2020年08月28日

LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘



「そしてあなたには、既に私の仕込んだ毒が回り始めている」


 幽霊とかオカルトとか、怖いってなんだろうと調べていたのだけども、ふと、これを考えるきっかけとなった仕事終わってるからもうよくね?と気づく。
 しかし、すっかり怖話スキーだと思われた兄貴が嬉々としていろんなものを持ってきてくれるから言い出せないw
 兄ちゃん頼む、もういいんだ。近所の幼稚園が心霊スポットだったとか、本当に聞きたくなかったよこんちくしょうっ!w


■あらすじ
 息子・ジーンの心臓手術のためにコドフリーマイニングより5億ドルを横領した会計士・ランディだったが、殺し屋を差し向けられて接触する前にメイドの峰不二子をジーンとともに逃すことに成功する。
 不二子とともに父を待っていたジーンの元にやって来た呪いを操る殺し屋・ビンカムにより父の死を知らされ、ジーンは復讐のために5億ドルが隠された貸金庫の暗証番号を報酬にルパンたちに復讐を依頼する。
 5億ドルの存在を嗅ぎつけてきたルパンたち同様に不二子の目当ても5億ドルだったが、子どもであるジーンには不二子のやり方が通じず、衝突しながらも不二子はジーンを守り、一人でビンカムとの対決に挑む。


■感想
 小池健監督の『LUPIN THE VRD』、大人ルパンとも呼ばれているらしいシリーズの第3弾。
『血煙の石川五ェ門』『次元大介の墓標』に続く、峰不二子のメイン回ですね。私はNetflixで前二作を視聴していますが、不二子のだけなかなかラインナップに加わらないからもう買ってきた。一番興味があるのが不二子の今作だったので。

 五ェ門も次元も、TV版ルパンに比べてグロい。五ェ門なんか目が痛くなるほどだ。でも、昨今の映画やる前の宣伝でしかないTVSP版に飽き飽きしている方なら血肉躍ってくださると思うので、是非観てほしい。でも、グロ注意。大切なことだから二回言いました。

 だが、今回は峰不二子回。グロくない。ポロリはあるけど、まったくグロくない。
 会計士の父親が息子のために横領した5億ドルを狙ってメイドになっていた不二子は、ジーンが知る貸金庫の暗証番号を聞き出して5億ドルを手に入れる寸法だったが、子どもであるジーンには得意の色仕掛けは通じない。
 それどころか、父の仇討ちを誓ってジーンがルパンたちに依頼をしてしまったりするから一時的な協同体制で殺し屋・ビンカムに挑むことになる。

 しかし、ビンカムは呪いにより人を操る催眠術のような力を持っており、ルパンはビンカムに銃口を突きつけるが仇討ちは失敗に終わる。
 不二子はジーンを連れて逃げつつも暗証番号を聞き出そうとするが、ちょっとやり方が強引というか、過ぎたこと(父の死)は忘れなさい、私がママになってあげるという見え見えの嘘に反発したジーンと仲違いしてしまう。ここ、不二子にしては下手な嘘で残念だったな。

 ジーンは不二子と離れてまんまとコドフリーの元に差し出されてしまうのだが、同時に後をつけていた不二子も捕まってしまう。
 そこでビンカムに暗証番号を言ってしまいそうになるジーンを助け、逆に殺されかけた時に不二子はビンカムに触れる。まるで殺人機械のように使われ続けたビンカムは不二子に触れられ甘い言葉をかけられて、そして不二子の身体に触った瞬間、ビンカムの中で何かが反応した。

 ルパンたちの乱入によってこの場は仕切り直しとなるが、立ち尽くすビンカムの顔は――恋に落ちていた。
 いや、男の本能を刺激されたと言うべきかな。機械だった男に不二子に対する欲望が確実に生まれていた。

 助けたことでジーンの信頼を得た不二子。二人でお風呂に入って、嘘のようだった母親になるという言葉にジーンは惹かれながら不二子に暗証番号を教えてしまう。
 そして、不二子はジーンはホテルの部屋において出て行った。

 ルパンからコドフリーが出資している殺し屋を量産している工場があることを知らされる。そこにさ、五ェ門の敵であったホークの姿があるんだよ。こんなのわっくわくしかしないよ!
 不二子はその後、コドフリーに5億ドルと私な写真を送りつけてビンカムとひとりで対峙することに。

 不二子の戦闘シーンは非常に良かった。
 五ェ門や次元と違い、不二子は戦闘技術的に非力な存在だ。格闘術はあっても彼らのような一芸がないという意味でね。不二子の武器と言えば色じかけであり、戦闘では役に立たずルパンに押しつけて一人退散ってのが定番じゃないかな?
 敵であるビンカムは殺し屋として改造された人間であり、膂力も人一倍あれば呪いも使う。銃だって爪で両断する。勝ち目なんかあると思う方がどうかしている。

 だが、それでも不二子は応戦して傷つきながらもビンカムに呪いを使わせる。
 既に不二子に魅了されているビンカムは自分の感情に戸惑いながらも戦っていたが、不二子はその瞬間を待っていた。場所の指定は不二子だっだんだ。有利な状況を作っておくのは当たり前だ。

 ビンカムの呪いは汗腺から出る毒を砂煙に混じって出し、人の心を操っていたのだという。冒頭でデビルズトランペットという花の毒の説明があったが、それを使っていたいたらしい。
 なるほど、砂煙どうやって出してんの?とか現実味は薄いが、呪いとか言われるよりは納得できる。
 この呪いの発動条件は乾燥した場所であることなので、爆弾で地中より水を噴き出させることで不二子は毒を無効化する。
 そして、ビンカムの方には不二子の毒が回っていた。不二子の肌が声が目がビンカムを狂わせる。欲望に火がついたビンカムが耐えきれずに不二子に手を出した瞬間、ブーツに仕込んでいた剣で心臓を突き刺されていた。

 わぁお、すごくいい。不二子らしい。
 というか、不二子という女性はこうであってほしい。色気だけではなく、色気こそ武器にして戦って欲しい。気味の悪い殺し屋だったビンカムが実に童貞っぽく落ちていたのには笑うのを通り越して見事だと拍手したいほどだ。
 しかし、最後に自分が使われた毒について尋ねるビンカムは少し悲しかったな。愛なんて、知るはずないもんな……。

 一方、ルパンたちはコドフリーのとこに乗り込んでいた。殺し屋工場について吐かせるつもりだったが、「あの方」の存在について口を滑らせた瞬間、狙撃されてしまう。
 次元の敵だったヤエル奥崎が腕をサイボーグ化させてそこにいた。三作は繋がっている、そして次もだ。

 最後はルパンと不二子の会話という名のネタバラし。
 ジーンの父親は死んでおらず、全てはジーンに父が死んだと思わせて金を奪おうとしていた不二子の嘘だった。不二子は父親との合流地点で違う場所に行き、ジーンに死んだと思わせただけだった。
 誤算だったのがビンカムの強さとジーンの父に対する想いで、ホテルに残されていたジーンは無事に父親と再会する。もちろん、金は不二子に奪われたがそんなことよりもジーンが大事だと実感しただろうと疲れたように笑う。

 ここなぁ、ルパンの言葉で分かるけど、ジーンたちはコドフリーが殺し屋を雇っていると知った時点で確実に殺される。だから不二子は金を奪ってトンズラするのではなく、ビンカムと対峙して、しかもコドフリーも殺そうとしていたんだ。
 不二子とは思えないアフターケアだが、作中で不二子が言っていたようにこれはジーンが男ではなく子どもだったからこその特別対応だったんだろうな。金はもらうがな。

 さて、私は昔からルパン三世が好きだが、そこまで詳しくない。原作は未読だし、昔のTVシリーズも子どもの頃に観たくらい。確か、カリオストロの城もちゃんと観てない。もしくはあんまり覚えていない。したたかなルパンの方が好きなんだ。『峰不二子という女』の方は一話しか観てないけれど、あのルパンはすげー格好いいのだった。
 そんな浅い知識だが、意外にも僕は峰不二子というキャラクターが好きではなかった。
 なんだろうな、いいところ取りがいやなのか、女の武器を使うことに嫌悪感があったのか。ドラクエ5でビアンカの良さも分からない子どもの頃の俺の考えなんか想像もつかないね。でも、当時僕が好きだったのはダントツで五ェ門だったことは覚えています。

 でも、今作の存在を知った時には『峰不二子の嘘』は絶対に観たいと思った。むしろ、これを観るために前二作も観たくらいだったもの。それまではルパンシリーズから手を切っていたんだ。
 いやー、期待裏切らず面白かった。ただのセクシー要因になりがちな不二子をここまでしっかり描いてくれて、不二子の「嘘」に対するこだわり、そしてちゃっかりしっかり大金を手に入れるしたたかさ。不二子の芯の部分が知れた感じですね。不二子の嘘はルパンが仕掛けを提示していてくれてにもかかわらず、気づけなかったからね。

 次の主役がルパンなのか、とっつぁんなのかは分かりませんが、あの方の全貌と物語のフィナーレが楽しみだ。
 願わくば、映画の上映を俺が見逃しませんように。不二子を知った時は上映終わってたからね。次は是非、映画館で観たい。

 では、ここらで今回のお気に入りへ。
 やっぱり印象的なのはルパンと不二子の会話なんですよね。何度か二人で話すけれども、全てが終わった最後に不二子が咥えていたルパンのタバコを返してルパンに寄りかかるシーンでの短いやりとりを。


「ね、少し眠ってもいい?」
「ああ、ゆっくりな」


 不二子が無防備に休めるというのがルパンへの信頼の表れですよね。そして、その後のお約束の結果も実に不二子らしい。
 でも、ポロリを期待して観るなら次元の方がいいですよ、と小さめに言っておくw





LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘 通常版 [Blu-ray]
原作:モンキー・パンチ 監督:小池健
峰不二子:沢城みゆき ビンカム:宮野真守
KADOKAWA / 角川書店 (2019/8/23)
posted by SuZuhara at 23:06| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月04日

アップグレード



 復讐が、<起動>する――。


 ぐあ、眠い。
 最近は人と関わることが多すぎてつらい。ソーシャルディスタンスしようぜ、距離取ろうぜ。むしろ私の外出を禁止してくれ。自宅謹慎でもいい、そういう目に僕は合いたいんです。
 Netflixで呪怨のドラマが始まりましたな。私は真夜中に興奮した兄貴が全編ネタバレしてくれる目に合いましたがこれ書き終わったら観るんだ。


■あらすじ
 愛する妻と平穏な日々を送っていたグレイは顧客である天才発明家エロンの車を修理し、届けた後の足を失ってしまうため車で妻にもついてきてもらった。
 しかし、その帰り道に突然現れた男たちによって妻は殺され、自分は四肢が麻痺して車椅子生活を余儀なくされてしまう。
 事件現場はドローンが撮影していたが犯人が特例できず、絶望から自殺未遂まで行なった後でエロンからAIチップ「STEM(ステム)」を埋め込むことでまた歩けるようになると話され手術を決意する。
 ステムの力で動けるようになったグレイだが、このステムは意思を持ちグレイに話しかけて、グレイの望み通りに妻を殺した犯人の捜索を手伝ってくれる。
 だが、ステムの完璧な捜索で犯人の男たちを追い詰め、拷問し全員に復讐するそれは最初のグレイの望みとかけ離れていく。

■感想
 ひっさびさに超好みなB級映画でした!
 冒頭の幸せはすぐに叩き落とされ、ステムという強制的な同居人が次第に相棒となっていき、妻殺しの犯人たちを追い詰めていく。人間ではない機械的アクションと最後の展開には歓喜しまくり!
 これは去年映画館行っとくんだったなって後悔するほどだったとも!

 あらすじにほとんど流れは書いちゃったからもう順を追っては書かないけど、舞台は近未来。と言っても、ドローンやAIが生活を支えている程度でそこまでSFじゃない世界。
 グレイはこの世界ではAIとかほとんどつかってないアナログな人間で、レトロとなった車の修理をしていた。

 しかし、突如男たちに襲撃されて妻を殺され自分も動けない身体に。
 そこに救いの手を差し伸べるエロン。埋め込んだチップ、AI・ステムによって動けるようになるがステムは特定不能だった犯人たちの手がかりをも見つけてしまう。

 ステムの存在は秘密なので、妻殺しの証拠を手に入れるために犯人の家に侵入。しかし、帰ってきた犯人と出くわしてしまう。殺されかけた時にステムは「助けが必要なら言ってくれ」と言う。
 そして、許可した途端に始まるステムがグレイの身体を使ってのアクション。ノールックで殴り、相手の動きを予測して殺す。
 まさか、殺すまでやると思っていなかったグレイは困惑するが、ステムが他の犯人へと繋がる情報を手に入れる。
 ここでステムがネットにない情報に困惑しているところを可愛いと思えた時期は平和だった。

 犯人がいるバーに乗り込み、またもステムと倒す。
 ステム、AIなんで惨い拷問とかさっくりやっちゃうんだよ!
 しかし、ここでエロンがステムを強制停止するために動き始める。ステムの存在がバレないために。

 だが、ステムはそれも予測済み。
 強制停止を解除するハッカーに目星をつけ、グレイに情報を書き留めさせた。グレイはステムが動かなくなる=自分で動けなくなるまでにハッカーの元に辿り着くが、追っ手も殺された仲間が残した視覚映像で迫ってきていた。
 あ、書き忘れてたけど、敵は銃を身体に一体化させたサイボーグなんだ。

 ここでさ、帰ってきてくれた時は「ステムぅっ!」って頼もしい相棒の帰還と感じていたわけだが、事態はきな臭くなっていく。

 妻殺しの事件を担当していた刑事・コルテスが疑っていたグレイの行動に気づいていた。
 グレイの方もステムに突き動かされる形で復讐の続きに行くが、そこでのカーチェイスで決定的なシーンが訪れる。
 ステムが手伝ってくれると言った瞬間、妻が乗っていた車と同じAI運転していた車が突如エラーを起こし、コルテスの車とクラッシュする。

 なぁ、おい。待てよ、相棒。
 このエラー画面、グレイたちの車がおかしくなった時にもあったよな?
 ハッカーにステムのプログラムコードを変更させて再起動で帰ってきてくれた後で、ステムはグレイの許可がなくても自分の意思で動けるようになっている。

 自分たちを守るためにと最後の一人・フィクスのところへ向かい、仲間にならないかを蹴って戦闘へ。
 チップが埋め込まれたことによりアップグレードしたグレイは今までステムで無類の強さを誇っていたのだが、フィクスもチップを埋め込んでいて逆に予測されて攻撃され回避され、初めてステムがグレイに助けを求める。
 グレイは前に殺したフィクスの弟のことを出して動揺させてフィクスを殺す。ここで「ありがとう」っていうステムが、ステムが!

 フィクスの発言からあの事件は妻を狙ったのではなくグレイを狙い脊髄を攻撃して今の動けない身体にすることであったと知ったステムは電話記録を調べるように言い、殺しの依頼はエロンがしたものだと知って最後の復讐に行く。
 ガードマンなんかノールックでステムが射撃だぜ。

 しかし、エロンの元にはコルテスがいてグレイは捕縛されたと思いきや、ここでもステム無双。
 でも、復讐に関係のないコルテスを手にかける気はないグレイはステムに抗い、コルテスにテーザー銃を打たせることで自分ごとステムを無力化。

 そこで明かされるのは、黒幕がエロンではなかったこと。エロンも初めからステムに言われたまま行動していたことが分かる。
 ステムは自在に動ける身体を求めていて、フィクスたちのような中途半端なアップグレードで汚れていない肉体としてグレイを選んだのだった。
 襲撃の計画も、助けに手を差し伸べたことも全てステムが仕組んだことだった。

 ここでステム復旧。グレイがステムを止めるために自分の手に刺していたナイフでそのままエロンを殺す。
 喋りすぎた以前に他のシステムを作る可能性のあるエロンは不要だった。

 続いてコルテス。
 彼女だけは守ろうとグレイはステムに抗い、自分に向けて引き金を引く。

 そして目覚めるとグレイはベッドの上にいた。
 四肢は動き、笑顔の妻から交通事故の後で2日間意識が戻らなかったことを知らされて抱き締めたグレイは安堵で泣き崩れる。

 ああ、なんてハッピーエンド。
 お前の中ではな。

 ステムによって心の中に閉じ込められたグレイは幸せな夢の中に落とされた。あとはステムが身体を引き継ぎ、コルテスに向けて銃を撃つ。
 無表情のグレイ=ステムはそのまま立ち去っていく、というバッドエンドなわけですよ。なにこれ最高か!

 ちょいちょい違和感はあったのですが、ステムの頼もしさもあって信じたくない気持ちでいっぱいだった。でも、やはり決定的だったのはハッカーにプログラムを変えさせたこと、車のエラー表示だよなー。
 AIの怖さを描く物語ではありましたが、どうしても共存はできなかったのかを考えてしまう。
 でも、無理だよな。ステムは身体を求めて最適な肉体を持つグレイを追い詰め、密かにプログラムコードを書き換えさせて自由を得た。グレイは必要ない。
 まだ、ステムがヴェノムのように宿主に愛着を持てばと思わなくもないが、グレイも妻を殺したステムを許すことなんかできるわけはないもんなー。

 ああ、素晴らしい映画だった。
 惜しむらくは、敵に恐怖を抱かなかったことかな。近未来なのに80年代風な世界でAIとのバディもの、そして全てを仕組んだ黒幕であるAIが宿主の精神を壊して解き放たれた恐怖の終わりでした。

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回はやっぱり停止したステムがハッカーによる再起動で帰ってくるシーン。
 動けない中、敵はもうすぐ側に来ていて「起きろ、ステム」と呼びかけ続けたグレイの声に応える。


「グレイ、ただいま」


 もう、この瞬間は有り余る頼もしさで歓喜したのになぁ。続く戦闘でステム△だったのに、全部仕組まれたモノだったんだよ。
 今回は吹き替えで観ていましたが、「ただいま、グレイ」だったらごめん。もうちょっと我慢出来なくて書きながら呪怨観てるからBD見返せないのだ。B級映画好きは是非観てほしい。確か、今ならAmazonプライムでも観れたはず。







アップグレード
監督 リー・ワネル 出演 ローガン・マーシャル=グリーン, メラニー・バレイヨ, ベッティ・ガブリエル, ハリソン・ギルバートソン, サイモン・メイデン
Happinet(2020/04/02)
posted by SuZuhara at 18:07| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月20日

ドロヘドロ Blu-ray BOX 下巻 初回生産限定版



「カイマンよく聞け、口の中の男は栗鼠だったんだ」


 世間ではついにラスアス2が発売したようですが、私が買うブリガンダインまではついに一週間切ったよ!
 久々にゲームを発売日に買うからめっちゃわくわくする! まだどの陣営からやるか決めてないし、休みも取れないらしいけど、そんなもの知るか俺はゲームするんだああと何度も言っているので大丈夫だろう。マジ本当に頼む。
 とまあ私の方はvitaの方にDLしただけで忘れていたゲームを消化しようかな、と手に取ったのですが、評判のよかったゲームをやっていないことに愕然としながら始めると、チュートリアルが長すぎてダメだったことを思い出す。
 本当に無理なんだよ、やっていくうちに理解するタイプでどうしても分からなければヘルプなり調べるけど、強制的に説明されるのが無理なんだ。


■あらすじ
 トカゲ頭に変えられた男・カイマンは自分に魔法をかけた魔法使いを友達のニカイドウと探していたが、自分に付き合い怪我をするニカイドウを見てこれ以上は巻き込めないと一人で魔法使いの世界に行ってしまう。
 それを追おうとするニカイドウだったが、煙に時を操る魔法使いであることがバレてしまい、ブルーナイトで強制的にパートナー契約させられてしまう。
 ニカイドウが煙のパートナーになったことを知ったカイマンは友達を助けるために変わってしまったニカイドウと拳を合わせることになる。


■感想
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 やー、下巻も買ったぜ! 待っていたぜ、魔のおまけ!!
 もう多くは語らず、内容コピペに行く。Amazonの商品ページより引用。


【初回生産限定特典】
1原作・林田球先生描き下ろしBOX
2キャラクターデザイン・岸友洋描き下ろしデジパック
3OVA「魔のおまけ1~6」(総尺約30分)
4オリジナルシューピアス

【初回生産限定特典】
1原作・林田球先生描き下ろしBOX
2キャラクターデザイン・岸友洋描き下ろしデジパック
3OVA「魔のおまけ1~6」(総尺約30分)
⇒新規アニメ映像!
4オリジナルシューピアス
⇒スニーカーの紐に付けられるアクセサリー!

【初回・通常共通特典】
■映像特典
PV、CM、ノンクレジットED

【収録話】
第7話~第12話+OVA(総尺約30分)



 このシューピアスってのは私、Lotus兄貴のも持っていたりするんですが、センスがないから持て余していたりする。
 てか、私基本的にアクセサリーは重いのでつけられないんですよ。指輪とか絶対にダメ、指動かなくなるのは無理すぎる。だから大人しく飾るんだぜー。
 Amazonの方には乗っていないけどカスカベ博士のタトゥーシールもついている。使ったら終わりだから使えないがね。

 さて、本題だ。OVA魔のおまけについて。
 僕は原作大人買いしたのだが、コミックに収録されているおまけ漫画のアニメ化。

・魔のおまけ1「仮面格差」
 魔法使いの仮面作りに関するお話。
 心や能井たちエリートは悪魔が作ってくれるが、藤田たち下っ端はそうはいかず、なんとか賄賂を渡して特性マスクを作ってもらおうとする話。
 能井の「チョコチョコチョコ」がめっちゃ可愛すぎたw

・魔のおまけ2「店舗for you」
 まだ餃子を手売りしていた頃のニカイドウが魔法使いが好むお茶を出す店で用心棒を始め、その後、空腹虫となる店舗を譲ってもらう話。
 ニカイドウがここのお茶好きなのも言わずもがなだったんだろうね。

・魔のおまけ3「下っ端青春グラフィティー」
 転んで怪我をした恵比寿が運び込まれた能井の部屋でたくさんの写真を見つけ、煙が写真好きでよく撮るのだと教えられる。自分の写真も欲しくなり煙に頼むがファミリーではないからダメだと断られ、自らカメラマンところに向かうことに。そして、カメラマンから藤田を含めた煙ファミリーの下っ端たちとともに写真を撮ってもらう。
 何気にランニングしている心先輩と普通に部屋に入れる能井が超好き。恋愛とかじゃないのさ、そうあることが当たり前なのがいいのさ。そして、煙や心からご飯をもらっても味に辛辣な恵比寿w

・魔のおまけ4「あなたの知らないギョーザの怪」
 空腹虫に住み着くギョーザ男は店主であるニカイドウも知らないうちに客が餃子を堪能できるように暗躍する。ある雨の日、ニカイドウが寝込んでいるうちに換気扇の掃除をしているととある来客がやってくる。
 ギョーザッザッ、とあの声を聞いたら忘れられないぞ。
 どちらかというと僕はこの続きの話の方が好きなのですが、ギョーザ男が動いているという謎の感動につつまれるのだったw

・魔のおまけ5「オドル魔ノウタゲ」
 煙から舞踏会を開くと言われ、心はまだファミリーに入ったばかりの頃に体験した舞踏会を思い出す。そこで会った女の子のことを気にかける心をダンスに誘う能井の姿に10年前のことを思い出すのだった。
 心と能井がメインですが、MVPはどう考えても煙さん。そして、「チチヲダス」もちゃんとやってくれる恵比寿とMAPPAが好きw

・魔のおまけ6「夜風に吹かれて大葉記念日」
 カイマンが取ってきた大葉と生姜でニカイドウは大葉餃子を作ることに。二人で作った餃子を屋上で食べることにする。
 髪の短いニカイドウなので出会って間もない頃、これでカイマンが大葉ギョーザ好きとなったかと思うと感慨深い。それも、本編で二人の出会いとかやった後だからね、おまけの最後として相応しい感じでした。

 おまけ全編がアニメとは違ったタッチで作られているのだが、この辺りは詳しくないのでお門違いなことを言っていたら申し訳ない。アニメは3Dモデルで作られているようだけど、おまけは違う。たぶんイラストなんじゃないかな? いや、色のタッチが違うだけかな?
 上手く説明できないけど、初めは少しの違和感とこれもいいなと全面肯定w それくらい楽しかったのである。

 アニメ本編の方がみんな大好き野球回から最終話まで。
 ドロヘドロでどの回が一番好きかと聞かれると、リビングデッドデイなのですが、楽しいのはダントツで野球回。恵比寿のシャークスダンスと最後のニカイドウの打ち方がマジでいいんだよw

 カイマンが魔法使いの世界に行ってからの擦れ違いはちょっとつらい。カイマンがいなくなったことで空腹虫は繁盛するけどそれじゃあ物足りなくて、探しに行くと決めた途端煙に囚われる。
 ブルーナイトでカイマンは知らぬ間に心先輩を助けていたりするが、ここでのスーツの能井超好き。グラグラも登場してるぜ!
 カイマンの遥か頭上でニカイドウは無理矢理煙と契約させられてしまう。もう、煙さんのこういうスマートじゃないところ好きだぜかなり。

 煙との契約でかつての自分を失い煙に言われるがままとなってしまったニカイドウを助けるためにカイマンがパイマンになりながら、ニカイドウとともに煙屋敷に囚われていたカスカベ博士らはかつて助けた心と再会して匿われていた。この状況で屋敷を歩き回れるカスカベ博士もすごいが、心の恩人ならとすぐに仲良くなる能井もすごい。こういうところぐちゃぐちゃ言わないから心と能井の関係はいいんだよな。

 最後に変わってしまったニカイドウを取り戻すために戦うことになる。落ちた穴の中で何者かに背中を切られたことで煙の契約書が取れて正気を取り戻すニカイドウだが、カイマンがそれを信じずに喧嘩腰なの楽しいw ここはさ、鳥太とアスも面白いんだよね。
 でも、迎えに来た煙がキクラゲとニカイドウの扱いが一緒でそれをツッコむ鳥太のセリフがなったのは残念だ。
 最後のEDはこの後のこと、毒我たち十字目幹部が出てたり、心に内緒で煙屋敷を出たカスカベ博士たちの冒険やニカイドウになった鳥太にベタベタされて喜ぶ煙さんとか素晴らしいし、ラップの入ったEDソングもめっちゃ好き。サントラも俺DL済みですよ、夢の花煙〜♪


 既にいっぱい書いてるからこの辺りでやめるけど、めちゃくちゃ面白い作品で、町並みに張られているチラシとか小物に注目するだけでも製作者さんの愛に溢れていることが分かる最高アニメでした。続編是非とも作って欲しいそのためなら俺、煙さんマスク買うよつけるよ近所くらいでならw

 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回はやっぱり最終話の「ボーイミーツガール=バトル!」より、このサブタイをそのまま使ってくれた時点でももう好きすぎるけど、バトル時にニカイドウとカイマンが交わすこの会話が好き。


「どーした、女が相手じゃ本気が出ないか?」
「テメーを女と思ったことは一度もねェわ!」


 二人が恋愛っぽくなることもないことはないけど、それ以上に友情が強いのがこの辺の信頼がハンパなくて好き。
 二期も三期もやってくれ、是非とも最後までやってください!






ドロヘドロ Blu-ray BOX 下巻 初回生産限定版
監督・林祐一郎 出演・高木渉、近藤玲奈
東宝(2020/06/17)
ラベル:ドロヘドロ
posted by SuZuhara at 09:36| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月21日

ドロヘドロ Blu-ray BOX 上巻 初回生産限定版



「よぉ、俺の口の中の男になんて言われた?」


 子どもの頃に読んだ本のあとがきに『この本を大切だと思ってくれたなら、いつか誰かに譲ってください。私は大切に保管されるよりも多くの人の目に触れてほしいのです。』って書いてあったことを今でも覚えているのだが、今になってやっとその言葉の意味の一端を知れた気がする。
 久々にさ、大好きで大切にしていた作品に触れてみたら記憶の中のそれと違っていた。思い出補正? 有り得る。私は以前から言っているが本は付箋をつけながら読む人間で、そのままになっていたんだが、いやー感じ入らないのな。感性が変わっていた。記憶の中の大切だったままにしておいた方がよかったのかもしれん。
 いや、別に嫌いになったとかじゃないんだけどね。ただ、もったいないことをしたなって痛感したんだっていう話。


■あらすじ
 記憶喪失の男・カイマンは魔法によってトカゲ頭にされていた。自分に魔法をかけた魔法使いを探し、本当の顔と記憶を取り戻すために友人・ニカイドウとホールで魔法実験を行なう魔法使いを狩っていく。
 その間で魔法使いの世界での大物・煙ファミリーの下っ端を殺したことから目をつけられ、掃除屋・心と能井がやってきて、カイマンとニカイドウは魔法使いの世界に深く関わっていくことになる。


■感想
 はっきり言おう、あらすじは意味をなしていない。
 てか、どう言えばいいの? きちんと説明できる人いるの? それがドロヘドロの面白さなんだよ!

 もうアニメはほとんど観れていないのですが、Netflixで一気観してめちゃくちゃハマった。
 いやー、面白そうだとは思っていたんだけど、毎週放送を追うってことが出来なくて1クールとか完結しないと観れないんだよ。ドロヘドロを観たきっかけはNetflixをやめようと思ったときに最後に観とこうかレベルでどっぷりだよ! 原作もイラスト集も買ったからな。惜しむらくはドロヘドロ展やっているときに気づけなかったことかな。収束してから大阪やってくれるなら行くかと思っているが、俺の行動力だとどうなるか分からんw
 とりあえず、BD下巻は発売するまではNetflixの契約は続ける。フラーハウスの新シーズンも来月やるっていうし。

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 BDBOXの内容について、以下Amazonの商品ページより転載。


【初回生産限定特典】
1原作・林田球先生描き下ろしBOX
2キャラクターデザイン・岸友洋描き下ろしデジパック
3特典ディスク
4フィンガースケートボード(ニカイドウ モデル)
5オリジナルステッカー(5枚)

【初回生産限定特典】
1原作・林田球先生描き下ろしBOX
2キャラクターデザイン・岸友洋描き下ろしデジパック
3特典ディスク
8bitオリジナルゲーム「リビングデッドデイ・サバイバー」「ブルーナイト・バトルロワイアル」(PC用)
4フィンガースケートボード(ニカイドウ モデル)
⇒ハンドサイズのミニチュアスケボー!
5オリジナルステッカー(5枚)

【初回・通常共通特典】
■映像特典
PV、CM、ノンクレジットOP・ED

【収録話】
第1話~第6話


 BOX開けたらカイマンの口の中になってる!って俺歓喜。
 まだPCゲームの方はプレイ出来ていないんだけど、この土日でえっちゃらやろう。ただ、この手のゲームが私は下手だw

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 特典のフィンガースケートボード。
 遊んでみたけど、私に遊ぶ技術はないのでドラネッツにあげる。いい感じなのでこのまま飾ってる。

 内容の感想については上手くできる気がしないのでざっくり行きますが、ドロヘドロの世界観はとても特殊だ。魔法使いの国とホール、これだけでも一口で語るのは難しい。
 けれども、そんな説明は不要だ。観れば分かる。理解できなくても観ているうちに把握していくから楽しい。カイマンとニカイドウは楽しく魔法使い狩りしていくけど、最初の脅威として心と能井がやってくる。その辺から魔法使いのマスクや魔法について疑問を持っていくが、全く説明されないけどそういうものって納得できちゃうからすごい。
 あと無性に餃子が食いたくなるw 僕は大葉が苦手なので入れないが、この三ヵ月ほどでかなりの頻度餃子食べてたよ。

 BDはついさっき観終わったけど、野球回の予告とか放送観てない自分の知らない映像あったので楽しい。
 魔の6までなので魔法使いの国に行って、ニカイドウが煙邸に襲撃してジョンソンが仲間になるところまで。あれ、黒いアレは白くなると見れるのだと気づいたw 野球回は下巻ですね。
 このアニメの制作会社MAPPAって初めて知ったんだけど、すごく丁寧でいいよな。呪術廻戦がここだと聞いた時、10月が俄然楽しみになったもんな。

 観始めた時はニカイドウが複数の男に無双するシーンがめっちゃ好きで、コンビとしては心能井が好きでしたなー。いや、能井の素顔が美人って言うか私服が格好いいよな。キクラゲ登場回の心先輩の特攻好き。能井が回復するから躊躇ないw
 そして、気がつくと煙ファミリー好きになってるから不思議。キクラゲ人形予約しようかと思ったもん。
 でも、やっぱり一番好きなのはカイマンとニカイドウのコンビなんだよなー。恋愛とかじゃないんだよ、二人は友達なんだ。うわわああ、二期どころか全編やってほしいから下巻も買うぜい!

 では、今回のお気に入りへ。
 カスカベ邸で年越ししたカイマンとニカイドウ。カイマンが急に「友達になってくれてありがとうな」と言い出すシーン。


「どんなことがあっても俺の友達でいてくれよな!」
「なにを今更……当たり前だろ」


 わー、文字だとこのシーンの良さが伝わらんな。
 ここでは自分が魔法使いであることを隠しているニカイドウにカイマンが言うんだ。前に先生にニカイドウが魔法使いだと言われても半信半疑で信じてなかったからな。
 だからこそ、真実を知っても友達でいられるのかという不安がよぎり、この問題を先送りにしたからこそこじれることになるんだけど、そういうとこ全部含めてカイマンとニカイドウが好きになるからNetflix入ってるなら是非見てほしい。
 





ドロヘドロ Blu-ray BOX 上巻 初回生産限定版
監督・林祐一郎 出演・高木渉、近藤玲奈
東宝(2020/05/20)
posted by SuZuhara at 22:23| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月14日

映画 ミスミソウ



 家族が焼き殺された日、私は復讐を決めた。


 ひゃっふー、休みだああっ! 丸一日の休みって久しぶりすぎる、なんだこれ時間があるってすげー!と自分の感覚がおかしくなっていることに気づく。頼むから外出自粛できる人は家にいてくれ。ここ数ヶ月仕事増えまくりでヤバいんだ……。
 おかげでいろいろ見逃しました。デザフェスや夏コミの通販とか気づくと終わってて笑った。縁がなかったのでしょう。FGOは頑張ってログインしてましたが、俺の森くんイベントなので頑張ってる。いやー、甲冑大好きでして。星5配布も予定すっ飛ばしてモードレッドもらっちゃったのはこのせい。でもイベントは特攻礼装土方さんで殴るだけの短絡攻略。復刻イベントなのでシナリオ読む時間なくても楽しめるのでなんとかなっているぜぃ。


■あらすじ
 父親の仕事の都合で東京から過疎化が進む田舎町へと引っ越してきた野咲春花はクラスメイトからイジメを受けていた。卒業までは耐えようとする春花だったが、廃校寸前の中学校ではよそ者と対する反発が強く教師すら頼りにならない。唯一の味方である相場晄と優しい家族に支えられていたのだが、家族にイジメが発覚し勧めもあって登校拒否をすることに。
 しかし、春花が登校しないことでイジメの対象が以前までイジメられていた佐山流美に移り、イジメから逃れたい一心とクラスのリーダー格である小黒妙子の気を引くために野咲家に放火してしまう。
 この放火によって両親を失い、最愛の妹すら全身黒焦げの重傷を負うことになった春花はショックで声を失ってしまうが、放火事件の発覚を怖れたクラスメイトたちによって自殺を強要、そして放火が彼ら彼女らの犯行であると知り、犯行に関わった全員に復讐を行なう。


■感想
 ネット上でちょこちょこお手伝いしている人に勧められて観た映画。
 悲しいことに一度書いた感想をPCフリーズで失っているので淡白になったら申し訳ない。普段メモ帳使ってるんだけど、こういう時不便だよなぁと。機能最小限だから好きなんだけどね。
 これまた勧められて今回からSimplenoteを使っていますが、実は私、このアプリでも3回ほど文章失っていたりする。Android携帯で書いたのをパソコン上で追記しようとしたら共有ミスなのか消えてた。消えたまま保存されて終わった。警戒しまくりなので他のやり方を考えた方がいいかもしれないなー。

 さて、本題。
 原作漫画が鬱だと有名とのことでしたが、私は基本疎いので知らなかったです。同じ作者・押切蓮介さんの『サユリ』も勧められましたので機会があれば読んでみたい。今は気軽に本屋行けないのでキツいなー。

 開幕から春花がイジメられているシーンなのですが、田舎町だてあってロケーションもキツい。自然豊かとでも言うべきか、落とされたら簡単には上れない穴のようなところで靴を投げ捨てられる。
 ここでクラスのリーダー格である妙子と取り巻き女子にイジメを受けているのですが、途中で来る男子たちも止めなかったりと救いはない。唯一の味方である相場もこの日は先に帰ってしまっているので。
 泥だらけになって帰宅した姉の春花を見た祥子の気持ちはつらいよな。親も異変に気づいて学校に抗議に行くが、担任教師も問題のある人で過去にイジメられていた過去からほぼ無視。それどころか、男子が春花父に画鋲装備上履きで蹴りつけるくらいだからね。もうこんな学校行くなよ。

 私がそう思っていたら、野咲家もそう判断。
 春花は登校拒否をすることになり、イジメの対象が以前までイジメられていた流美に移る。これを怖れた流美が来させろと命令されてお見舞いに来るが、春花は拒否。そして、流美がイジメられることに。

 登校拒否中、春花は相場と距離を深めてデートするのですが、その帰りに家が燃えていた。
 イジメで追い詰められた流美が春花を放火で殺すと言い、それに乗ったクラスメイトたちに家は燃やされていた。
 春花の悲痛な叫びに応えた相場が燃える家に飛び込み、なんとか妹を助け出すも生きているだけで全身黒焦げの重傷。両親は焼死。あ、ああ、絶望がすぎる。

 学校に登校した春花は声を失っていたのですが、事件の発覚を怖れた女子たちに呼び出される。どっちかって言うと八つ当たりかな。一人、酒浸りの父親を持つ女の子がいるんだけど、この子が積極的にイジメてて春花に自殺を強要。あとの二人は怯えて後悔していた。でも、ここに居合わせたのが運の尽き。
 このシーンはグロいのに綺麗という不思議な感じがした。母親が焼かれた時のことを言われてスイッチ入っちゃった春花がブッ刺し鉄パイプ殴打で一人殺す。女子がなぜか装備していたナイフを奪い、逃げようと助けてと懇願する残り二人も殺す。
 足を切られて死んだ子の流れはすげー好き。好き? 言い方が思いつかないんだけど、最後に残った子が「ママ、ママ」としか言えなくなるわそりゃあ、と真っ白の雪を血に染める春花は絵になっていた。

 犯行に関わった男子の名前を聞いていたのでそいつも殺すと、クラスでもボウガンとエアガン装備の男子が春花狩りに出る。でも、毎回思うんだが、いくら武器を持っていても殺しの一線を超えた相手を殺せると思うんだろうな。
 案の定返り討ちにして二人とも殺しますが、ボウガン少年は最後のシーンにおける重要な伏線。

 これによって追い詰められたのは放火の首謀者である流美は雪に埋もれた春花が殺した死体を発見してさらに追い詰められる。通報はできないから妙子に助けを求めるが、妙子は元々流美が好きじゃないんだよね。放火したよ、って喜んで報告に行ったときも手をシャーペンでブッ刺していたし。
 一方、妙子は流美が殺すと放火すると言った時に本気にせずに止めなかったことを後悔していた。流美と取ってこさせた春花のCDを返しながら懺悔するが、妙子は春花が嫌いでイジメていたわけではなかった。そもそも、初めから妙子自身は春花をイジメてないんだ。手を下していないって意味だけど。女子たちが言っていた「相場を春花に取られたから」というわけではなく、本当は始めに妙子が春花と仲良くなったのに相場に春花を取られたこと原因だった。美容師になるために東京に行きたいと願う妙子にとって東京から来た春花はよそ者と拒絶する存在じゃなかったんだ。

 直接謝って春花に許された妙子だったが、その帰り道で流美に襲撃される。「ひっ、だって。あのたえちゃんがひっだって」とかいう流美へのヘイトがハンパない。そして、やっぱりナイフ装備している妙子。田舎=ナイフ装備なのか。
 ここからは二人の殺し合いですが、やっぱり放火で人を殺している流美に分配が上がる。自分がやられたことではあるが、妙子の手を滅多刺しとか流美はホントえげつない。

 でも、でもね、このシーン。
 真っ白の雪の中、上下白の服に身を包んだ妙子。これは赤い服を着た春花との対比なんだろうけど、妙子は金髪なんだ。もう、翔んで埼玉のヒロインにしか見えなかったw いや、あの映画観てないんだけどね。妙子がそれにしか見えなくて、純粋な気持ちになれなかったという弊害ww ちゃんと公開直後に見ないといかんね。

 ここからは怒濤の展開。
 相場の本性が見えだし、流美は病院の祥子を襲撃。なんとかそれを防いだ春花だが、祖父が何者かに襲われて病院に運ばれてくる。
 祖父を襲ったのは相場。春花が相場と暮らすのではなく、祖父と妹と東京に戻ると伝えたときに発狂、家では反対した自身の祖母を殴って血塗れになっていた。同じく反対した春花の祖父も、である。

 ここで流美がやって来て放火当時のことを語る。怒りで我を失った春花が刺されたことで相場が流美を殴って木で喉を刺して殺しますが、火事の日の写真――春花の父と妹の写真を相場が撮っていたことを春花は知ってしまう。これこそが子を想う親の鏡だとかなんとか相場は言っていたが、いやいや無理だよ。てか流美をきちんと殺すお前は怖すぎるよ。
 自分に刺さったナイフ抜いて襲いかかる春花を相場は暴力で従わせようとする。妹はもう長くないし祖父も死ぬ。お前には俺だけだ、と一人で勝手にかつて語ったミスミソウの話に酔っていく相場を無視し春花は雪に埋まったボウガンを手に取る。あの少年がボウガンを装填して死んだことには意味があったのだ。
 カメラのレンズを覗き込んだ相場の目に刺さるのはシュールだが、復讐が全部終わっても春花が掬われないのがつらいな。

 最後に生き残った妙子の卒業式。つまり、春花も死んだのだろう。
 妙子はかつて春花と過ごした教室での光景を思い出して終わり。

 ここなー、この映画で妙子は春花と流美の髪を切ってるんだけど、手つきが全然違うんだよね。春花には本当に大切に、流美は投げやりでざく切り。友情はあった。でも、誰かの一番になりたいとかそういうどこにでもある感情が入り交じった結果、壊れちゃったんだろうな。
 全体を通して、学生陣の演技がががなところはあったけど、殺人に至るまでの描写はとても丁寧だった。そりゃあ、演出的にシュールなところはあったよ。相場のとか先生の最後とか。それでも、すごく丁寧で不思議と胸クソ感はなかった。EDの使い方が上手いんだな。

 うん、見てよかった。面白いという言葉は本作には合わないでしょうが、グロ平気なら是非見てほしい。翔んで埼玉のことは一度記憶から消すんだw
 原作と小説はちょっと展開が違うとのことなので読み比べたいが、いつになるかな。俺の次の休みもいつになるか、な……。
 
 では、ここで今回のお気に入りへ。
 今回は春花のことを好きだったエアガン装備男子が春花を評価した言葉を。耳コピなので細部違ったら申し訳ない。


「このなにもないクソ田舎で君の存在は毒なんだ。だって君は、美しすぎる」


 これは正しくその通りで、春花にその気がなくとも「東京からきたよそ者」って時点でこの町には異物であり波紋となる。しかも、春花が可愛かったからここまでの悲劇になったんだろうな。ちなみにAmazonプライムで観れるよ。






ミスミソウ
山田杏奈, 清水尋也, 大谷凜香(出演), 内藤瑛亮 (監督)
バップ(2018/10/03)
posted by SuZuhara at 13:20| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする