそのどん底は口にできる程度なんだな、と。
 だめだった。どうしてもだめだった。少女は先送りという力でやってこられたのかもしれない。瑞穂にいたっては親友と隣人の存在で恵まれているとすら思う。

 なんでこんなにも私は怒っているのだろうとずっと考えていたのが辛かったなー。おかげで去年の今頃を思い出しちまったじゃねぇか。
 答えはまだ出て来ないけれども、どうやっても好きにはなれそうにない。

 初めに義父を殺したらしい少女は義姉や同級生たちを殺していきますが、これはグロ注意。私は少しでもグロシーンがあればこう書きますが、がっつりあるから本当に注意。
 しっかし、自分を殺しに来た女を逆に犯そうとする男には恐れ入ったな。エロスとタナトスは表裏一体ですか、そうですか。

 血まみれ姿をハロウィンの仮装と偽って街を闊歩したり、怪我の影響から瑞穂が寝込んでしまったあたりから瑞穂と少女の距離が近づきますが、瑞穂が好きなのは復讐をする彼女なので復讐をやめようとする彼女に発破をかけて予定より多くの復讐をする。

 そして、少女が霧子であることを知る。
 霧子の方も瑞穂が書き溜めていた霧子への手紙で気づいていたわけだが、霧子も瑞穂への手紙に幸せな嘘を書いて送っていた。
 だが、養父が手紙に気づいたことから文通を続けるのが難しくなり、「会いたい」と告げれば返事が来なくなった。

 気が狂いそうだったというのは印象的だった。
 しかし、自転車で轢かれたことから瑞穂に再会した霧子はその後、瑞穂は霧子のために養父を殺してしまう。
 現実から逃げるように遊園地に行った二人はジェットコースターに乗り、事故に合った。

 瑞穂くんを殺人犯にした事、瑞穂くんだったものになってしまったことを先送りした霧子は年が取れなくなり、高校生のままで、今に至るというわけだ。

 これは優しくない世界の不器用な恋の話だったのでしょう。
 私は苦手だったが、とても丁寧な物語だったと思う。縁があれば他の本も読んでみたいと思います。

 では、今回のお気に入りへ。
 ちょいと選ぶのが難しい。どこを選んでもなにか違う気がするので、今回は先送りする前の瑞穂が霧子に約束した言葉を。


「本当に何もかもが嫌になったら、そのときはいってくれ。僕が、君を殺してあげよう」


 この話を読んでもう私には悲恋的な話は読めないかもしれないと思った。
 もう一つ、このブログには感想は書かないつもりでいますが、追い詰められた人間の物語を読んでいますが、そっちは平気なのにどうしたんだろうか。






いたいのいたいの、とんでゆけ
三秋縋
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014/11/21)
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2015年05月26日

冴えない彼女の育てかた FD



 どうして俺の周りの女性作家どもは、創作に対する意識がここまで真摯すぎるんだろう。


 えっちゃらほっちゃら生きていますが、やることが多くてなんだかなーだ。
 読みたい本もやりたいゲームもたくさんあるけれどもなんにもできず、いまだにタンスは壊れたまんまだったりw
 もういっそ積みゲー積本が消化できるまで新しいものを買うのをやめると決めてしまおうか。P4Dまでになんとかできると思えんのでまだ決めないけれども、ちょっと真剣に考えよう。


■感想
 今回は冴えカノFDという名の短編集です。
 なんでも一冊出る度に裏話的に掲載されたもののようで今回は簡単に内容を紹介。
 短編は全部で6話なんだが英梨々2、先輩2、美知留1、加藤1、出海扉絵とオチ他という内訳は散々な結果だw
 さすが先輩と英梨々は見ていて花があると思うが、全部読むとどう見ても加藤大勝利で俺歓喜でしたw

 英梨々が作った同人誌を加藤と売り、インタビュー掘り起し時にはちょっと怖いながらも加藤と二人っきりの作業、英梨々が機嫌を悪くして困った時には加藤に助けを求め、美知留がオタクにはならないと受け入れられても加藤には諦めず布教し続け、最後には加藤の勝ち組っぷりをみんなでディスる。……最高だなw

 ざくっと行きますが、全編に渡り冴えわたっている短編ですが好きなのは英梨々とのロケハンと座談会かな。
 最初の同人誌制作の話はアニメでもありましたね。倫也と英梨々がエロシーンに行くまでのキャラになりきってやり取りをする話。あのシーンのアニメ、親と兄貴のいる前で見てたら白い眼で見られたことはトラウマとして俺の記憶に残っているw
 日曜にいきなりたたき起こされて同人誌の売り子をしてくれるとか加藤は天使すぎるw

 インタビューの話はインタビューを録音したレコーダーを流しながら加藤とともに記事に起こす話なのですが、もうレコーダーから流れるのが倫也と先輩のなんだかんだでイチャイチャトークだったりして、途中から倫也は再生しなくなるんだが、加藤が一人で放送室に閉じこもって大音量で流したりして。
 そのフラットじゃない表情の意味は期待してもいいんですか加藤! 相手が倫也なのはどうかと思うけれどなw

 ロケハンはいくらゲームに必要と言えども引きこもり絵師様が出てきたのは単に倫也がいくからに他ならず、開始早々に休憩タイムでも英梨々の一途っぷりは不覚にも可愛いと思ってしまった。くそぅ、金髪ツインテールは苦手なのに……。
 倫也が進路就職組なのは驚いたが、それ以上に高卒ではスペンサー家が認めてくれないとそれだけで沈んでしまう英梨々は可愛かったなー。
 最後は加藤大勝利だけどな!

 倫也の霞詩子一日担当の聖地巡礼は加藤は出てこないけれど、先輩の作品に対する姿勢が好きな私にとっては楽しい話でした。
 水族館とか、なんとか倫也とベッドインしようとさえしなければ俺的にストライクなのになー。

 美知留の話はタイトル通りに非オタをオタクに染めようとしている話で、読んでいて思ったんだけど、もうそんなにオタクもノーマルも変わんないんじゃないかな。
 正直、美知留は苦手だったんですが、あの加藤と出会った坂での美知留の笑顔は反則だろう。オタクを嫌がっていた彼女だけれども、本当はバンドメンバーがオタクと知って非オタな自分は嫌われるんじゃないかなんて心配していただなんで……うん、お前のことを嫌う人なんて絶対いないよ。
 
 次は総集編。総集編は総集編。
 みんなでゲームを作りながら倫也が過去を振り返り、忘れられた波島兄妹が最後にちょこっと出ますw

 最後、座談会はクリア後のおまけにキャラの座談会を作るという話になるのだが、振り返ってみるとゲームのキャラクターたちはまんま自分たちだったw
 河村・スパイダー・きらりとかねw
 そんな自分たちのようなキャラが主人公・誠司のことに対して火花バチバチさせるのだけれども、彼女らが一致団結するときがあった。

 それは巡璃ことメインヒロインに対して攻撃する時であったw

 ちょっとおかしいと思い出した加藤をはぐらかしながら作っていると、シナリオがキャラではなく自分たちそのものに変わっていき加藤も気づくことになるw
 いやー、しゃーないよ。ただキャラが立っていないではこのメンバー内に入ることなんてできないし、そのめんどくさい愛くらいは受け入れようぜ。

 けれども、最後にはシナリオのいいところは受け入れ、ゲームとして良くするために内輪ネタの排除と倫也によるシナリオ修正を決めて、詩羽先輩には貸しがあるから納得させると言い切った黒髪ロング加藤は素敵すぎた。
 可愛い。ごめんなさい、マジで加藤の内面も外見も大好きすぎて困る。

 シリーズものの短編集はあんまり好きじゃなかったりしますが、面白かったです冴えカノFD。
 加藤との関係の修復が気になりますが、新刊が6月に出るらしいのであと二冊、頑張って読んで間に合わせたいと思う。
 しっかし、冴えカノを読むと楽しくなちゃってゲームとかいろいろしたくなっちゃうので困るな。困ってないでどんどんやればいいんだけど。

 では、今回のお気に入りへ。
 今回は先輩のインタビュー時、倫也はもう録音されていないと思って先輩を膝枕してスィートトークしていた時にふと次回作についての意気込みを聞く。
 その時の詩羽先輩の言葉を。


『そんなことより……もう一度、あの人を夢中にさせられたらなって』


 これはずるい。
 読者としてその作者さんの特別になって自分のために書いてもらえたらどんなに幸せだろうと想像はできても、私はきっと誰かのために書かれた物語でも楽しめると思う。だって私は私のための物語を求めているわけじゃないし、そんなものはない方がいい。
 けれども、逆はどうだろうか? たった一人のために作品を完成させるだけ自分をの費やせたなら、それは幸せなことなんじゃないかなって思うんだ。
 むー、片想い気質なのかもしれん。





冴えない彼女の育てかた FD
丸戸 史明(著),深崎 暮人(イラスト)
KADOKAWA/富士見書房 (2014/8/20)
posted by SuZuhara at 22:23| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月17日

Fate/strange Fake 2



 そして、彼女(アヤカ)を中心(プレイヤー)として――
 偽りと虚飾に塗れた聖杯戦争の幕が開かれる。



 ゾイドとかメダロットとかそういう子どもの頃に好きだったものにはものすごく弱い。
 なにが言いたいかというと、デジモンの情報には不安に思いつつも心が弾んでしまうという話だ。映画はきっと行くよー。ヒカリの太一依存がどうなったかが気になる。こじれてたら最高だなw
 あとデジコレ!を見た時とかすっごい欲しくなってしまって、懐古厨と呼ばれても構わないから、ちょこちょこ集めようかなーと思う今日この頃。実行するか否かは発売日直前まで財布と相談だがな!


■あらすじ
 冬木の地で語られる『蝉菜マンションの赤ずきん』の続きは、スノーフィールドで続いていた。
 その赤ずきんから逃げるようにして生きていたA氏ことアヤカ・サジョウは偽りの聖杯戦争へと巻き込まれ、セイバーを召還している最中にアサシンによって殺された魔術師の代わりにセイバーと繋がってしまったアヤカは、オペラハウス崩落騒動の犯人だと名乗り出たセイバーとともに警察へと連行されることになる。
 マスターである警察署長も困惑する事態の中、聖杯戦争の監督役であるハンザだけでなく、警察署が魔術師の巣窟であることに気づいたアサシン、そしてアサシンを追うマスターであり死徒・ジェスターとの死闘が行われることになる。
 そんな騒動が起こる中、呼び水としての偽りの聖杯戦争ではなく本当の聖杯戦争のサーヴァントが召喚される。


■感想
 ひゃー、めちゃくちゃ面白かったですストレンジ・フェイク二巻!
 最近は買ってもすぐには読まないんだけど、この本だけは別だな。聖杯戦争ももう飽きたなとか思っててすみません。もうどうしようもないくらい心躍りました!
 年二回の発行ってマジですか、待つのつらいくらい面白いんですが!

 さて、本編に行きますが、初めは冬木でのお話。
 美綴さんがOBとなっているようなので卒業してから一、二年経っているのかな?
 蝉菜マンションの赤ずきんという都市伝説はホロウの序盤で語られる話で、結構怖く、まだ私はホロウプレイ中ですが一番好きな話だったりします。初め、俺はホラーゲームは一人でしたくないんだけど、とおろおろしたのは内緒です。

 簡単に言うと、虐待を受けていた少女とエレベーターで一緒になるA氏はいつもボタンを押してあげていたんだ。ほら、腕が上がらないから。A氏も深く関わるつもりはなく、虐待からは目を逸らしていた。
 その後、親が無理心中をはかったときに少女が隣のA氏に助けを求めるんだけど、知らぬとA氏は出てこなかった。
 親は死んだが少女の死体は見つからず、A氏の家のノックだけが毎夜続き、耐えきれなくなって扉を開けると血塗れの少女が『ボタンを押して』と立っていた、というもの。
 もう書いちゃったけど、ホロウではもっと詳しく書いてあるのでそっちも是非読んでほしい。

 そんなこんなでA氏ってどうなったんだっけ? まだ赤ずきんから逃げてるかもね、と物語が始まるわけです。
 はー、TMエースの付録にエレベーターのある建物には入れないとあったけど、そういう意味だったのかと納得しました。やばい、もうこれだけで嬉しいw

 全身タトゥーのアヤカさんは魔術師に捕まっていまして、フランチェカカと繋がっている魔術師は召喚したセイバーの忠誠心を試す生贄として使うためにアヤカさんを生かしていたのですが、やって来た狂信者の女アサシンに殺されてしまう。
 アヤカさんとしては赤ずきんを見てしまってそれどころじゃなかったのだが、聖杯戦争に参加しろと言った「白い女」とか誰なんだろうか? 白いというとアインツベルンしか思いつかないが、違うだろうなー。

 アサシンからは召喚されたセイバーが助けてくれるのですが、このセイバーは不思議なセイバーだ。アサシンを山の翁に連なるものと簡単に見抜くし、セイバーの中には何人かいるらしい。アサシンの奇襲も誰かの毒矢で無効化してるしな。
 だが、エクスカリバーの使用で崩壊したオペラハウスの犯人としてアヤカが連れて行かれそうになった時、マスターではない関わるなとはっきり言われたにも関わらずセイバーは自ら名乗り出て手錠をつけられ連行されていくw ちょっ、シュールすぎるww

 セイバーは演説までしちゃうし、フラットは教授見てるー?とテレビに出ちゃうしで警察署長が頭を抱える展開にw いや、フラットのことはマスターだとばれていませぬが。
 もう、このサーヴァントたちみんな自由人。ギルは家事ので豪遊するわエルキドゥは森を動かしまくってるわ、ライダーは夢に動物を出すために動物たち襲いまくるわ。でもまっくろさんは愛しい。
 まともなサーヴァントがバーサーカーだけじゃないかというのは新しいよホントw

 ステージ・警察署ではアサシン対宝具装備の警官隊の戦いが拝めますが、これがめっちゃ楽しい。この宝具、使えば使うほど馴染むものらしく、いずれは真名解放までできるらしい。僕は盾が欲しい。篭手があるならそっちの方が興味はあるけれども。
 初めこそアサシンに通用して行けると思うのですが、そこにジェスターさんが現れて戦況は一変。アサシンは自分が未熟だから技に魔力が乗っていないと考えていたが、アサシンドン引きのジェスターさんがやってきてくれたよ!

 ここからはアサシンは離脱し、警官隊vsジェスターさんですが、正直死徒が相手では人の力押上げに特化している宝具では分が悪く、代わりに死徒相手ということで代行者である監督役のハンザが相手に名乗り出てくれます。
 いやー、この人は実は身体をサイボーグ化もしている神父でこの戦いもめちゃくちゃ面白かったです! こんなに強くても埋葬機関の足元にも及ばないとはな。てか、埋葬機関のことはもっと知りたいのでじゃんじゃん語ってくださいお願いです。

 そんな騒動の間、朝まではここにいると約束していたセイバーは霊体化でアヤカの元に行き、繋がってしまったこと等を話し、それでもマスターではないというアヤカにマスターじゃないから言うことには従わないとアヤカに構いまくるw このセイバー好きだなー。
 繋がっていてもやはり正規のマスターではないようで、この辺がどうなるのか、赤ずきん関連が気になりますね。

 ギルはカジノで豪遊と書きましたが、スイートルームに陣取っていたら急に狙撃。しかし、今は慢心してないギルだ。エルキドゥ用にと迎撃システムを作動させていた。うおっ、俺の知ってるギルじゃないw
 ギルはすぐに襲撃者の元に向かうのですが、相手はアーチャーで王の財宝も退ける。褐色の肌に頭の上から布を被った男との死闘が始まるかと思いきや、ライダーも登場してアーチャーを攻撃しここでギルがブチギレ直前。
 この間にファルデウスも気配遮断EX持ちのアサシンと契約するんだけど、偽りの聖杯戦争ではなく本物の聖杯戦争のサーヴァントは真アサシンのように呼ぶらしい。ちなみに偽りの方にはセイバーはいないので、セイバーも真の方であるようだ。

 こんな感じで今回は終わりですが、セイバーがエルキドゥと共闘を申し出ていたりして、次が楽しみで仕方ないですよ。
 今回はキャスターの真名が分かりましたが、私は相変わらず推理とかはしないで楽しんでますがセイバーが誰かはちょっと考えてしまったよ。早く続きが読みたいなー。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 女アサシンの警察署に踏み込む前の自分への問答を。警察署は魔術師ばかりな上セイバーもいる。そこに行くか否かと悩むアサシンは自分の未熟さを嘆きながらも自らやるべきことを定める。


 己の成せるものは、先代までの技術を模倣した技を駆使し、戦うだけだ。
 壁にぶつかり砕け散るまで、走り続けるだけだ。
 それで構わない。
 未熟な自分にも何かが成せるのならば、それだけで自分の人生に意味はある。
 いや、意味も要らない。
 何も考えずに、ただ、突き抜けるのみだ。


 ああ、私は君に憧れるよ。
 それが何であろうとも自分の全てを費やせるというのには憧れるんだ、俺にはできないことだからね。
 しっかし、女アサシンさんの中で歴代翁がすごいことになっていると思ったが、本編で技を編み出した当人以上に女アサシンが技を使えることを知ってもそれを編み出したことが尊いと思うことが語られているのだが、その思考がすごいな。驕りも抱かないなんて。
 もうこの聖杯戦争で好きじゃない人がいないから困るやw






Fate/strange Fake 2
成田良悟(著),森井しづき (イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015/5/9)
posted by SuZuhara at 21:34| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月11日

冴えない彼女の育てかた 6



「僕にはね、倫也君……君がただ柏木エリを、いや、沢村英梨々を独占したがっているようにしか思えないよ」


 GWの間は「これを機に毎日更新するぜ」と内心では思っていたのだが、いやー無理だったわーw
 私がこれを書くのに時間がかっているというのもあるけど、それ以前に一日一作品なんてハイペースが無理だった。
 なので結局はいつも通りちまちまやっていきます。ちなみに今はケイオスリングスの2組目をやってます。あれ、これってもしかして4週必須だったりはしないよな……?


■あらすじ
 シナリオが完成しあとはイラストだけとなった冬コミ間近。
 マスターアップまで一週間前となった時、英梨々は一人カンヅメとなって残りのイラスト五枚を仕上げる自分を追い込みに出るが、倫也は英梨々の決断を信じ切れない。
 締切ギリギリに英梨々が自分の限界を超えてまで指定の五枚に二枚をプラスして仕上げるのだが、誰もいない別荘に一人風邪で倒れてしまう。そのことを知った倫也は一人英梨々の元に駆けつけ、そしてパッケージ版を落とすことを決断した。


■感想
 思った以上にシリアスだったでござる、冴えカノ六巻。
 いや、そこまでシリアルじゃなかったんだけど最後のわだかまりが俺の心を蝕んでいるんだ……もうここまで読んでいると加藤の言葉使いでいろいろと感じるものがあってだな……。

 さてと、本編いくぜ。
 霞ヶ丘先輩が倫也と合作ペンネームでうはうはしていると、それが面白くない英梨々が突っかかってきて倫也は加藤に逃げて……といういつものサークルの風景が今回はなかった。
 いつも早くから来ているという加藤がそこにはおらず、遅れてきた加藤に先輩が言うんだ。

 その様子だと男絡みかしら、と――。

 え? え?
 俺フリーズ。いや、ガチで固まった。ジャスティス学園にドラマCDなんかなかったという記憶の抹消をした時と一緒だなはははは。

 いや、今回はそんなに重大な感じではないけれども、加藤曰く生まれて初めて告白されたらしいがすぐにフラれたらしい。冬コミが近いから今は、と断ったらそりゃあなw
 告白されたという加藤のカミングアウトにすぐに自分たちの戦績を倫也に言う先輩と英梨々はちょっと可愛かった。

 加藤は本当にサークルのことを大切に思っていて、なんと倫也が書いた大団円シナリオである最後のルートを完成させるために美知留にシナリオをプレイさせてボーカル曲を作らせていた。
 なにこの有能。黒髪ロング加藤さんめっちゃ美人。加トちゃんと美知留のやり取りは結構好きです。

 ま、そんなこんなでみんなが倫也のために動いている中で英梨々は追い詰められていくのである。クリエーターの集まりだったなら触発されるんだろうが、残念ながらこれは倫也を巡る高度な女子戦でもある。

 一人那須の別荘でカンヅメになりイラストを仕上げるという英梨々にどう言うわけだが倫也は信じることも発破かけることもできず、ただ待ちの状態が続いていく。
 初めは今日は二枚書いたとか調子が良かったんだけど、だんだん雲行きが怪しくなってきて、そんでもって加藤が別荘に行く提案をしても倫也の反応がいまいちだった。
 なんかおかしいな、と思った。倫也の暑苦しいまでの牽引力がないんだ。

 そして具合が悪いことも気づかないままイラストを仕上げた英梨々だったが、電話の途中で倒れてしまう。
 倫也は伊織に電話をして那須の別荘まで向かうのだが、そこで伊織にも指摘された通り、倫也はゲームも英梨々も両方取るといういつもの選択が出来なかった。

 英梨々の成長した絵を見て感動した。
 だけどそれ以上に布教して広めたいというようなこれまでの感情とは違い、独占欲が勝ってしまったんだ。

 倫也は冬コミでのパッケージ版を諦め、英梨々と過ごすことに。クリスマスとかなにこれバッドエンド展開なのに英梨々大勝利とか思ったけど、ちゃんとやるよ冬コミ。
 手焼きDVDの100枚はすぐさま完売して早々に撤退。伊織たちのサークルはその何倍も売り上げ、勝負は倫也たちの敗北となるわけだが……この江中さんって怖いな。あの運転手さんは朱音さんだったってこと? むー、なんかこの人は嫌だな。

 しかし、勝負には完全に負けたわけではなく、パッケージ版の委託販売時には噂が噂を呼び、用意した千枚は速攻完売。五千枚の発注が来るほどの大勝利だった。
 うん、ごめん。私は同人に詳しくないからすごいなぁくらいしか分からないや。どのくらいすごいんだろうな。

 これだけにすると終わり良ければ総て良しだが、最悪は冬コミの後に起こっていた。
 早々に終わった冬コミにサークルメンバーは打ち上げする気満々だったが、加藤だけがそれを拒絶した。

 冬コミに上げられなかったことを怒っているんじゃない。
 ただ、倫也がなにも言わずに落とすことを決めたのを怒っていた。
 連絡も相談もなしに勝手に決めて、相談したら自分が反対すると思ったのかと、どうして一人で背負い込んだのかと。
 それが加藤は許せないと初めて倫也に反逆したんだ。

 その後も学校では普通に話しているらしいけれども、加藤がサークルに来なくなっちゃったんだって。
 うわー、英梨々の方も倫也と一緒で幸せ一杯なくせに絵が描けなくなってしまっているようだし、もう俺の胃は限界だよw

 うむ、六巻はなかなかにシリアスでした。
 英梨々スキーさんは歓喜だろうけれども、黒髪ロング美人トンなった加藤を怒らせたことが私は心配でたまらないや。え、霞ヶ丘先輩? あの人は倫也にベタ惚れしてるから気にする必要ないだろう。

 次は短編集ですね。
 短編はギャグ色強いでしょうから楽しみです。もうみんな仲良くしてくれよ、わいわいがやがやしてる方が楽しいよ。

 では、ここいらで今回のお気に入りへ。
 今回は序盤で美知留が曲を披露した後、倫也と二人っきりになった時にサークルの現状について触れた時のこと。
 倫也が夢物語のようにサークルを続けていくと言う中、美知留は加藤もそう思っていて実際加藤のおかげでサークルが成り立っていると。


「あたし、わかったよ……あのコが一番の味方で、一番の敵だよね」


 これは真理ですよね。
 加藤は倫也にとっての最大の理解者で、加藤の行動って倫也の真意みたいなものだった。大袈裟かもしれないけれど、そう思っていた。
 けれど、今回のでこじれて捻子くれてしまったから元に戻るのは時間がかかりそうだよなー。






冴えない彼女の育てかた 6
丸戸 史明(著)
KADOKAWA/富士見書房 (2014/4/19)
ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 22:11| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月02日

コロシアム



 自殺したはずの少女が送り込まれたのは、死と隣り合わせのデスゲーム。


 ひゅー、GWですね。
 私はこれといって予定もないので引きこもるつもりでしたが、戦争が再開されたようです。はい、俺の初代vitaを壊してくれた兄貴が二代目vitaにブレスオブファイアVが入っていることに気づいて拉致ったのです。
 な、開戦するには十分な理由だろう?


■あらすじ
 月島伊央が目を覚ますと何もない空間で拳銃とナイフを与えられていた。強制的にゲームに参加させられることになった伊央はサポートしてくれるワームを通じてクラスメイトの萩原悠人とともにコロシアム内をなんとか生きていたが、萩原一人でサポートをするのにも限度がありクラスメイトたちに協力を求める。
 クラス全員で伊央を監視し支えるという体勢ができたのだが、他のクラスも同様に一人がコロシアム内に送り込まれており、生徒会長・椎名流華とゲーム内にいる副会長・高槻里美を中心にゲームを平和的に全員でクリアする道を目指すのだが、一人の裏切りによりゲームの中でも外でも腹の探り合いとなっていく。


■感想
 土橋さんの最新作です。あらすじが上手くいってませんが、かなり私的に好みな感じでひゃっはーです。私が読んだ土橋さん作品の中では『楽園島からの脱出』に近い気がしたな。
 戦う者=コロシアムの中にいるのはこの高校の一年から三年までの三十クラスにつき一人の代表者的な女子なので三十人。サポートするのは萩原だが、彼は初めの一人にすぎずクラスメイト全員なのでその辺はちょっと違うが、だからこそクラスの意志統一というかそれぞれの思惑が何ともたまりませんでしたw

 さて、えっちゃら行きましょうか。
 自殺したはずの伊央は気がつくと知らない場所にいて拳銃とナイフ、必要最小限の食糧等が入ったスチールケースを持たされて外に出される。
 そこは全く知らない場所で伊央は恐怖から逃げ出すが逃げる場所などなく、伊央についてくるワームを介して話しかけてくる声とともにここから抜け出すために行動を開始する。

 そのワームを介した声が萩原。
 ちょいとこの高校は特殊なんで初めに説明してしまいますが、ここには教師はいない。授業はスフィアシステムと呼ばれる全て液晶やタブレットを介したもので教師は必要ない。
 生徒の協調性や自立心を重視しているために生徒会の権力は強く、学校の敷地内に全て住宅やショッピングモール等が詰まっていてデリカという学内通貨まで存在するエリート高校という名の完全なる閉鎖空間。
 夏休みとかでも外には出られないというから一種の牢獄かなとも思う。学校ってさ、そんなに長い間いたくないだろうに。ゲームどこですればいいの?
 作中ではネットのコミュニケーションが強い感じですが、この辺は現実でもそうなんかは俺には分からん。フォーラムっていうのはlineみたいなもんかな? ま、どうせ僕はやらないのでどうでもいいのだが。アプリも結局は面倒くさいで全部やめちゃったからなー。
 萩原もフォーラムとかには参加せず、孤立というかアウトローな感じですが学内でイベント時のギャンブル事を牛耳っているチェス研に所属していることと、あまり周りには関心がないようなのでクラスのフォーラムの中で何を言われよう気にしないらしい。

 萩原とクラスメイトの鳴美の会話で連絡はなぜメールではいけないのかや、情報の一番難しいのは無視することという点はちょっと分かりますね。
 私に対する連絡手段もメールしかないw 電話はゲームしていたら出ないし携帯もめんどいと持ち歩かないし。以前は情報収集に力を入れていたが、かなり体力を使うからどうでも良くなってしまった。
 ゲームサイトもあんまり見なくなったが、情報って際限がないんだよね。どれだけ知っても結局は何にも知れていない気がするんだ。

 閑話休題。
 そんな高校生活でクラス委員・月島伊央が消えた。
 理由は誰も知らず、萩原は何気なくSNSのプロフィール画面で奇妙なアイコンを見つけたことをきっかけにとあるアプリがダウンロードされて伊央とコンタクトを取れるワームと繋がった。
 初めは伊央をゲームから助け出すために協力していたが、如何せんゲームについての説明が少なすぎる。

 提示されているゲームからの脱出方法は、
・一つ目はラストワンのナンバーになること。自分以外のナンバーを全て殺せばクリア。
・二つ目は自分で探すこと。
・三つ目は自殺の続きをすること。

 伊央にはナンバー7が振られていて、手っ取り早く言えば自分以外の全てを殺してしまえばいい。
 だが、拳銃を渡されたからってナイフがあるからってそんな簡単には行かない。そもそも簡単に殺し合いなんかできないっていう倫理観以前に伊央にはリングがついていてそれが重くて行動が制限されている。
 探索で疲れ切り水が不足してきたところで自販機が発見される。楽園島でも自販機だったよな、確か。無人での物資補給という面で優れてるんだろうな。

 相場の十倍もするがデリカで帰るのでワームを通じで萩原が払うのだが、他の生徒出現で拳銃を構え合い、あわや交戦かと言ったところで第三者介入。
 誰かが撃ったことにより伊央はその場を逃げ出すが、萩原は伊央の代わりに見張るのもデリカで物資を調達するのも一人では負担が大きすぎるとクラスメイトにこのことを打ち分けることに。

 クラス委員で人気者だった伊央のフォローは萩原がちょっと根回しをしたこともあって受け入れられる。
 だが、それは伊央にとっては救いでもなんでもなかった。

 萩原は伊央がクラス委員として人気があると思っていたが、チェス研の先輩である咲季に指摘される。月島伊央は空気を読まない。女子同士での暗黙のルールを破るからクラスに馴染んでいたわけではなく、お客様状態だったのだと。
 伊央が自殺をしたのは、クラスメイトの上っ面の視線が耐えられなかったから。

 実はクラスメイトの伊央に尽くす合戦、危ないから防弾チョッキを買ってあげよう、見てるからね安心してね、というそういう監視されている状態であった時に何者かに物資を奪われてしまう。……て言うかさ、クラスメイトたちの第一声である「今日も無事で良かったね」とかいう善意の押しつけ、私だったら吐き気がするほど拒絶したいんだが。
 ともかく他の参加者が近付くとはレーダーに反応があるのだが、それがなく、食料も防弾チョッキも奪われてしまったのだ。

 そこでせっかく買ってあげたかったのに高かったのにとクラスメイトの不満が爆発する中、萩原は初めに伊央を見つけたこともありオリジナルアプリで声による会話ができるので、クラスメイトのアプリでは文字による人工音声なのだが、それで「謝って泣け」とこの場を乗り切るために指示を出す。
 けれども、そんな風に伊央は演技なんかできず怒ってしまって萩原だけ会話ができることがバレてしまう。

 伊央と話せる権利を独占していたと怒りが萩原に向いて、萩原はもうクラスメイトがいるのだから自分はいらないだろうとスマホを置いて去ってしまうのだが、そこから先の伊央の状況はもう苦痛でしかないでしょうね。
 伊央に好意を抱いている男・本田が会話役を引き継ぎ、優しくフォローしてくれるが、そんなクラスメイトがつらくて伊央は自殺していた。

 この後、副会長・里美と合流してゲームの状況、学校でも会長・流華を通じてクラス毎に動くのではなく、一人に一つ持っていた弾丸を集めることでクリアを目指すという目的を統一される。
 会議の内容はクラスでそれぞれの参加者に伝えられることになるが、現時点でワームと離別して連絡が取れない参加者もいる。
 仕方ないので銃を持って交戦の意志はないと伝えつつ捕獲に向かい、弾丸を集めることに。

 嫌な予感がした。
 だって絶対に怪しい。撃てないのなら弾を渡してくれればいい? は、なにを言っているのか。制限のある弾を一か所に集めることほど怖いことはない。その人に全幅の信頼を抱いているなら別だけど。

 正直、生徒会長殿のやり方とかを見て胡散臭さは増していくんだよ。所謂、共通の敵を作るタイプで、まずは伊央が交戦しそうになったクラスの参加者が撃たれたことで初めは伊央が撃ったことにされそうになった。
 萩原が銃弾予測アプリで伊央が撃っても命中しないことを証明してみせたが、会長も初めからそのことは承知済み。証明できなければ悪者に仕立て上げようとしたわけだ。その証拠に参加者と連絡が取れないクラスはお前らのせいでこんなことになっているんだからデリカで協力しろと強制労働でバイトをさせられることになっている。
 というか、自販機でソールドアウトになっている弾丸が消費されると復活することを知っている時点で生徒会は信用ならないと思うんだがなー。

 この会議は参加者の第一発見者ともう一人異性の代表で行われるため伊央から手を引いた萩原と鳴美で参加する。
 銃を持って撃つと決断した伊央だが、食料も誰かとのコミュニケーションもなくなり変わり果てたはぐれ参加者の姿に撃つことができずに待機組に移されたところに他のはぐれ参加者に襲われる。
 あ、この参加者とかはブログを書く時に便宜的使っているだけなので本編で使われているわけではありませぬ。

 その人物は中谷美莉亜。不良と判断されている少女だが伊央は面識があり説得を試みる。それを知った萩原は慌ててクラスに戻るのだが、説得が成功したかと思われた時に里美が彼女を殺してしまう。
 里美は復讐のために中谷を殺し、逃げる伊央たちまでも撃った。ここで全クラス共同戦線は崩壊である。

 うーん、なんでも参加者に選ばれている人の共通点は自殺経験者らしいんだな。そして、里美は流華同等に光る素質があったのだが流華が早期にそれに気づき、里美を飼い殺してしまうんだ。
 流華とは違い学内での権力に興味はない里美だったが、バンドのヴォーカルとして人を惹きつける彼女に危機感を抱いた流華がバンドから孤立させてあなたには自分しかいないのよと思わせた。西尾維新の悲鳴伝でいう空々に対する花屋を思い出した。自分以外の選択肢を全て奪ったのだ。
 流華は会長となった自分の下に里美を置くことで権力を強めていったが里美の方は歪んでしまっていた。
 ラストワンになるまでゲームは続ける。だから私を勝ち残らせて流華、と。

 共同戦線崩壊でクラスの行動が面白くなっていく。
 萩原たちは怪我をした伊央が目を覚まし、撃ってでも勝ち残ると決めた彼女を徹底フォロー。

 殺された中谷のクラスは生徒会に謝罪要求と糾弾。私はいつも思うんだけど、謝って貰って何になるのだろうか。真に謝るべき相手はもうおらず、謝れば状況が好転するわけでも変わるわけでもない。ただ自分を満足させるための行為になんの意味があるんだろうな。なのに、みんな大好きだよな謝罪。

 流華たちはクラスに立てこもったまま、里美は初めに武力放棄した参加者を捉えて脅しフォローを要求してクリアを目指していた。
 戦うと決めた伊央は銃を撃ち威嚇することで二番目に多い銃弾保持者になっていくが、やり直すためにクラスへの帰還を目指す伊央と銃弾消費等での負荷が大きくクラスメイトとの距離は深まって行っていた。

 その結果、里美戦はやってくれる。
 流華が里美の暴走を止めるために寝返り、軽装備でレーダーが広範囲になることもあり単身薄着で乗り込んだ伊央だったが、里美はそれを知っていた。
 つまり、寝返ったのは流華ではなく緋香里。萩原たちのクラスメイトであり、萩原が緋香里の現在の人格形成に深くかかわっていることから萩原の共犯者的立場であったがこの子は萩原のことが好きっぽいんだなー。

 萩原が伊央と話せることが分かった時に彼女は怒っていた。
 萩原がクラスを離脱した時に追ってきてまで「私だけは分かってあげるから」。
 萩原が伊央負傷で傷ついている時に「私じゃダメかな?」。
 ……ほらな? クラスに帰って来た萩原は伊央のサポートに回りっきりでクラスの伊央投資額を緋香里にリークして金を出させろと言うが、ここで「クラスで伊央のことを追いつめたように」とか言ってるからこの女はまずいと思ってたんだ。

 実際に緋香里は流華と繋がり、伊央が誰かを撃って間接的にでも人殺しになるよりも友達が殺されたという悲劇的な立場の方がいいというクラスの意志を感じ取ってその最高の舞台を用意した。
 ま、伊央はナイフで里美を殺してしまうんだがな。歪んでしまった里美は人を痛ぶって殺そうとするんだが、それは死亡フラグだよなー。

 こうして人殺しという罪悪感を背負うことになった萩原たちだが、最後にチェス研での会話でゲームの全貌が見えてくる。
 この特異な学校は元々ゲームの舞台として作られていたもので、伊央たちのいる場所は別世界でもなんでもなく近くにいる。死んだ参加者は死体となって帰ってくるからね。

 そして、クリア条件のラストワンのクラスになればいいという遠回しな言い方。
 それは他の参加者を殺すだけではなく、現在のクラスメイトを捨てて別のクラスから一人ずつの集めて三十人を編成して他を殺すというのでもクリアできるということだ。
 他人事などではない。デスゲームは画面の向こうだけではなく、この学校自体だったのだ。

 やー、面白かったですコロシアム。
 クラスメイトたちの安全圏での身勝手にはイライラしていましたが、次でどうなるかが楽しみですね。続きますよね?
 計算大好き萩原と女の子的に感情的な伊央が物語が進んでいくにつれて影響されているのが面白かった。だが、緋香里は次からどう動くかな? 萩原に執着するか、別の道に進むか。
 萩原がクラスを信じるかもあるが、鳴美の存在もどうにもきになるんだよなー。
 個人的にアトリウムの続きも待っているんですが、土橋さん作品でまだ読んでいない初期の三作も読んでいきたい。え、だからOPは私の趣向的に無理だって。

 では、今回のお気に入りへ。
 萩原が離脱して銃を迷いながらも戦うことを決めた伊央が鳴美から銃のレクチャーを受けるシーン。ただ狙って引鉄を引く云々ではなく銃弾予測アプリでフォローしつつの説明や銃の整備のことを。
 だが、言われたとおりに動かされた伊央は思う。


 私はなんなんだろう、と思った。自分の意志に反した服を着て、銃の引鉄も画面の外の指示で引かされる。まるでゲームのキャラクターではないか。


 そういう考えもあるんだな。
 私は主人公=自分とは思わないタイプで一キャラクター的に考える。じゃなければ、自分にはできない変な行動もなにもできなくなってしまうので。
 けれど、そのキャラクターに意志があったならこんな感じだろうな。趣味趣向など関係なく性能で装備を決められ、自身の行動さえも決められて動く。
 行動選択を面白そうか否かで決める私はめっちゃ嫌われるんだろうなw







コロシアム
土橋真二郎(著),白身魚(イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015/4/10)
ラベル:土橋 真二郎
posted by SuZuhara at 23:02| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする