自殺したはずの少女が送り込まれたのは、死と隣り合わせのデスゲーム。 ひゅー、GWですね。
私はこれといって予定もないので引きこもるつもりでしたが、戦争が再開されたようです。はい、俺の初代vitaを壊してくれた兄貴が二代目vitaにブレスオブファイアVが入っていることに気づいて拉致ったのです。
な、開戦するには十分な理由だろう?
■あらすじ 月島伊央が目を覚ますと何もない空間で拳銃とナイフを与えられていた。強制的にゲームに参加させられることになった伊央はサポートしてくれるワームを通じてクラスメイトの萩原悠人とともにコロシアム内をなんとか生きていたが、萩原一人でサポートをするのにも限度がありクラスメイトたちに協力を求める。
クラス全員で伊央を監視し支えるという体勢ができたのだが、他のクラスも同様に一人がコロシアム内に送り込まれており、生徒会長・椎名流華とゲーム内にいる副会長・高槻里美を中心にゲームを平和的に全員でクリアする道を目指すのだが、一人の裏切りによりゲームの中でも外でも腹の探り合いとなっていく。
■感想 土橋さんの最新作です。あらすじが上手くいってませんが、かなり私的に好みな感じでひゃっはーです。私が読んだ土橋さん作品の中では『楽園島からの脱出』に近い気がしたな。
戦う者=コロシアムの中にいるのはこの高校の一年から三年までの三十クラスにつき一人の代表者的な女子なので三十人。サポートするのは萩原だが、彼は初めの一人にすぎずクラスメイト全員なのでその辺はちょっと違うが、だからこそクラスの意志統一というかそれぞれの思惑が何ともたまりませんでしたw
さて、えっちゃら行きましょうか。
自殺したはずの伊央は気がつくと知らない場所にいて拳銃とナイフ、必要最小限の食糧等が入ったスチールケースを持たされて外に出される。
そこは全く知らない場所で伊央は恐怖から逃げ出すが逃げる場所などなく、伊央についてくるワームを介して話しかけてくる声とともにここから抜け出すために行動を開始する。
そのワームを介した声が萩原。
ちょいとこの高校は特殊なんで初めに説明してしまいますが、ここには教師はいない。授業はスフィアシステムと呼ばれる全て液晶やタブレットを介したもので教師は必要ない。
生徒の協調性や自立心を重視しているために生徒会の権力は強く、学校の敷地内に全て住宅やショッピングモール等が詰まっていてデリカという学内通貨まで存在するエリート高校という名の完全なる閉鎖空間。
夏休みとかでも外には出られないというから一種の牢獄かなとも思う。学校ってさ、そんなに長い間いたくないだろうに。ゲームどこですればいいの?
作中ではネットのコミュニケーションが強い感じですが、この辺は現実でもそうなんかは俺には分からん。フォーラムっていうのはlineみたいなもんかな? ま、どうせ僕はやらないのでどうでもいいのだが。アプリも結局は面倒くさいで全部やめちゃったからなー。
萩原もフォーラムとかには参加せず、孤立というかアウトローな感じですが学内でイベント時のギャンブル事を牛耳っているチェス研に所属していることと、あまり周りには関心がないようなのでクラスのフォーラムの中で何を言われよう気にしないらしい。
萩原とクラスメイトの鳴美の会話で連絡はなぜメールではいけないのかや、情報の一番難しいのは無視することという点はちょっと分かりますね。
私に対する連絡手段もメールしかないw 電話はゲームしていたら出ないし携帯もめんどいと持ち歩かないし。以前は情報収集に力を入れていたが、かなり体力を使うからどうでも良くなってしまった。
ゲームサイトもあんまり見なくなったが、情報って際限がないんだよね。どれだけ知っても結局は何にも知れていない気がするんだ。
閑話休題。
そんな高校生活でクラス委員・月島伊央が消えた。
理由は誰も知らず、萩原は何気なくSNSのプロフィール画面で奇妙なアイコンを見つけたことをきっかけにとあるアプリがダウンロードされて伊央とコンタクトを取れるワームと繋がった。
初めは伊央をゲームから助け出すために協力していたが、如何せんゲームについての説明が少なすぎる。
提示されているゲームからの脱出方法は、
・一つ目はラストワンのナンバーになること。自分以外のナンバーを全て殺せばクリア。
・二つ目は自分で探すこと。
・三つ目は自殺の続きをすること。
伊央にはナンバー7が振られていて、手っ取り早く言えば自分以外の全てを殺してしまえばいい。
だが、拳銃を渡されたからってナイフがあるからってそんな簡単には行かない。そもそも簡単に殺し合いなんかできないっていう倫理観以前に伊央にはリングがついていてそれが重くて行動が制限されている。
探索で疲れ切り水が不足してきたところで自販機が発見される。楽園島でも自販機だったよな、確か。無人での物資補給という面で優れてるんだろうな。
相場の十倍もするがデリカで帰るのでワームを通じで萩原が払うのだが、他の生徒出現で拳銃を構え合い、あわや交戦かと言ったところで第三者介入。
誰かが撃ったことにより伊央はその場を逃げ出すが、萩原は伊央の代わりに見張るのもデリカで物資を調達するのも一人では負担が大きすぎるとクラスメイトにこのことを打ち分けることに。
クラス委員で人気者だった伊央のフォローは萩原がちょっと根回しをしたこともあって受け入れられる。
だが、それは伊央にとっては救いでもなんでもなかった。
萩原は伊央がクラス委員として人気があると思っていたが、チェス研の先輩である咲季に指摘される。月島伊央は空気を読まない。女子同士での暗黙のルールを破るからクラスに馴染んでいたわけではなく、お客様状態だったのだと。
伊央が自殺をしたのは、クラスメイトの上っ面の視線が耐えられなかったから。
実はクラスメイトの伊央に尽くす合戦、危ないから防弾チョッキを買ってあげよう、見てるからね安心してね、というそういう監視されている状態であった時に何者かに物資を奪われてしまう。……て言うかさ、クラスメイトたちの第一声である「今日も無事で良かったね」とかいう善意の押しつけ、私だったら吐き気がするほど拒絶したいんだが。
ともかく他の参加者が近付くとはレーダーに反応があるのだが、それがなく、食料も防弾チョッキも奪われてしまったのだ。
そこでせっかく買ってあげたかったのに高かったのにとクラスメイトの不満が爆発する中、萩原は初めに伊央を見つけたこともありオリジナルアプリで声による会話ができるので、クラスメイトのアプリでは文字による人工音声なのだが、それで「謝って泣け」とこの場を乗り切るために指示を出す。
けれども、そんな風に伊央は演技なんかできず怒ってしまって萩原だけ会話ができることがバレてしまう。
伊央と話せる権利を独占していたと怒りが萩原に向いて、萩原はもうクラスメイトがいるのだから自分はいらないだろうとスマホを置いて去ってしまうのだが、そこから先の伊央の状況はもう苦痛でしかないでしょうね。
伊央に好意を抱いている男・本田が会話役を引き継ぎ、優しくフォローしてくれるが、そんなクラスメイトがつらくて伊央は自殺していた。
この後、副会長・里美と合流してゲームの状況、学校でも会長・流華を通じてクラス毎に動くのではなく、一人に一つ持っていた弾丸を集めることでクリアを目指すという目的を統一される。
会議の内容はクラスでそれぞれの参加者に伝えられることになるが、現時点でワームと離別して連絡が取れない参加者もいる。
仕方ないので銃を持って交戦の意志はないと伝えつつ捕獲に向かい、弾丸を集めることに。
嫌な予感がした。
だって絶対に怪しい。撃てないのなら弾を渡してくれればいい? は、なにを言っているのか。制限のある弾を一か所に集めることほど怖いことはない。その人に全幅の信頼を抱いているなら別だけど。
正直、生徒会長殿のやり方とかを見て胡散臭さは増していくんだよ。所謂、共通の敵を作るタイプで、まずは伊央が交戦しそうになったクラスの参加者が撃たれたことで初めは伊央が撃ったことにされそうになった。
萩原が銃弾予測アプリで伊央が撃っても命中しないことを証明してみせたが、会長も初めからそのことは承知済み。証明できなければ悪者に仕立て上げようとしたわけだ。その証拠に参加者と連絡が取れないクラスはお前らのせいでこんなことになっているんだからデリカで協力しろと強制労働でバイトをさせられることになっている。
というか、自販機でソールドアウトになっている弾丸が消費されると復活することを知っている時点で生徒会は信用ならないと思うんだがなー。
この会議は参加者の第一発見者ともう一人異性の代表で行われるため伊央から手を引いた萩原と鳴美で参加する。
銃を持って撃つと決断した伊央だが、食料も誰かとのコミュニケーションもなくなり変わり果てたはぐれ参加者の姿に撃つことができずに待機組に移されたところに他のはぐれ参加者に襲われる。
あ、この参加者とかはブログを書く時に便宜的使っているだけなので本編で使われているわけではありませぬ。
その人物は中谷美莉亜。不良と判断されている少女だが伊央は面識があり説得を試みる。それを知った萩原は慌ててクラスに戻るのだが、説得が成功したかと思われた時に里美が彼女を殺してしまう。
里美は復讐のために中谷を殺し、逃げる伊央たちまでも撃った。ここで全クラス共同戦線は崩壊である。
うーん、なんでも参加者に選ばれている人の共通点は自殺経験者らしいんだな。そして、里美は流華同等に光る素質があったのだが流華が早期にそれに気づき、里美を飼い殺してしまうんだ。
流華とは違い学内での権力に興味はない里美だったが、バンドのヴォーカルとして人を惹きつける彼女に危機感を抱いた流華がバンドから孤立させてあなたには自分しかいないのよと思わせた。西尾維新の悲鳴伝でいう空々に対する花屋を思い出した。自分以外の選択肢を全て奪ったのだ。
流華は会長となった自分の下に里美を置くことで権力を強めていったが里美の方は歪んでしまっていた。
ラストワンになるまでゲームは続ける。だから私を勝ち残らせて流華、と。
共同戦線崩壊でクラスの行動が面白くなっていく。
萩原たちは怪我をした伊央が目を覚まし、撃ってでも勝ち残ると決めた彼女を徹底フォロー。
殺された中谷のクラスは生徒会に謝罪要求と糾弾。私はいつも思うんだけど、謝って貰って何になるのだろうか。真に謝るべき相手はもうおらず、謝れば状況が好転するわけでも変わるわけでもない。ただ自分を満足させるための行為になんの意味があるんだろうな。なのに、みんな大好きだよな謝罪。
流華たちはクラスに立てこもったまま、里美は初めに武力放棄した参加者を捉えて脅しフォローを要求してクリアを目指していた。
戦うと決めた伊央は銃を撃ち威嚇することで二番目に多い銃弾保持者になっていくが、やり直すためにクラスへの帰還を目指す伊央と銃弾消費等での負荷が大きくクラスメイトとの距離は深まって行っていた。
その結果、里美戦はやってくれる。
流華が里美の暴走を止めるために寝返り、軽装備でレーダーが広範囲になることもあり単身薄着で乗り込んだ伊央だったが、里美はそれを知っていた。
つまり、寝返ったのは流華ではなく緋香里。萩原たちのクラスメイトであり、萩原が緋香里の現在の人格形成に深くかかわっていることから萩原の共犯者的立場であったがこの子は萩原のことが好きっぽいんだなー。
萩原が伊央と話せることが分かった時に彼女は怒っていた。
萩原がクラスを離脱した時に追ってきてまで「私だけは分かってあげるから」。
萩原が伊央負傷で傷ついている時に「私じゃダメかな?」。
……ほらな? クラスに帰って来た萩原は伊央のサポートに回りっきりでクラスの伊央投資額を緋香里にリークして金を出させろと言うが、ここで「クラスで伊央のことを追いつめたように」とか言ってるからこの女はまずいと思ってたんだ。
実際に緋香里は流華と繋がり、伊央が誰かを撃って間接的にでも人殺しになるよりも友達が殺されたという悲劇的な立場の方がいいというクラスの意志を感じ取ってその最高の舞台を用意した。
ま、伊央はナイフで里美を殺してしまうんだがな。歪んでしまった里美は人を痛ぶって殺そうとするんだが、それは死亡フラグだよなー。
こうして人殺しという罪悪感を背負うことになった萩原たちだが、最後にチェス研での会話でゲームの全貌が見えてくる。
この特異な学校は元々ゲームの舞台として作られていたもので、伊央たちのいる場所は別世界でもなんでもなく近くにいる。死んだ参加者は死体となって帰ってくるからね。
そして、クリア条件のラストワンのクラスになればいいという遠回しな言い方。
それは他の参加者を殺すだけではなく、現在のクラスメイトを捨てて別のクラスから一人ずつの集めて三十人を編成して他を殺すというのでもクリアできるということだ。
他人事などではない。デスゲームは画面の向こうだけではなく、この学校自体だったのだ。
やー、面白かったですコロシアム。
クラスメイトたちの安全圏での身勝手にはイライラしていましたが、次でどうなるかが楽しみですね。続きますよね?
計算大好き萩原と女の子的に感情的な伊央が物語が進んでいくにつれて影響されているのが面白かった。だが、緋香里は次からどう動くかな? 萩原に執着するか、別の道に進むか。
萩原がクラスを信じるかもあるが、鳴美の存在もどうにもきになるんだよなー。
個人的にアトリウムの続きも待っているんですが、土橋さん作品でまだ読んでいない初期の三作も読んでいきたい。え、だからOPは私の趣向的に無理だって。
では、今回のお気に入りへ。
萩原が離脱して銃を迷いながらも戦うことを決めた伊央が鳴美から銃のレクチャーを受けるシーン。ただ狙って引鉄を引く云々ではなく銃弾予測アプリでフォローしつつの説明や銃の整備のことを。
だが、言われたとおりに動かされた伊央は思う。
私はなんなんだろう、と思った。自分の意志に反した服を着て、銃の引鉄も画面の外の指示で引かされる。まるでゲームのキャラクターではないか。
そういう考えもあるんだな。
私は主人公=自分とは思わないタイプで一キャラクター的に考える。じゃなければ、自分にはできない変な行動もなにもできなくなってしまうので。
けれど、そのキャラクターに意志があったならこんな感じだろうな。趣味趣向など関係なく性能で装備を決められ、自身の行動さえも決められて動く。
行動選択を面白そうか否かで決める私はめっちゃ嫌われるんだろうなw

コロシアム
土橋真二郎(著),白身魚(イラスト)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015/4/10)