2015年01月20日

冴えない彼女の育てかた




「俺は、お前を、胸がキュンキュンするようなメインヒロインにしてやる!」


 人の記憶は匂いと一番結びついているらしいが、私の場合は音だったりする。人の顔はてんで覚えられないけれど、声は結構覚えている。
 だから、GE2RBのEDがMay J.さんというのは俺的に衝撃的すぎるニュースなんですが。声だけで歌っている人の顔が思い出せちゃうのが苦手なんだが、え、マジで? マジなんですかこれ? 露出の多い人だからばっちり顔が思い出せてしまうんだが。
 ……どうしよう、めちゃくちゃ楽しみにしていたけれど買えないかもしれん。音に関しては本気でダメなんだよ俺。


■あらすじ
 とある女の子との出会いを運命の出会いだと感じた安芸倫也はその時の感情を元にギャルゲーを作ろうとするのだが、知り合いの絵師と小説家はその形にもなっていない妄想を蹴散らす。
 それどころか、運命の女の子は一年以上同じ学校、春からは同じクラスだった加藤恵であることを知り、彼女の普通さに倫也が感じていた運命は打ち砕かれることになる。
 しかし、そんな普通な加藤の魅力を引き出すためのギャルゲーを作ると決意し、なんとなく付き合ってくれる加藤とともにサークルを立ち上げてメンバーの勧誘を始める。


■感想
 最近思うんだ、このあらすじって普通にコピペすればいいのになって。私が曲解して書くことないよなって。けど今までこうやってやってきたんだからこれからもこれで行くんだがな。

 まず初めに、今回は絶賛アニメ放映中のサエカノ1巻です。
 実はかなり前から薦められていたのだけれども、ちょっとラノベに食中を起こしていたので手に取っていませんでした。
 アニメの1話……あれは0話か。ともかく初回の入浴シーンにもめげずに観ていたら、加藤が気になったので本を買う。とりあえず全巻。
 ――うん、友人がすっごい嬉しそうな顔してたなぁ。

 そんなこんなで現段階での私の知識はアニメ1話を観たところなのだが、そんな感じで1巻読了なのです。

 始まりは倫也が幼馴染にして絵師の澤村・スペンサー・英梨々と憧れのラノベ作家の霞ヶ丘詩羽をサークル勧誘してぶった切られるところから。
 ちなみに加藤も傍にいて、そこから過去を振り返っていく感じ。
 アニメとは違って原作の方ではまだ二人の本性は明かされていませぬ。

 まだ序盤も序盤だけど、原作とアニメは大分違う。
 主人公の一人称であれこれ言ってるのが好きな人は原作の方がいいと思う。私的には原作の方が好きだな。
 坂の上から転がってきたUFO――もとい、ベレー帽を拾うために自転車で爆走しようとして、交通違反的に全力疾走に切り替える。そんな泥臭い感じの倫也は好感が持てる。

 桜の舞う坂の上、女の子、拾った帽子。
 それこそ『これなんてエロゲ』な展開での出会い、その女の子を倫也はどうにか再現したくて同人でギャルゲーを作ろうとするのだが、再会は呆気なく訪れる。
 先生が呼んでるよ、と伝えに来たクラスメートその二は去り際についでのように、「この前、ありがとね」と言う。

 この前とは、帽子を拾ってくれたこと。

 倫也が名前すらきちんと覚えていなかった彼女・加藤恵がその時の帽子の少女だった。
 ここまではアニメで観ていましたが、正直最後の加藤は卑怯だと思うんだ。こんな子が普通とか、もう美少女とかいらないな。

 この後加藤は倫也のお茶しないかの誘いにホイホイとついてきちゃって、気安い何気ない、だけども男女としては全く心惹かれないダベりが繰り広げられる。
 倫也じゃないけど、加藤のフラグブレイカーっぷりは笑ったわw

 自分は地味だからと目立つオタクの倫也とは違うことを加藤が言った時、倫也が地味は個性だということでとあるギャルゲーの一ヒロインについて語るんだけど、その時に思ったんだ。
 いかん、これって丸っきり僕らじゃないかww
 ゲームのキャラクターについて熱く語り、簡単に飛ばされた日付に怒り、こっちの気なんてお構いなしにあっさりと変わってしまうキャラクターに悲しむ。ほらっ、まんま僕らじゃないかww
 やばい、倫也を嫌いになれないはずだわ。

 そんなことをいきなりフルスロットルで聞かされた加藤はぽかーんな上に、「お前はキャラが死んでるんだよ!」とか酷いこと言われるのに、次の日シカトとか怒りもせずにあくまでフラットに倫也に挨拶をしてくる。
 だから、倫也の方も加藤恵をメインヒロインとしたギャルゲーを作るとか言い出しちゃんだが。

 まあ、ここまでだと倫也と同じで加藤には萌えよりも気安さで居心地のいい感じが勝つ。こいつ全然乗ってこないけれどこっちのことを見捨てたりしないで付き合ってくれるし、多少無茶してもいいだろう的な。
 だからなのか、加藤はこれまた普通に倫也の家に遊びに来ちゃってゲームが終わるまで返さないとか言われても軽く受け入れちゃうんだが。
 そのなんの脈絡もなさすぎる反応には、きっと本人が隣にいても何かをする気なんて起こさせないんだろうな。信頼されてるとかじゃなく、眼中にない感じで。
 不思議な子だな、と読んでいる間ずっと思っていました。

 ま、加藤にギャルゲーをやらせている間に倫也が仕掛けたDVD爆弾が破裂しまして、坂の上の豪邸より幼馴染の英梨々がキレて乗り込んでくる。
 みんなの憧れ金髪ツインテ―ルお嬢様が、髪ぼさぼさの緑ジャージスタイルで。うん、いいところで終わったアニメの次の回が実写グロになっていたら乗り込むわ絶対。

 十八禁同人作家さん――ってちょっと待て、俺のパソコンが今「じゅうはちきん」を「銃はチキン」と変換したぞ! やめろよ、銃の悪口言うなよ! 寝起きで頭クラクラしてんのがバレるじゃないか。
 まあそんなこんなで英梨々を絵師として再び誘うが、やっぱりぶった切られて、その隣でギャルゲーの選択肢ミスする加藤が可愛いいというね。うん、翌日英梨々にバラすなと脅されてて素敵でした。

 次の倫也の行動は全五巻のラノベを加藤に布教する。加藤が一日で読んでくれて一方的に濃い感想トークをしながら向かったのは、その『恋するメトロノーム』の作者・霞詩子のサイン会。
 加藤一人がドキドキして待っていると、一学年上で有名な秀才・霞ヶ丘先輩だったというわけである。

 この後倫也と霞ヶ丘先輩の関係、霞詩子の熱烈なファンサイトの管理人が倫也だったことが明かされる。
 英梨々が一年前のことで霞ヶ丘先輩に何か思うことがあるのは入れ込んでいたからなのかな。霞ヶ丘先輩の方は犬ハサの霧姫と和人の関係に似てるんじゃないかと勝手に目星をつける。

 そんな感じで二人にアプローチをかけるわけだがやっぱり断られてしまって、倫也はGWの明けに最後の企画書提出機会を貰う。
 この時加藤は家族旅行で北海道に行ってしまうのだが、だからこそ倫也は一人でクリアしなければならないことがあった。

 二人が企画に乗ってくれない最大の理由は、加藤にやる気がないから。
 付き合いがいいのも巻き込まれてくれるのも、加藤自身が自分で動いていないから。

 倫也の企画書作りは論文提出前の自分みたいで胃が痛くなる状況で、ほら十分寝ようか頭すっきりするし。あれ、朝だ。待て待てまだ本気出す時間じゃない。とりあえずネットでも開こう、みたいなw
 でも、最後の最後で加藤のことを思い出して気づくんだ。
 あのフラグの立たない会話、本当はもっと違う加藤に会いたかったんじゃないかって。
 もっとテンプレで使い古されたギャルゲーのような、恥ずかしくも愛しいような会話が。

 今までの加藤との会話を理想の会話に書き換えてみてやっと分かったこと。それを倫也はギャルゲーで実現したかったのだ。
 だって、どんなに一緒にいるのが気楽でもあまりにも理想的な友達すぎて、ふられたってことに気づいてしまったから。

 ああ、本当だ。
 どんなに加藤が近くにいても、きっと彼女は特別にはなってくれない。その確信が、残念ながら出来てしまう。
 楽しいだけでも十分だけど、擦れ違ってつらい思いして仲直りだってしたいじゃないか。

 そうしてできた企画書を持っていこうとする倫也はあの坂道で、運命に再会する。
 あの時のベレー帽に白いワンピース姿の加藤がいた。
 運命のやりなおしだって行って、失敗してしまった再会をやり直す。もうな、ここの加藤はすごい可愛い。
 先っぽ――違う、一秒だけなんて言ってキスしようとした時に英梨々たちの邪魔が入ってネタばらし。

 実はこのやりなおしはキャラクターデザイン・英梨々、シナリオ霞ヶ丘先輩、役者・加藤による演技だった。倫也の行動によって五十通りのパターンがあるとか、むしろそれを見せてください。
 加藤の方は旅行は早めに切り上げて帰ってきていたんだけど、倫也が企画書で忙しそうだったので二人の説得を行っていた。けど、加藤から動いた時点でそれは決着がついていて今回の演技の準備をしていたらしい。羨ましいな、倫也そこ代われ。

 でも、加藤はシナリオ通りなんて言っていたけれど、霞ヶ丘先輩曰く、シナリオ外れて二人の世界に行っていたらしい。
 英梨々と霞ヶ丘先輩が倫也のことを好きなのは分かるけど、加藤の方はどうなんだろうな。言葉からじゃ感情がつかめない。ああ、厄介な子を好きになったかもしれん。

 次も買っているので続けて読むかもしれませんが、続きが楽しみです。英梨々も霞ヶ丘先輩のこともあんまり語られていないのでそっちがメインになってしまいそうだが、頑張れ加藤。
 俺、お前が攻略できるならゲーム買うから。vitaも取り戻してみせるから。

 さて、今回のお気に入り。
 最近ちょっと確信に迫ったところを抜き出しすぎたので、倫也と加藤の会話でも上げてみる。
 学校でお嬢様モードの英梨々に脅されたことに対しての会話。あ、加藤はこの前々日に倫也の部屋に泊まってます。英梨々も一緒に三人でギャルゲーして朝を迎えました。


「あ、安芸くん……なんなのあれ?」
「なんなのも何も……週末にパジャマパーティーで語り合ったお友達だろ?」
「わたしパジャマ着てなかった……安芸くん持ってこいって言わなかったし」
「落ち着け、論点がずれてる」


 こういう切り返しが、私は好きでたまらないw
 なにを行っても変に深刻にならないところとか、脱線したって楽しいところが。
 でも、こういうのってやっぱり友達だからなのかな? 恋人になったらなくなってしまうものなのか。そんなの人それぞれだろうけど、それはそれで悲しいな。






冴えない彼女の育てかた
丸戸 史明
KADOKAWA / 富士見書房 (2012/9/7)




ラベル:冴えカノ
posted by SuZuhara at 22:53| ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。