「もっとさ、面白おかしくポップでリリカルな想像をしてみなよ」 年明けてるやん、な心境で全然アップできてませんが、暇つぶしにちょこちょこ来てくれてる方は今年もよろしくお願いいたします。
さてはて、去年の暮れに3年ほど続けてた無駄な足掻きに終止符が打たれました。努力が実ったつー形なんでしょうが実感なんかねぇわ。よくやったなぁ俺とは思うけど。
しっかし、おかげで今年がどう転がるかが全く見えんのだから困ったもんだよ。
■あらすじ「私が願って、佐鳥くんが想像する――それは太古の昔から約束された人と交わるための異形の理」
突如現われた魔法少女を名乗る少女・のろいちゃんとひょんなことから契約することになった僕は振り回される日々を送ることになる。
魔法を使った相談解決――魔法相談部なんて部活を始めてみれば、奇妙でトンチキな問題ばかり抱えた相談者ばかり現われてしまいなんだかんだで解決に奔走するハメになる日々。
魔法を使うのろいちゃんと一緒にいても僕は魔法を手段のようにしか捉えておらず、既に達観した自己分析ができていた。しかし、のろいちゃんや相談者との会話を通してその人生観を少しづつ代わり始めていた。
■感想 あらすじ難しすぎる。素直に公式HPから引用したかったが、相談内容とか知らずにやった方が絶対楽しいからちょっとでも興味を持ったら今すぐ買いに行け。こんな文章
読まなくていいから、2/14までDL版はセールしてるからっ! さて、本ゲームはサークル・羊おじさん倶楽部による同人ゲーム。だいぶ前にプレイした『さよなら、うつつ』を作られたところですね。他作品もプレイしようと思っていたのにちょいと環境が変わってできていなかったことを思い出した時に上記のセールがやってたので全部買った。
今作からやろうと思ったのはのろいちゃんがかわいかったから。うん、その通りなんだけど、羊おじさん倶楽部さんが魔法少女とか言い出したらもうやるしかねぇと思ったんだよ。考えるな、感じろだよ。
ありがたいことに、今作の魔法少女・のろいちゃんは昨今で溢れている血みどろ系ではなかった。まどマギは面白いけど、そっちの路線はもう見飽きた感がある。
のろいちゃんのはなんというか小規模で、本当に魔法少女の名に相応しいほどのささやかな願いだったと思う。
では感想行くぞ、ネタバレだぞ。
始まりは僕こと佐鳥と舟越の会話。エロゲの話でちょこちょこ佐鳥が犯罪者の子どもであることとかぶっ込んでくる。
帰り道で踏切で困っているおばあさん助けたりとかするので佐鳥の評価が見えずにいると、ゲームセンターでお金を貸した不良に手を出させて問題化し示談料を巻き上げようとか考えているネジの狂い具合。要する両親のことでとかではなく、極めて冷静に考えた行動なので彼の本質的なもん。
そんな絶賛カツアゲ中のゲームセンタートイレ内、小便器からひょっこり生えてくるのがのろいちゃん。地獄の底からやって来て勝手に契約を結んだのろいちゃんは、のろいちゃんが願い佐鳥が想像することで魔法が使える。
不良に絡まれているというこの状況をなんとかするために使われた魔法は――ワルサーPPK。
やっちまいなー、であるw
そんなこんなな出会い方をするわけだけど、いやー本当に文章が上手くてな。すらすら読める上に佐鳥とのろいちゃんのツーカー感すごすぎる。
不良終わってすぐの会話なんだけど、この辺りでもうだいぶ好きw この先にどんなトンチキなことしでかそうでも好きって思ったね。
佐鳥は一端のろいちゃんから逃げるけど、すぐに転校生してきちゃうのろいちゃんは佐鳥と魔法でお悩み解決な魔法相談部を設立。ま、ボランティア部って名称なんですがね。規定に外れなければ活動内容なんてどうでもよかろうよ。
ここでなー、喜多さんって女の子、立ち絵つきが出てくるのだが、その時の章タイトルが「魔法相談部ー>元カノ?」なんだよ。佐鳥もパパラッチされた仲とか言うんだよ。そういう系か、のろいちゃんはどんな反応を――って思うじゃん?
めっちゃくちゃ険悪やった。喜多は佐鳥の両親のことを学内新聞で暴き佐鳥は報復した仲だった。これはのろいちゃんもお目々まんまるだよ!!
ま、最もこれからは脳がバグるようなヤツばっかだけどな。
魔法相談部に最初の相談者が現われる。
もう相談ってレベルじゃなくない? どうすれって言うんだよこんなの。
佐鳥とのろいちゃんにも彼女・武藤はなにを本当に望んでいるのか分からずにいろいろと調べていくことになる。
これはな、猫に関する描写がキツいので苦手な人は注意。きちんと書かれていないけど、友人猫はつまりそういうことなんだろうってもなるから。
武藤の相談はですね、本人も自覚してないのが厄介でして友人・狩峠との関係も深く関わってくる。友人としてもな、もしかしてとは思っても直視したくないことはあるので佐鳥くんはなかなかえぐいことをしたなというのが正直な感想かな。結果、2人とも死ぬとは思わなかったが。
次は文化祭ー。魔法相談部もといボランティア部は魔法で100%的中する占いとか始めるけど、のろいちゃんが飽きちゃうので早々にやめる。かわいい。
文化祭の出し物店では何かがなくなり、違う場所にあるというわらしべ長者のような失せ物探しをする。探し物の魔法もダウジングだしね。それはそれでのろいちゃん大活躍の青春が始まっちまって眩しいのだが、解せない。失せ物の連鎖、誰がこんなことをしたのか。
こっくりさんで犯人の名前、そしてその人が生徒会長であることを知るんだが、この人はなかなかに厄介な人だ。私はたぶん一番この人に似ている。要する臆病だから入念に準備するんだよ。最終的に相手を打倒できるなら滑稽で馬鹿げたことでも大真面目にやるタイプ。――いや、私は暗号で日記とかは書かんがね。
字が汚くて暗号化しているというのは否めんが。 物語の合間にちょこちょことある病院での話が入るのですが、そこでどうやらのろいちゃんは両目と脊髄がやられている少女と出会っている。
そして佐鳥とも過去をやり直せたら的な話をする。
結果、小学生佐鳥くんの前にのろいちゃんである。
この立ち絵がちょっと背が高くなってるの芸が細かいなと。子ども佐鳥くんから見る高校生は大きいのだ。
この小学校近くの神社で待ち伏せすると現われる男の子・宏明が2人目。クラスでいじめられている女の子が――ずっといじめられるようにしてください。
わぁお、これまた歪んでるぜ。
状況を確認するためにも、のろいちゃんの魔法で佐鳥くんがいじめ発生中のクラスの子になるぜ。あれ、前回魔法は1相談に1回って決め事は? 同じクラスだからっていじめられてる女の子は心開かないぜ。なら魔法で仲良しにしちゃえばいいじゃない。ふむ、大盤振る舞いやな。
とにもかくにも状況確認。
女の子はいじめられていた子を助けてからいじめられるようになったのだが、最近和解の話が出ている。その条件は今後、いじめられていた子が再びいじめられた場合助けないこと、または加わること。そして、元いじめられっ子は宏明だった。
ふむふむ、つまり宏明は自分がまたいじめられないようにいじめを続けたいってこと。本人曰く、それもあるがその条件を彼女がのむと自分を助けようとしてくれたこと自体が嘘になってしまうから、それが嫌だと。
この話はですね、ちょっと読めてしまっていた。
まず、のろいちゃんが会っていた目の見えない女の子の存在。そんでいじめられている女の子の願いが、宏明くんの願いが叶うこと。ちなみにその願いは何だと思う?――皆殺し。
結果は言わずもがなでしょう。
宏明の行動は、正直のろいちゃんと同じ気分でしたね。頬杖ついて見るしかねぇ。
なんでいじめなんてものがあるんだろうね。なんで報復の可能性を考えないんだろうね。暴力には暴力、敵が強くて勝てないのなら強い武器を用意するなんてこと常識じゃないか。
公開告白とクラスメイトの反応はちょっとどうかと思うがね。誰か1人でいいからまともな振りしなさいよ。
要するに、いじめていた子の犠牲からいじめられていた2人は付き合うようになる。そんで、現在も付き合っているその関係は続いていて――元いじめっ子は治ることなく病院のまま。
極論だけど、なんの犠牲も伴わないなんて事はないからなー。
そして、ここから同棲が始まる。
勝手に住んでいた家の持ち主が帰ってきたことから佐鳥の家に転がり込むのろいちゃんだが、なにこの幸せ空間。もうずっとぷよぷよしよう。俺のために筑前煮を作ってくれ。
ここでの会話好きなんですが、のろいちゃんのパジャマ姿かわいいなーと思っていた俺を誰か殴ってくれ……。
3人目の相談者は、轢き逃げした父親に自殺して欲しいというトンチキ具合が戻ってくる。この相談内容に関してはあまり語りませんが、なるほどなーと。確かに相談者とは言え、自分で手札を全部見せることはない。虚言の可能性に思い至らなかった。
ここで問題になるのが、のろいちゃんとの再契約。魔法を使わずに解決したら何でも願いを叶えるってもんなんだけど、やっぱり不穏でな。残り時間がないとか言ってたしな。
翌日から消えてしまったのろいちゃんを一端おいて佐鳥は1人でこの相談を解決に動く。側にのろいちゃんがいないことに違和感を覚えつつ、喜多や会長に話をつけて彼なりの決着をつけようとするんだが――相手の思いきりの方が早かった。
私はこの女の子に全く興味がないのだが、会長との取引はどうなったんかね。喜多もこの結末の方が記事的に映えるからどう動くか分からん。うん、私は喜多の人間性を信じていないのだろう。
最後はとある少女の話。
寡黙な少女は前の席の男の子に恋をしていた。どうにかなりたいではなく、きっとただいいなくらいの淡い感情。
しかし、事故に巻き込まれて絶望的なほどの重傷を負う。奇跡的に一命は取り留めても一生病院暮らし。
そんな彼女の前に現われた神様のような存在はひとつだけ願いを叶えてくれるらしい。
だから、願った。
彼の生きる世界がありったけの幸福で包まれますように、と。
代償は少女の痕跡抹消。看護師達が地下室で誰かの世話をしているような感覚の正体がこれ。
どういうわけか魔法が使えるようになり、少女の分身のような存在が彼を幸せにするための奔走しだす。
ああ、あの日々はきっと彼女が送りたかった日々なんだろうな。だから、あんなにも楽しかったんだな。
魔法が切れてしまった以上、もう少女には彼が幸せになったかなんて分からずただ生きていくだけなんだけども――佐鳥はちゃんとのろいちゃんを見つけた。
もう、包帯塗れの彼女のパジャマ姿を見た瞬間はキツかったなー。だって、普通に佐鳥が来たこと喜んでくれるんだもん。確かにのろいちゃんはちょっと躁鬱っぽい気があったけど、寡黙で話しかけることすらできなかった君がのろいちゃんのように喜んでくれたことが嬉しかった。
ここからののろいちゃん――いのりは本当に恋する女の子だった。佐鳥にちゃんと名前で呼んで欲しいこと、願いは佐鳥が一緒に自殺してくれること。自殺すらままならない状況の彼女にはそれしかなかったんだ。
もう前の佐鳥のような悲観たっぷりな考えを披露してくれるが、今度は佐鳥が以前ののろいちゃんのように話す。暗いなぁって、そんな考え方は良くない。
内容は悲惨で悲壮、どうしようもないことなんだけど、佐鳥といのりはツーカーなので会話が小気味よくてさ、そんでもって最後のスチルがズルくてな……こんな子の両足切り落とされるとかマジなの? やめてくない? 頼むからどうにかしてくれ医学。
いやー、面白かった。
猫はだいぶキツかったが、それを乗り越えられれば人のどうしようもなくドロドロしたところとかとポップに向き合える。
私は人間できていないし完全に佐鳥や会長側の人間なので真っ向からまともなことは言えない。いろんな人の気持ちが分かっちゃってな。好きじゃないけど、喜多の気持ちだって分かるんだよ。しっかし、なぜか舟越だけは一切疑わなかったな。なんでだろ?
鬱ゲーとはちょっと違うけど、最後の魔法――2人の決断に救われる。誰もが思っちゃいけないと思いつつも思わないヤツはいないみたいな感情を抱えていると思う。嫌なことあったら死ねばいいのにって思っちゃうのは止められないだろ? むしろ、思わない聖人君子なんて怖すぎる。それをちょっとずつ軌道修正できるような2人の会話に気持ち的に救われたんだと思う。
プレイ時間は3時間ほど。1話完結のように続いていくのと会話のセンスがいいので読みやすい。
あとBGMが全部良くてなー、「魔願」が好きだけど「魔胞」の初めて聞いた時の奇妙な感じが作品に合っていてすごく好き。できればスチル鑑賞も欲しかったですね。
このまま他作品もやりたいところですが、もうちょっとのろいちゃんたちに浸りたいとか思うほどに好きな作品でした。だって、のろいちゃんかわいすぎる。舌出し立ち絵本当にかわいいんだって!
では、もう結構書いたからここいらで今回のお気に入りへ。
地下の病室へと辿り着いた佐鳥は問う。もしもう一度願いが叶うとしたら何を願うか?
その問いにのろいちゃん――呪井川いのりは即答する。
「死にたい。できれば可及的速やかに佐鳥くんと」 いやいやそれ以外で、って会話は続いてくところなんだけど、これがすごく好きでな。ああ、こんな子だから好きになったんだわって再確認したほど。
最初の方でのろいちゃんさ
「だって末永く佐鳥くんと一緒にいたいし」とも言ってて、ただ死にたいだけなら喜多との「委託殺人は殺した本人から願われること」って会話から佐鳥は一緒に自殺しなくてもいいと提示されている。いのりが死にたいだけなら「佐鳥くんに殺して欲しい」でもいいはずだ。
それでも敢えて「佐鳥くんと」なのは完全に恋なんだよ。一緒がいいんだよ。
うん、ちゃんと恋してたからエロゲの話が出れば魔法少女ものを勧めちゃったりとかもできちゃうのだよ。
魔女魔少魔法魔
羊おじさん倶楽部(2020/8/3)
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