2023年06月18日

「スプリガン」地上波放送記念5.1ch初スクリーン上映会イベント 『ノアの方舟』『狂戦士』



「俺がいないとお前、100回は死んでいるところだぜ」


 最近はめっきりゲームもしなくなったのですが、さすがにFF16は気になる。むしろ、トルガルが気になる。あのわんこのためだけにPS5ごと買おうかと思うほどに。でも、正直FFは12以降自分には合わなくて、9が至高すぎて今もやってるくらいだからちょっと様子を見ようかな、と。三つ子魂じゃないけれども、子どもの頃に好きだったものって今でも大好きだから困るよなー。
 
 
■感想
 今回は大好きすぎる90年代漫画『スプリガン』がネトフリでアニメ化したことで令和に動いてくれただけでも歓喜ものなのに、まさかの映画館上映会とかしてくれてこりゃ行くしかねぇっで行ってきたよという話。ネタバレするけど、畳まなくていいかな? あと語りたい、スプリガン好き増えろホント増えて!

 まず私とスプリガンの出会いは、残念ながらリアル世代ではないので同作者様タッグの作品『ARMS』が先立った。ARMSに関してはちょこちょこ話しているので考え方の根幹になる程好きな作品ですね。高槻夫婦好き、ARMSの完全体でビックバトルよりも脅威に対して知恵で立ち向かう面白さを知った作品。エグリゴリで美沙ママレクチャーとかアメリカ行ってハウンド部隊との戦い、ARMSが眠りについたときの人間として立ち向かうとことか、最高に面白い。本棚を見ればその人の人となりが分かるというのは戯言だと思っているが、ARMSがあるだけでその人のことめっちゃ好きになる厄介さを発揮する自信がある。
 で、そんだけ好きな作品だったら同作者様の前作読まないはずないじゃん。ドハマりしたよねってわけですよ、出席番号43だった時はそれだけでテンション上がったよねw

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 そんなわけで行くぞ、スプリガン上映会。
 私が行ったのは1回目の『ノアの方舟』『狂戦士』回。正直どっちに行くかは悩んだ。『帰らずの森』が好きだから2回目も行きたかったんだけど、ジャンの戦闘5.1で観たいじゃん。狂戦士最高じゃん。時間的に夜は厳しかったりするので泣く泣く1回目だけ。

 しかし、ここに行くまでがめっちゃ大変だった。
 会場はTOHOシネマズ日比谷。めちゃくちゃ心配性なので行き方を電車の中で調べまくる。そこで駅の案内板に従っていくと道が違うらしいという情報を得る。なんでも、スクリーンによって場所が違うらしい。予習必須だな、と悠々行く。まー、オシャレすぎて迷ったよね。途中でアーカムシャツの人ストーキングでなんとか行ったよ。やめろよ、道めっちゃ迷うんだよ俺。

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 なんとか行って手に入れたよ、色紙。最高かよ、額買ってこねば。

 映画じゃないからさくっと始まり、あのOPを映画館で観れるのヤバいね。御神苗優抹殺計画マダーである。
 ノアの方舟はジャンが登場回ですが、正直初めのジャンはあまり好きではなくライカンスロープ化してバーサーカー化するの好きじゃなかったんですよ。でも、アニメで改めて観るとスマートさと粗雑感が混じってて格好いいんすよね。上映会後のキャストで声優さんが言ってたんだけど、ヤンキーっぽく演じたらスタッフさんにフランス人らしい気品をと要求されたらしい。これを聞いてなるほどなーでした。ジャンって雑というか荒っぽいのにちゃんとしてるんだよ、それを現すのに気品って言葉はぴったりだなって。

 狂戦士は最初の戦闘で殺人機械になる優ちゃんが好きなんだよなー。あ、私の優の呼称がちゃんづけなのは芳乃の影響です。
 もちろん起動したら人を殺しまくるロボットである狂戦士戦も好きですよ。でも、それ以上にここは青春野郎な優ちゃんがいいんだよ。優が優であるために必要な日常だからな学校は。

 キャストさんトークは面白かったのですが、インタビュー記事いっぱい出てるのでそっちを見た方がいい。
 あ、でも芳乃役の伊瀬茉莉也さんがしていたネックレスを優役の小林千晃さんが「それ盗んで来たの?」って言ったというファンサービスは素敵でした。写真撮影時に声優さんのうちわというか、名前のものを持っていたファンがいたらしいんだけど「茉莉也は?茉莉也はないの?」って食い気味に言ってたのが面白かったですね。

 さて、TV放映は7月だぞ。BDもサントラも出るぞ。
 お金準備して待ってまーす!!





【Amazon.co.jp限定】SPRIGGAN Blu-ray BOX<特典:トートバッグ&缶バッジ3個セット、 メーカー特典:イラストミニ色紙B、早期予約特典:A3ポスター(2023年8月20日(日)23:59まで)
エイベックス・ピクチャーズ(2023/9/29)




SPRIGGAN ORIGINAL SOUNDTRACK
岩崎太整
エイベックス・ピクチャーズ(2023/8/23)
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2023年05月15日

ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2023 “HUMAN”埼玉県・戸田市文化会館5/13.14



 いつまでも いつまでも 忘する事無かれ


 5月の気候が最高に動きやすいんだけど、ちょこちょこ体調を崩す。くそぅ、病気とかじゃないんだよ。身体に激痛が走って動けなくなるみたいな。私は靱帯切れた足に気づかずに歩くような痛みに対して鈍感さを発揮するのだが、自覚できる痛みがあると怖いんだよね。
 なのでしばらく静かにしていましたが、今年はイベントが結構あるのでぼちぼち行けるといいんだが。


■感想
 ちょいと自分的恒例になりつつあるReoNaさんのコンサートに行ってきた、2Daysである。実はHUMANリリイベでもう1個ライブ行ってたりするが、その後動けなくなったのでもう割愛で。
 今回は滅多にってか初めて行った2Daysだし、それで思ったこととかまとめてみたいと思う。

 あ、ネタバレあるから1回畳むよ。



HUMAN (通常盤)
ReoNa
ソニー・ミュージックレーベルズ(2023/3/8)


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2023年04月08日

ReoNa『HUMAN』発売記念リリースイベント@東京都・タワーレコード渋谷B1 CUTUP STUDIO 4/2



 いやー、BLUE GIANT全巻買ってしまった。ヨーロッパ編好きだなー。ちゃんと感想を書きたいところだが、それはまた後日。ちょっと本を読んでいない期間が長かったから貪るように小説や漫画を読んでしまって自分が活字好きだと思い出すw
 ゲームも全然出来ていないんだけど、やり始めたらまた廃人レベルまで戻るのかな。そうだといいな、やりたいなってゲームはいっぱいあるんだ。


■感想
 当たってました、リリイベ。
 今回はReoNaさんのアルバム『HUMAN』タワーレコードで購入した人限定の抽選ライブ。シングルは毎回リリイベやっているっぽいから予約は情報出るまで待っていたのですが、さすがにアルバムだけあって結構各地でやるようです。
 前回のAliveリリイベが楽しかったので、どうせならライブ行きたいなとタワレコで購入してみた。てか、今回のアルバムは結構な枚数を買ったことから話そうか。そう、俺初めての複数買いである。

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 えー、計4枚ですね。
 普通にライブ音源付きの完全生産限定版だけで良いと思っていたのですが、リリイベ応募用に2枚、発売日前日Ameba限定サイン入りポストカード欲しさに1枚、武道館ライブ当日の抽選会用に1枚……俺的にはたくさん買った。
 でも、抽選券とか10枚単位で持ってる人とかざらだからなー、すごいよなー。

 閑話休題。
 以前に渋谷が苦手であることは書いたが、3月にアークナイツ展やっていると聞いてえっちゃら渋谷に行っている。その時にタワレコの場所も確認したから準備万端(私的に行き方が分かればOK)で臨む。

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 ちなみに3月のタワレコ渋谷店はこんな感じだった。リリース日に店舗巡りとかも楽しいのかもしれないな。

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 ライブはこんな感じ。今回は番号早かったんで前の方だった。

 セトリ
1/さよナラ
2/メメント・モリ
3/SACRA
4/HUMAN

 いやー、全く予想してませんでした。
 シングルの時は収録曲全部歌うけど今回はどうなのかな?HUMANは鉄板としてもVITAは歌うだろ、FRIENDS聴きたいなってくらいの気持ちでしたが一発目でさよナラとか。MVも相俟ってこの歌の切なさつらい。でも好きだ絵本ください。

 あと衝撃だったのはメメント・モリ。CDで聴いていた分には正直良くも悪くも聴き流すといった印象だったのですが、生で聴くと疾走感がすごく好きでしたね。嬉しい発見だ。あとタワレコのCUTUP STUDIOは音響がいいな、後方用にモニターもあるし。ここが知れたことも良かったな。
 続くSACRA、HUMANと時間はあっとういう間でしたが、その短さが私は気に入っているので恒例の抽選会へ。

 今回のリリイベではMCを難波さんという男性の方がおこなっているとのことだが、進行表を持っている手が震えているところとか私的には好感度高かった。分かる、本当にこういう場に出されるのキツい。震え止められないんだよ。
 でも、ノリがザ・男子でReoNaさん自身も「そんなに彼に優しくしなくていい」と苦笑するぐらいだったので観客の反応は完全に二分していましたね。
 んー、どっちも分かるんだよ。勢いで騒ぐなら乗っかるけど、どちらかと言うと主役より悪目立ちしちゃっては嫌だなって思う人もいるだろ。私は後者よりだからこれが続くのはキツいかな。

 ま、楽しい時間であったことは変わりないのですがね。
 そして案の定、抽選会は掠りもせずに終わったのですがね。ちくしょう、HUMANポスター欲しいのにな物欲め。






HUMAN (初回生産限定盤)
ReoNa
ソニー・ミュージックレーベルズ(2023/3/8)
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2023年03月26日

終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ



 気づかないふりをしていただけなのだ。現実を見ないように、いつまでも変わらないと。


 ちょこちょこと過去の私からは信じられないことに、ほぼゲームに触れていない。まぁ、ソシャゲは別な。あれは義務みたいな物であり、FGOのホワイトデーはまだ手をつけてない。だって、アークナイツのイベント最後がクリアできてないんだもん!
 ゲームの発売情報とかも全然確認していないので自分も変わったもんだなーと。クリアできてないゲームも多いしちょっとずつやっていきたいもんだ。ずっと苦しめられていた試験が終わったからな、もうゲームやったって誰にも文句は言わせねぇのだ。


■あらすじ
 福岡薬院の裏通り、三日月から満月までの帰還だけオープンする本が読めて手紙が書ける店『文月』。家に帰る前ちょっとどこかに寄りたい、話がしたいという時に店主の文と季節のちょいごはんが寄り添うお店。


■感想
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 完全無欠の表紙買いでした。最近というか、料理モノの物語が好きなこともあり、この特別カバーじゃなかったから、本来のポプラ文庫の表紙だったらおそらく目には止まらなかったんじゃないかな。うーむ、本来のが好きじゃないのではなく良くも悪くもよくある雰囲気なのでスルーしたと思われる。
 このシリーズはもう1冊あるみたいなのだが、読み終わって続きを本屋に買いに行ったら棚からなくなってしまっていたので縁がなかったのでしょう。

 じゃあ、ざくざく行くぞ。

・月夜のグリューワイン
 独立して以降、自分のデザインが認められてやってきた店舗デザインの仕事に全力を出す澤井だったが、予算などの都合があり思い描いたとおりには行かない。それでも予算内でできるよう案を練り続けるが、クライアントの希望と上手く一致せずに案件自体が採用されずに終わってしまう。

 まず福岡弁というのが私には新鮮だった。てか、大阪弁とかと違って脳内で上手く再生できないって初めて知った。知らないからできないわな。関西や東北の方とは接点あったけど、西に行けば行くほど私には遠いらしい。ふむふむ、実は4月に福岡に行く予定があったのだが見送ってしまい、なんだか惜しいことをした気分だ。

 澤井の話は一仕事人として一生の問題じゃないかと。
 輪っかを回るハムスターのようにがむしゃらに仕事をしても上手くは行かず、にっちもさっちもいかない状況に苦しんだ澤井はちょっと前に知った文月でグリューワインを出してもらい、文から「疲れて横見たらそこに洞穴があるかも。ダメだと思ったらそこに逃げ込んで、休んで元気になったらまた輪っかに戻ればいい」という話をして、気持ち改めて次の仕事に向かうという話。
 ……え、輪っかに戻んなきゃダメですか?1w


・森のカクテル
 唯は自分が立てた完璧な計画通りに行動するため、結婚相手に相応しい人物として浩行を選んだ。婚活パーティーで出会った二人は唯の計画通りにサプライズプロポーズの場所として文月を選ぶ。サプライズといいながら全てを唯が進行しているところに周りには奇異な目で見られていたが、唯は自分の計画通りの幸せのために当日を待ちわびていた。

 正直、気持ち悪いと思ったw
 いやだって、計画なんて計画通りに行かないってのが私の考え方なもんで。無理だよー、なんだよこの人ー。結婚とか、お前の意志だけのもんじゃねぇし浩行の意志が一切ねぇじゃんかよーって震える女性だった。

 もちろんプロポーズはなし。
 だって唯は浩行のことをなんも知らないし、ちゃんと会って話をしようってところから始めることになるんだが、いやーこの人無理ーとしか思えませんな。


・本とおさかなのスープ
 福岡の小さな出版社に務める大城は昨今の出版事情、小説を読まない人が多いことを悲しく思っていた。時代の移り変わりで仕方ないと思っていたが、自分が福岡の出版社に来たときのこと、編集者になった時のことを思い出す。

 ……ちょっとあんまり長い文章を書いてなかったから、もう書くのつらくなってきた。

 私は小説を、本を読むという行為を最近難しく思えてきている。文章の合う合わないがあることは何度か書いてきたけど、それを見つけるのが難しいんだよ。
 例えば、アニメを観て原作読もうって思っても文章読めないことが最近は多い。アニメは時間の都合もあって原作が端折られているって印象があったんだけど、昨今は逆に保管されていたりするから両方見なくてもいいかってなっちゃうんだ。電車移動中とかはラジオ聴いてた方が楽だったりすることもあるから、本を読む機会ってのはやっぱり減ってますね。

 でもだからってゼロになわけじゃない。
 漫画とか電子書籍を使う機会は増えたけど、やっぱり本がいいって作品も多い。
 なので、大城さんたちのお仕事を僕はいつまでも応援しています。


・池田飲みとしろくま
 実家の和菓子屋の手伝いをしながら燻っていた祐介だが、同窓会で元カノの千晴と再会したことをきっかけに自分の将来を考え始める。店を継ぐ弟の結婚が決まり追い詰められている中で千晴と連絡を取り合っていたのだが、福岡に戻ってきた千晴に文月を紹介しようとすると生憎その日は休み、店は彼女の方から指定してきた。

 ビールジョッキに氷入りワインを池田飲みというらしい。自分は味が分からないのでお酒は飲まんのですが、こういうの知るのか見るの好きなんで本物を見てみたいもんだ。

 さて、祐介の話は耳が痛い。きっと同世代ですわ。
 結婚とか将来とか言われなくてもチクチク刺さる。同級生の子ども、しかも病気とかなっちゃうとかける言葉もない。どうせ上っ面にしかならないんじゃないかってね。
 元カノの千晴との再会、そんでもってお互いにフリーともなればあわよくばと思うのが人の心情でしょう。嫌いで別れたわけじゃないし、子どもだったからこその自然消滅なら尚更再熱しても仕方ない。

 けれども、千晴が宗教勧誘に来るとは想像できんかった!
 なにか買えは本当にだめだ。むしろ、祐介のSOSに速攻で応じた諏訪という友人を大切にすべきだ。
 都合のいい話なんか転がっていないという現実ですね。でも、祐介が新たな道を決められたのだから笑い話としていい過去だったのでしょう。


・柚子と適燗
 かつての同僚、そして定期的に会っていた友人・さかもっちの唐突な訃報は平井を動揺させた。結婚退社をし子どもを立派に育てていた彼女の死因は特になく、ストレスの可能性が高いという。力になれなかったことを後悔する平井だが、一周忌の際に彼女の夫が再婚すること、相手女性は今月にも子どもを出産すること聞いてしまう


 くっそつら。
 主人公となる平井が得られる情報は伝聞でしかないので本当のことは分かりませんが、家族ぐるみで長い付き合いにあった人が後妻に、そんで子どもも生まれるとなると勘ぐるのは仕方ないですな。

 けど、彼女が亡くなってしまう一年前、いい文の日に文月に来ていたさかもっちは文月でやっていた1年後に届く手紙を平井に宛てて書いていた。1年後に文がポスト投函、もしくは店に来た時に渡すってものなのだが、内容は他愛もなくて大まかに言えば『あなたに会えてよかった』というもの。

 だから、平井の選択は間違いじゃない。間違っているなんて言える奴は他人だけだろう。
 私だけは二人のことを絶対に許さない。むしろ君の選択は人間くさくて好きだよ。

 しっかし、文も言っていたが「いい感じで」という注文の仕方はいいな。熱燗とぬる燗の間のいい感じの適燗。こういうの知るのは本当に面白いや。


・スルメとてんとう虫
 人事部に配属された頃は新人だった鈴音も上司の下田の元で十年仕事をやってきた。後輩もできベテランになりながらも下田には支えられていたのだが、下田が早期退職するという一報が入る。突然支えがなくなってしまったことに不安を覚えならがらも、育ってきている後輩たちが提案する将来のためにも、守られるのではなく今度は自分が守る番であることに気づく。

 ざっくりですがまとめたとおりの話。
 じんましんをきっかけに化粧をしなくなったとか、きちんとした身なりでとか、そういう小言を言ってくれる人の大切さは失ってからじゃないと気づかないものでしょう。気づきたくないんだよ、失ったら悲しいからね。


・バレエシューズとうすぎりショウガハイボール
 莉絵は同じ会社に務める長谷部と親しくしていた。毎日「おはよう」などのメールを交わしながらも相手は妻子ある身なのでなにかあるわけではなく予定を合わせて文月に行く。
 だが、社内報で見た長谷部の唐突な一報に驚くことになる。

 すまん、正直この話はよく分かっていない。
 不倫略奪NTRは知っているが、私にこの選択肢はないので莉絵の感情が分からないんだ。長谷部とどうにかなりたかったのか、なんで妻子ある人と毎日メールとかする?って理解できないってシャットアウトしてしまうんだよ。

 でも、良かったんじゃないか。前に進める選択ができたんだから。もしも自分が莉絵だったなら、そんな大事なことを社内報で知らされたこと、友人とも思われてなかったのかとショックを受けるかもだが。
 

・新茶と煮物
 結婚して子どもを産む、それが女の幸せだと信じているかのような母親にうんざりする葵は実家に帰ることが少なくなっていた。仕事が楽しいこともあるが、自分が放任主義だった父と父に従うばかりだった母を見て育ったことから結婚に理想も何もなかったのだ。
 そんな中、母が事故に合ったという一報を受け、改めて母と向き合ったことで自分たち家族の在り方を知る。

 だからこういう世代的に一致するのは胸が痛いぜ。
 結婚は自分もできないと思っている人間だが、葵の母がなんとしても相手を見つけたかったのは自分が父と出会えたことがすごく嬉しいことだったから、そんな相手を見つけて欲しいと思っていたから。今は元気でいてくれればいい、亡くなったお父さんも葵は一人でやっていける子だって言っていたから。
 放任じゃなくて信じていたんだってこと、言ってくれなきゃ分からないけど分かる時には相手はいないんだよな。


・七月のみかづき
 テレビショッピングのカスタマーセンターで働いていた文は仕事をする毎日に疲れてしまっていた。生まれた頃に母を、育ててくれた父を社会人になってすぐに失った文は父の故郷である博多に行くことにした。
 そこで物件を探していたところ、現在の文月の物件を紹介してもらい、母が残してくれたレシピノートを使って三日月から満月までというささやかな間だけ開く営業期間の理由が明かされる。

 やはり同世代じゃないか、就職氷河期の正社員とか本当に逃げられないからな。東京ですり切れてしまった文の姿はつらいが、悲しいかなよくあること。逃げるか壊れるか適当に乗り切るかしかない。俺は適当です!
 自分が稼いだ分と父が残してくれた分で資産はあったから、不動産屋さん勧められるまま喫茶店としてお店を、ゆっくり息をするための充電期間としてのお休みを。そんなお店があってもいいじゃないか。


 ふー、全部書いた。
 今回はあまり料理には触れていませんが、お客さんの話は全部文月で繋がっていて添えられるように料理があるという感じでした。読みやすかったのですが、福岡弁のニュアンスが分からないことだけは勿体なかったな。

 さて、今回お気に入りへ。
 新茶と煮物の葵さんから、結婚結婚言っていた母が事実婚でも別居婚でもいいから相手を言い出したときの反応を。


 なんてわかったふうなことを言う。でも特定の相手をあてがいたいという考えは同じだ。この年になると一からの恋愛はもとより、自分のペースを乱される存在がいるなんて想像するだけでげんなりする。多少寂しいことはあっても。いまの自由に比べたらどちらがいいか歴然だった。


 まー、これに尽きるわな。
 面倒はなるべく抱え込みたくないんだよなー。




終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ
標野 凪 (著)
ポプラ社 (2019/6/5)
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2023年03月25日

キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘



「誰のためでも、同じことをするわ。私は誰も、特別扱いしない」


 やっとのことで行った今年初映画は『BLUE GIANT』でした。もうそろそろすずめの戸締まりも行かんととは思うのですが、今作は何が何でも映画で観たかった。テレビで観るのはやっぱり違うだろうと。
 私の原作歴は4巻あたりまでだったのでちょうどバックボーンは知っている感じで……そして終始アキコさん気分で観てた。音の熱さとか分かるほど耳が肥えてるわけじゃないけど、玉田のドラムが良くなっていく様子とかやっぱ音がいいんだよね。ライブ中のCGの違和感はハンパないけど、観に行った方がいいと大手振ってオススメできる作品でした。


■あらすじ
 “パパの戯言”と“ママの法則”を携えた女子高生・玖渚盾は人類最強の請負人・哀川潤に誘拐されて玖渚機関が持つ世界遺産・玖渚城に連れてこられてしまう。
 そこで待ち受けていたのは母親・玖渚友のかつての姿と同じ青髪青眼の少女・遠と近、初めて会う祖父母からかつて母が打ち上げた人工衛星の修理を依頼されるという無理難題だった。
 家族を家族とは思っていないかのような玖渚一族に直面することになった盾だが、この場から逃げる前に自分が泊まるはずだった部屋で殺人事件が起こってしまう。


■感想
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 ちゃんと買ってました戯言シリーズ最新作にして正当続編、いーちゃんと友の娘・盾ちゃんの話。
 ――いや、盾ちゃん可愛すぎんか!? これはヤバい可愛い!なノリで表紙買いでしたね。発売日には買っていたから読み終わって少し時間が経ってしまっているんだが、えっちゃら感想行きますか。

 始まりは交通事故。
 実家に帰ろうとする盾ちゃん、いーちゃんたちに会えるんかという期待を裏切り、盾ちゃんが哀川潤が乗る車に轢かれて重傷を負うところからである。
 哀川潤のインパクトは変わらんな。私は戯言シリーズ自体は全部読んだんだが、最強シリーズは読んでない。戯言シリーズも大分昔だし、クビシメロマンチストが好きだった気がするけど細部というか大雑把にも覚えていないのであしからず。

 自分を轢いた相手だろうと盾ちゃんは哀川潤のことを両親から恩人であることを知ってたし、自分の名前の由来になった人だから悪印象はない。ここでの二人の会話は小気味よくて好きですね。哀川潤を通して盾ちゃんがどんな人物か分かるのだけど、物凄く化物語っぽさを感じたかな。
 化物語も途中までしか読んでいないけど、何と言えばいいのか、語り部の脱線というかフェチシズム的な部分が長いと飽きてしまうとこがあって序盤は「ああ、いーちゃんの子だな。妙なこだわりあるんだよな。こういうところは阿良々木さんもだよなー」くらいで正直思い出補正が強いのは否めなかった。

 盾ちゃんはメイド見習いの千賀雪洞、従姉妹で玖渚友のような青髪青眼の姉妹・遠と近、伯父の直、祖父母と出会うことになるのだが、請負人は世界遺産を壊さないためにと一緒には居ない。勝てる気がしない。
 しかも、玖渚友が打ち上げた人工衛星を直せとか言ってくる始末、あの玖渚友の子どもなのだからと持ち上げられることから逃げてかつて母が入っていた座敷牢に引きこもったわけだが、ここが曰く付きだった。

 かつてここにいたのは玖渚友ではなく弟の焉。焉の亡骸から作られたクローン人間が遠と近。二人でなんとか人工衛星は保たれてきたけど、もう保たない。
 遠ちゃんはかなりズバズバ言うので盾ちゃんとの会話が好きですね。ひいさま、なんて言いつつバカにしているのかと思えば尊重してるし、近のこともぞんざいなのかと思えば……である。
 そう、殺されたのは近の方。彼女に関してはどんな子なのか分からないまま首を切られていた。

 盾ちゃんは名探偵じゃないからいっぱい間違えるし、遠と近が入れ替わっているという推理も外してくれるけど、捜査中も盾ちゃん遠ちゃんの会話が愛しいのだった。これが百合の良さというものかw

 解決パートで明らかになるのはママの絶対法則『機械に触るな』の意味。
 戯言遣いではない盾ちゃんには動機を語らせることが出来ないのだけども、人工衛星のリモコンに触っただけで壊した。

 そう、だから機械に触るな。
 玖渚盾は機械とっての天敵であり、人工衛星は盾を狙うかのように玖渚城に落ちてくるのだった。

 結果は通りがかった請負人が助けてくれたのだが、祖父母からは絶縁、直が盾ちゃんの使い道に思考している間に遠ちゃんに逃がして貰って脱出した盾ちゃんは請負人の車で帰路につく。
 犯人――てか、ぼかしても出てきてない人物でバレバレなのだが、動機とか両親の言葉を思考したりして終わりになるのだが、遠ちゃんとの別れの言葉尊すぎない? 機械使えない盾ちゃんのために手紙書いてくれてさ、手鞠唄で遊ぼうの約束だぜ?
 うむ、この二人のために次も買おうと思ったのだったw

 冗談はさておき、面白かったですキドナプキディング。
 戯言シリーズ履修は必須ではないけどしていた方が望ましいのでハードルは高いけど、肩肘張らずに楽しめる作品だったかと。

 さて、今回お気に入りへ。
 最後の大一番、犯人に対して自首を望む盾ちゃんの心境を。


 舌先三寸口八丁。
 立てば嘘つき座れば詐欺師、歩く姿は詭道主義。
 玖渚友の娘であり――戯言遣いの娘。


 もうこういう表現好きすぎてわっくわくだった。
 詭弁を弄せ、舌先三寸で立ち向かうのが最高に格好いいとおもっている人間だから、フェチ感強い展開があっても西尾維新作品は読みたくなるんだよなー。





キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘
西尾維新 (著), 竹 (イラスト)
? 講談社 (2023/2/8)



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