2025年05月19日

柴犬ぽんちゃん、今日もわが道を行く



 我が家にはマイペースで最高な柴犬がいる


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 全く繋がらねぇクレヨンしんちゃんくじをやってみたよ。箱によっては400人待ちとかえげつねぇ。やっとこそ自分の番になったら「3分以内に買え」とか言ってくるくせに待ち時間ホント長ぇ。

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 もうみんな大好きマカオとジョマはなくなっていたのでビビリ精神で2回だけチャレンジ。

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 よしよし、又兵衛さんの旗タオル当たった! シールもジャングルが好きなんで良し。欲を言えばポスターが欲しかったが概ね良しとしよう! もうオンライン限定とか辞めて。これは実店舗言った方が早いわ。


■感想
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 これまた発売日に買ったけど読めてなかったシリーズ。どうしても移動が多いと電子書籍ばっかになっちゃってな……。

 TwitterもといXにて投稿されている犬山スケッチさんとその愛犬ぽんたの日常。僕も楽しく拝見させてもらっていますが、Twitterやインスタだと追い切れないので書籍化したら買う。そんでもって特典ペーパーは死守する。

 水彩で描かれた日常漫画はもちろんなのですが、漫画じゃない一枚絵がすごく好きで川にスッポンいたとか、テレビの裏に入っちゃうとか、うちのイッヌとは犬種が違いますがあるある分かる分かると犬がいる親近感のでかさがすごい。

 もう是非読んでとしか言えないので感想もへったくれもないのだが、描き下ろし漫画の『ぽんちゃんの大冒険』がすごく良かったのでちょっと書きたい。

 散歩中に首輪が外れて脱走しちゃったぽんちゃんの話。慌てる飼い主の気持ちも知らずに楽しく散歩しちゃうぽんちゃんだが、こんな時に限って携帯を忘れて助けを呼べない。俺も散歩で携帯もってかないやw
 なんとか捕まえようとしても道なき道を行っちゃって、車に飛びださんかと心配も余所に好き勝手歩く。捕まえようとすれば当然逃げる。
 そこで車で通りかかった親子がぽんたが逃げていることを察して手伝ってくれるという話なのだけど、ここで無事にぽんたを捕まえられたときに親子が言った言葉があったけぇのだ。


「良かったねぽんちゃん
 ちょっとした大冒険だったねぇ」


 ここね、飼い主の不手際を怒るとか注意するとかきっとそういうことが正しいんだろうけど、悪いけど一番混乱して後悔してるのは飼い主なんだ。最悪を想像して心配で心配で死にそうになってるのもね。
 だから帰ってきて話を聞いたお父さんの反応とも救われる。そういうことが言える人間になりたいものだ。




柴犬ぽんちゃん、今日もわが道を行く (コミックエッセイ) - 犬山 スケッチ
柴犬ぽんちゃん、今日もわが道を行く 犬山 スケッチ
2025/01/22
KADOKAWA



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2025年05月18日

HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024 (完全生産限定盤)



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 アークナイツでは初回10回以内に星5以上の確定枠があるのだが、なるべくそれだけは引くようにしている。で、今回は大当たりと言っていい結果だ。なんでや、スズランママの時にこれが起こってくれないんや。
 でもね、このメンツって明らかに脳筋には使用無理なタイプじゃないですか。使いこなせないのやだー!


■感想
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 今回は発売日に買ったのに、今まで観てなかったよ宇多田ヒカルのライブBD。昨年のまとめで書いたと思うのですが、運よくチケットが当たったのでさいたまで参戦していました。アリーナ前方で観れたのは本当に運がよかった。もう慢性化している胃の痛みもあって次の日は死んでたけれども本望だった。

 なんで放置してたくせに今更観たんよ、と思われるだろうが、それは大雨だったから。雨の日は外出しない? 馬鹿言え、こちとらひねくれ者だぞ。雨の日は出掛けるタイプさ。
 しかし、イッヌが大の雨嫌いでしてね。雨音が強いと怖くてたまらなくなってしまって震え続ける。こういう時は傍にいることしかできない。あと大音量で音楽をかける、もしくは歌い続ける。
 ……うん、パピー時代に「この子は気分屋なんでなにかあったら歌を歌ってあげてくださいね。そうすると落ち着きます」となにを言われているのか分からなかったが、本当に歌で落ち着くイッヌなのだった。
 俺が歌うよりライブBD観ようぜ、と今回再生したのだった。

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 中身はこんな感じ。
 ライブとMVのBD、ライブ音源CDがつく。僕が買う決め手となったのはライブ音源CDですね。基本的に映像はあまり観ないことが多く、耳を使う方が好きなので音源CDがつくとどうしようもなく欲しくなってしまう。だから音源の方はよく聴いていたのですが、きちんとライブ映像を観たのは今回が初ですね。

 セトリ
1.time will tell
2.Letters
3.Wait & See 〜リスク〜
4.In My Room
5.光
6.For You
7.DISTANCE
8.traveling
9.First Love
10.Beautiful World
11.COLORS
12.ぼくはくま
13.Keep Tryin'
14.Kiss & Cry
15.誰かの願いが叶うころ
16.BADモード
17.あなた
18.花束を君に
19.何色でもない花
20.One Last Kiss
21.君に夢中
22.Electricity
23.Stay Gold
24.Automatic
・DOCUMENTARY OF THE SCIENCE FICTION TOUR
・スペシャルブックレットと全公演地のメモリアルチケット

 せっかくなので自分が入ったライブを思い出しながら書いてみよう。
 以前にも言ったかな? 僕は宇多田ヒカルさんに関しては人並みに好きくらいのレベルだと思っていたのだが、曲を改めて聴くと好きな曲ばっかりなんだよな。


『Automatic』とか本当に笑う犬のイメージしかない。笑う犬でもコントやっていたしね、確か笑う犬にコメント投稿もしてなかったっけ宇多田ヒカルさん。
 僕の中でのピークというか、一番記憶に残っているのは『光』。キンハー世代なのもあるけど、あの皿洗いMVは最高だった。そんでもって映画エヴァ主題歌は兄貴が発狂していた&職場のおじさん方が涙を流すイメージwだが、僕はエヴァを理解し切れていないので映画を観て歌詞考察が面白かった。
 そんなこんななままでファンというにはおこがましいレベルでコンサート行ったんよ!

 横浜出身だがKアリーナは行ったことがなく本編観ていましたが、さいたまスーアリとほとんど変わらなかったと思う。セトリは違うのかな? ちょっとそこまではいっぱいいっぱいで覚えていない。
 僕はライブの前に毎回「今日は○○が聴けたら最高だ!」と決めて臨むのですが、当時は『SAKURAドロップス』か『COLORS』だった。どっちも好きでね、特にCOLORSの物語としての完成度がハンパないと思っているのですが、SAKURAドロップスは当時の歌番組で「はじめの一歩を読みながら作った」ってのが印象に残っている。どうして同じようなパンチ何度も〜ってとこね。俺も読んでたよ。

 さてはて、いくら前方だったとはいえ、ライブの肉眼とカメラアングルは別物。表情からバックバンドまで詳しく観れるのはすごくいい。
 特に今回のライブでは『誰かの願いがかなうころ』がめちゃくちゃ良かったと思うんですよね。原曲はそこまで印象がなかったんだけど、ピアノを弾きながら歌うよりも単独でしっとりと歌い上げるのは震えた。ガキの精神から成長したというのもあるんだけど、歌詞の物語性も違って感じられた。うーむ、実写『CASSHERN』も今観れば違うのかもな。

 ライブ映像のいいところは演出が全体で観れるところだと思う。
 前方とか最高だがやっぱりアーティストばっかり注目してしまうし、演出なんか気にすることはできん。目が、目が追尾機能を持ってしまうんや!
 あと、当時の僕の記録ではベースとギターかっけぇえええ!!って書き綴っているのだが、なんかねー観てもらえば分かるが最高なんだ。確か、職場の先輩がベースのファンってことでいろいろ押してもらったよ。
 さいたまではですね、アンコール前にベースのセイ・アンデルカンさんが身振り手振りで観客と遊んでくれてさ、アンコール待ちも楽しかったんだが、宇多田さんが「セイがなにやってるのか気になちゃって」と予定より早めに出てくるって流れが楽しかった。もう1年前かよ、早いなー。

 実を言うと先日リリースされた新曲はまだ聴けていないのですが、ライブ当日の楽しさが伝わる最高のライブBDでした。MVも40曲分ついててかなり楽しい。僕は『光』が好きだけど、他の曲だが改めて観ると出てる俳優さんがすごすぎたりで面白い。ドキュメンタリーも40分あるので見応えはすごかった。観終わったら震えっぱなしだった犬が寝てたくらいよw
 個人的にアルバムで初めてちゃんと聴いて好きになった曲名が覚えられないのだが、ライブにはなかったのであとでまたアルバムを聴こうそうしよう。




HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024 (完全生産限定盤) (Blu-ray) (特典なし) - 宇多田ヒカル
HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024 (完全生産限定盤) (Blu-ray) (特典なし) - 宇多田ヒカル
2024/12/11
ソニー・ミュージックレーベルズ

posted by SuZuhara at 09:15| Comment(0) | BD&DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月15日

天才少女は重力場で踊る



 この体が動くうちに、未来の三澄の力を借りよう。今の俺にはそれしかできない。


 人間ドックに行ってきた。健康に気を使う意識高い系ではない。単純に去年以降からの胃のせいだ。胃カメラを飲むのは苦痛でしかないが、体内を見るのはあまりない経験なのでよく見る。
「ここ、綺麗でしょ?」分からん。「ここも綺麗ね」分からん。「でもここから激しい症状が見られますね」全然分からん。
 たぶん、というか確実にこれは引っかかってますね。


■あらすじ
 万里部鉱が卒業研究の単位欲しさに一石教授の研究室に訪れると、そこで出会った17歳の特別招聘教授・三澄翠と衝突する。鉱の物理学に対して情熱のない態度と未来と交信するリングレーザー通信機の起動が重なった事もあるが三澄は終始否定的な態度であり、鉱も最低限の関わりで済ませようとするのだが、この研究所での鉱の仕事はあまりの集中力でオンとオフの差が激しい三澄翠を起こして連れてくることだった。
 早くも鉱が後悔しているとそこに未来からのメッセージが届く。タイムスタンプは2031年の三澄翠。
『わたしとあなたが恋をしないと、世界は終わる』


■感想
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 去年勧められて手に取った『白昼夢の青写真』の緒乃ワサビさんの小説。……ゲームはまだプレイしきれていない。すももの話はやったんだよ。すももが可愛いというか、あの三人の関係好きすぎて次に行けないと言うか……switchでノベルゲーとか重すぎて続かんのよ。

 この本を読み始めた時シュタゲっぽいなと思ったのだが、読み終わってもシュタゲっぽいなと思う。あっちは本当に世界を救う話だが、こっちは個人の主観としての世界を救う話。僕は好きです。自分の主観がハッピーでないのなら、世界なんて滅亡モノでいいんですよ。

 さて、僕は生粋の文系なので物理学云々は完全に流し読みをしているのであしからずですが本編に行こう。
 潔癖症で心配性な万里部鉱は卒業単位欲しさに一石教授の研究室に訪れ、そこで三澄翠に出会う。初めっから喧嘩腰に噛みついてくる翠だったが、まぁ積み重ねた大事な日に部外者が入ってくるのは面白くない。でも、鉱からしたらそんなことは知らん。
 秘密厳守の契約にサインして画期的なリングレーザー通信機の機動実験に立ち会うことになるが、これは所謂Dメール的なものと認識した。でももっと規模のでかい、今日この時間を起点に過去にも未来にもメッセージが送れるというもの。この存在を知っている有識者たちがメッセージをやりとりするってことなんだろう。

 鉱同様そういうもんかくらいで納得していると、物理学に熱心じゃない鉱がここにいる理由を明かされる。
 このすごい装置を作った三澄翠は天才だけど、実験以外はからきしである。だから、出なきゃ行けない会議とか平気で寝過ごす。君はアラームだ。あらゆる手段を用いて三澄翠を起こせ、と渡される三澄ハウスキー。わーい、恋が始まるね。
 そして、偶然にも登録した鉱の網膜が認識されて未来の三澄からも恋しちゃいなよー!という指令。これは、恋愛小説だ、とここで認識したのだったw

 恋に至るまでの経過は丁寧に描写されるが、びっくりするほど三澄がちょろい。
 潔癖な鉱からしたらゴミ溜めな三澄の部屋に入って起こすというのは卒論書いた方がマシレベルの苦行だし、三澄は実験に関係ないことに一ミリも労力使いたくない。表紙の三澄が美人すぎるんだが、これで汚部屋の主ってどういうことよ。
 二人は相性が合わないかのように喧嘩しまくり、鉱的にこいつと恋するとかあり得ないとなるが、心配性でもあるから「世界が終わる」とか言われて気になりまくる。そんな鉱に未来三澄から三澄翠を落とすためのワンポイントアドバイス。
 ちょっと早いけど、ここが今回のお気に入り。


『わたしの部屋を片付けてあげて』
「……勘弁してくれよおおぉぉぉぉっ!!!」


 笑った。潔癖症に、というか他人のテリトリーを片づけるってなんとも勇気がいるもんよ。
 鉱は律儀な人間なので次の日から片づけに入る。一日じゃ終わらない。三澄は興味なさそうに許可するが、鉱の疑問にはちゃんと答えるからそう関係は悪くない。
 未来三澄にも確認しながらなのが面白い。向こうからしたら過去にあったことだからね。Goodlack。

 三澄の家に実家からの仕送りがあったことから発掘したキッチンで料理をしようとすると、三澄は起きて鉱が来るのを待っていた。この辺りでだいぶあれである。
 そんで持って作った筑前煮でご飯を食べさせる頃には完全に落ちてたと言える。三澄はこの筑前煮を写真にとってあとで一石教授たちに自慢してるからね。生活力のない奴は胃袋掴まれたら弱いんだ。いや、俺も筑前煮なんて作られたら惚れてしまうなー。筑前煮が好きなんですよずるすぎる。

 しかし、ここから暗雲。
 鉱に未来三澄以外からもメッセージがくる。そのあいては二人の関係者を名乗り、三澄とのことをいろいろ聞いてくる。
 三澄は三澄で通常運転。信頼度が上がったことで以前に口にしただけでもブチ切れたHCL PROJECTについて教えてくれる。その名もハッピーキャンパスライフ、普通の大学生活を送りたいの。

 要望を受けて普通の大学生活へ。
 特別招聘教授という天才は大学生活なんぞ送ってないから学食などを体験していき、自分が担当している講義、パワーポイントと合成音声のものを受けに行くことに。
 天才の講義は勉強の領域で詳しく知りたいなら参考書を読めというもので質疑応答はないという三澄に普通はあると鉱が言うと、その場で合成音声使って質疑応答を受けつけはじめる。普通の枕詞があればなんでもやってくれるぞw
 しかし、なんつーかここで頭に過ぎるのはシュタゲの序盤、紅莉栖の講義なんだよね。タイムトラベル理論にもなるから。どうしても比較しちゃって、オカリンと紅莉栖のバトルは面白かったなと思ってしまった。

 続いて鉱のバイト先や家に行って母親に挨拶と天才は確実に行動をしていたw これは冗談だけど、いい感じというヤツである。
 ここら辺ではもう鉱自身も三澄に好意を持っていた。

 でもやって来るのよ、起承転結の転である。
 三澄から泰兄と呼ばれ、一石研究室のスポンサーである二階堂が僕は三澄のことが好きだからアラーム役を代わってくれ、と。
 三澄との接点を取り上げられてグラグラに揺らいでしまった鉱は未来三澄と話そうとするも、網膜認証も取り上げられて部屋に入れない。むしろ、エラー認証が何度も起こるので三澄が飛んできたほど。
 けれど、三澄には言えない。二人はまだ恋愛はしていない。
 勝手に距離取られて起こる三澄は可愛い。HCLプロジェクトは個人間での約束だって必死に繋いでおる。なんで鉱は気づかないんだ。

 三澄と二階堂が仕事で席を外したあとで鉱は一石教授にこれまでのことを全て話す。実に面白い、と一石教授はホワイトボードにこれまでのことを纏めてくれる。時系列に並べると分かりやすいね、やめて恋愛の過程を視覚化しないで!
 全てを理解した一石教授は未来三澄に聞こうか、と三澄のプログラムを見ただけで起動させて、未来三澄――七年後の三澄翠と繋がった。

 ここで一石教授と三澄のここまでに至るまでの関係は分からない。ただ、一石教授がいるから三澄翠はここにいるというほどに慕っている恩師は、もう彼女の傍にはいないらしい。
 感傷は捨て、鉱の身に起こったことを天才2人が推理する。
 言ってしまえば、鉱に接触していたもう1人が三澄と鉱の子どもである光だった。今の、未来三澄は彼女を身に宿している状態なのだが、それよりも先の未来で鉱と三澄は事故で死ぬ。その未来を変えるために、三澄の古いパソコンに残ったデータを使って自分の存在が危うくなろうとも、救いたかったという感じ。この辺りはもうちょっと周りの有識者に相談は出来なかったのかと思うほどの穴があるが、鉱的には自分の娘という存在に突き動かされていた。
 鉱の親は離婚していて片親で育っている。自分も親にはならない方がいい人間だと思っていた。そんな中での自分の娘。俺はただ神経質なだけの男だが、三澄翠は天才だ。

 世界を救うため、三澄翠へ告白だ。まぁ、エクストリーム告白なんて言っているが、三澄は完全に落ちているので約束された勝利の告白。でも、恋人になってからの鉱は二階堂の会社へ就職して生まれてくる光のために地味に積み重ねていたのだが、三澄は出産予定日前日に鉱と三澄の関係を変えようとする不正通信を見つけて瞬殺しようとしてたw やめて、天才自重しろw
 そこで初めてネタばらしして現在と過去が繋がる。未来の事故、ハイジャックだったんだけどその阻止方法も対処済みなので大丈夫だろう。

 最後に、三澄のいう世界は個人の主観での世界。
 お腹の中にいる光にとって三澄がすべてで、三澄にとっても光がすべてだった。だから守ってほしかったと言ってるが、たぶんその前段階の鉱に会わずに彼を好きにならないというのも含まれているのだろう。今の幸せは過去から未来へと繋がってできているはずだから。

 恋愛、青春小説としてとてもよく纏まった物語だった。
 うん、下手に続きが読みたいとかもなくちゃんと完結しているというのがとても好感が持てる。鉱と三澄の恋愛に焦点が絞られているのがよかったが、二階堂さんが恋敵になり得ないという鉱以外全員の認識が面白かった。できれば一石教授のことはもうちょっと知りたかったかな。ただ、タイトルの意味は全く分かってない。




天才少女は重力場で踊る(新潮文庫nex) - 緒乃ワサビ
天才少女は重力場で踊る(新潮文庫nex) - 緒乃ワサビ
2024/06/26
新潮社
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2025年05月12日

珈琲怪談



 深煎りネルドリップ、男子ホラーはいかが?


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 一応、FGO初期勢にも関わらず初めて手札揃いを引けた気がする。狂ランスは唯一スカディの絆が埋まっていないのでよく組ませるのですが、鎧姿が最高だよな。剣ランスと揃って僕の初期脆弱カルデアを引っ張ってくれてました。
 今度来るグランドシステム? え、聖杯捧げたセイバーって剣ランスしかいないんだが。バーサーカーばっかりにしか聖杯捧げてないんだが。


■あらすじ
 働き盛りの男4人が集まり、遠出してまで喫茶店をハシゴして怪談を披露し合う珈琲怪談。時間的に全員揃うことができなくても男たちはできるだけ集まり、そこでした何気ない会話が行き詰まった仕事の糸口になったりして続いていく。


■感想
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 半額セール中だったドラゴンボールの一番くじで欲しかったH賞、しかもZが残っていた。最高か。鳥山明先生の乗り物も好きなのでまたH賞狙いたいが、他の賞は欲しくないというジレンマよ。

 さて、本題だ。以前に書いたイベント『珈琲参道』に行くと決めた時に本屋で出会って購入。コーヒーを飲みながら読みたかったが、俺の胃は(以下略
 作者の恩田陸さんの作品を手に取ったのは初めてだった。ていうか『蜜蜂と遠雷』の作者であることも知らなかった。そんでもって同作の映像作品も観ていない。僕というのはそういう人間である。

 さてさて、本作は男たちが喫茶店に集まって怪談を話すという連作短編である。面白そうだなと軽く手に取りましたが、帯に書かれた『17年ぶりの塚崎多聞シリーズ』の文字を見逃していた。うっかりしていたんだ。
 登場人物紹介以上の人物紹介はないまま男たちの怪談のような、怪談でないような、けれどもうっすら怖い話が始まる。以前に集まった話とやらが作中で語られるのを待っていましたが、それは前シリーズでのことだったので一見には正直関係がよく分からん。なので変な勘違いしているかもしれんのでそこは大目に見てほしい。

 シリーズを知らない身としては、誰が話しているのかというのが結構見失いがちになる。漫画のようにそれぞれ個性的な話し方をするなんてことはないから分からなくなる。全員男だしね。唯一、突拍子もなさのある多聞だけはちょこちょこと分かるけれども、尾上の作曲家と多聞の音楽プロデューサーの違いも混乱してなかなか入り込めなかった。無念だ。

 全部で6編あるんだが、どれもオチというか本当に仲間内で話す怖い話って感じで印象的なものはない。個人的には証拠が多く残っているのに犯人が捕まっていない一家惨殺事件という話題が分かりやすい。僕の友達の弟の友達だったらしい。友達の友達という都市伝説並みの関係だ。いや、もう一段階遠いね。
 僕も人並みに体験があるけれども、それを語っても面白くないというかやはり語り部次第だと思うので、登場人物のことがちゃんと分からないままで進んでしまうと脳内がちぐはぐな感情に占められてしまったんだ。黒田の犬の話は面白かったがね。

 うーん、やはりシリーズものに途中から手を出すべきじゃないな。機会があれば前も読んでみたいですが、そんなに多聞にも興味を持てていないのでどうかな。
 ただ、喫茶店の描写はすごく良くて子細に想像ができる。珈琲怪談なのにほとんど珈琲以外を飲んだり食ったりしているが、仲間内の集まりなんてそんなものという楽しさと仲の良さはめっちゃ伝わってくるのでハマれば面白いと思う。怪談に重きを置くと違うという感覚が強くなるので、ちょっとした怪異話くらいの気持ちで望んだ方がいいと思う。


 では、ここで今回のお気に入りへ。
 怪談話をしている最中になぜ怪談は人気があるのかという話題になる。幽霊の正体見たり枯れ尾花ではないが、十分に科学が発展した世の中でもなぜ人気なのか。


「あるかもしれない、だからいいんだよ。信じる信じないじゃなくて、分からない、でいいと思うし、そういうもんだから必要とされるんだと思うが」


 それなー、である。
 嘘か本当かなんて二の次。でも、全くの嘘じゃなくありえるかも、と思えてしまうのが一番恐怖を感じるんだよな。
 ちなみに、謳い文句の『深煎りネルドリップ』なる描写が一切ないのも俺的にはホラーなんだが。どこから来たんだコレw





珈琲怪談 (幻冬舎単行本) - 恩田陸
珈琲怪談 - 恩田陸
2025/04/16
幻冬舎



posted by SuZuhara at 17:04| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月10日

あとはおいしいご飯があれば



「一人でいようが、誰かといようが、楽しければいい」


 また胃が壊れたぜー! いえーい、何度目だこれ!
 食えない飲めない脱水症状でぶっ倒れる寸前に会社を早退し、帰り際におそらく心配して来るであろう家族の夕食を準備し、犬の散歩に行った後に案の定倒れる。大丈夫、ベッドの上だ。以前の玄関で倒れて後頭部強打で意識を失うなんてヘマはもうしないさ。
 が、予想通りに来た家族がわざわざ起こしてくれる。用意しておいた夕食を食べる間の話し相手をさせられる。後片付けも当然俺。意識が朦朧としている。水を飲めと起こされる。含むようにして飲まないと吐く――しゃらくせぇ飲めと押し込まれる。
 そんなこんなで目が醒めたのでゲームするかとなるいつものパターン。今回は起きてられなかったのでPSvitaでジャスティス学園やってた。vitaはいいよね、一番好きなハードだよ。


■あらすじ
 子どもの時のように花丸なんてもらえない母親の内緒のクレープ。高校時代にほとんど接点のない同級生が分けてくれた出汁。孫のために祖母がよく作ってくれただし巻き玉子。
 日常に寄り添う食に関するショートストーリー集。


■感想
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 自分がちゃんと食えないせいか食べ物系をよく手に取る。今回興味を持ったのはショートストーリー集だったからかな。以前に感想を書いた『彼女のこんだて帖』みたいなかんじだったらいいな、と思っていましたが、連作短編のようにうっすら繋がったストーリーでとても良かった。高校時代の変わった子はよく出てきて笑ったw
 あと、どうでもいい話だが、本屋でよくおかれている栞の世界遺産シリーズが好きでついついもらってしまう。大学時代にアメリカの図書館でもらった栞とかライブチケットの半券とか、いろいろ好き勝手に使うんだけどもね。

 さて、全部で13編もあるショートストーリーを全部語るのは野暮なので好きなモノを3つほど。
 
・秘密の昼ご飯
 高校で女子の仲良しグループに入れずに一人で昼ご飯を食べるところを見られたくない一心で体育館に来ると同級生の少女がいた。名前だけ知っていた彼女と同じ場所で食べることになるが、彼女が美味しそうに飲む水筒の中身が気になってわけてもらうことにした。

 実は特別好きでもなかったりするのだが、この少女・大船ココアがちょくちょく出てくる子。知っているかもしれないが、僕は特に名前の有無を重視しないので名前は出てこない方が好ましかったりする。
 一人で隠れるように、ココアからすれば良い場所に陣取っているだけなのだが、弁当と一緒に自分で取ったという出汁を飲んでいる同級生なんていたらびっくりだな。高校の時は昼ご飯なんていかに安く済ませるかくらいしか考えていなかった。
 けれども、自分が隠くしたいと思っているぼっちであっても自然に好きなことをやっている同級生の存在は大きかったんじゃないかな。学生時代のぼっちって慣れるまではキツいもんだよ。


・二人の草と草
 一緒にいるけど恋愛関係ではない博人に告白されて千晶は幻滅したが、博人が求めているのは恋愛関係ではなく入院して気が弱っている母親の前で恋人のふりをすることだった。
 それくらいならと引き受けて会いに行くと母から博人が好きだったチーズ入りハンバーグのレシピを教わり、千晶がその場でスケッチブックにイラスト入りで記すととても喜んでくれる。

 僕はあまりアレンジはしないというかハンバーグならハンバーグとしか作らないので、チーズってただ入れるだけじゃないんだなと素直に感心してしまった。胃が治ったら作ってみたいね。
 千晶の恋愛観はほんそれと言いたくなるもので、気持ちはよく分かる。告白された瞬間に即さよならとか、お前は俺かと思ったわ。
 だが、二十年来の友人である博人の頼みだと母親に会い、レシピを教わってその日に作ってみたりしてまた母親に会いに行った時、母親には博人と付き合っていないことを知っていた。

 だからと言って修羅場になるわけでなく、お互いに結婚とかしないけれどこれから先もずっと仲良くやっていく関係であることを説明して母親ともちょくちょく連絡を取り合う仲に。
 ああ、良かったな。結婚とかしても離婚する可能性だってあるわけでずっと一緒なんていられない。だから、わざわざ形にしなくていい関係だってあっていいと思うんですよ。
 まぁ、いずれ年金とかそういう問題が出てきたら籍だけ入れときゃいいんじゃないですかね。


・父の遺した○
 母と離婚して以降疎遠だった父が死んだと知らせが来た。遺品整理を業者に任せたが、父はどうやら野良猫を飼っていたようで処分することは出来ずに一時的に引き取ることに。
 獣医に診せて飼い主を探すはずが、キャットフードを食べずにどんどん痩せていく猫。どうすることもできないと自分のご飯を作るために出汁パックを取り出すと途端に猫が反応し、出汁の匂いをキャットフードにつけてやると食べ始める。生前の父もこうしていたのかとほんの少し思いを馳せる。

 ここで猫のことを相談する友人はおそらくココア。ココアはこれ以外にも雨の日に車でリモートワーク女子としても登場している。たぶん。
 ちょっとだけ、好きじゃない人であってもその暮らしが見える瞬間っていうのはなんだか愛しい。動物が関わってくると特に。
 この物語には毎回出てくるレシピがイラスト入りで掲載されているが、これだけ猫入ってるのずるいよ。


 ご飯はだし巻き玉子と舞茸の炊き込みご飯が美味そうでしたが、肉豆腐もレシピ簡単で良いな。元気になったら作ってみたい。
 だが、如何せん、出汁レシピ多過ぎだろ。出汁好きだけど胸焼けするわ、とか思っているとレシピ監修がにんべんだしアンバザダーとなっているので出汁は必須なんか。ちとくどい。
 あと僕のようにほとんど料理本を読まない人間にはレシピが分からないことがある。だし巻き玉子にアオサを入れるとあるが、アオサって言っても乾燥とか粉とかいろいろあるじゃんかどれだ?となるわけですよ。初心者は遠憲さん並の勘違いとかよくするんだよ。

 そんなこんなで僕が作る再現レシピは愉快な結果になりそうですが、物語としては軽くとても読みやすい。ちょっとした時間で読めるのでおすすめだが、装丁がしっかりしているせいか定価は高め。この値段なら倍のページは欲しい。もう何編かあっても絶対に好きな話なんだがなー。

 では、ここで今回のお気に入りへ。「二人の草と草」から千晶が聞いたレシピをイラスト入りで描いたのを母親に見せたシーン。


 できました、と言って絵を見せると、当時を思い出したのか。お母さんは笑って泣いて、また笑って大騒ぎだった。自分は絵を描くくらいしか能が無いと思っていたけれど、それでじゅうぶんだなと思った。


 いや、それすごいことですって。
 まったくの門外漢からするとすっげーっ!としか言えないことも、それが当たり前になっちゃうと大したことなく思えちゃうんだ。でも、それはすげーっすわ。そんなことをさらっとやっちゃうあなたは格好いいんですよ。






あとはおいしいご飯があれば - 柊サナカ
あとはおいしいご飯があれば - 柊サナカ
双葉社
2025/02/19




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