2025年05月31日

とにもかくにもごはん



「今はごはんだけで精一杯ですよ。とにもかくにもごはん。そこが万全になったら考えます。まずは万全にするのが先。わたしは人に何かを教えられる人でもないですし」


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 ちょいと前のことだがチェキを買った。そうチェキ。らしくない? 自分でもそう思うが、私がカメラに求めるものが物理的な軽さと撮るという行為への手軽さ。あとファインダーを覗く行為が面倒になることがあるのでこのINSTAX Palはすごくいい。それでも持って歩かないことも多いがね。

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 イッヌの低めアングルもお手の物なので散歩には持っていきたい……いきたい、と思ってはいる。

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 レンズ保護用のケースを外せば昨日やったUNDERTALEガチャのサンズとくりそつだったw あれ、テミーも当たったのにどこにいったのか。

 ま、なんでこんな話をするかというと、せっかくだからこのブログの写真はこいつで撮った写真を使ってみようかなっていう試みのための前振りだよ。


■あらすじ
 亡くなった夫と最後にきちんと話した出来事をきっかけに松井波子はこども食堂を開く。
 ボランティアで運営される『クロード子ども食堂』では子どもだけでなく大人も利用できるのだが、運営側のボランティア大学生やひとり親のホステスなどみんな様々な事情を抱えている。けれどもあたたかいご飯を食べて、近いようで近すぎない距離で行われる会話に気持ちがちょっとだけ前向きになる。


■感想
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 どーん、光が入っている許してくれ。
 サンズ近い近い、となんか楽しくなったのは内緒。

 さて、今回は講談社文庫で行われているちいかわとよむーくコラボフェア対象作品なので買った。ちいかわ大好きな先輩が「てめぇが本当に本読むんなら栞くれよおお!」と乗り込んで来てフェアを知る。結構長い付き合いだが、未だに私が本を読むことを信じてくれていないw
 だが、このフェア少し難点があってな。私の利用する書店ではビニールがけした本の裏表紙に栞が挟んであって、でかいそれのせいであらすじが読めない。好きな作家さんの本は既に読破済み。食事系ってことで手に取ってみた。

 作者の小野寺史宜さんを私は存じていなかったのですが、子ども食堂話と聞いてちょっと怯んだ。私の個人的な事情は作品には関係ないので後述にしますが、思った以上に読みやすくそれに気づきの多い作品だった。シンプルに面白い、そして綺麗にまとまっている。私は起承転結をそこまで重視しませんが、結の部分が綺麗な作品はなかなか出会えないので素晴らしいと思う。

 では、ざっくり説明。
 松井波子が夫を事故で失ってからその後子ども食堂を始めるまでの話が波子視点で語られるのだが、これ話の流れが現実の時間軸も経過しながら過去のことも語られる。
 章タイトルを見れば分かるんだが、『午後四時 こんにちは 松井波子』のように登場人物で視点が変わりながら子ども食堂の一日も語られる。面白いなぁ、そんでもって無駄がない。

 波子は夫を失う前に関係が冷え切ったものだったのだが、以前に公園の街灯の下でひとりご飯を食べるエイシンくんを見守っていた夫と話すことで少しだけ関係は回復に向かっていた。
 けれどもその矢先での事故だ。だからエイシンくんをきっかけに子ども食堂をやろうと思った。子ども食堂が始まるまでに過去の出来事から疎遠になっていたご近所さんで閉店したカフェ・クロードを持つ黒沼さん宅に突撃したりとパワフルすぎる行動力を発揮してくれますが、波子さんの話はこれで一端お終い。

 午後四時半はボランティア大学生で就活アピール用にボランティア経験欲しさで参加した凪穂の話へと移る。
 彼女ことは嫌いじゃない、というか当然そういう下心はあって然りだと思う。自分も高校時代に生徒会――はめんどいので選挙管理委員会に所属したのは受験対策だ。あれは生徒会選挙の時だけ忙しいだけだったから後は楽だった。
 ボランティアだからと手を抜くということはなかったが、100%善意の塊のような同じく大学生ボランティア鈴彦と衝突した時は痛かった。やめて、その善意は俺と凪穂に効く……。

 午後五時から子ども食堂は始まり、そこからはお客さんがやってくる。子どもだけで来る子もいるが、牧斗は母親と一緒にやってきた。この母親がいちいち文句をつけてくる上に牧斗を置いてデートに行ってしまうような人だから当然のように嫌な気持ちを抱く。この人嫌いである。
 けれども、そんな大人でも牧斗には母親。「お母さんはぼくを守ってくれる」は洗脳というか、それしか知らないが故に思い込んでいるようなものかなと。

 話が少し脱線するが、去年辺りから所謂毒親についていろいろ考えていたりする。近所の公園で大谷選手に憧れて夜遅くまでバットを振る野球少年がいるんだが、その父親は大変参考になったくらいだ。
 だから、この母親でホステスの森下貴紗にも興味があった。

 でも、この人は毒親なんかじゃない。行動の理由が分からないと気づけなかった。ありがたい。
 貴紗が牧斗を置いてデートに行ったのは結婚相手が欲しかったからだ。男が欲しいのではなく、牧斗とこのまま暮らしていくために安定したかった。過去にもいいなという人はいて牧斗が原因で破談となった時に恨みかけたとはいえ、決して牧斗を邪険にはしない。彼女の幸せは牧斗ありきだ。
 牧斗の話で牧斗が同級生にはたかれた事件があるのだが、そこでの貴紗の反応ははっきり言って過剰に思えた。 ……過剰? というか、そんな完全武装せんでも、という感じ。
 けど、これにはちゃんと理由があってさ、牧斗が舐められないように牧人を守るためのものだったんだ。アレルギー云々を個人情報だから言う必要はないって断るのも彼女にはそれ。
 牧斗と相席していた小学生・千亜と話す時はその武装が取れてていいお母さんになるんだから不思議だ。

 こんな感じで全部を語りはしませんが、この一日だけでだいぶ世界は優しく回る。過去に犯した過ちの謝罪が出来たり、離婚の危機がちょっとだけ遠のいたり、理解者が増えてボランティアの当てが出来たりとね。
 最後に引っ越してきたばかりで自分の家の場所も分からない賢翔くんのお兄さんが向けに来るのだが、その展開は予測できなかった。

 この辺りで前述した僕と子ども食堂の話。
 もうだいぶ前になるけど、同期だけどかなり年上の先輩に押しつけられたお客さんがいた。上の方針的に利益が見込めないから切れと言われたような人だったが、のらりくらり躱していた。その人が突然子ども食堂をやるという。その資金繰り頼む、と。
 大変だった。単純に言うと賭けられる金が低いとリターンも低い、そんなんではどうにもできない。でもどうにかこうにか開催出来て何度か見に来いと言われていた。さすがにそれは断ったがね。僕は自分の仕事をしただけだ。呼ばれるのは筋違いだ。
 その人はその後も何度もやってきては経過を話して言ったよ。おかげで僕は仕事をサボれる――もといお客様対応で席を外すことになったのだが、去年来た時に病気をして声が出せないと筆談で話した。それを機にリスク案件は一つを残してやめさせた。その一つだけは絶対にやめないと言い張る。だってやめたらもう会えないだろ、ってね。
 こうやって話すのも仕事のうちだからいつでも時間は作るよ、と話したのが最後でその人は亡くなった。娘さんが引き取りに来て教えてくれたよ。子ども食堂は他人に任せたとのことでどうなったかは分からない。

 その直後で読めねぇよというのが正直な気持ちだった。
 けど、読んでよかった。なんもかんもと上手くいってはいないだろうが、こんな感じだったのかなって想像ができた。
 うん、よかった。この一件とは関係なくこども食堂を取り巻く現状とかが分かったし、物語としてもとても読みやすかった。今度、ぜひとも作者買いをしてみよう。

 では、最後に今回のお気に入りへ。
 今回はお気に入りというか気づきの多い話だったので、かなり気づかされたところを。調理を担当する久恵は退職して家にいることが多くなった夫との関係に悩んでいたこともあり、食後になにも言わずに去って行った子どもを見て「せめてありがとうと言ってくれれば」と愚痴をこぼす。それを波子に伝えると「私はありがとうを望まないと決めている」と言われる。


「それは、言われたくない?」
「言われたらうれしいです。でも期待はしないです。言われたいっていう気持ちは、いつの間にか言わせたいに変わっちゃいそうだから」


 これは、すごく身に染みた。
 情けは人の為ならず、優しくするのはあなたのためじゃなくて自分のためなんだから精神でいたつもりだが、言われたい、これをやったのだから礼くらいは言われて当然だと驕ったりしていないかと肝が冷えた。この機に自分の行動を見直していこう。






とにもかくにもごはん (講談社文庫) - 小野寺史宜

とにもかくにもごはん 
小野寺史宜
講談社 2023/9/15

https://amzn.to/3Sq04db

posted by SuZuhara at 10:14| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月12日

珈琲怪談



 深煎りネルドリップ、男子ホラーはいかが?


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 一応、FGO初期勢にも関わらず初めて手札揃いを引けた気がする。狂ランスは唯一スカディの絆が埋まっていないのでよく組ませるのですが、鎧姿が最高だよな。剣ランスと揃って僕の初期脆弱カルデアを引っ張ってくれてました。
 今度来るグランドシステム? え、聖杯捧げたセイバーって剣ランスしかいないんだが。バーサーカーばっかりにしか聖杯捧げてないんだが。


■あらすじ
 働き盛りの男4人が集まり、遠出してまで喫茶店をハシゴして怪談を披露し合う珈琲怪談。時間的に全員揃うことができなくても男たちはできるだけ集まり、そこでした何気ない会話が行き詰まった仕事の糸口になったりして続いていく。


■感想
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 半額セール中だったドラゴンボールの一番くじで欲しかったH賞、しかもZが残っていた。最高か。鳥山明先生の乗り物も好きなのでまたH賞狙いたいが、他の賞は欲しくないというジレンマよ。

 さて、本題だ。以前に書いたイベント『珈琲参道』に行くと決めた時に本屋で出会って購入。コーヒーを飲みながら読みたかったが、俺の胃は(以下略
 作者の恩田陸さんの作品を手に取ったのは初めてだった。ていうか『蜜蜂と遠雷』の作者であることも知らなかった。そんでもって同作の映像作品も観ていない。僕というのはそういう人間である。

 さてさて、本作は男たちが喫茶店に集まって怪談を話すという連作短編である。面白そうだなと軽く手に取りましたが、帯に書かれた『17年ぶりの塚崎多聞シリーズ』の文字を見逃していた。うっかりしていたんだ。
 登場人物紹介以上の人物紹介はないまま男たちの怪談のような、怪談でないような、けれどもうっすら怖い話が始まる。以前に集まった話とやらが作中で語られるのを待っていましたが、それは前シリーズでのことだったので一見には正直関係がよく分からん。なので変な勘違いしているかもしれんのでそこは大目に見てほしい。

 シリーズを知らない身としては、誰が話しているのかというのが結構見失いがちになる。漫画のようにそれぞれ個性的な話し方をするなんてことはないから分からなくなる。全員男だしね。唯一、突拍子もなさのある多聞だけはちょこちょこと分かるけれども、尾上の作曲家と多聞の音楽プロデューサーの違いも混乱してなかなか入り込めなかった。無念だ。

 全部で6編あるんだが、どれもオチというか本当に仲間内で話す怖い話って感じで印象的なものはない。個人的には証拠が多く残っているのに犯人が捕まっていない一家惨殺事件という話題が分かりやすい。僕の友達の弟の友達だったらしい。友達の友達という都市伝説並みの関係だ。いや、もう一段階遠いね。
 僕も人並みに体験があるけれども、それを語っても面白くないというかやはり語り部次第だと思うので、登場人物のことがちゃんと分からないままで進んでしまうと脳内がちぐはぐな感情に占められてしまったんだ。黒田の犬の話は面白かったがね。

 うーん、やはりシリーズものに途中から手を出すべきじゃないな。機会があれば前も読んでみたいですが、そんなに多聞にも興味を持てていないのでどうかな。
 ただ、喫茶店の描写はすごく良くて子細に想像ができる。珈琲怪談なのにほとんど珈琲以外を飲んだり食ったりしているが、仲間内の集まりなんてそんなものという楽しさと仲の良さはめっちゃ伝わってくるのでハマれば面白いと思う。怪談に重きを置くと違うという感覚が強くなるので、ちょっとした怪異話くらいの気持ちで望んだ方がいいと思う。


 では、ここで今回のお気に入りへ。
 怪談話をしている最中になぜ怪談は人気があるのかという話題になる。幽霊の正体見たり枯れ尾花ではないが、十分に科学が発展した世の中でもなぜ人気なのか。


「あるかもしれない、だからいいんだよ。信じる信じないじゃなくて、分からない、でいいと思うし、そういうもんだから必要とされるんだと思うが」


 それなー、である。
 嘘か本当かなんて二の次。でも、全くの嘘じゃなくありえるかも、と思えてしまうのが一番恐怖を感じるんだよな。
 ちなみに、謳い文句の『深煎りネルドリップ』なる描写が一切ないのも俺的にはホラーなんだが。どこから来たんだコレw





珈琲怪談 (幻冬舎単行本) - 恩田陸
珈琲怪談 - 恩田陸
2025/04/16
幻冬舎



posted by SuZuhara at 17:04| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月10日

あとはおいしいご飯があれば



「一人でいようが、誰かといようが、楽しければいい」


 また胃が壊れたぜー! いえーい、何度目だこれ!
 食えない飲めない脱水症状でぶっ倒れる寸前に会社を早退し、帰り際におそらく心配して来るであろう家族の夕食を準備し、犬の散歩に行った後に案の定倒れる。大丈夫、ベッドの上だ。以前の玄関で倒れて後頭部強打で意識を失うなんてヘマはもうしないさ。
 が、予想通りに来た家族がわざわざ起こしてくれる。用意しておいた夕食を食べる間の話し相手をさせられる。後片付けも当然俺。意識が朦朧としている。水を飲めと起こされる。含むようにして飲まないと吐く――しゃらくせぇ飲めと押し込まれる。
 そんなこんなで目が醒めたのでゲームするかとなるいつものパターン。今回は起きてられなかったのでPSvitaでジャスティス学園やってた。vitaはいいよね、一番好きなハードだよ。


■あらすじ
 子どもの時のように花丸なんてもらえない母親の内緒のクレープ。高校時代にほとんど接点のない同級生が分けてくれた出汁。孫のために祖母がよく作ってくれただし巻き玉子。
 日常に寄り添う食に関するショートストーリー集。


■感想
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 自分がちゃんと食えないせいか食べ物系をよく手に取る。今回興味を持ったのはショートストーリー集だったからかな。以前に感想を書いた『彼女のこんだて帖』みたいなかんじだったらいいな、と思っていましたが、連作短編のようにうっすら繋がったストーリーでとても良かった。高校時代の変わった子はよく出てきて笑ったw
 あと、どうでもいい話だが、本屋でよくおかれている栞の世界遺産シリーズが好きでついついもらってしまう。大学時代にアメリカの図書館でもらった栞とかライブチケットの半券とか、いろいろ好き勝手に使うんだけどもね。

 さて、全部で13編もあるショートストーリーを全部語るのは野暮なので好きなモノを3つほど。
 
・秘密の昼ご飯
 高校で女子の仲良しグループに入れずに一人で昼ご飯を食べるところを見られたくない一心で体育館に来ると同級生の少女がいた。名前だけ知っていた彼女と同じ場所で食べることになるが、彼女が美味しそうに飲む水筒の中身が気になってわけてもらうことにした。

 実は特別好きでもなかったりするのだが、この少女・大船ココアがちょくちょく出てくる子。知っているかもしれないが、僕は特に名前の有無を重視しないので名前は出てこない方が好ましかったりする。
 一人で隠れるように、ココアからすれば良い場所に陣取っているだけなのだが、弁当と一緒に自分で取ったという出汁を飲んでいる同級生なんていたらびっくりだな。高校の時は昼ご飯なんていかに安く済ませるかくらいしか考えていなかった。
 けれども、自分が隠くしたいと思っているぼっちであっても自然に好きなことをやっている同級生の存在は大きかったんじゃないかな。学生時代のぼっちって慣れるまではキツいもんだよ。


・二人の草と草
 一緒にいるけど恋愛関係ではない博人に告白されて千晶は幻滅したが、博人が求めているのは恋愛関係ではなく入院して気が弱っている母親の前で恋人のふりをすることだった。
 それくらいならと引き受けて会いに行くと母から博人が好きだったチーズ入りハンバーグのレシピを教わり、千晶がその場でスケッチブックにイラスト入りで記すととても喜んでくれる。

 僕はあまりアレンジはしないというかハンバーグならハンバーグとしか作らないので、チーズってただ入れるだけじゃないんだなと素直に感心してしまった。胃が治ったら作ってみたいね。
 千晶の恋愛観はほんそれと言いたくなるもので、気持ちはよく分かる。告白された瞬間に即さよならとか、お前は俺かと思ったわ。
 だが、二十年来の友人である博人の頼みだと母親に会い、レシピを教わってその日に作ってみたりしてまた母親に会いに行った時、母親には博人と付き合っていないことを知っていた。

 だからと言って修羅場になるわけでなく、お互いに結婚とかしないけれどこれから先もずっと仲良くやっていく関係であることを説明して母親ともちょくちょく連絡を取り合う仲に。
 ああ、良かったな。結婚とかしても離婚する可能性だってあるわけでずっと一緒なんていられない。だから、わざわざ形にしなくていい関係だってあっていいと思うんですよ。
 まぁ、いずれ年金とかそういう問題が出てきたら籍だけ入れときゃいいんじゃないですかね。


・父の遺した○
 母と離婚して以降疎遠だった父が死んだと知らせが来た。遺品整理を業者に任せたが、父はどうやら野良猫を飼っていたようで処分することは出来ずに一時的に引き取ることに。
 獣医に診せて飼い主を探すはずが、キャットフードを食べずにどんどん痩せていく猫。どうすることもできないと自分のご飯を作るために出汁パックを取り出すと途端に猫が反応し、出汁の匂いをキャットフードにつけてやると食べ始める。生前の父もこうしていたのかとほんの少し思いを馳せる。

 ここで猫のことを相談する友人はおそらくココア。ココアはこれ以外にも雨の日に車でリモートワーク女子としても登場している。たぶん。
 ちょっとだけ、好きじゃない人であってもその暮らしが見える瞬間っていうのはなんだか愛しい。動物が関わってくると特に。
 この物語には毎回出てくるレシピがイラスト入りで掲載されているが、これだけ猫入ってるのずるいよ。


 ご飯はだし巻き玉子と舞茸の炊き込みご飯が美味そうでしたが、肉豆腐もレシピ簡単で良いな。元気になったら作ってみたい。
 だが、如何せん、出汁レシピ多過ぎだろ。出汁好きだけど胸焼けするわ、とか思っているとレシピ監修がにんべんだしアンバザダーとなっているので出汁は必須なんか。ちとくどい。
 あと僕のようにほとんど料理本を読まない人間にはレシピが分からないことがある。だし巻き玉子にアオサを入れるとあるが、アオサって言っても乾燥とか粉とかいろいろあるじゃんかどれだ?となるわけですよ。初心者は遠憲さん並の勘違いとかよくするんだよ。

 そんなこんなで僕が作る再現レシピは愉快な結果になりそうですが、物語としては軽くとても読みやすい。ちょっとした時間で読めるのでおすすめだが、装丁がしっかりしているせいか定価は高め。この値段なら倍のページは欲しい。もう何編かあっても絶対に好きな話なんだがなー。

 では、ここで今回のお気に入りへ。「二人の草と草」から千晶が聞いたレシピをイラスト入りで描いたのを母親に見せたシーン。


 できました、と言って絵を見せると、当時を思い出したのか。お母さんは笑って泣いて、また笑って大騒ぎだった。自分は絵を描くくらいしか能が無いと思っていたけれど、それでじゅうぶんだなと思った。


 いや、それすごいことですって。
 まったくの門外漢からするとすっげーっ!としか言えないことも、それが当たり前になっちゃうと大したことなく思えちゃうんだ。でも、それはすげーっすわ。そんなことをさらっとやっちゃうあなたは格好いいんですよ。






あとはおいしいご飯があれば - 柊サナカ
あとはおいしいご飯があれば - 柊サナカ
双葉社
2025/02/19




posted by SuZuhara at 21:43| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月26日

きまぐれロボット



 博士、次はどんな夢を見せてくれますか?


 ヘッドホンが欲しいと思いつつも、一番よく使うのはネックスピーカーだったりする。
 基本的に耳を塞がれるのが好きでなく、耳的にイヤホンが合わないので耳掛け式を使うが長距離を移動する時にしかこれは使わない。あとたまに走る時とか。
 家にいる時、パソコンの前にいればそのままスピーカーから。料理や掃除をするならネックスピーカー。ゲーム用のもコレにしたいが、そんなにたくさんあってもしゃーないのだよなぐぬぬ。


■感想
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 確か夏辺りに本屋でスペシャルカバーってのに惹かれて買ってみた。星新一作品は夏の特別カバーを買うようにしているのだが、これは初めて見た。
 わりと薄い本なのでちょっとした小旅行、ライブに行く時とかに持って行く予定だったんだけど、そんな用事はなかった。そもそも慣れないことをする時の移動時間は睡眠時間だった。

 さて、星新一さんのショートショートについての説明はもう入らないだろう。分からなかったらちょっと過去を遡ってくれ。
 今回の『きまぐれロボット』の表題から分かるようにロボットに関連した作品が多い。そのせいかオチが似ているようなものが多いのだけど、エム博士やアール氏など架空の存在でありながらお馴染みの存在の話ばかりなのですんなり読める。

 特に好きだったのは『ネコ』。
 ネコを大切に、それこそネコに尽くすエス氏とネコが暮らしている家にカード星人が現われる。人間は気を失ってしまうが、テレパシーでカード星人がネコと話し出す。星々の調査をしている彼らはネコの動じない様子に支配階級であると認識して言う。人間がドレイの地位を不満に感じて反逆を考えないか、と。
 その時のネコの返答が、かなり早いがここで今回のお気に入り。


「そんなこと、心配したこともないわ。そこまでの知恵はない生物よ」


 まったくもってその通りだなw
 我々はお犬様やお猫様その他諸々に反逆など考えないほど骨抜きにされている。星新一さんの時代から我々の奴隷根性は染みついたものだったのかと笑ってしまった。

 あとは面白かったが、特筆するような作品ではなかったと思う。巻末にある谷川俊太郎さんの解説曰く、この作品は子どものためにまとめられた本のようで、悪く言えばちょっとありきたりだ。同じような展開だから先が想像できてしまうものもあった。けれども読みやすさと谷川俊太郎さんの解説がめちゃくちゃ興味深いので一読の価値はあると思われる。カドカワさんこれもシリーズ化するなら買いたいなぁ。




きまぐれロボット (角川文庫) - 星 新一
きまぐれロボット (角川文庫) - 星 新一
2006/1/25



ラベル:星新一
posted by SuZuhara at 12:00| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月25日

楽園の楽園



 人はどんなものにも物語(ストーリー)があると思い込む。
 きっとあなたもそのひとり。



 毎度毎度スマホゲームに悩んでいる。
 僕がやっているのは変わらずFGO、アークナイツ、ロスストの3つではあるが、この毎日のノルマに縛られるのが激しく苦痛である。いや、GEREOに比べればどれもデイリー面倒くさくないよ、最低限しかしないしね。じゃあなにがつらいのか、毎日続けることを強いられるのが、気分屋としては反発したくてたまらん。
 でも、ちょっとサボれば痛い目を見るのは自分だ。けど、ちょっとログインすれば1時間くらいは軽く溶ける。
 なんだかなー、向いてない感が激しいね。


■あらすじ
 大停電に感染症、大地震――立て続けに起きた世界の異常事態は全てとある人工知能『天軸』の暴走であることが分かり、五十九彦、三瑚嬢、蝶八隗の三人は人工知能の開発者であり行方不明となっている<先生>の足取り、『天軸』があると思われる場所を探す。
 辿り着いた先は巨大な樹のある『楽園』の名に相応しい場所で、そこに残された<先生>からのメッセージで三人は自分たちがこの場所に導かれた理由を知る。


■感想
 伊坂幸太郎さん作家生活25周年記念作品。
 昨今は情報収集の必要性をひしひしと感じつつも、それを強いられるのが嫌で全くアンテナ張ってなかったのですが、偶然にも発売前日に本書のことを知ったのでえっちゃら本屋に向かう。あと柴犬ぽんちゃんも買いに行きたかったし。
 ちょうど『ペッパーズゴースト』を読み終わって次に読む本を探していたのでタイムリーに読もう。『ガソリン生活』も気になってるけどこっちにしよう。そう思っていた僕は本屋で本書を手に取った瞬間、めちゃくちゃ悩むことになる。

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 付箋を貼りながらの読書は相変わらずなので気にしないでくれ。
 見てほしいのは本の厚みである。そう……結構薄い。
 本文の最終ページは97ページだった。100ページ満たない短い物語である。そして単行本である。

 ……めちゃくちゃ悩んだ。僕は基本的にケチであり、お金を使うのが苦手なのだ。すぐ終わってしまう話に1,500円が出せるか、後悔しないかと自問自答を繰り返しまくる。
 結果的には興味が勝った。知りたいという知識欲だ。なにより伊坂幸太郎の文章が好きだから買ってみようだ。

 結果は思いの外良かった。
 いや、やっぱり短いしコスパを考えるならどうしたって割に合わないと俺は叫ぶでしょう。もっと三瑚嬢と蝶八隗のことも掘り下げてほしいんですけど!って。
 けど、読み終わっての納得が強い。物語(ストーリー)に関しては特に参考文献にも手を出そうかと考えるほどには納得した。

 さて、内容だ。
 昨今の世界的ウィルスショックがまだ記憶に新しい中、この世界も同様に未曾有の危機とばかりに天変地異が頻繁に起こっていた。けれども、そんなものは個人にはどうしようもないのだが、五十九彦、三瑚嬢、蝶八隗の三人はその原因が人工知能『天軸』にあったことを知らされる。
 だからどうすれって?状態だが、世界の災いに関してはその人工知能自体は開発者の<先生>が止めたのだが、<先生>はその人工知能がどこにあるのかなどは明かさずに行方不明になってしまう。
 偶然が重なって先生の仕事部屋が分かり、そこに残された『楽園』と名づけられた一枚の水彩画がおそらく人工知能がある場所であろうと検討をつける。だが、その場所の特定はできていない。でも、輸送機の墜落事故によってその場所らしき位置が特定されたよ。けど、感染症の問題もありとてつもない免疫力を持っている者しか送り込めないよ、という流れで三人は選ばれたのである。

 五十九彦に関して背景が語られるが、残念ながらあとの二人はほぼ語られない。世界はまだ混乱している中なのでほぼ密入国レベルのミッションインポッシブルで楽園を目指すのだが、この三人はお分かりの通り西遊記がモデルで五十九彦が俊敏さと運動力、三瑚嬢がブレインとしてドローン封じの電磁波スティックとか装備してて道中の小難しい担当、人の三大欲求全振りの蝶八隗は力で解決をサポートしてくれる。

 この三人の旅は、世界を救うような大それたものなのに普通の日常会話で行なわれるから寄り添いやすい。楽しかった。もっと一緒にいたいと思わせる。
 特に楽園に、そして先生にも辿り着いた時まで思っていた。さしずめ先生は三蔵だろう? 僕的は三蔵ちゃんだ、沙悟浄が女性というのは初めてだな。

 ここから明かされる世界の真実はすごく伊坂さんらしく、しかもあり得ないとは思えない。むしろ、納得してしまった。この大樹は世界とも言えるだろうけど、我々が自分の意志で決めたことだってそうなるように誘導された結果であるかもしれない。虫ならば甘い蜜に誘われるが、人間は? ヒトならば物語(ストーリー)に誘われる。この辺りは三瑚嬢の説明が完璧だから是非呼んで欲しいね。

 僕は頭の良い人が好きだが、それは学力じゃなくて納得させてくれることなんだ。どんな嘘でもどんなに力技でもそれを納得させられたら満足する。
 けど、納得できなかった結果が物語(ストーリー)を作っちゃうんだろう。二次創作なんてまさにそれじゃないか? 楽しい。けど、あそこどうなったの? こんなことがあったんじゃねぇの? まさに自分はこれ。しかも、僕という人間は気になっちゃうと全てを投げ出すからどうしようもないね。

 うん、すごく面白かったし納得した。ケチでコスパを追求する自分に勝って良かった。ただ、やっぱりもっと詳しく彼ら個人のことも知りたいし、最後の結末には疑問を覚える。けど、この旅の終わり方としては他も思いつかない。世界は、ヒトはこうやって終わるのかな? まぁ、排除されるのは今までのどんな終末論よりもらしいと思ってしまうのだが。

 では、この辺で今回のお気に入りへ。
 冒頭の帯の文章と似ているのだが、僕の好きな三瑚嬢の言葉を引用して終わろう。楽園で先生が残したメッセージを聞いた三瑚嬢は自分たちが誘われてこの場にやって来たことを理解する。


「人間の大好きなもの? 何だよそれ」
「ほら」三瑚嬢は答えた。「物語(ストーリー)だよ」


 大樹の根がネットワークとか言われてみればそうというか、比喩としては使われ尽くしたことばかりなのにそこに物語が加わっただけでこんなに納得出来るとは思わなかったな。僕は好きだ。







楽園の楽園 - 伊坂幸太郎
楽園の楽園
伊坂幸太郎



posted by SuZuhara at 04:39| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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