2010年11月07日
殺戮ゲームの館〈上〉
今夜も一人、また――一人と殺されていく……。
この部屋のどこかに殺人犯がいる。
この手の小説はかなり好きだったりする。直接的じゃなく、心理的になところが。
しかし、これは上下巻もの。下巻も読み終わり次第書こうと思いますが、なかなか面白いぜ。
あらすじ
誰かが言った。マスメディアが騒ぐ集団自殺事件と人間が殺し合う娯楽ビデオが存在するという都市伝説には共通点があるのでは、と。
出会いや遊びが目的のオカルトサークルに所属する福永たち十人と福永の後輩の藍の計十一人は、ネットで見つけた自殺サイトと交流していくうちに集団自殺の現場を探してとある廃墟を発見する。だが、気がつくといつの間にか十四の個室を持つ密室に閉じ込められていて、画面から話しかけてくるラビットからとある村と魔物の話を聞かされる。どうやらその村の村人とは自分たちのことを指していると推測することが出来たが、半信半疑のままラビットの言うことを聞いた者と聞かなかった者に分かれた時、彼らは自分の身に起こっていることの重大さに気づく。
感想
始めは好奇心、いやただのふざけて探していたにすぎない集団自殺の現場。
だが、見つけてみれば自分たちがその集団自殺と同じ状況にまで追い込まれていて、ラビットの設定という名の脅しでこのゲームについて説明を受ける。
簡単にまとめるとこのゲームはこんなところ。
・村の中に人の生き血を吸う魔物が入り込んでいて、その魔物は村人の川を被っている。
・魔物は一日に一人殺す。
・外に出ていると確実に殺されるが、一人ずつ部屋に入り鍵を閉めていたとしても一日一人は鍵を壊されて殺される。
・魔物の数が村人と同数、つまり魔物1人に村人1人になったら魔物の勝ち。
・村人は夜にしか使えないアイテム・斬魔刀で魔物を殺せれば勝ち。
サークルメンバーはおそらく主要であろう、福永と恋人の亜美、親友の小泉に松岡の二年生チームと福永と小泉の後輩で一人だけ高校生の藍。他、三年生チームが五人いるわけだが、殺されていく確立から要となるのは恵美だけかな。
予想外の事態にパニックになるメンバーをよそに、福永と藍だけが命をチップとしたゲームについて考えていくのだが、こういう極限状態に追い込まれて皮肉にもメンバーたちは自分の醜い部分と向き合うことになる。彼女が無事ならいいとか、この人たけは守る――つまり他を切り捨てるとか。
ここに来てから福永と亜美の恋人関係は崩れる道を辿っているが、恵美や藍に関しては恋愛感情が強く前面に出てきているのが興味深い。
特に藍、彼女の気持ちがどこにあるかは定かではないが、その明晰な頭脳でこの状況下でも冷静でいられる彼女は福永たちを安全な場所へと導いているが、福永に抱きついてしまったりしたところで亜美を気にしたり、福永と藍が二人でいるところを亜美が冷めた目で見ていたり、と。
人間、どんな時でも恋愛感情は重要らしい。違うかな、むしろそこをすがったり守ろうとしたりするからこそ自分を保てるのか。
物語はこの二人を要として進んでいくので、だからこそ魔物の可能性を疑われる。
上巻では魔物探しは感情的に避けられているが、一人また一人と減っていく状況では下巻では魔物探しがメインになるのだろう。今回最後に出てきた井戸を使えば村人を殺すことも可能だからな、怖すぎてトキメキそうな展開ということだ。
福永と藍には生き残ってほしいが、どうだろうな。藍が言っていたように、福永は魔物に適役で、彼が自分でも知らぬ間に魔物役をやっているという展開だったら燃えるが結末が悲惨すぎる。
さて、今回はちょっとぞくりときたラビットのセリフを。
ある村人に罠から救ってもらったというラビット。その恩返しに、と村人に魔物の情報提供や斬魔刀を持ってきたりするのだが、その正体はゲームの指導者であり脅迫者。村人を助けたいと言いながら、ラビットはぼそっと呟いた。
『……そういえば、あの罠を仕掛けたのも、村人さんたちなんですよね』
つまり、ラビットには全員を生かす気はない。
生き残った人=恩人であり、他がいくら死んでも構わないということだ。
うむ、ケモノガリ並みの嫌なエンタテイメントだが、それを娯楽として楽しむようになったらもう戻れないんだろうな。
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