2025年02月24日

ドライブ・イン・マンハッタン



 真夜中のタクシー 向かうのは<愛とは何か>の答え


 ガンダムの映画、ジークアクス先行に行こう行こうと思っていたら放送日が決まって出鼻をくじかれる。い、いや、お腹いたくならなかったら行くつもりだったんだけど、毎回痛くなってな……あんま縁がないんだろうな。
 まぁ、今年はだいぶ映画に行っているし、来月はミッキー17は観たい。でも、公開日決まって以来絶対に行くと思っていたウィキッド熱はなくなっているのでムビチケとか買えんのよ俺。


■あらすじ
 ジョン・F・ケネディ空港から一人の女性がタクシーに乗り込む。夜の街を疲れた様子の女性に壮年のタクシー運転手はジョークを交えながら会話を交わしていく。
 だが、当たり障りのない会話を交わしていたはずが、女性が抱える悩みを運転手は言い当ててきて、女性にとっては運転手が話す男の本音はつらく心に痛いものだった。
 途中、事故に巻き込まれたせいでタクシーの中にいる時間が長くなる中、二人はもう二度と会うことのない関係だからとお互いの本音を、女性は誰にも明かせなかった秘密を打ち明けていく。


■感想
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 フライヤーと来場者特典ポストカード。

 僕は会話劇というのがものすごく好きで、会話のテンポがよい作品とかに出会っちゃうと監督と脚本家の部分を絶対にチェックする。あと役者さんにも。僕という人間は普段ここまではしない。興味がない。
 今放映しているドラマならば『ホットスポット』とか。もともと市川実日子さんが好きで、俺の好きな『マザーウォーター』にも出てるしな。そんで見始めたんだけど、これはキャスティングが上手すぎるよな。
 あとオススメドラマは『俺の話は長い』。生田斗真さんと小池栄子さんの殴り合いのような会話がテンポ最高である。僕はこのドラマのせいで清原果耶さんをはるみんと認識している。

 さてさて、話が逸れまくったが会話劇は――さっきから会話撃とか会話撃破とか変換してくれる俺のパソコンの素晴らしさよw
 言いたいことは会話劇は最高だ、ということ。
 この映画に興味を持ったのもタクシー内というワンシチュエーションで行なわれるほぼ二人劇というのがどうしても観たかった。実のところこの映画を観るために2時間かけて上映館にいくつもりだったんだけど、近所の映画館でやるって聞いた時はガッツポーズものでしたね!

 だが、思った以上に男と女で気軽に観に行くことはオススメしない。性的な会話が苦手な方はちょっと待てなので注意。

 はっきり言って、この話はあまりに現実的で、きっと世界にはありふれている。
 空港からタクシーに乗り込んだ女性・ダコダ・ジョンソンに運転手・ショーン・ペン。ずっと携帯とにらめっこすることのない女性に好感を示した運転手がちょこちょこ話しかけてくるんだけど、その会話が女性にとって不快ではなかったのか続けていく。
 むしろ、たぶん不快だったのは恋人からのメッセージ。

 もうついた?
 会いたい。
 黄味が欲しい。
 →君が

 みたいな頭足りない思春期真っ只中としか思えないメッセージはヒートアップして、臨戦態勢のブツ写真とか送ってくる。もちろんモザイクされているが、たった数分の会話でも女性の知的さ、聡明さを感じるのだからこういうのは好きじゃないはず。実際、疲れたから今日はやめよう。渋滞、遅れている。とか、今日は会いたくないメッセージを送っているほど。

 そんな中、運転手に自分の仕草から性格を言い当てられる。それで自分のことをちょこちょこ話してしまうんだけど、この後で「君の相手は既婚者」とこれも言い当てられてしまうんだ。

 これ、めちゃくちゃ驚いた。
 しかも、あのメッセージ男、二人の子持ちだとよ。
 え、こんな頭足りないメッセージを送っている男が?
 会話中も写真送って、下着見せてとか送ってくるような男がだと結婚して家庭があるだとぅ? ――世も末だな。

「愛しているなんて言うなよ」

 その言葉を受けた女性が痛かった。運転手は事実を続ける。そんなものは君に求めていない。

 運転手は数々の浮気を繰り返し二度も結婚を経験したと豪語するだけあって正しい。家庭とか愛とかは妻とするもので、浮気相手に求めるものって性欲を満たすことだ。若い女を囲うのであれば自己顕示欲としてかな?
 つまり、人並みの幸せってヤツはあなたから欲しいものじゃない。だから愛しているなんて言葉は迷惑なんだ。

 ここから男の話をする女性は僕には痛々しかった。
 妻や子どもの写真とか見せてもらっている、男の大事なものを知らされていることから「よほど信頼されているんだな。普通(浮気相手には)見せない」と運転手が言うのがフォローに聞こえてしまうほど。
 そんでさ、うるさく性的なメッセージ送ってきていた男が子どもが起きたと引き下がろうとすると、女性もエロいこと言い出して男を惹きつけるんだ。写真送って、で撮ってあった写真を送るほど。

 ……あ、ああ、なんでそんなことするんだ。
 会話だけでも彼女は知的で魅力的だ。父親に愛されていなかった過去から年上男をダディと呼んで関係を結ぶとか、そんな安く見積もってほしくない。

 正直、これだけならまだよかった。
 運転手と奥さんの話とか、本当に奥さんが好きだったんだなって分かって好きなんだけど、彼女が悲惨すぎてな。

 ドライブ中、二人は張り合うように話していたんだが、最後に女性がポツリと話す。
 今回の離れていた姉に会いに旅行に行っていたんだが、その時に彼女は妊娠していた。旅行中、ずっと止まらない血が流れていた。生理だと嘘をついた。病院には行かなかった。彼女には子どもが出来ていて、見殺しにしていたんだ。

 ここの彼女の心境を、分かるとか言えない。
 でも、どうしようもない感がすごすぎる。子どもを産むという選択ができるはずがないからだ。

 ここでの一夜限りの二人の会話ではなんの解決もしない。
 けどさ、きっと聴いてもらえるっていうのはかなりありがたいものなんだよ。
 本当はパンフを買うつもりだったんだけど、かなり内容が怖いから買わなかったんだ。でもやっぱ買いに行こうかな……。

 僕は会話劇というとどうしてもテンポの良さ、耳心地の良さを期待してしまうのですが、今作はそういうものではなく100分の中で中弛みもせずに濃厚に背景が分かる会話だった。
 日本だったから絶対にできない会話もニューヨークならありえると思えるし、だからこそ曝け出せたものがある。この数時間のドライブで彼女の人生が少しでも良い方向に向かうことを願う。
 でも、その男は絶対にやめたほうがいいよ!!

 では、この辺で今回のお気に入りへ。
 感想では女性の方をメインにして書きましたが、運転手の妻に関する話が終始茶化しながらも愛に溢れてて良かった。頭が弱い、男にとって都合がいいエロさなんて言いつつも彼女との暮らしを本当に愛していたんだと感じたのかここ。


「何かが起きる時、いつも彼女は笑うんだ」


 いたずらを仕掛けたりすると怒るとかでなく笑う。彼女が笑うから男は何度もいたずらしたし、逆に仕掛けられると同じように笑ってしまった。
 何度も浮気をして結婚も二度していたけど、たぶん彼の幸せはここにあったんだろうな。





ドライブ・イン・マンハッタン
公開日 2025年2月14日
配給  東京テアトル




posted by SuZuhara at 10:14| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月23日

野生の島のロズ



 プログラムを超えて 生きる


 何度、いったい何度繰り返したことだろうか。
 繰り返すこと二度三度では足らず、何度も何度も石を全部突っ込んで挑むプロテアリベンジにまたも失敗しました……っ。

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 でも無事に白野をLv.120にできた。これで俺のバレンタインは完。なかった、バレンタインなんてなかったんだ……。


■あらすじ
 事故により無人島で起動することになった最新型アシストロボット・ロッザム7134は島に生きる動物たちの力になろうと動き続けるが、自然の前には学習しながらも空回りばかり。
 巣を潰してしまったことから残った雁の卵を狐に狙われつつも無事に孵化させたことでロボットとしての目的達成、かと思われたが雛鳥・キラリにママと認識されてロボットはロズと名乗り狐のチャッカリとともに巣立ちまで育てることになる。
 手探りの子育ては苦難の連続だったが無事に巣立ちを見守るのだが、島は冬眠では越せないほどの大寒波に襲われる。島の嫌われ者であったロズとチャッカリは動物たちを救うために行動する。


■感想
 本当はだいぶ前に観てたんだけど、行ってきたよ『野生の島のロズ』。
 ドリームワークスが好きとかロズに興味があったとかではなく、早くも今年イチ映画とかいろんなところで言われていたので映画館で観てみるか程度の気持ちで行った。それ以上はまったく前情報なしな状態でどうしても字幕で観たかった。芸能人声優だとどうしても芸能人の顔を思い浮かべてしまうので苦手で字幕がなくなる前に行こう、である。

 さすがの映像美であり、野生の島の美しさを観るだけでも行った価値はあった。
 この物語は3部展開になっていて、ロズとキラリとチャッカリの疑似家族生活と巣立ち、ロズとチャッカリによる島の動物たちの避難から島の仲間へ、ロズを取り返そうとするロボットと島の住民たちの戦い。

 赤ちゃんキラリのかわいさはハンパないってレベルであり、まだまだロボットだったロズでも勝てない。効率を殺すことになっても家づくり(キラリの手助けはなんの意味もない)を手伝ってもらうくらいw
 この段階ではチャッカリはロボット騙して甘い汁を吸うタイプだけど、キラリが大きくなる時には立派な家族だった。ここに至る前はコミカルに描かれるのでロズがキラリの親を殺した問題が出た時はそこを認識してなかったくらいコミカルに進む。特にオッポサムファミリーがよいね! 一瞬でシンプソンズを思い出したよw

 キラリの成長がなぁ、実はなによりもショックだった。
 ロズのロボット特有の話し方をする成長後キラリの登場シーンを観た時は、ああああ、って頭を抱えたくなったもんだ。嫌われるこれは嫌われる。
 いや、雁だって分かってたけど赤ちゃんキラリ可愛いんだもん。なにこれこんな現実見たくない。
 ロズに育てられた変な雁でしかないキラリは同じ雁に仲間と思われないんだけど、上記に書いたロズが親を殺した問題でギスギスしつつも一生懸命練習してキラリは他の雁たちとともに渡り鳥として飛んでいく。

 感動のシーンだが、僕のようなひねくれ者にはあまり響かない。なんでだろうな? ああ、ここで泣かせたいのだろうなくらいにしか思ってなかったと思う。僕は終始ロズとキラリの親子愛よりもチャッカリの方が気になっていた。

 キラリがいなくなり、ロズとチャッカリの親代わりは一緒にいる必要なくなった。チャッカリは一緒にいたい感を出していたが、自分に芽生えた感情、愛について考え――ここは混乱かな? ロボットとしての役目を終えたロズは信号を出して帰るべきなんだけどそれができず、島を襲う大寒波の中で家に戻ってくる。
 すると、自分の巣に戻ったはずのチャッカリもいて、寒すぎて島の動物たちもこのままじゃ死ぬことを知る。ロズの家は火が使えるからね。文明最強である。
 ロズに促されてチャッカリはともに島の動物たちを家に移していくことに。みんな冬眠してるんだけど、雪の中で死んでいたりとつらい現実を乗り越えて全部の動物を収容するとロズは力尽きてしまう。ベースに戻れてないしね、ロズはもともと限界だった。
 家で好き勝手、喧嘩なんかしていた動物たちも冬の間は仲良くすると決めて家の中で冬を越すことに。

 最初の頃、キラリと暮らし始めたロズも省エネのために夜は落ちてしまうのだが、そこでキラリが首元、チャッカリが膝にぴったりくっついて眠るシーンがある。
「喋んなくなると寂しい」だったかな? キラリの言葉にさ、ロズが落ちたことを確認してからロズにくっついたチャッカリはびっくりしちゃんだけど、それを思い出した。たぶん、ここが一番好きなシーン。

 春になるとキラリが帰ってくる。
 キラリの無事を喜ぶも、道中でロボット・ロズと同型に襲われるのだが、キラリはロボットを怖がらないことからリーダーを引き継いで無事に旅を終わらせた。もうキラリは嫌われ者ではなく、みんなの中心だった。
 それを見て複雑な感情を抱きつつもロズは先延ばしにしていた信号を出す。信号をキャッチするとすぐに迎えがやって来る。
 キラリが会いたいっての言葉にロズは嘘をついて迎えから逃れるが、ロボットらしくない行動の記録を奪うために襲われることにここからは島の動物vsロボットである。まさかこういう展開になるとは思わんかったなー。
 
 総合的に見ると面白かったんだけど、どうにも荒唐無稽な部分があるせいか僕には響かなかった。高性能なロボットがいる人間たちの世界はほんのちょこっとしか出てこないが、ロズがどういう存在なのかが上手く消化できない。ほら、僕らは子どもの頃から高性能なロボットであるドラえもんとかアトムとか、そんな存在は近くにいた。ロズの記録ってそんなに必死こいて回収するもんなのか? てか、浮遊型がいる方がすごくね? みたいな。

 親子愛も、まぁ親と認識したならそういう展開になるかなくらいの感覚。
 だから、僕にはチャッカリや島の動物たちの方にこそ感情がうごかされたんだと思う。

 では、ここらで今回のお気に入りへ。
 ロボットたちを撃退した島の動物たちは喜びの声を上げていたが、ロズはこれが終わりではないことを分かっていた。回収するまで何度でもやってくることを理解していて、島のみんなのためにも自ら戻ることを選択する。
 だが、事実を述べるだけのロズにチャッカリが泣きながら初めて――やっと本心を口にする。


「話がある時にいなかったら?」


 ここなー、前後をちゃんと記憶してなくてちょっと捕捉を。
 ロズがいなくなることをチャッカリは嫌がるんです。ロズがいなかったらどうすればいいのか? 話がある時にいなかったら、というのはチャッカリがそれをできるのはロズしかいないんです。チャッカリにとってロズは家族であり友達であり、かけがえのない存在だったから行ってほしくなかった。
 でも、ここに至るまででチャッカリもただの嫌われ者じゃなくなっていた。もう「俺が聞くよ」って言ってくれる島の動物がいる。もうひとりじゃないけどそうじゃない。

 この別れの方が僕にはつらかったよ。





野生の島のロズ
公開日2025年02月07日



posted by SuZuhara at 22:26| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月02日

リアル・ペイン 心の旅



「でも、なにも感じないよりはずっといい」


 去年の俺を悩ませ続けた胃も快調だった昨今――また壊れた。
 うわあああ、いつになったら通常運転に戻るんだ。完治はいつなんだ。もうすぐ再検査なんですけどどうにかなりませんかねぇええ!
 まぁ、治らないなら治らないならそれはそれで。
 ただ、ただだな、俺がゲームしてる時に邪魔だけはしてくれるな。こちとら飽き性で集中力なんかないのよ、トイレタイムなんか挟んだら続けられないのよ。


■あらすじ
 NYに住むユダヤ人のデヴィットと従兄弟のベンジーは亡くなった祖母の遺言によって数年ぶりに再会、そして祖母の住んでいた家を終着にホロコーストツアーに参加する。
 同じツアーに参加した人々との交流する中で周囲を盛大に振り回しつつも魅了していくベンジーに複雑な感情を抱きつつも彼を心配して一緒に旅をするデヴィットも日常で生きづらさを感じていて、妻もいて子どももいる順風満帆な生活の中でも抱える痛みがあった。


■感想
 うっし、ファーストデーだ映画に行こう!というわけではなく、なぜか気になっていた『リアル・ペイン 心の旅』を観に行って来ました。映画は公開初週の土日の動員が大事だって■■ちゃんが言ってた! このネタは使いたいけど、ドストレートに使ったら終わるので伏せ字にさせてくれ。

 さてはて、元々ロードムービーが好きくらいで何の前情報もなしに行ってきました。最近はこういう突撃が多いですね。でも、この映画上映前の番宣でGQuuuuuuXネタバレ映像を観せられるとは思わなんざ……。

 冒頭、空港のシーンで待ちぼうけになっているベンジーのシーンから始まる。ショパンの曲……すまん、明るくないのでショパンとしか分からないが、今作には多用されているので好きな方には分かると思われる。
 ショパンの曲とベンジーの空港シーンはなんでもないのに印象的で、その後に慌てたデヴィットが何度も携帯に留守電メッセージを残しつつなんとか空港に辿り着く。そして感動の再会シーンで誰もが違和感に気づく。
「なんで? まだ二時間も前なのに!」ごめん、口調までは覚えてないのでニュアンスで。

 つまり、ベンジーは何時間も前から空港にいる。
 デヴィットは早口の伝言に「寝坊」「遅刻」という言葉を使っていたが、約束の時間よりもだいぶ前――神経質な心配性なのだろう、と思う。空港の身体チェックでもその様子がよく分かるからね。

 二人の関係は従兄弟というだけでろくに説明されずに進む。こういう方がいいよね、現実でどこかで観てる誰かのために自己紹介はされない。
 自由奔放、言ってしまえば自分勝手なベンジーの一筋縄でいかない感を感じつつも、二人はホロコーストツアーに参加する。

 無知故にホロコーストってなんぞ?レベルだったのですが、なるほどアウシュビッツ関係なのか。どうしよ、primeに来たら『関心領域』観ようと思っていたのに。
 ユダヤ人の歴史を辿っていくツアーだ。僕たちにとっては修学旅行で戦争に関わる地に行くようなものだろう。僕は防空壕とか洞窟とかに過剰な拒否反応が出るのだが、なんでかな。

 ツアーを通して、てか初っ端からベンジーが鬱であることを明かされるがこれには驚いた。けれども、彼が繊細で周りのことをよく見ていて感情に寄り添えること。明るく楽しい男、かと思えば感情的になって躁鬱な様子が分かる。尻拭いに回るデヴィットの胃の痛さを思うとつらいが、それでもベンジーみたいな人間は愛されるんだ。いつの間にか友達がいっぱいで輪の中心にいる。
 それが、デヴィットにはキツい。子どものままのようなベンジーと違い、場所と空気を読んで大人の対応をできる、強迫性障害を抱えつつもなんとか暮らしているデヴィットには妬ましいんだ。

 これな、すごく分かる。
 てか、普通に考えてベンジーは面倒な奴だ。付き合いきれんし、付き合いたくない人種だって思うだろう。彼の繊細さや人格を知っていてもね。
 それにどんなに仲のいい友達、家族だってさ、他人の成功は妬ましいさ。それが自分にとって欲しいものであったならなおさら。
 けど、ベンジーはそんなものが欲しかったわけじゃない。たぶん、彼は自覚せずにやっている行動だから実感がない。自覚できない成功なんぞそこにはないんだよ。B'zで『ケムリの世界』って
曲があるんだけど、その歌詞をちょいと引用しよう。

 全部自分がやったんだよと叫べる おシゴトしましょう
 それがこの世で一番ステキ


 これがめちゃくちゃ僕は胸に来てましてね。
 昔、僕は映画のエンドロールに自分の名前が載ることを夢としていたことがあったんだけど、その夢は叶ったんだぜ。クラウドファンディングで金払ったからな。あの虚しさは酷かった。クラファンだから、よりお金を出した人の名前が大きく先に出る。DVDが送られてきたけど、二度と観れなかった。
 まぁ、光栄にもクレジット関係に載せてもらったのはその後にいくつかあるんだが、その時は自分にできる限りはやったから後悔はなかった。
 ……うん、この話はやめようか。

 現代人、生きる上でなにかしらのつらさを抱えているわけだが、そのつらさは本人にしか分からない。
 ベンジーの躁鬱さを言葉で現すのはすごく難しい。ホロコーストツアーで彼はガイドに「事実の羅列は冷たく感じる」と言うんだけど、それは「ここで何万人が死にました」というような結果を数字で言うのではなくもっと寄り添えというもの。その感情的爆発は大人になったらやらないものだと思っていた。冷静になれ、大人げないってね。デヴィットもこういうタイプで、裏でガイドに謝ってフォローする。
 ガイドも初めは反発するが、最後には「ご意見くださいと言って建設的な意見をくれたのは君が初めてだった」とベンジーとハグしてデヴィットには手を振るだけ。うーむ、人生は上手く行かないぜ。

 はっきり言って、僕はベンジーの意見には反対だ。
 戦争や過去の出来事に寄り添いすぎると受け止めきれない。直視できない。映画とか漫画とかフィルターを通さずには受け止められないんだ。
 だから、ベンジーのつらさもデヴィットのつらさにも寄り添えない。僕は自殺を試みたことがないし強迫性障害なんか持ってない。想像はできる、けど自分のこととして共感するのは耐えられない。受ける必要のない痛みまで抱えられないよ。

 この映画を観て、すごーくいろいろ考えた。
 何度も何度も書き直しても上手くまとまらない。
 二人の旅は歪なまま、だけど互いへの信頼だけは強固で終わりを迎える。旅は終わっても人生は続いていく。この後を考えたくないと言ったベンジーにデヴィットが道中で知ったベンジーが祖母にされて嬉しかったことをやった時は泣いてしまったよ。

 ひとりじゃないという言葉は好きじゃない。
 けど、お前のことを大切に想う人がいないなんて想ってくれるなよ。エンドロール後の喧騒は今も耳に残っている。

 ……わぁお、全くまとまってないね。
 でも、本当に感想は難しいんだ。面白いという言葉は相応しくないと思うし、けれどもベンジーと無賃乗車しているところは楽しかった。でも、いくら楽しいことがあったってつらいときはつらいんだ。この先の未来だって不安だよ。楽しいことばっかりじゃいられない。苦悩がなくなることはない。
 あー、本当に難しい。こんな当たり前のことが言いたいんじゃないんだ。でも、人生って続いてしまうし終わらせたいわけじゃない。

 この作品では平凡という言葉が行為的に使われていて、誰もがただ平穏に生きていたいだけだと思う。けど、それが一番難しいだよな。

 では、もう今回のお気に入りに行って〆よう。
 ツアー客たちとの夕食時、感情を露わにして席を立ったベンジーにデヴィットは彼をフォローする。けれども、話しているうちにどんどんベンジーに対する負の感情が抑えられなくなってしまいデヴィットは殺したくなる時もあったと口にしてから言う。


「でもあいつになりたい」


 デヴィットの仕事、ネット広告作りを「イカれたシステムだよ」って言い切るところも好きだがね。海外のツアーはすごいぜ、旅でこんな個人的な問題は暴露されても僕ならどうすれって言うんだよになってしまう。









リアル・ペイン 心の旅
劇場公開日 2025年1月31日
posted by SuZuhara at 00:04| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月21日

劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師



「あれは私たちでどうにかできる相手じゃない」


 無事に祖父の葬儀が終了した。
 いやー、疲れた。久方ぶりすぎる親戚に社交力振り絞って接した後、寝込む人嫌いさよ。みんな良い人なので、問題は全て僕にあるんですがね。
 多くの人といると耐えられないのでそのまま映画に行くよ。今は難しいのより気軽に観れる系がいいよ、ということで話題の忍たま映画に行ってきました。


■あらすじ
 タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった後、消息を絶ってしまった土井先生を探して山田先生や六年生たちが動いている時、不在となった一年は組の担任はタソガレドキ忍者の組頭雑渡昆奈門と尊奈門が行なうことに。
 一年は組は土井先生出張との言葉を信じていつもと違う授業に耐えていたが、きり丸が偶然にも土井先生が生死不明であることを知ってしまう。
 そんな中、ドクタケ忍者の軍師・天鬼に接敵した六年生たちはその顔が土井と瓜二つであること自分たちでは歯が立たない強さを知り、命からがら逃げ出すのだった。
 軍師・天鬼の存在、ドクタケ忍者の暗躍を知り、タソガレドキ忍者も動き出す中、忍術学園と一年は組は土井先生を取り戻すために行動する。


■感想
 上映前から面白そうには思っていたのですが、12月って僕的に相性が悪い。僕ほぼ休みないねん。
 だから観に行けないかなぁって思っていたんだが、忌引きを利用していく罰当たりである。すまんじいちゃん、知ってるだろうけど自分のペースを取り戻せんと俺は生きられないんや。……でも、うちの親族みんな遊びに行ってるがね。

 さて、僕の忍たま理解度。
 子どものころにアニメを観ていた。以上。

 そんな触りしか覚えていないレベルでも十分楽しめた。うん、行って良かった。

 始まりは果たし合いという場に向かうにもいつものように普通に出掛ける土井先生と出会う乱きりしんの3人。ここでのやりとりで僕のような今までご無沙汰だった人間に忍たまのノリを思い出させると同時に終盤の伏線なのは恐れ入った。やられたと思ったね。

 土井先生に果たし状を送った尊奈門を知らなかったのだが、まともな忍具を用いずにあしらうところから圧倒的に土井優勢。鳥の巣を守って崖から落ちることになるが、さすがは忍者と見事に対応してくれる。
 最後、自ら川へと飛び込んで終了……のはずだった。なんかよう分からん玉みたいのが流れてくるまでは。

 残されたのは、行方不明の土井と気を失っていた尊奈門。雑渡さんが状況を説明して忍術学園と共同して土井捜索に向かうというシリアスが展開される中、表の一年は組では雑渡さんと尊奈門コンビによる授業がギャグ的に展開される。
 僕はもう大人なので土井捜索関係をもっと展開して欲しかったが、振り返るとこの案配は素晴らしい。土井を貶す尊奈門に一年は組が団結するところからも土井が慕われていること、画面上下二分割で六年生陣の聞き込み模様とか、無駄なシーンがないから飽きない。じっくり観れる。
 この後の尊奈門先生と生徒の雑渡くんはどうしても一年は組視線に立ちがちな我々の気分をスカッとさせてくれるしね。

 僕は金にがめついと言われる子どもだったのできり丸が好きだった覚えがあるのだが、ちゃんとアルバイトこなしているからきり丸は勤勉だよなぁ。そんなアルバイト中、偶然に六年生の動きを知ってしまったきり丸は先生にして家族同然の土井の行方不明――しかも生死不明を知ってしまう。

 六年生陣も土井を信頼しつつも一切情報がないことから死亡も考慮して捜索を始める。この、死の可能性を口にしただけで揉めちゃうの良い。感情と現実は分けねばならぬ。
 だが、ドクタケ忍者が土井らしき存在を運んでいたという情報を経て、六年生陣はドクタケ領へと潜入する。ここの武器を現地調達しつつ乗り込むとこ、めっちゃワクワクしたな! 六年生陣って記憶上では滅多に出ないけど好きだったんだよな!って。

 潜入を敵の軍師・天鬼に察知されて交戦。
 6対1にも関わらずあしらわれてしまう六年生陣だが、その顔を隠す布を剥ぎ取り土井であると分かった途端、気が抜けた。先生、俺たちですよ。きり丸も待ってるよ、忍術学園に帰ろう。
 その言葉で天鬼は本気になる。忍術学園は敵だ。
 手加減がなくなった天鬼に煙幕を爆弾(すまんこの名称覚えてない)だと偽ることで距離を取り、なんとか逃げ出す。追いかけてきていたきり丸も確保して忍術学園へと戻る。

 ここからドクタケの動きについて。
 ちょっと領地の名前を完全に覚えていないのだが、ドクタケが他の領地に攻め込むけから手出ししないでね的な約束をチャミダレアミタケと結び、チャミダレアミタケはタソガレドキを攻める。けど、ドクタケのそれは嘘でタソガレドキとチャミダレアミタケを争わせてどっちも奪って領地拡大を目指すという策を練っていた。え、あのドクタケがこんな賢い策を? これが軍師の力なのか!?

 あ、ちなみに記憶を失っている土井先生こと天鬼は八方斎の漫画と音楽で忍術学園は敵でドクタケ正義と洗脳されている。踊り出した時はドクタケのお気楽さをらしく感じたが、ちょっとこの八方斎はなんか変だ。俺の知っている八方斎じゃない。
 ここは終盤で分かったんだが、土井先生が川でぶつかった玉こと八方斎ヘッドで2人とも頭を打っている。土井は記憶を失い、八方斎も頭が切れるように――らしくない忍者的思考をするようになっている。いつもよりまつげが長くなってるとか、終盤の描写なしに気づいた人すごくない?

 山田先生と天鬼を探っていた息子の利吉と卒業生2人。六年生、五年生を動員して土井奪還作戦が始まる。その極秘作戦を一人知ってしまったをきり丸は1人で向かおうとするが、一年は組連中がきり丸の異変に気づいてみんなで行くことに。
 大人組が欺瞞だと切り捨てた城には組が行っちゃうのいいよね。そこで大黄奈栗野木下と会えたのめっちゃ嬉しかったね! この人が好きでな! 「お〜きなくりの〜きのしたさ〜ん」と謳うと「穴太だ〜わたし〜」と答えながら大事なこと全部話してくれるから間違いに気づくは組だけど、逃げ切るのは難しく捕まってしまう。

 大人組は3つの拠点のどれに土井がいるか探っていたところ、は組がある拠点に運ばれる。木下さんはそれでバレるとか考えない人やでw 六年中心に潜入、は組救出と攪乱が行なわれ、戦闘は私がするな山田先生は格好良すぎる。あれ、山田先生今回女装してないやん! そんなこともあるんか。

 一方、タソガレドキ忍者としては天鬼が邪魔なので排除へ。
 土井の元へ向かう雑渡の前に立ち塞がる利吉と卒業生2人だが、雑渡さん強すぎぃ……。しかも手加減までしてるよこれ。

 捕まったは組は乱きりしんの3人だけ逃げ出して土井探しだが、しんべヱの腹ぺこと嗅覚でまっすぐ八方斎の元へ行き、悪人ムーブ八方斎は天鬼に3人を斬らせることに。だって、そうしたら記憶が戻っても忍術学園には戻れないだろう? ……そういう考え、嫌いじゃないぜ。

 ドクタケは六年生にいいように攪乱されていたが軍師・天鬼の一言で形勢が変わっていた。しんべヱのよだれを辿って土井の元へ来る山田先生、武器使い切りながらも辿り着く六年生。

 天鬼は目の前に連れてこられた乱きりしんを斬れと言われ戸惑う。いつもの調子で抜けた会話をすると反射的にツッコんでしまう天鬼。そう映画冒頭のやりとりだ。戻れ戻れ、思い出せ。
 きり丸だけは自分の境遇や土井との日々を思い出し、いつも金一番の自分を怒る土井を刺激しつつ言うんだ。先生、帰ろうって。

 雑渡さんが明らか毒塗り手裏剣を投げようとして利吉が泊めようとする中、天鬼は斬った。乱きりしんを縛る縄を。
 ついでにいつもの八方斎をひっくり返すのだが、頭を支える部下は全員捕まっていたために頭を打って八方斎も元に戻ってくれる。

 いやぁ、良かった。
 記憶が戻って大団円。天鬼として戦物資は貧民に配ることになり、あの時代の無残さも描きながら忍術学園の絆に相応しい物語でした。雑渡さんもちゃっかり領地奪ってるしね。原作だともっと領地関係とか詳しく描かれていると聞くから読んでみようかな。
 90分足らない上映時間も本当に無駄がない。欲を言えば、忍術学園陣はもうちょっと観たかった。女性の先生とか学園長も出張って欲しかった。けど六年生陣の戦いが見れたのは良かった。僕は山田先生と土井の関係をほとんど覚えていないのだが、天鬼の正体を知ろうと揺さぶりをかけてくる利吉に山田先生が「知っていたらお前は平然としてない」みたいなことを行っていたり、最後に利吉は土井を「お兄ちゃん」みたいに呼んでいたから家族同然なんだろうな。困るなぁ、知りたくなってしまう。パンフ買おうかと思ったら案の定売り切れだったよ。

 では、この辺で今回のお気に入りへ。
 天鬼に斬られそうになっている中、きり丸は土井に注意された自分の悪癖である金に対する執着について高らかに言う。手裏剣は勿体なくて投げられませんとか。その最後に言った言葉はあまりにらしくて笑っちまうが、土井としては心配でたまらなくなっしまうのだろうな。


「地獄の沙汰も銭次第。だけど、払ってたまるか六文銭!」


 祖父の葬儀でも懐に六文銭を入れてな、この重要性を知っているにも関わらず僕は「これしかないのに使いたくない」とか思っていたのでタイムリーすぎたのだったw






小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師 - 阪口和久, 尼子騒兵衛
小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師
尼子騒兵衛 阪口和久
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2025年01月02日

グランメゾン・パリ



 世界に、挑め――。


 謹賀新年。
 僕のお正月は家族と過す――いや、家を空ける家族の代わりにお留守番要員なのですが、ちょいと映画が観たかったので半日だけお出かけしてきた。
 正月の映画館っていいね。ちょうど初売りだったりして駅弁フェアとか家族が食べたいと言ってた鯛焼きとか買ってたらびっくりするくらい金を使ったらしい。普段ケチな俺が。
 ケチというかだな、自分の物欲は際限ないのでセーブするけど家族が喜ぶことに金を惜しむ必要はないだろ、と兄に伝えると胡散臭そうな顔をされたさ。

 でもな、この話には続きがある。
 兄の高校時代の元彼女をなんやかんやあって僕は家族認定しているので、定期的に兄の情報流してたりするんだなー。姉貴のためだ、いくらでも骨折るぜw



■あらすじ
 グランメゾン東京で早見倫子に三つ星を獲得させた尾花夏樹は、今度は自分がシェフとして倫子をスーシェフにしてフランスでグランメゾンパリをオープンさせる。
 だが、本場フランスでの三つ星は簡単なものではなく、尾花は再び二つ星を超える評価を得られないまま、料理だけでなく仕入れの問題などがあり上手くいかず、辞めると言う倫子を引き止めもせずに別れてしまう。またテナントを貸してくれているレストラン「ブランカン」のルイから立ち退きを求められ、次のミシュランの発表までという猶予をなんとか得る。
 一方、尾花と厨房で何度も衝突していたパティシエのユアンも問題を抱えており、その問題に店が巻き込まれてしまうのだった。


■感想
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 本来は公開日の仕事帰りに行くはずだったのですが、ちょっといろいろあって行けなかった。まあ、朝イチの映画館の方が好きだ。そんでもって僕は座席は結構前に取ります。満員じゃない限りは視界に他人が入るの嫌っていう人嫌いっぷりよ……。

 さてはて、実は公開をすごく楽しみにしていた映画です。
 何度か書いたけれども、母が木村拓哉さんのファンであり僕はわりと作品は観ている方だと思う。木村さんのドラマだからどうこうというよりも、キャストがベテラン多いから観ていて楽しいんだよね。

■グランメゾン東京
 だが、この映画の前、ドラマ『グランメゾン東京』はちょいとスタンスが違う。あらすじからして『二ツ星の料理人』に似ている。
 シェフとしては最高だが人間性は最悪の料理人アダムとフランスで日本人ながら二つ星を取れるほどの腕前を持つが、厨房では傲慢でありアレルギー物質混入に暴力事件まで犯した尾花夏樹。うむ、似てる。

 僕はこの『二ツ星の料理人』が大好きでな。
 僕らのシェフは自分の腕前に絶対の自信を持つけれども傲慢で独りよがり。いつまでも三つ星が取れないアダムが仲間に裏切られたかと思えば、やっぱり仲間に支えられて少しずつ心を開いていくんだ。人生の全てを料理に捧げろと強要するところもアダムと尾花は共通していると思う。

 こんな風にドラマ時代は似てるなーと思いながら観てたんだ。
 けれども、ドラマの方は店を作っていくのがメインだったから関係者に映画好きな人が居るんだろうなくらいの感覚であり、これはこれで面白かった。早回しで料理を作る過程を演出するのは観ていて気持ちいいしね。
 ま、最後の三つ星獲得はできすぎていて多少鼻白んだが。

 ここまでが連続ドラマ版『グランメゾン東京』。
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■スペシャルドラマ『グランメゾン東京』
 次は映画上映前日に放映されたスペシャルドラマ版。
 簡単に説明すると、コロナ禍で飲食業界全体が大打撃を受ける中で倫子は大手企業と資本契約を行い、冷凍食品やレシピサイト、タレント業などなどを行ってなんとか店を守っていたが、ついにグランメゾン東京は星を全て失ってしまう。そんな中で消えていた尾花がグランメゾン東京を潰すためにライバル店のスーシェフをしていて回帰を目指す。

 てな感じな話なのだが、これを観た僕の感想は勿体ないなだった。新キャラ湯浅の真意がよく分からん。最終的に尾花とグルでしたーなのだが、湯浅がシェフなのにスーシェフの尾花ばかりが評価されることに対して悔しげなところはあったが、彼がなにをしたかったのか分からんままグランメゾン東京入りへ。
 代わりに自由になった倫子さんが尾花のスーシェフとして、京野と相澤と共にパリで姉妹店を開くことに。あ、今回の一件でシェフになった祥平などのドラマの仲間たちは東京の店を守っていく。

 注目したいのは料理には本気、そして仲間を信じるからこそ突き放して発破をかける尾花というドラマからの成長があるのが良かった。尾花は年長者であり祥平の巣立ちを見守りながらも、自分の諦めきれない夢を追いかける姿は良かったと思っている。


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■グランメゾン・パリ
 さて、やっと映画の感想だ。

 正直に言って、序盤はかなり説明不足だと思う。
 尾花がまた二つ星止まりだったこと、仕入れ業者に舐められていて満足のいく食材が手に入らないこと、大切なガラディナーで失敗する、という展開が一気に進む。
 ここな、初めのワンマンシェフに逆戻りして回りの意見を一切聞かない尾花に戻っていた。何故であるか。
 そもそもガラディナーってなんや?状態だった自分は倫子さんが病み上がりという情報を大して気に留めていなかった。俳優の鈴木京香さんが休業してたことか?と繋げて流してしまっていた。ここ超重要だぞ。

 その後、倫子さんが辞め、落ちていくグランメゾン・パリにテナント契約の終了宣言。どんどん追い詰められていく尾花だが、パティシエ・ユアンがヤバいヤツらから借金をしていることを知る。それも料理の研究のためという料理バカっぷりが尾花並みの人物だったからこそお互いに衝突していたことが分かるのだが、借金取りの店襲撃後、借金取りたちはユアンを家で縛り上げて放火してしまう。間一髪助け出せた尾花だが、問題は近くのチーズ工房が被害を受けたこと。それら全てをグランメゾン・パリが買い取ることを決めたことから流れが変わっていく。

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 母が買ってこいと言ったパンフにて、料理監修の小林圭シェフが「パリで店を出すには営業権を買う」「仕入れは市場の人たちとの関係性を築き信用を得る」と発言があったが、ここが今作の一番面白いとこ。

 肉はなぜか――裏で倫子さんが頑張っていた――いいものを降ろしてもらえるようになったが、魚と野菜がダメ。けれども、ユアンの一件でチーズを全部買い取ったことが市場の人たちに知られて関係性が築けていく。
 店のメンツとの和解――一緒に飯を食おうは二つ星の料理人を思い出させるが、クロックムッシュ美味そう。ビーガンに配慮したハムなしも作るところはさすがでした。

 そこから新メニューの開発、ホールスタッフとの連携という我々客には見えない努力の様でわくわくしてくる。
 その結果が、リンダとブランカ親子を招いた食事へ。特別扱いをしない全力で向かっていく様子は是非本編で。

 パンフの話に戻ると、このコースでリンダが語った内容が食事と共に載っている。これ、もうちょっと本編で語った以外があったら最高だった。『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のパンフみたいにクロックムッシュのレシピとか載っていたら神だったね俺的に。

 結果はドラマ版と同じような印象を受けましたが、概ねいい物語でした。欲を言えばもっと東京組との絡みが欲しかった。尾花のお願いも祥平じゃなく湯浅がキャッチしてしまうとドラマで積み上げてきた関係性が勿体ない。尾花さん尾花さんだった祥平はシェフになったら協力的じゃなくなるとか悲しすぎる。
 あと倫子さんを巡る人間関係についてはパンフ参照。まぁ、倫子さんを好きだった京野云々とかは物語には必要なかったので切られたのだろう。これは大人になっても本気で夢を追いかける人たちの物語なのだから。

 最後に、絶対味覚のようだった倫子さんを襲った病はコロナだった。コロナによる味覚障害。
 これにはガツンと殴られた。幸いにも私はコロナを患う事がなかったのだが、味覚障害が長く続くとは聞いていた。飲食業界を襲ったのは外出禁止だけでなく、料理人自身に対しても深刻だったなんて気づいてもいなかった。だって俺、コロナ禍でも休み一切なかったからね!

 いやー、新年一発目からいい映画を観られました。
 今年こそ、月イチ映画館の目標を達成したいですね。

 では、ここいらで今回のお気に入り。
 耳で聞いただけの抜粋ですが、ルイより尾花にパリでの三つ星を諦めさせろと言われた倫子が説得する時の会話から。倫子は尾花に星を獲らせたい。けれども、これ以上苦しませたくもなかった。


「パリに行く前、俺に言ったよな? 終るわけねぇだろ、こんな面白ぇことって」


 スペシャルドラマ版の終わりで倫子が尾花に言った言葉ですね。上手く繋がっているので履修はきちんとしていった方がいい。






グランメゾン・パリ
公開日2024/12/30

posted by SuZuhara at 22:27| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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